働きがいを応援するメディア

2020.10.22

ブルーカラーとは?仕事例からホワイトカラーとの違いまで解説!

「ブルーカラー」という言葉が何を指すのかご存知でしょうか。ビジネスパーソンであれば、その言葉自体は耳にしたことがあるでしょう。該当する職種はこれから注目度が上昇するので、経営者や人事担当者などは正確に把握しておくことが望ましいです。この記事ではブルーカラーの仕事例を紹介し、メリットやホワイトカラーとの違いなども詳しく解説します。

ブルーカラーとは

ビジネスシーンで使われるブルーカラーという言葉は、特定の労働者を指しています。企業組織から賃金の支払いを受ける被雇用者で、生産工程や現場作業に携わっていることが大きな特徴です。具体的には、製造業や建設業、鉱業といった生産現場で現業系の業務を行っています。初めてブルーカラーと聞くと、直訳して「青色」のことだと思ってしまう人もいるでしょう。確かに「ブルー」は青を指していますが、「カラー」は色を意味する「color」とは関係がありません。これは「collar」のカタカタ表記で、その日本訳は「襟」となっています。
つまり、ブルーカラーの直訳は「青い襟」であり、そのような襟の作業服を着用する労働者という意味で使われているのです。言葉の起源は1920年代のアメリカまでさかのぼります。当時のアメリカは自動車産業がとても盛んで、工場の労働者たちは青い襟の作業服を着ていました。現代では、現場や技術系の仕事をしている人でも、青い襟の作業服を着ないケースが多いでしょう。しかし、当時の名残によって、作業服の色に関係なく、そのような労働者はブルーカラーと呼ばれています。また、ブルーカラーは肉体労働という点が強調されやすいですが、高度な技能が要求されることも特徴の一つです。

ブルーカラーの仕事例

ブルーカラーの仕事例① 整備・修理工

ブルーカラーの仕事は社会生活を支えているものが多く、その代表ともいえるのが整備工や修理工です。現代社会には自動車のような機械があふれており、それらを正常に稼働させるには、定期的な整備や状況に応じた修理が欠かせません。また、生活で日常的に利用される機械だけでなく、産業や生産現場で利用される機械のメンテナンスも担当しています。つまり、企業の活動や生産性を支えるという重要な役割も持っているのです。
さらに、インフラサービスを提供する多くの基幹産業とも密接な関わりがあります。水道やガス、電気を不自由なく使えるのは、整備工や修理工によって必要な設備がしっかりと維持・サポートされているからです。化石燃料による火力発電をはじめとして、原子力発電や水力発電にも携わるなど、エネルギー産業にも大きく貢献しています。いずれの仕事も社会生活に深く関わっているため、専門的なスキルと知識を持った労働者が安定して従事することが必要です。

ブルーカラーの仕事例② 製造スタッフ

日本は「ものづくり大国」といわれるほど、産業全体に占める製造業の割合が大きいです。その担い手として活躍している製造スタッフもブルーカラーに該当します。一口に製造スタッフといっても多様な種類があり、仕事の内容や特徴もさまざまです。たとえば、鉄鋼製造スタッフは主要な素材である鉄を作り出しています。鉄は加工のしやすさと強度を併せ持っており、缶詰からビルまで多様な物品の素材として提供されているのです。そのため、鉄鋼製造スタッフの仕事は、いろいろな分野と強い結びつきを持っています。
機械製造スタッフも関わりのある分野が多くなっています。日本ではテレビや冷蔵庫などの家電は昔から製造が盛んですし、情報化社会に変容してからはパソコンやスマートフォンといった精密機器の生産台数も増えています。自動車のような乗り物や職場で使用するOA機器など、あらゆる機械の製造に携わっているのが実情です。このように、製造スタッフの仕事は生活や仕事に必要不可欠となっています。また、日本の技術力は世界的な評価も高いので、国外からの需要も少なくありません。

