2020.02.06

良い組織とは何を指すのか?社会科学や経営学から見た組織について解説

良い組織とは何を指すのか?社会科学や経営学から見た組織について解説

「組織」という言葉は多くの人に使われている一般的な言葉で、多くの従業員が役割を分担して働く会社は「組織」であるといえます。では、そもそもこの組織とは一体なんなのでしょう。組織の定義を知ることは、良い組織を作り上げることにつながります。そこで、組織に関する基本的な知識や良い組織を作る方法などについて解説します。

組織の定義

組織について深く理解するためには、組織の定義を知っておくことが欠かせません。組織という言葉を広辞苑で調べてみると、「ある目的は達成するために、分化した役割を持つ個人や下位集団から構成される集団」と定義されています。目的達成のための集団だという点が骨格になりますが、それ以外のポイントは、役割分担がはっきりしている個人や団体が構成メンバーであるということです。

たとえば、会社であれば企業理念や会社維持という目的を達成するために、個人が振り分けられた業務を担当し、協力して仕事を行う集団ということになります。会社というのは組織として見られる条件を備えた、典型的な存在だといえるでしょう。また、アメリカの著名な経営者であるバーナードは、「組織」の定義を「意識的に調整された2人またはそれ以上の人々の活動や諸力のシステム」だとしています。

組織成立の3要件

1.共通目的

組織を理解するうえで欠かせないものの1つに、組織成立の3要件というものがあります。この3要件は、先述したバーナード氏が提唱しました。3要件の1つ目は「共通目的」で、「組織目的」ともいわれています。会社を例にとれば、企業理念やビジョンといったものが共通目的にあたります。

共通目的は、組織をまとめるための旗のような存在だといえるでしょう。この共通目的があれば組織内のメンバーの方向が1つになれますが、もし共通目的がはっきりしていなければ、組織内でトラブルが頻発する可能性があります。組織目的は社会に受け入れられるもので、かつ、市場で有効であることも重要です。市場で有効なものでない限り、企業は存続することができません。共通目的があることで、世の中や市場から支持を受けて長く存続できる企業になるでしょう。

2.協働意思

バーナード氏が提唱した組織3要件の2つ目は、協働意思です。協働意思とは貢献意欲とも呼ばれており、組織内でいっしょに働くうえで、それぞれが会社の役に立ちたいという思いが協同意思にあたります。会社内では多くの人がそれぞれの役割を担って働いています。その従業員それぞれが、会社という組織に対して役に立ちたいという気持ちを持っていれば、より強い組織ができることは想像できるでしょう。

協働意思が働くためには、組織の共通目的があることは重要です。しかし、それだけで貢献意欲が向上するわけではありません。もう1つ重要な要素があり、それはリターンです。会社に対して貢献をすることで、各従業員がリターンを得ることができるという信頼が協働意思を醸成します。貢献すればリターンが得られると期待することが、協働意思が生まれる重要なポイントといえるでしょう。貢献に対するリターンが感じやすい会社ほど、長く存続しやすくなるといわれています。

3.意思疎通

組織成立3要件の3つ目は、意思疎通です。組織内には、多数のメンバーがいて、そのメンバーを束ねる役割を負っているリーダーが存在しています。3つ目の条件である意思疎通とは、それぞれのメンバー同士の意思疎通やリーダーとメンバーの意思疎通のことで、組織で問題が頻発している場合は、この意思疎通が不十分であることが原因といえるでしょう。つまり、組織を円滑に運営していくためには、メンバー間やリーダー・メンバー間の意思疎通が欠かせないのです。

組織として動くためには、最低でも2人以上の人間が必要です。そして2人以上が働く場合は、適切に意思疎通が行われていないとうまく組織の歯車が回りません。組織が継続して存続し続けるためには、意思疎通が大きなカギを握っていることを認識しておきましょう。

