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2023.10.12

「習字セットがキラキラ輝いて見えた」書道家 万美× おちまさと「才能人」特別対談レポート

「才能を引き出す」が社名の由来のサイダスがスポンサーを務めるラジオ番組「才能人」(渋谷のラジオ 87.6MHzにて2023年7月〜9月に放送)は、MCのおちまさとさんが、さまざまなジャンルの才能人をゲストに迎え、いつ自身の才能に気づき、どうやって開花させてきたのかに迫る、「才能」をテーマにした対談番組です。

2023年9月15日、サイダス主催のリアルイベント「CYDAS PARTY 2023」において、「才能人」特別トークイベントを開催。世界各国を巡る書道家 万美さんと45分間の生対談を実施し、作品に込められた思いと彼女の才能の秘密に迫りました。

トークは、おちさんがテレビプロデューサーになったきっかけから始まります。

おちまさとプロフィール

20歳のとき、「天才・たけしの元気が出るテレビ!」の放送作家オーディションに合格。その後「学校へ行こう!!」「ガチンコ!」「グータン」「桑田佳祐の音楽寅さん〜MUSIC TIGER〜」など数々のヒット番組の企画・プロデュースを手がける一方、さまざまな企業や行政のブランディングを展開。その活躍は多岐に渡る。またこれまで「対談の名手」としてテレビ・ラジオ・雑誌などで数多くの女優やアーティスト、ミュージシャン、ハリウッド監督、ハリウッド俳優、有名アスリートなどと対談。書籍多数。

書道家 万美プロフィール

古典に立脚した書道と、様々なカルチャーとの共通点を見出し、数多くのコラボレーションを実現。独自のスタイルである”MAMIMOZI”を信念に日本各地、世界各国を巡る。

放送作家オーディションに挑戦する勇気を与えてくれたのは、とんねるずのラジオ

おち:
僕のことを知らない方もたくさんいらっしゃると思うので、まずは僕がテレビプロデューサーになった経緯からお話しようと思います。

僕は、プロデューサーという職業をやっていて、元々はテレビの放送作家からスタートしました。「学校へ行こう!」や「ガチンコ!」「ウリナリ」「生ダラ」「元気が出るテレビ」「ぷっすま」「内村プロデュース」とか、いろんな番組の企画をやらせていただいて、ありがたいことに一時期はレギュラー番組を28本ほど持っていました。

僕は、子どもの頃から学芸会とか文化祭とか、何かを催すのが得意だったんですよ。でも、当時は企画とかプロデュースという言葉もわからなくて、この才能をどうやったら自分の生業にできるのかな?と思っていました。

「このまま自分の才能を信じて進んでいいのかな?」と考えていた19歳の頃に、一般の人のハガキが読まれるとんねるずさんのラジオがあったんです。「ちょっと腕試しでもしてみるか。1回だけ送ってみようかな」って思って送ってみたら、なんと読まれたんです。1打数1安打。その時に、とんねるずの石橋貴明さんが「こいつは面白い、いいね」って言ってくださるわけですよ。もう一回送ってみたら、才能が確信に変わるかなと思って、もう一回送ってみました。すると、また読まれたんです。2打数2安打。

3回目送って読まれなかったら心が折れると怖くなっていた矢先、たけしさんの番組「元気が出るテレビ」で、放送作家オーディションを実施することを知りました。このままの勢いでいこうと思って企画を書いたら、4000人の応募の中から合格者15人に選ばれて、テレビの世界に入りました。

その後、インターネットの波がやってきて、自分のやっている事業や才能を違うところに活かせないかなと思い、現在は、企業のブランディングやPRなどをやらせていただいています。さらには、司会をやらせていただくことも増えて、この「才能人」という番組のMCも努めています。

ということで、本日のゲストは書道家 万美さんです。いかにも書道家!というビジュアルですね(笑)簡単にプロフィール紹介お願いします。

万美:
書道家の万美(まみ)と申します。1990年6月6日、山口県下関市の出身です。「学校へ行こう!」世代で、放送日の次の日は番組の話題で持ちきりでした。

「学校へ行こう!」を見ていた9歳、小学校3年生の時に学校でお習字の授業がはじまった時が、書道との出会いでした。

書道との出会いは小学3年生の2学期。習字セットがキラキラ輝いて見えた

おち:
「私、書道の才能があるかも!」っていつ気づくんですか?

