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2021.8.23

ポリコレとは?注意点・経営者が気を付けるべきことについて解説します!

ポリコレという概念が世界中に浸透してきています。これは非常に重要なものの考え方であり、より良い社会を実現するには避けて通れないものだといえます。しかし、言葉は聞いたことがあっても意味がよくわからない、あるいは漠然としたイメージでしか理解していないという人も多いのではないでしょうか。そこで、本記事ではポリコレの概要や注意点などについて紹介していきます。

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ポリコレとは?

ポリコレの正式名称はポリティカル・コレクトネスであり、直訳すると「政治的な正しさ」となります。より具体的には、性別・人種・宗教などの違いから生じる差別や偏見を防ぐために、差別的な表現を公正かつ中立な言葉に換えていこうという考え方を指します。

もともと、この概念は1980年代以降にアメリカ合衆国で誕生したものです。その背景には、さまざまな人種や宗教が存在するアメリカにおいて、少数派は多数派である白人やプロテスタントなどによって差別され続けたという歴史があります。

やがて、その差別を助長しているのが「政治的な正しさ」に欠ける差別的用語にあるのだという考えが提唱され、多くの支持を集めるようになります。その結果、ポリコレという概念が誕生し、公正・公平な表現・用語を使うことを推奨する運動が広まっていったというわけです。

ポリコレが行われた具体例

ポリコレの運動は少しずつ社会に浸透し、広く知られるようになってきています。その結果、実際に表現や用語の言い換えが進んでいったケースも少なくありません。

代表的なのは、やはり、アメリカ合衆国における人種差別的な呼称の言い換えです。古くからアメリカでは、黒人をBlack、アメリカ先住民のことをインディアンと呼んできましたが、これらは不正確な表現であり、少なからず侮蔑的なニュアンスが含まれています。そこで現代では、より公平な呼称として前者を「African American」、後者を「Native American」と、それぞれ呼ぶようになってきたのです。

また、こうした動きは、日本における職業の呼び名にも及んでいます。特に、性別を想起させる職業名はそのほとんどが中性的なものに言い換えられています。たとえば、看護婦あるいは看護士は「看護師」、保母は「保育士」、スチュワーデスは「客室乗務員」などといった具合です。もちろん、呼び名が変わったのは女性を想起させる職業だけではありません。ビジネスマンから「ビジネスパーソン」、カメラマンから「フォトグラファー」などのように、「~マン」で長年定着していた職業名もどんどん言い換えが進んでいるのです。

ポリコレに関する問題

ポリコレは社会から差別や偏見をなくしていく手段として極めて重要な概念ですが、それも行きすぎるとさまざまな問題を起こしかねません。そこでこの段落では、ポリコレを使ううえでの注意点について紹介していきます。

ヘイトスピーチ

ポリコレの観点から強い批判を受けているものにヘイトスピーチがあります。そもそも、ヘイトスピーチとはなにかというと、人種・国籍・思想・性別・障害・職業・外見といった個人や集団に備わっている多様性や欠点に対して誹謗・中傷する行為を指します。ポリコレの概念からすれば、こうした発言は公正でも公平でもない行為なので否定されるべきだというわけです。しかし、日本では憲法において表現の自由が認められています。もちろん、公共の福祉に反しないかぎりという制限付きではあるのですが、果たしてどこからが公共の福祉に反する行為で、どこまで表現の自由が保障されるべきなのかはしばしば議論の的となっています。

また、ヘイトスピーチならともかく、日常の何気ない発言さえもポリコレの観点から差別発言と認定されてしまうのは、多くの人にとってストレスです。たとえば、過激なポリコレ信者になると、「その髪型似合っているよ」といったコミュニケーションの一環としてのほめ言葉さえ、外見で人の価値を判断したから差別発言だとして、批判してくる可能性があるのです。

行きすぎたポリコレ

昔と比べると、ポリコレの意識はかなり社会に浸透してきており、差別などに対する問題意識も着実に高まっています。それ自体は決して悪いことではありません。しかし、前の段落でも述べたように、その考えがエスカレートしていくと、表現の自由が制限されることにもなりかねないのです。実際問題として、どこまでが正当な批判でどこからが差別発言なのか、あるいはどこまでが冗談や軽口と認められるのかといった線引きは非常に難しいものがあります。

それなのに、安易にポリコレの概念を押し付ければ、世間は行きすぎた配慮をし始め、そのこと自体が見えない圧力となってしまいます。そうなると、メディアは萎縮して言うべきことも言えず、また、個人の何気ない一言が批判の的になるといった事態になってしまいかねません。そして行きつく先は、ポリコレが目指していたものとは真逆の、不寛容で多様な考えや価値感を否定する窮屈な社会です。

