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2022.6.28

面談の質問って何をすればいい?採用活動時の面談・社内面談の場面別で紹介

新しい人材の採用時には、主に面談を通して相手の人となりを推し測るものです。また、部下と相互理解を深めたいときなども、面談を通じて対話し、意思疎通を図る場面も社内では珍しくありません。ただ、採用時の面談と部下に対する1on1の面談では、進め方や質問することなどさまざまな違いがあります。そこで今回は、採用活動時の面談と社内面談でどこに違いがあるのか、それぞれの適切な進め方や質問の内容などを解説します。

採用活動における面談と人事評価面談・1on1の違い

採用活動における面談は、主に相互理解を深めるという目的があります。面接や採用試験とは違って、面談は選考とは関係なく行われます。一方的に質問して相手を審査する面接とは違い、面談は主に対話を通じて双方の理解を深めるための手段です。「話し合い」という側面が強く、双方が同じ目線で会話するのが一般的です。お互いがリラックスした感覚で臨める面談は、双方がより腹を割って意思疎通できる手段だとされています。そのため、採用活動においては、内定前の不安要素を取り除く目的で面談の機会が設けられることも多くなっています。

一方、同じ面談でも、人事評価面談は採用時の面談とは目的が異なります。人事評価面談は、主に半期や四半期に行われる人事評価を目的とした面談です。面談を通じて、人事考課結果のフィードバックや次期目標の設定などがされます。ただ、目的が異なるとはいえ、人事評価面談も本質は採用時の面談と変わりません。つまり、双方の理解を深めるということです。

人事評価を目的とした面談は、ともすれば面接のような趣向になることもありますが、実際の人事評価面談は面接のような一方的な質問に終始するわけではありません。人事評価をするためには、部下の能力を正確に把握する必要があります。そのためには、一方的な質問ではなく、相互理解を目的とした対話が必要です。一方的な評価ではなく、相手からも納得を得られるような評価でなければならないため、面談を通じて相互理解を図ることが何より求められているのです。

自己評価面談の具体的な方法としては、1on1と呼ばれる1対1での面談が基本となります。1on1とは一人の上司が部下個人を対象にしていることを指す言葉です。週に1度程度の頻度で実施され、部下と上司が対話を通じて理解を深めるという目的のもと行われます。もちろん、人事評価も目的のひとつではありますが、1on1ミーティングは広く部下の成長を促す手段だと考えられています。部下が普段抱えている悩み、疑問点などを上司と共有し、お互いが共通の理解を持って仕事に臨めるようにするのが1on1の大きな意義です。近年では、1on1ミーティングを人事評価面談と切り離し、上司と部下の自由な対話による、部下がより成長しやすい環境づくりを進めるツールとして利用する企業も多くなっています。

関連記事:1on1とは?目的や人事評価面談との違い、「意味がない」と言われないためのポイントをわかりやすく解説

採用活動の面談の種類

採用活動における面談は、面接の前や内定直前など、それぞれの場面において使い分けられています。

  • カジュアル面談
  • リクルーター面談
  • 内定面談

ここでは、採用活動の面談が各場面でどのように使い分けられているのか、またそれぞれの面談がどのような性質を持っているのか順を追って説明します。

カジュアル面談

面接前の段階で、採用とは関係なく面談担当者と採用候補者が対話を行う機会があります。この種の対話は、主にカジュアル面談と呼ばれ、よりリラックスした雰囲気でお互いがコミュニケーションを取り合う目的で行われます。既に多くの企業がカジュアル面談を取り入れており、就活生や転職希望者の間では、面接対策ならぬカジュアル面談対策を講じて面談に臨む人もいるほどです。

カジュアル面談は、いわば面接の前にとりあえず会ってみて話をするための機会です。選考には関係ないため、面談担当者はあらかじめ、その旨を採用候補者に伝えておかなければなりません。むしろ、選考につながるとなってしまっては、お互いが忌憚なく意見を交わすことも難しくなり、カジュアル面談の意義が薄れてしまいます。選考とは無関係だからこそ、採用候補者も身構えることなく、会社の方針や社風、仕事内容といった字面の情報だけではわからないことも聞くことができるのです。