万美:
小学3年生の夏休みに入る前に、お習字道具セットを購入する機会があり、夏休み明けに届いて家に持ち帰ったんですね。夕飯を食べる直前くらいに、「そういえば道具もらったな」と思って広げたら、道具をパカっと開いた瞬間、道具がキラキラキラキラ〜!って、輝いて見えたんです。絵文字のキラキラが200個くらい迫ってくる感じ。才能があるかも、というよりは、かっこいい!渋い!イケてる!って、その時は道具に魅了されたという感覚でした。
その翌週くらいにお習字の授業が始まって、書いてみたらまあ楽しい。

おち:
その当時から上手かったですか?先生に褒められたとか。

万美:
多分すごく上手かったと思います。クラスには1年生からお習字教室に通ってる子たちがいるじゃないですか。行ってる組はやっぱり上手いんですよね、スタートダッシュが違うので。でも、「私の方が上手な気がする!」って初めて書いたのに思っちゃったんですよね。

おち:
習字教室に通っていた訳ではないんですね。
スポーツとか勉強とか他では感じたことない経験だったんですか?「私の方がドッジボール上手だわ」みたいなこととか。

万美:
通っていなかったんです。スポーツとかでも思ったことがなくて。
習字に関しては、小学校1年生の頃からお習字教室に通ってた子たちと大差なくない?って思えたんです。クラスの子たちからも「上手いじゃん」って。

でも、同時に「お習字教室通ってるんでしょ?嘘つかないでよ」って嘘つき呼ばわりされてしまって。「本当に行ってないもん!」ってその時は嫌な気持ちになってしまったんですよね。それが本当に悔しくて、家に帰って母親にお願いしました。「お母さん、今日お習字をしてきたんだけど、多分私は上手だ。お習字教室に通いたい!」って。

親としても、能動的に習字教室に行きたいって言ってきたのが嬉しかったみたいで。それから書道教室に通うようになりました。

先に書道教室に通っていた子に追いつきたい。2年半のブランクを埋めるために、みんなの倍の量を書いた

おち:
書道教室に行っても、やっぱり「上手いね」ってなるわけ?

万美:
いや、小学校1年生から始めている人たちがいるので、まずはそこに追いつかなきゃという思いでした。最初から変に書道に対するプライドがあったので、とにかくどうにか追いつこうというのが最初の目標でした。

「これは私の才能だ」「何よりも頑張ったな」って思ったことがあって。書道教室では、1人2時間で20枚書くのがノルマだったところ、小学校1年生から始めた人たちとの2年半くらいのブランクを埋めるために、私は倍の40枚書いたんです。

40枚書いている努力がバレるのも恥ずかしいから、こっそりと先生に「半紙を買わせてください」ってお願いして、家で書いたり。みんなと同じ時間で書き終わらないとバレちゃうと思って、みんなの倍のスピードで書くようになったら、字を書くのが早い人になっちゃいました(笑)

おち:
「才能人」に出る人、みんなどこかで人一倍努力してるのよね。努力していることがバレるのが嫌なのも同じ。

「才能人」の初回ゲスト、芸人の又吉直樹さんはね、芸人になる前にサッカーでインターハイに行ってるんですよね。インターハイで活躍して、芸人にもなって、さらに小説家として芥川賞も受賞している。3人分の人生を生きてるような才能の塊。

又吉さんも、サッカーの場合は、リフティングの練習をめちゃくちゃやったんですって。そうでないとみんなに追いつけないから。みんなどこかで見えない努力をしてるんですよね。

18歳で上京。自分の才能を活かせそうな環境に身を置きながら、仕事の幅を広げた

おち:
18歳で上京されたんですね。書道の道で生きていけるかも、といつ頃思ったんですか?