社会科学から見た組織

組織は、さまざまな角度から研究されている対象です。そのため、バーナード氏の提唱したものだけでなく、社会科学から見た組織についても知っておくとよいでしょう。社会科学とは、組織や現在の制度について研究する学問分野のことです。人間が集団生活を営み、集団内や集団間のトラブルを回避してより効率的に社会のなかで集団活動を進めていくために生まれたものが組織だといえます。そのため、社会科学の分野において、組織の研究は主なテーマの1つになっています。

社会科学においては、組織は個人の能力を強調・追加・拡張するというメリットがある存在だとしています。その一方で、計画的な調整によって惰性や相互作用の減少が生じてしまうことがデメリットです。なお、計画的な公式組織と非計画的な非公式組織を区別して考えることも、社会科学分野における組織研究の特徴でしょう。

経営学から見た組織

経営学においても、組織は重要な役割を果たす存在です。経営学とは、企業を研究する学問であり企業と組織は切っても切れない関係であるため、経営学において組織は重要な研究対象になります。経営学では、組織そのものの体系論や、組織構造を扱うマクロ組織論、組織内の個人や小集団単位で研究するミクロ組織論に大別されます。実際の企業事例を多数扱うことから経営学は実践的な学問で、経営学が組織をどう見ているかを理解することは、組織についてより深く知るためにも有効でしょう。

すでに紹介したバーナード氏は企業経営者であり、「組織成立の3要件」は経営学でもよく用いられる理論です。また、アメリカの政治学者ハーバード・サイモン氏は、組織の意思決定プロセスに着目して、組織を「意思決定とその実行の過程を含めた、人間集団におけるコミュニケーションとその関係のパターン」と定義していることも知っておくとよいでしょう。

組織構造の種類

組織の構造にはいくつかの種類があります。組織は大きくなればなるほど、機能や目的に応じた構造を自然と持つようになることが特徴であり、企業が持つ代表的な構造の事例としては3つあげられます。1つ目は、機能別組織です。機能別組織とは、担当する機能ごとに分けて組織を形成するタイプで、専門性を最大限に活かして業務効率を高められます。ただし、責任が限定的になるため、企業全体として取り組む課題には対応しにくいというデメリットがあるでしょう。

2つ目は事業部別組織で、本社の下に事業単位ごとの部署がぶる下がる形で編成されるという特徴があります。このタイプの組織のメリットは、責任の所在が明らかになることで、組織の中にもう1つの小さな組織があるイメージになります。一方デメリットは、事業部間の交流が減って組織が構築的になりやすいことでしょう。3つ目は、マトリクス組織です。機能別組織と事業部別組織の持つメリットを同時に実現できる点がメリットですが、ただし担当者は2人の上司から指示を受けることになるため、意思決定や実効が遅れることがデメリットといえるでしょう。

公式組織と非公式組織

社会科学では、組織を公式組織と非公式組織に大別しています。これらの2つの組織の違いを知っておくことも、組織運営に携わる者には重要でしょう。組織にはいくつかの階層がある構造を成していて、その階層構造に基づいた権限関係も存在しています。この組織構造と権限関係を組織図で表した組織構造が公式組織で、たとえば「社長」の下に「部組織」があり、その下に「課組織」がある形で階層構造になっているものは、公式組織といえます。

一方、非公式組織は、公式組織で作成される組織図では説明できないような個人的なつながりによる組織であることが特徴です。組織全体の情報伝達の効率や、コミュニケーションの良さなどに影響を与えます。実際に組織が効率よく動くためには、欠かせない要素だといえるでしょう。

組織が抱える問題点

組織運営を行う場合、すべてが想定通りに問題なく運営できるケースはほとんどないでしょう。組織はいくつかの問題点やデメリットを抱えています。組織構造にはいくつか種類があり、それぞれが持つデメリットや抱えている問題点は異なります。なかでも、現代社会ではよく使われている機能別組織形態に関する問題点を理解しておくことが大切でしょう。

機能別組織においては、ビジネス運営のスピード感を欠く傾向があるといわれています。機能別組織には階層構造があり、重要な意思決定を行う場合は、組織の下の階層から上の階層まで順を追って承認を受けていく必要があるのが一般的ですが、その承認には時間がかかるため、スピード感を欠いてしまうのです。機能別組織に代わる構造として増えてきたマトリックス組織も同様に、スピード感を欠くというデメリットがあります。いずれの組織構造でも、階層が増えれば増えるほど意思決定のプロセスが長くなってしまうのです。

良い組織とは?

