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2023.9.5

才能を見出すプロ、おちまさとに聞く「才能」の話

「学校へ行こう!」「ガチンコ!」「グータン」「桑田佳祐の音楽寅さん~MUSIC TIGER~」など数々のヒット番組の企画・プロデュースを手がけてきた天才プロデューサーおちまさとさん。対談の名手としても知られ、これまで数多くの女優やアーティスト、ミュージシャンといった著名人たちと対談し、ありのままのトークと才能を引き出してきました。最近では、株式会社サイダスが提供を務めるラジオ番組『才能人』(渋谷のラジオ 87.6MHz 毎週水曜日 午後11時~)のパーソナリティとして、さまざまなジャンルで活躍する才能人をゲストに迎え、才能にまつわるトークを繰り広げています。本記事では、おちまさと氏に「才能」をテーマにインタビュー。ラジオ番組『才能人』の話から、おちさん自身が才能に気づいた瞬間の話までを紐解きました。

おちまさと

20歳のとき、「天才・たけしの元気が出るテレビ!」の放送作家オーディションに合格。その後「学校へ行こう!!」「ガチンコ!」「グータン」「桑田佳祐の音楽寅さん〜MUSIC TIGER〜」など数々のヒット番組の企画・プロデュースを手がける一方、さまざまな企業や行政のブランディングを展開。その活躍は多岐に渡る。またこれまで「対談の名手」としてテレビ・ラジオ・雑誌などで数多くの女優やアーティスト、ミュージシャン、ハリウッド監督、ハリウッド俳優、有名アスリートなどと対談。書籍多数。

才能という言葉に、興味をひかれ続けている

ーこの度、才能をテーマにしたラジオ番組を始められたのはなぜですか?

おち:
僕は、これまでお金や恋愛をテーマに、本を書いたり企画を作ったりしてきましたが「才能」はテーマにしていなかったと気づいて。各業界の第一人者として活躍するようないわゆる「才能人」が、どんな風に自身の才能に気づき、花開かせていったのか。そういう話を、ラジオでできたら面白いなと思いました。

昔から、才能という言葉には惹かれるものがあります。僕は、20歳の時にテレビ番組のオーディションがきっかけで、この業界に足を踏み入れました。そうすると、若い時から「おちさんは才能があっていいですよね」とたびたび声をかけられるわけです。でも「才能」とはなんだろうと、不思議に思う自分もいて。「天才」とか「秀才」とか「奇才」とか「異才」とか、全部「才能」の「才」じゃないですか。でも、それが何なのかはいまいちわからないし、人によってもその中身は違う。それに、若いうちに才能を見つけて開花できる人もいれば、人生も折り返しを過ぎて「これって才能だったんだ!」と気づく人もいるわけです。その多様性も面白いですよね。

才能って、お金にも似ていると思うんです。持っていても、使わなければ意味がないし、使い方を間違えると怖いものでもある。まさに「才能に溺れる」という言葉がありますよね。『才能人』の初回ゲストだった又吉さんともこの話をしましたが、彼が「才能って妖怪みたいですよね」と表現していて、まさにそうだなと思いました。才能という言葉には、無限の可能性と同時に、そういった掴めなさや怖さのようなものもセットで感じます。でも、だからこそ魅力的でラジオ番組として掘り下げがいのあるテーマだと思いました。

ーおちさんの仕事や才能は、まさに「才能を見出すこと」ですよね。

おち:
そうそう、プロデューサーという仕事はまさにそうです。時に、本人は「これが才能だ!」と思っていても「あなたの才能はこっちですよ!」と軌道修正するようなこともあります。

また、人の才能に限らず、物や企業の才能を見つけて引き出していくことも。「うちには特別アピールできるものなんてないですから」と言われても、僕から見ると才能だらけなんです。だから、その才能を引っ張り上げて、テレビや広告のパワーも借りて…ってすると、一気に盛り上がることもあります。

変化と進化を恐れないことこそが才能

ー才能に気づくことこそが、おちさんの才能ですね。

おち:
僕の場合はそれが仕事になっていますが、誰しも才能に気づくことはできます。同じ物事でも、少し角度を変えてみたり、俯瞰で見てみたり、思い込みから自由になってみたり……。