万美:
高校2年生の時に進路相談があって。担任の先生に「あなたはどこに向かいたいんだ」って聞かれて、その時は「美術」と答えたんですね。そしたら、先生が、「美術の大学はたくさんあるし、やっている人も多いから有象無象になってしまう。書道を学んでる人は少ないから、書道の道に行った方が将来稼げるよ」って言われて。「確かにお金大事だ!」と思って、美術の道ではなくて書道の道に進もうと決めました。その時には、書道の作品で、色々な賞を獲らせていただいていましたね。

おち:
上京後は、何を勉強しましたか?

万美:
書道は技術の勉強でもありますが、歴史の勉強や漢字の成り立ちなども私は好きだったので勉強しました。それと同時に技術の上達、鍛錬をしていくような日々を過ごしました。バイトもしていましたが、24歳のころ書道だけで生計を立てていけるようになりました。

おち:
なぜ24歳の頃に生計を立てられるようになったんですか?何かきっかけがあったんですか?

万美:
特別なきっかけがあったわけではなくて、週7でやってたバイトが週6、5、4…と徐々に減っていった感じですね。

代官山のバーでバイトしていて、いろんなお客様がいらっしゃるので「私、実は書道家を目指してて。よろしければお名刺を書かせていただけませんか?」と、自分から声をかけたりしました。百貨店のイベント会社でもアルバイトをしていたので、「イベントの名前を書かせてください」とか上司の方にお願いしていました。

そういった場所で書かせていただけると、それこそ「才能人」と呼ばれるような方々に認知していただける訳です。そこから広がって徐々にお仕事に繋がっていったって感じですね。

時間をただお金に変えるのではなくて、自分の得意なことをワンチャン活かせるというか、棚ぼたがありそうなところでバイトしてましたね(笑)

おち:
やらしい〜(笑)けど、一石二鳥をやっていかないと伸びないからね、わかりますよ。

白い半紙に墨で書くだけじゃない。それぞれの作品に込めた思いとは

おち:
本日は作品をスライドにまとめてきてくださったんですよね。作品の解説をお願いしてもよろしいでしょうか。

さまざまな書体を書いた作品

万美:
こちらは左から楷書(かいしょ)、仮名、行書、草書、篆書(てんしょ)と言いまして、書道にはいろんな書体があります。書道って5書体あって、5書体全て書けないと私は「書道家」って言いたくないなと思います。

一番左の楷書は、いわゆる教科書体ですね。左から二番目は仮名と言って、これは5書体の中には入らないですが、日本独自の文化ですね。

おち:
仮名と草書の作品は、墨の色が薄いけど、墨をするところから調整してるんですか?

万美:
これは、墨を一回熟成させてるんです。常温だと臭くなってしまうので、すった墨を冷蔵庫で一回発酵させて、それをお湯で溶くことで深い黒になります。

おち:
仮名と草書は似てるけど、行書はまた独特ですね。

万美:
行書はメモ書きみたいなもので、一番上手そうに見える書体ですね。
一番右の篆書は、文字の最初で今だと印鑑などに使われる書体で、一番高貴な文字とされています。


漢字以外にも、英語や数字、マークなども書きます。

数字やクエスチョンマークの作品

2018年にアフリカにボランティアに行った時、現地のお子さんが文字を読めなかったんです。でも、数字と矢印などの記号は読めると。現地のお子さんにもわかる作品を作りたくて、数字だったら世界共通言語だろうと思って書きました。

クエスチョンマークの作品は、コロナ期間に書いたものです。「コロナっていつ終わるんだろう?」「いつまでマスクをつければいいんだろう?」とか、あの頃、たくさんの疑問があったと思うんですね。クエスチョンマークの点は、ウイルスをイメージして書いています。

他にも「おかげさま」という言葉が好きなので、グッズを作りたいなと思いまして。「ま」から始まる言葉をいっぱい出して、「おかげさマステ」というマスキングテープや、「おかげさマッチ」などを作りました。

「おかげさま」グッズ

おち:
商売人なところあるよね(笑)次の作品はどこに書いてるんですか?