組織とは何かについて理解できたら、次は良い組織とはどのようなものかについても把握しておくことが必要です。良い組織の例としては、3パターンあります。まずは、将来にわたって存続し続ける組織です。企業も資金不足などで倒産することがあり、倒産してしまえばそれ以上社会に貢献を続けることも従業員の雇用を守ることもできません。継続して生き残れる企業であることが必要で、存続し続ける会社の組織は良い組織といえるでしょう。

次に、世間に対して価値を提供している組織です。組織は内部に対して存在価値があるだけでなく、会社外部に対しても価値ある存在であることが大切になります。企業価値が世間から認められていれば、企業として存続しやすくなるでしょう。最後は、組織内のメンバーが心地よく働ける組織です。組織に所属するメンバー全員の意思疎通や貢献意欲が十分ある状態であれば、組織の環境は良いといえます。

良い組織を作るための方法

1.人事評価制度の構築

良い組織とはどういうものかがわかっても、具体的にどのようなことをすればよいかわからなければ、自社の組織を改善することはできないでしょう。良い組織を作るための方法は、3つあります。まず1つ目は、人事評価制度を構築して導入することでしょう。組織の要件の1つである貢献意欲は、組織の構成メンバーが組織内の仲間や組織そのものの役に立とうとする意欲です。

ただし、その貢献が正しく評価されることも貢献意欲を維持するためには欠かせない重要な要素となります。人事評価制度の構築は、組織のメンバーが正しく評価されて貢献意欲を持ち続けるために必要となる制度なので、公平な人事評価制度の導入は従業員のモチベーションアップにもつながります。その結果、人事評価を導入することが、より良い組織を作っていくことにもつながっていくでしょう。

2.ビジョンや理念の共有

より良い組織を作り上げるための2つ目の方法は、ビジョンや経営理念の共有です。組織内の構成員である従業員の数が増えれば増えるほど、組織がまとまることは容易ではありません。まとまりを作っていくために欠かせないものが、ビジョンや経営理念です。ビジョン・経営理念を共有することによって、組織に欠かせない要件の1つである共通目的を常に意識してもらうことが可能になります。企業としての目標や目的を共有できれば、従業員個人の方向性を定めることにつながり、結果的に組織全体の団結感が増すでしょう。組織全員が同じ方向を見て活動するためには、経営者は洗練された確かなビジョンを持ち、そのビジョンを日々行われている業務に落とし込んでいくことが必要です。

3.教育制度の確立

良い組織を作る3つ目の方法は、教育制度の確立です。良い組織とは、社会に価値を提供し続け、企業としても存続し続けられる組織だといえます。そのためには、経営理念やビジョンの共有だけでなく、組織に属するメンバー一人一人のスキルを高めることも欠かせません。常に成長が求められる企業においては、教育制度が確立されていることが必要なのです。教育制度は、単にスキルの向上を目的としてものでは十分ではありません。共通目的・協働意思・意思疎通を中心とした教育制度を確立することによって企業風土を変革し、より良い組織に変えていくことができるでしょう。

組織について知りより良い会社を目指そう!

組織の定義はさまざまな観点から行われており、組織には共通目的・協働意思・意思疎通といった3つの欠かせない要素があると知っておくことが重要です。より良い組織を作るにあたっては、こういった組織論について学ぶことも大切になります。組織論を理解しておけば、ビジョンの共有や教育制度確立にもつなげられるようになるでしょう。組織について深く理解し、より良い会社を目指しましょう。

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