ブルーカラーの仕事例③ 運送スタッフ

運送スタッフもブルーカラーに属し、その仕事はいくつかのパターンに分けられます。企業や工場、ショップなどへの大量の輸送が代表的ですが、個人宅への配達も主要な業務の一つです。インターネットの普及により、オンラインでの買い物が一般的になってからは、社会問題になるほど後者の業務が増加しました。さらに、フォークリフトなどを利用して倉庫で行う荷物の仕分けも含まれています。また、輸送の対象となるのは、物品の入っている荷物だけではありません。バスや鉄道、飛行機などで人を運ぶ旅客運転手も、運送スタッフに分類されています。大型建造物を特殊重機で運ぶ特殊作業員も同様で、国外のプラント建設などに関わることも珍しくありません。
仕事内容だけでなく、勤務時間がそれぞれ異なることも運送スタッフの特徴です。たとえば、大型トラックなら深夜帯の輸送が一般的ですが、個人宅への配達は朝からスタートして深夜になる前に完了しなければなりません。

ブルーカラーの仕事例④ 土木・建設作業員

一般道や高速道路、橋梁などを造る土木作業員もブルーカラーです。現場で重機の運転や力仕事を行うことが主な仕事ですが、経験を積んで現場監督になると、進捗のチェックなどを任されるようになります。また、建設作業員もブルーカラーであり、公共工事や大型工事といった大規模な仕事を担当することが多いです。それに対して、建築工事で活躍している建設作業員も見受けられます。こちらの場合は、ビルや住宅、公共の建造物などの建築作業が業務の中心です。
これらの仕事は、生活や仕事を支える重要なものばかりです。たとえば、公共工事や大型工事では、道路やダムを問題なく利用できる状態にしたり、河川の氾濫を未然に防いだりします。水道やガスといったライフラインの構築や、多くの人が利用する公共施設の建築なども、社会的な貢献度の大きなものです。また、イベント会場などを完成させる事業も、土木作業員と建設作業員がいなければ成り立ちません。オリンピックのような重要な国家行事の開催にも不可欠ということです。

対義語は「ホワイトカラー」

ブルーカラーの対義語として位置づけられているのが「ホワイトカラー」です。こちらは文字どおり、制服に「白い襟」が付いている職種の労働者を指しています。ただし、ブルーカラーと同様に、現代では襟の色に関係なく使われる言葉になってきました。「スーツを着用して勤務する総合職の従事者」というニュアンスで使われることが多いです。また、ブルーカラーが現業的な職種であるのに対して、ホワイトカラーは非現業的な職種であり、物の生産や運送などに直接的な関わりはありません。現場に出ずに行える事務系のオフィスワークが主な仕事となっています。
たとえば、弁理士や税理士といった士業をはじめとして、医師や薬剤師なども該当します。教師や研究者などの学術的な職種もそうですし、プログラマーやSEのようなIT系の従事者もホワイトカラーです。コピーライターや設計士といったクリエイティブな職種も含まれ、営業や事務の担当者なども同様となっています。分かりにくければ、一般的なサラリーマンもホワイトカラーだと覚えておくと良いでしょう。

ブルーカラーとホワイトカラーとの違い

ブルーカラーとホワイトカラーは仕事の性質が大きく異なり、それによって求められる能力にも違いがあります。体を使った作業が多いブルーカラーでは、体力や腕力が必要になるケースが多く、学力や経歴はあまり重視されないのが一般的です。ホワイトカラーは体ではなく頭脳を用いる仕事がメインであり、学歴や知識を求められることが多くなっています。そのため、自分の学歴や知識に合った職業を選んで転職すれば、活躍の幅は広がりやすいです。一方、畑違いの職業を目指すと、学歴や知識が役に立たず、転職先がなかなか見つからないという特徴があります。
このような違いがあるので、学歴不問のブルーカラーの世界を「階層がない社会」に例えた場合、学歴重視のホワイトカラーの世界は「階層のある社会」と表現できます。収入に関しては、ブルーカラーよりもホワイトカラーのほうが高いというイメージを持たれがちです。しかし、大企業に高卒で就職した場合の初任給を比べると、イメージとは逆の傾向が見受けられます。東京都産業労働局がまとめた平成29年度版の「中小企業の賃金事情」では、ブルーカラーがホワイトカラーをわずかに上回りました。中小企業でも、入社して間もない20歳頃まではブルーカラーのほうが高額です。しかし、それ以降はすぐにホワイトカラーが逆転するという傾向があります。

ホワイトカラーはAIに代替されやすい?