ニューヨークの屋上に描いた作品

万美:
ニューヨークのホテルの屋上に書いたものです。ニューヨークなので、「自由」かなって。いきなりウェブサイトに、「ハロー!僕のホテルに書いてよ」みたいなメッセージが来て。最初はスパムかなと思いましたが、インスタグラムで私の作品を見つけてくださったそうです。

海外でパフォーマンスしたり、着物でパフォーマンスすることも多いです。着物は足を大きく広げられないので、少し書きづらいですが、着物の方がより日本文化を感じていただけるかなと思っていて。お客様により喜んでいただける方が、私としてもやりがいがあるので、喜んでもらえることを想像しながら着物をコーディネートして持っていっています。

絵の具を使ったカラフルな作品も作ったりしています。黒、白、青の書道の3色を4色で表現したらどうなるだろうってことを表現したくて。

書道って黒い世界とかあるので、悪しき習慣とかカルチャーを拭い去りたいなっていう反骨精神みたいなものも込めました。くノ一(くのいち)の最後の一角を白にすることで「拭い去る」という思いを込めて、「個性を尊重しようよ」「古典や基礎を大切にしつつ、自分のオリジナルを作っていこうよ」という気持ちを込めました。

反対に、黒地に黒を重ねた作品もあります。書道って、白地に黒だからコントラストが強い上に、強いパワーを持った漢字が乗ってしまうと、「もう最強!」って感じになると思っていて。でも、強すぎて弱いな、「出過ぎだよ」って思ってしまうこともあるんです。もう少し抑えたいなと思って考えた結果、「黒地に黒」という答えが自分の中に出ました。

黒地に黒を重ねた作品

万美:
紙以外には書かないの?というご質問もよくいただきます。地元の山口県下関市で、夜空を半紙にしてドローンで「平和」という文字を書きました。

自分の作品を作りたい、欲求を表現したいという気持ちだけで、ドローンの免許を取得しに学校へ行って…この作品を作るためだけに100万円くらいかけました(笑)

夜空を半紙にドローンで書いた「平和」

万美:
私がドローン免許の学校を卒業した日が、ちょうどロシアがウクライナに空爆をしたニュースがあった日だったんですね。空爆にドローンが使われたということを知って、「私が勉強してきたドローンって兵器なの?」とショックを受けました。

兵器としてではなく、平和のためにドローンを使おうよという願いを込めて、「平和」という文字を夜空にキラキラと漂わせました。

おち:
自分で操作したの?

万美:
書道家って名乗っている以上は、自分で操作しないと作品に説得力がないと思って。ドローンは筆ではないけど、自分で筆を動かさないと「書道家って何?」ってなってしまう気がしました。

これは3テイク目でできた作品で、1回目2回目はもうぐちゃぐちゃでしたね。残像が残らないので、ここらへんに横棒書いた気がするという感覚を頼りに操作しなければならないのが大変でした。

やっては切り捨てて、やっては切り捨ててを繰り返すことが大切

おち:
いろんなことに挑戦されていて、アイデアは尽きないですね。最後に、「才能」ってなんだろう?と悩んでいる方に何と伝えたいですか?

万美:
挑戦できることは片っ端からやってみて、やってみたら向き不向きがわかると思うので、向いていると思えたことの中でまた挑戦しまくって。また向き不向きがわかると思うので、挑戦して…の繰り返しだと思います。

おち:
どんどんやって、ダメだと思ったら切り捨てて。

万美:
やって切り捨てやって切り捨ての繰り返しで。得意なことというか、やっていて楽しいことの方が頑張れると思います。

おち:
本日は貴重なお話ありがとうございました。

(執筆:洞内 真純)

おちまさとさんと万美さんの対談をイラストでまとめたグラフィックレコーディングは、こちらからダウンロードできます!

おちまさとさんのインタビュー記事はこちら!

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