SERVICE
サービス

株式会社大分銀行
導入規模:1001〜5000名  利用開始:2020年4月

従業員の志やWillの見える人財管理へ

株式会社大分銀行は、1983年(明治26年)の創立、店舗数94カ店、従業員数1,635名の銀行です。「地域社会の繁栄に貢献するため 銀行業務を通じ最善をつくす」を経営理念に地元大分の発展に寄与し続けています。
金融機関を取り巻く環境が大きく変化するなか「自律的な人財を育てる基盤の構築」を『中期経営計画2019』において掲げ、従業員一人一人と向き合う人事施策に取り組もうとされています。その一環としてサイダスの導入を決定され現在来年の導入に向けて準備が進んでいます。「従業員のキャリア形成支援に不可欠だから」という理由を含め、サイダス導入の背景を伺いました。

※インタビューの内容は取材当時のものになります。

社名 株式会社大分銀行(THE OITA BANK, LTD.)
創立 明治26年(1893年)2月1日
資本金 195億9,843万2,500円
社員数 1,635名
事業内容 銀行業務
Webサイト https://www.oitabank.co.jp/

ー御行のWebページを拝見すると、経営理念として「地域社会の繁栄に貢献するため 銀行業務を通じ最善をつくす」を掲げられ、同時に『ブランドスローガン』として「感動を、シェアしたい」も明示されています。この二つのすみ分けは、どのようにされているのでしょうか

川越氏:
経営理念は銀行としてのミッションとも言える、最上位のものです。ブランドスローガンはそれに次ぐものという扱いです。今銀行ではCS(Customer Satisfaction)ではなくCE(Customer Experience:顧客感動体験)を追及していますので、「この銀行に任せて良かった」と感じていただけるような満足感、達成感といった感動を共にしたいという意味で使用しています。

株式会社大分銀行 人財開発部 人事企画グループ 上席人事役 川越 文悟様

サイダス導入決定の背景にあるもの

ー今回、タレントマネジメントシステムを導入しようと決断された背景をお聞かせいただけますでしょうか?

IT(デジタル)の台頭、AIやロボット化の波が容赦なく業務内容を変えている

川越氏:
今、銀行を取り巻く環境は大きな変化の波にさらされています。デジタル化が進み、インターネットバンキングが世の中に広く受け入れられるようになっています。当初は個人のお客様がメインだったネットでの取引が、近年では企業のお客様もネット決済をされるようになっています。それによって非常にわかりやすい現象として店頭への来店客数が減少しています。

私たちに限らず銀行業界は10年ほど前までは「営業が2割、窓口などの事務担当が8割」という人員構成でしたが、これが大きく変わろうとしています。お客様の来店機会が減れば、当然のように、窓口業務の担当者数も以前ほどの人数はいらないということになります。

地域に貢献するという大きな目標は掲げていますが、その一方で銀行の収益率はキープもしくは上昇させていかなければならない、という課題もありますので、営業に携わる人の比率を高めていく必要があるのです。

数合わせのキャリアシフトでは従業員のモチベーションは上がらない

川越氏:
今まで窓口業務をはじめとする事務を担当していた従業員の中には「事務作業は得意だけれど、人と対することはあまり得意ではない」という者もいます。「今までは機会がなかったけれども、営業にチャレンジしてみたい」と考えている者がいるかもしれません。

そういった一人一人の考え、自分のキャリアに対する思いを汲まずに、事務から営業に何名異動が必要だから、というような数合わせのキャリアチェンジでは、従業員のモチベーションは上がりません。
今回の『中期経営計画2019』でも、従業員に向き合ったキャリア開発をすることを目的に我々人財開発部が2020年から全従業員を対象に、キャリア面談を行う計画になっています。
このキャリア面談で「今までとこれから」を丁寧に聞き取り、中でも「何をしたいと思っているのかというWill(志:こころざし)の部分」を大切にしたいと思うのですが、1600名を超える全社員の記録をExcelに入力しても、記録が残るだけで活用することは不可能です。

一人一人のプロフィール(経験・スキル・ウィル)を一覧できるシステムが欲しい

ーキャリア面談をした結果を活かすためにシステムが必要とお考えになったのでしょうか?

川越氏:
はい、その目的でタレントマネジメントシステムの導入を検討しました。
一口にタレントマネジメントシステムと言っても、社員の顔写真が見えるだけのものや、[Can/Will/Must]のうちの「Can」だけ、つまり過去の経験や経歴だけが見えるものはありましたが、私たちが一番大事にしたいWillの部分を「キャリアプランシート」のような形で見ることができるものはありませんでした。

そんな時にサイダスの新しいシステムでこの部分を実現しようとしている、と聞きましたので導入を決定し、今、色々とこちらの要望をお伝えしているところです。

このキャリアプランシートがあれば、従業員一人一人が自分のキャリアをどう考えて設計しているのか、将来どんなスキルを身に着けたいと思っているのかがわかります。それを元に、例えば2年目研修、管理職初任者研修のような単純に年次でくくったような研修ではなく、キャリアプランに即した育成計画を立て実効性のある研修を実施することができます。