リクルーター面談

リクルーター面談は、主に新卒採用時に用いられる面談方法のひとつです。リクルーターとは、社内から選出される採用活動の手助けを行う社員のことです。主に若手社員から選出され、OBやOGとして大学の後輩に近づき、アプローチを掛けて採用に結び付けます。リクルーターは採用候補者とより身近な立場で話せるため、候補者の本心を聞き取りやすい手段として多くの企業で採用されています。

リクルーター面談を行う主な場所は、社内施設ではなく、カフェや公共施設といった社外の場所です。面接に比べて自由な対話が可能であり、リクルーターを通じて自社のアピールなどをすることもできます。ただ、リクルーター面談は、選出するリクルーターに重大な責任が生じる手法です。リクルーターによっては、かえって自社の悪いイメージを植え付けてしまう恐れもあるため、リクルーターの選定には慎重を期さなければなりません。

カジュアル面談と同様、選考には関係ないものであるため、リクルーターにはそのことを周知させておく必要もあります。面談ではなく、面接のような雰囲気になってしまっては、採用候補者の本音や本心を聞くことも難しくなるでしょう。あくまで相互理解を深めるための機会だと認識させ、忌憚ない発言が許された自由な場として行う必要があります。

内定面談

面接前や採用前に行う面談もある一方、採用が決まっている候補者に対して行う面談もあります。内定面談と呼ばれるもので、内定を受けた人に対して、主に入社後の流れや業務内容を説明する目的で行われる面談です。内定をもらっているとはいえ、内定者には不安や心配がつきものです。内定面談は、そうした内定者の不安を取り除き、入社後すぐに活躍してもらうためのサポートとして重要な意義があります。

また、実際に会社での活動が始まれば、担当者と内定者は同じ会社で働く仲間となります。その意味でも、内定面談を通じた入社前のコミュニケーションは重要です。実際、仕事になじめず、入社後すぐに辞めてしまう新入社員も少なくありません。内定面談は担当者と内定者が良い関係を築き、新入社員が働きやすい環境をあらかじめ用意しておくための手段でもあるのです。

採用活動の際に面談をするメリット

企業の採用活動は、優秀な人材の確保のために行うものです。人口減少に伴う人材不足が深刻化している業界では、人材の確保が死活問題にもなりかねません。そんななか、採用活動時の面談は優秀な人材確保の手段として注目される手法です。それでは、採用活動時の面談には、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。以下、詳しく見ていきましょう。

企業の知名度には関係しない

採用活動において、企業の知名度は大きな意味を持ちます。実際、求職者はネームバリューの大きい企業から選ぶ傾向にあり、知名度の低い企業はどうしても大企業の後塵を拝してしまいがちです。日本全国には、中小企業も含め381万もの会社が活動しており、知名度の高くない企業は後回しにされてしまうことも少なくありません。世界に誇れる技術を持っていたり、社員が働きやすい体制を整えていたりしても、それを就活生や求職者に知ってもらわなければ人材も集まらないのです。

会社の知名度が低くて知ってもらえないなら、こちらから働きかけて会社の情報を知ってもらうより他ありません。そのための手段として注目されているのが面談なのです。面談は、求職者からの応募を待つのではなく、企業から働きかけて求職者にアピールするための手段という側面もあります。面談を通じて会社の良いところを知ってもらえば、企業のネームバリューなどはもはや関係なくなります。面談は、知名度とは無関係に求職者の注目を集められるという意味で、採用活動において大きなメリットのある方法なのです。

必要な人材か見極めることが出来る

通常の選考方法では、一方通行の面接や採用試験によって求職者をふるいにかけることになります。しかし、多くの応募があった場合、すべての求職者を詳細に面接で観察することは困難です。その結果、面接時には高く評価できる人材がいたとしても、採用後に本人の希望と会社の要求にミスマッチが生じ、適切な人材活用ができなくなってしまうことも多いのです。

当然、採用活動には莫大な時間と経費がかかるので、満足に活躍できない新入社員が早期退職でもしてしまえば、会社にとっても大きな損失です。このような損失を防ぐためには、採用段階で必要な人材かどうかを、できるだけ正確に見極める必要があります。入社後は何をしたいのかなど、もちろん面接でも聞くことはできますが、採用面接という緊張感のなか、実は本心ではないことも口にしてしまうケースも珍しくありません。