年を重ねると、ほとんどの人は「自分はこうだ」と決めてしまうので、才能に気づきづらくなるんですね。例えば、ボウリング一つとっても「俺は左から投げるのが得意なんだ」と思っていると、毎回左から投げてしまうじゃないですか。もちろん、調子が良い時はそれでいいかもしれない。けれど、実は右投げの才能があるかもしれないし、試してみないと永遠に気づかないんです。

他にも、趣味がずっと変わらないとか、こういうスペックの人としか付き合いたくないだとか、そういったちょっとした行動も「自分の才能に気づく機会」を手放していると感じます。才能に気付きたければ、意識的に日々の行動を変えていくのが大事です。

そういう意味で『才能人』のゲストは、皆さん自分の才能をアップデートし続けるのが上手い人かもしれません。
例えば初回ゲストの又吉さん。高校時代はサッカーでインターハイに出て、サッカー選手を目指すんだと思っていたわけですが、そこからお笑い芸人の道を目指して。お笑いをやっている中でエッセイを書き始めて、小説を書き始めて…という風に、どんどん自身の才能に気づいて変化し続けていますよね。
彼は高校時代、自分が将来小説を書くようになるとは全く思っていなかったはず。それでも、自身の当たり前を疑いながらアップデートしたからこそ、今の彼があるわけです。

変化と進化が怖くないというのも才能の一つですよね。

ーおちさんが最近気づいた自身の新しい才能はありますか?

おち:
少し前のことになりますが、某大手企業のCMに「役者として出演してくれませんか?」と突然キャスティングされたんです。これまで自分が表に出るとしても、自身がセルフプロデュースをして、「次俺は右にいく、左に行く」とやってきただけで、俳優として監督の指示を受けながら演技をするのは、本当に初めての体験。当日は緊張しながら現場に向かいました。でも、いざ監督から「笑顔で!」「今度は怒った顔で」と指示をされながら演技をしてみると、これが本当に楽しくて!

これまでは、自分の才能は裏側で指示する才能であって、指示を受けて表現していく才能じゃないと思いこんでいたので、本当に新しい発見で嬉しくなりました。

ーおちさんが、自身のプロデューサーとしての才能に気づいたのはいつですか?

おち:
振り返ると、僕のプロデューサー人生は10歳の学芸会の時からスタートしています。まず、この班は芝居、この班は歌という風に班分けから始まり、「このシーンは舞台上の右側から出てきてもらおう…」という風に演出までして、一つのステージを作り上げるわけです。その体験が純粋に楽しかったのはもちろんなんですが、僕がそれをやると、なんだかうまくいくぞと。自分には「何かを催す才能」があるんだ!と気付きました。

とはいえ、もちろん学生の時は、サッカーがうまいとか勉強ができるとか、そういうわかりやすい才能を持った人を羨ましいと思うこともありましたね。僕の才能は、発揮するタイミングも難しいですし。

才能に気付きながらもなかなか発揮する機会もなく、悶々としている日々を過ごしているときに、たまたま『ジョーズ』という映画を見て「これだ!」と思ったんです。スクリーンやブラウン管の向こうにある、面白くて複雑なことを作るのに、自分の才能が活かせるはずだ!と。テレビプロデューサーという仕事を具体的に意識するようになったのは、それがきっかけですね。

誰しもが才能を持っている!見つけるだけ!

ー自分には才能なんてない、と思っている人はどうすべきでしょう?

おち:
才能がない人なんていない、絶対にあります!

誰もが宝の山を持っていて、それをまだ掘り進めていないだけなんです。宝の掘り方がわからなければ、友達でも上司でも奥さんでも飲み屋で出会った人にでも、誰かに聞けばいいんです。辛辣なことも言われるかもしれないけど、それも全部受け入れながら。

もちろん、エンタメを見たり本を読んだりしてインスパイアされるのもいいですし、とにかくきっかけをたくさん作ってください。

もちろん才能に溺れないための見極めは大事。
才能って、自分の身を助けるんです。だから絶対に気づいて欲しいし、気づくきっかけは、すぐそこにあると思います。

(執筆・郷田彩巴)

『才能人』は、「明日が楽しみになる世界をつくる。」をミッションとし、タレントマネジメントシステムの開発・提供を行う株式会社サイダスの提供でお送りしているラジオ番組。おちまさとさんが、さまざまなジャンルで活躍する才能人をゲストに迎えて、いかにして自分の才能に気づき、それを開花させたのかを掘り下げて聞いていく、「才能」をテーマにした対談番組です。

過去放送回のアーカイブはこちらからお楽しみいただけます!

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