今までは評価の結果などから「ここが弱いから~」というような大まかな仮説で実施していた研修を、Willをベースにしたものに変えることで、より一人一人の成長を支援できる研修になると思います。

また、私達は「数字」をベースにした成果主義ではなく、お客様への提案をベースにした「行動プロセス評価」を取り入れています。地域貢献をめざして大分銀行にどう貢献するのか、どうありたいのか、どうなりたいのか、といった思いが行動に繋がるわけですから、行動プロセス評価の結果も、キャリアプランシートの重要な要素になります。上司にとってはもちろんですが、なりたい自分への道筋を一年一年確認できますので、従業員自身も自分の成長を見ることができ、モチベーションに繋がると思っています。

キャリアシフトに関する情報提供にもシステムを活用したい

ーとはいえ従業員の中には「キャリアシフトするよりも事務の仕事を続けたい」「事務以外の仕事は考えていない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

キャリアの可能性ーグループ会社の職務情報も見える化したい

川越氏:
確かにそれは言えると思います。ただ、銀行だけに限ってしまうと事務系の仕事はAIやロボットに任せて担当する人数は減らす方向なのですが、幸いなことにグループ企業が複数あります。シンクタンクやカード会社、ベンチャーキャピタル、システム会社、最近スタートした大分の県産品を販売する「oita made」など様々な業種業態があり、ビジネスの発展のために人を探している会社もあります。例えばこのoita madeは実店舗も運営していますので、店舗での販売という仕事に就くこともできるのです。

こういった情報も「見える化」して公開し、自身のキャリアを考える際の選択肢の一つとして考えてもらえればと思っています。大分銀行が単なる銀行業務だけでなく、地域の総合商社としてもっと大分を宣伝していくためにも、今まで人海戦術で運営していた業務をRPAなどに移行して、従業員が他のこと、新しいやり方を考えるとか何かを創造するといったことに力を使えるようにしたいです。

企業の一番の課題は人

川越氏:
今、日本の中小企業の2/3は赤字決算で、事業承継者のいない企業は全体の2/3と言われています。赤字を黒字化していくことも大切ですが、事業をつないでいくことも地域経済の活性化には大事なことです。
幸いにして従業員は「大分愛」の強い人が揃っていて、大分のために何ができるかということを常に考えています。事業継承者を探す、M&Aをアレンジする、などに加えて例えば銀行から「事業継承者のいない企業」に一時的に出向して、そちらの仕事が面白い、自分にはできると感じたらその会社に転籍する、というようなことも将来的にはあっても良いのではないかと思っています。

もちろん先ほどお話したようにグループ企業の中にも「可能性」はありますし、銀行のお客様の企業にも「可能性」はあります。銀行を入口にして自分のキャリアを考え「何ができるか、何をしたいか、どうなりたいか」を追求し『志(こころざし)』を育てて欲しいと思います。

適材適所の人財配置-やりたい人でできる人を配置する

川越氏:
キャリアシフトにも関連しますが、それこそ新しい事業を始めようと思った時に「誰を」そこに配置するかは大きな問題です。人事が正しい情報を持っていなければ、ミスマッチが起きてしまいます。

ここで言う正しいとは「できる」とか「やったことがある」というCanの情報だけではなく、「やりたい」「トライしたい」というWillの情報も含みますし、Willの情報の方が大事です。その仕事ができる人が必ずしもやりたい訳ではないので、スキルや経験だけで人財配置を決めるとミスマッチを引き起こすことになりかねません。

とにかくこの一人一人の「Will」を見える化してその思いを組織の力にしたいと思います。

もちろん中には「やりたい」と言っているだけで努力をしない人もいますので、「やりたい」と思い「努力をしている人」「成長している人」を見出して、その人たちを伸ばしていきたいです。

一人一人のことを「考える」「分析する」時間を生み出したい

ー従業員の情報(CanやWill)や職務情報(Must)などの情報収集や共有はシステムに任せるとして、次のステップではどんなことをお考えでしょうか?

川越氏:
社員一人一人に向き合う、一人一人を分析する、例えばシステムが提案してきた「異動プラン」に自分達が持っている情報を加味してシミュレーションする。そんな時間が作りたいです。
例えば異動プラン一つをとっても今は経験や暗黙知などで決めていて、それでも1か月ぐらい時間がかかったりしています。キャリア面談をする時間ももちろんですが、その結果をきちんと把握して分析する、育成の計画を立てる、中期経営計画上の要員計画と現在の人員(量・質・志)とのGAPを把握して将来に備える、など、考えたり分析したりという時間を作りたいです。

考えるための素材(データ)はシステムからいつでも引き出せるようにして、今までデータ集めや集計に使っていた時間を有効に活用できるようになることを期待しています。

ー今日は様々なお話をありがとうございました。