面談は双方が意見交換を行い、同じ目線で話し合う貴重な機会です。そこでは、面接では聞けないような求職者の本心にも近づけます。だからこそ、採用段階で面談の機会を設ける意義は非常に大きいのです。選考とは関係ない自由な場として、入社後の希望などの踏み込んだ内容も話し合うことができます。その結果、会社と本人とのミスマッチを減らし、会社にとって有意義な人材の発掘にもつながるのです。

また、リクルート面談などを通じて求職者の情報をあらかじめ収集しておけば、採用担当者の負担も大きく軽減することができるでしょう。もちろん、面談はあくまで選考とは関係ない場として実施される必要がありますが、面談を一次面接の代用として行えば、二次面接以降の採用担当者にとっても選考がしやすくなります。数多い求職者をただ振り分けるのではなく、面談を通じて詳細に把握したうえで取捨選択できるので、面談は担当者の負担を減らしながら選考の効率化も狙える方法だといえます。

求職者が気軽に対応できる

面談の最大の魅力は、何よりその手軽さにあるといえます。採用を目的とした面接の場合、担当者も求職者も相応な準備をして臨まなければなりません。そこには時間もコストもかかり、意気込みも全く違うので、かなりの労力を要することになるでしょう。しかも、時間とコストをかけたにもかかわらず、求職者が自社に興味を示してくれなければ大きな損失にもつながります。しかし、面談は違います。まず、面談は特別な事前準備を行う必要がありません。「とりあえず話だけでもしておきたい」という気軽な場として実施されるため、事前にするべきこととしては、カフェなどの話し合いの場を用意しておくことぐらいです。

求職者にとっても、事前に何も準備せず臨める面談は就職活動において貴重な場です。社風や仕事内容などを気軽に話し合うことができれば、求職者に対して大きなアピールにもなるでしょう。一方、面談担当者の中には、何も準備してこない求職者にマイナスな印象を持つ人もいますが、準備をしていないフラットな状態だからこそ聞き出せることもたくさんあります。ですから、無防備な求職者に反感を抱くことは間違った対応です。無の関係から相互理解を深めるためにも、担当者はなるべくリラックスしやすい雰囲気を作り、求職者がさまざまな疑問をぶつけられるような機会を設けることが、面談において望ましい対応だといえます。

採用活動の面談の進め方

面談を効果あるものにするためにも、その進め方には細心の注意を払っておきたいところです。コミュニケーションの場ですから、相手の本心を聞き出し、こちらの考え方を伝えることに本質があります。それでは、具体的にどのように進めていけば、採用に生かせる有意義な面談ができるのでしょうか。ここでは、採用活動における面談の進め方について紹介します。

アイスブレイク

遠慮なく意見を交わすため、面談を催す際は求職者に対して選考には関係ない旨をあらかじめ知らせておくのが基本です。しかし、選考とは無関係であるとわかってはいても、会社の担当者と面会するのは求職者にとって緊張するものでもあります。特にお互い初対面の場合はなおさらです。そのため、面談を始める際は、導入としてアイスブレイクを行うのが基本です。

アイスブレイクとは、主にコミュニケーションにおける緊張緩和策で、ビジネスシーンにおいてはグループミーティングの冒頭などにもよく行われています。冒頭で緊張をほぐし、自由に発言できる雰囲気を作って、コミュニケーションを活発化することがアイスブレイクの目的です。こうしたテクニックは、ともすれば緊張しがちな面談の場においても非常に効果的です。

面談の冒頭で求職者の緊張がほぐれれば、コミュニケーションも活発化して意見交換もしやすくなります。そのためにも、まずは面談に応じてくれたことに対する謝意を示して、お互いが対等な立場であるということをわかってもらうように努めましょう。面談が一方的な質問の場にならないように気を付けて、会話のキャッチボールを意識して話に入れば、面談の冒頭として、うまくアイスブレイクできるはずです。