ポリコレの注意点

ポリコレにおいてはしばしば差別的発言が問題となります。したがって、何かを発言したり、表現したりする際には「これは差別にあたらないのか?」と考える習慣を身につけておくことが大切だといえます。そもそも、差別とはなにかというと、特定の差異に基づいて対象を不当に低く扱うことです。たとえば、相手が特定の人種であることを指摘するのは差別ではありませんが、相手が何か失敗をしたときに「だから、~人は駄目なんだ」といった発言は差別にあたります。なぜなら、「~人が駄目」というのは客観的根拠に欠けており、不当に低く扱っているといえるからです。

また、セクシュアル・ハラスメントに関する表現もポリコレにおいては批判の対象になります。セクシュアル・ハラスメントとは「性的嫌がらせ」という意味ですが、加害者に嫌がらせの意図があったかどうかは関係ありません。性的な、あるいは性差に基づく発言によって相手に不快な思いをさせてしまえば、それで成立することになります。つまり、「子ども作らないの?」「男のくせに器が小さいな」などといった何気ない一言がセクシュアル・ハラスメントになる可能性があるのです。同様に、「女は結婚したら家庭に入るべき」など、性別によって固定的な役割を押し付ける発言もしばしば問題視されています。

さらに、配偶者や恋人などから振るわれる暴力、いわゆるドメスティック・バイオレンスを容認するような発言については激しい非難を浴びる可能性が高いといえるでしょう。以上のように、ポリコレの意識が高まった社会においては、これらの発言に関しては十分気をつける必要があります。

関連記事:【最新】職場におけるハラスメントの種類一覧表。法律、リスク、予防策を抑えておこう

経営者が気をつけること

ポリコレは会社運営においても欠かせない要素です。その事実を理解していなければ社内ではハラスメントやイジメが横行し、ネットでは予想外の炎上が発生してしまったなどということにもなりかねません。それを未然に防ぐためには、ポリコレに対する経営者の自覚が重要になってきます。そこで、この段落では経営者が日頃から気をつけておくべきことについて解説していきます。

ポリコレを軽視しない

日本に住んでいるとあまり実感はないかもしれませんが、海外では想像以上に女性の社会進出が進んでいます。それに、他の先進国と比べればまだまだとはいえ、日本でも女性が会社の重要ポストに就くといったケースは珍しいものではなくなってきています。そうした現状の中で、経営者がポリコレを理解しておらず、昔ながらのやり方を続けていると、知らず知らずのうちに女性差別をしていたということにもなりかねません。

また、経営者の意識が低くてポリコレに関する社内教育が立ち遅れていた場合、セクシャル・ハラスメントやパワー・ハラスメントなどが発生する可能性が高くなってしまいます。以上のような事態を避け、現代の社会スタイルについていくためにも、ポリコレを軽視せずに再確認する必要があるのです。

SNSの発言に注意する

多くの企業が活用しているツイッターやインスタなどは気軽に情報を発信できるうえに、拡散性が高くて影響力が大きいというメリットがあります。しかし、逆に言えば、うかつな発言によってすぐに炎上する可能性も高いといえます。そうなってしまえば、会社のマイナスイメージは避けられません。それ故に、経営者を始めとしてSNSでメッセージを発信する人は、その内容についてよく注意する必要があるのです。ポリコレの概念と照らし合わせて、問題のある発言を避けるようにしていきましょう。

グローバル化に対応する

国境を越えてビジネスを行ったり、海外の労働者を雇用したりする、いわゆるグローバル化の波はますます激しさを増しています。そして、ポリコレが企業で重要視される理由の一つとしては、このグローバル化を挙げることができます。なぜなら、世界基準になりつつあるポリコレについて企業が理解していないと、さまざまな場面で軋轢を生んでしまうことになるからです。グローバル化の波の中では、性別・人種・民族・宗教など、さまざまな違いが対立の火種になるおそれがあります。それを避けるためにも企業全体としてポリコレを正しく認識し、適切な対処を行っていく必要があるのです。

ポリコレの概念を熟知しよう

これからの時代、私たちの生活とポリコレの関係はさらに深まっていくと考えられます。しかも、ビジネスかプライベートかに関わらず、ポリコレについての見識が求められる機会が増えていきそうです。そうしたときに、ポリコレに対する知識が不十分だと思わぬ失敗をしてしまうおそれがあります。そうしたことがないよう、この機会にポリコレの概念について詳しく学んでみてはいかがでしょうか。

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