自己紹介

アイスブレイクを通じてお互いの緊張がほぐれたら、次は自己紹介をしましょう。面接では求職者のみ自己紹介を行うのが通例ですが、面談の場では企業側から自己紹介を行うのが基本です。面談は格式張らない会話の場ですから、あくまで対等な立場であることを示すためにも、企業側から自己紹介を行って舞台を整えます。こちらから自己紹介をするのは、面談を受ける相手方に安心感を与えるという目的もあります。受け入れる態勢が整っていることを示せれば、相手方も本音で話ができる雰囲気を感じ取ってくれるので、より本心に近い有意義な意見交換ができるのです。

相手の話を聞いて質問する

お互いの自己紹介が済んだら、まずは相手方の話を聞いてみましょう。面談を受ける人のキャリアや会社に求めていることなどを自由に話してもらいます。相手が話している最中は途中で腰を折らず、最後までじっくり聞いてあげることが大切です。そうすることで、「自分の話を理解しようとしてくれている」という印象を与えられ、より心を開いて会話してくれるようになります。

お互いの基本的な情報を知り合うことができたら、あらためて質問の機会を設けましょう。もちろん、相手方からの質問にはなるべく真摯に答えることが大切です。質疑応答のような堅苦しい場にならないよう、答えられる範囲で丁寧に応答し、こちらからも丁寧に質問しましょう。質問の機会を設けるのは、単に情報収集をするためだけではなく、この段階でのお互いの距離感を図るという目的もあります。

クロージング

面談は双方の意見を交換し、距離感を縮めるために行うものですが、一度の面談で完全に双方を理解し合うことには限界があります。そのため、今後の面談相手との関係を見据えて、さらに距離を縮めたいと考えているなら、面談の締めくくりも次回を見越したものにしなければなりません。クロージングは、面談の最後に付して、次回へのつながりを残すためのテクニックです。

面談の締めくくりには、相手の満足度を確認しつつ、こちら側からも有意義な時間であったことをしっかり伝えます。クロージングを通して、こちら側の熱意を適切に伝えられれば、相手の心の中にも強い印象を残すことができ、次回以降の採用活動にもつながる可能性が高まります。一方、その後の展望を描けない面談相手だったとしても、クロージングにおいては言葉の選び方に注意が必要です。対等な立場での面談に応じてくれた相手ですから、関係性を続けるつもりがなかったとしても、失礼のないように十分な配慮を示しましょう。

採用活動時の面談・1on1の質問例

面談は、双方が活発に質問をしあう機会です。面談担当者は相手に対する理解を少しでも深められるような質問をしたいところです。相手の考え方や目的、仕事に対するモチベーションなど、詳しく理解しておけばその後の採用活動にも大いに役立ちます。

たとえば、持っているスキルや資格、仕事に対する考え方や価値観などは、面談でぜひとも質問しておきたい内容です。スキルや資格はその人の資質を知るきっかけになりますし、その資格を取得した理由まで聞ければ、対象者の人となりや考え方、仕事に対する熱意も推し量ることができます。

仕事に対する考え方や価値観は、入社後のミスマッチを防ぐためにも有意義な質問です。どういう仕事をしたいのか、入社後はどの部署で活躍したいのかなど、事前に明確になっていれば入社直後の離職を防ぐことにもつながります。合わせて、勤務条件などの企業に対する質問も聞いておいたほうが良いでしょう。双方の意見をすりあわせるのに役立ちます。

社内での1on1の面談は、主に部下の近況や不満を上司が把握するための手段です。ですから、現在の業務についての質問や最近困っていることなどの質問が中心になります。部下の成長を促したいなら、仕事上のやりがいを質問してみるのもひとつの手です。1on1ミーティングは今後のキャリアを問うための良い機会でもあります。そのため、3~5年後にしてみたいことはないかといった質問を通じてキャリアの見通しを把握するケースもよくあります。また、共に働いている社員について質問し、職場のチームに対する意見を集約させるのも1on1ミーティングの役割です。

面談を効果的に行って相互理解を深めよう

選考には直接関係ないとはいえ、採用時の面談は企業の採用活動の初期段階です。面談で相互理解が深まれば、その後の採用活動にも良い影響を与えるため、積極的に活用していきたい手段だといえます。一方、社内の1on1ミーティングは、従業員のパフォーマンスを高める側面があります。面談も1on1も、それぞれ相互理解を深める良い方法ですから、進め方に注意して、お互いが有意義な時間を過ごせるように努めましょう。

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