AIの発展は目覚ましく、いろいろな業界でAIによる仕事の自動化が進んでいます。労働者からAIに切り換える恩恵を大きくするポイントのひとつは、高い人件費のせいで雇用が難しい職種を対象にすることです。そのため、これから労働者が担当するのは、それ以外の職種の仕事に絞られる可能性があります。具体的には、簡単な接客やシンプルな部品の組み合わせ、マニュアルに沿った工場労働など、AIに置き換えるとコストパフォーマンスが低下する単純作業です。このようなブルーカラーの仕事を最先端のテクノロジーで行おうとすると、機器の導入費だけで人件費をオーバーすることが考えられるのです。
また、価値判断や情報処理といったホワイトカラーの仕事は、人間よりも演算能力の高いAIのほうが適任となる場合があります。一方、微妙な感覚を求められるブルーカラーの仕事を、AIが代替することは困難とされています。指先などの感覚を頼りに行う繊細な作業は、まだAIにとってハードルが高いからです。

ブルーカラーのメリット

ブルーカラーのメリット① 手に職がつく

ブルーカラーとして働き始めるときに、経験や資格がないという人は少なくありません。そのような人でも同じ職場に長く勤務をすれば、専門的なスキルやノウハウを習得して、自然と手に職がついた状態になります。その結果、職場で頼りになる存在と見なされ、安定して長期的に活躍できるケースが多いです。また、身につけたスキルやノウハウは定着して、自分の市場価値を大いに高めてくれます。社内だけでなく社外に実力をアピールする材料にもなるため、しっかり習得しておくと転職時に有利になるのです。

ブルーカラーのメリット② メリハリが付けられる

建築系や土木系、工場系などの仕事は、納期などの都合で残業が生じる場合もあります。しかし、日程に余裕を持たせることが普通であるため、基本的にブルーカラーの職種は残業が多くありません。体力を使うので仕事は楽ではありませんが、企業はそれを理解して十分に配慮しているのが一般的です。休むときはゆっくり休息をとれるように、メリハリを意識したスケジュールが組まれている場合がほとんどです。そのため、多くの場合はカレンダーどおりに休めますし、休日出勤はホワイトカラーよりも少ない傾向となっています。メリハリの付いたライフスタイルにより、家族と過ごすことや自分の時間の確保が容易で、リフレッシュしながら長く活躍を続けられます。

ブルーカラーのメリット③ 大手に就職しやすい

ブルーカラーには、大手企業で働く機会を得やすいというメリットもあります。技術系の仕事は人手不足になりやすく、常に募集していることが多いからです。資格や経験がない人でも、すぐにスタートしやすい職種であることも要因となっています。一方、ホワイトカラーに関しては、大手企業の募集は多くありません。社員の入れ替わりが少ないうえに、資格や学歴を要求されるのが一般的なので就職率は低くなっています。現業職を積極的に確保する大手企業は増えており、たいていの場合は一度に採用する数を多めに設定しています。その分だけ、ブルーカラーが大手企業に就職するチャンスも大きいのです。

ブルーカラーのメリット④ 人間関係のストレスが少ない

ブルーカラーは、現場で自分の担当分の仕事をこなすことが基本的なスタイルです。同じ現場でも各自の持ち場が決まっており、1人で働くことも多いため、人間関係によるストレスが生じにくくなっています。目の前に他の労働者がいる場合でも、無理にコミュニケーションをとらなくても大丈夫です。しっかり集中して作業を進めることが大事であり、他者のペースや様子を見ながら気を使う必要もありません。また、イレギュラーが起こりやすいホワイトカラーの仕事とは異なり、ブルーカラーの仕事はルーティンワークが基本となっています。ですから、ある程度こなして作業を覚えると、黙々と自分のペースで取り組めるので、プレッシャーを感じるような場面も少なくなっています。

ブルーカラーのメリット⑤ 体力がつく

肉体的な作業が中心なので、ブルーカラーは自然に体力がついて体が鍛えられます。仕事で体を動かすことがエクササイズやトレーニングの代わりになるため、筋肉がついたり無駄な脂肪を減らしたりする効果を期待できるのです。体力が向上することで、より積極的に動けるようになり、運動不足の解消などにもつながります。つまり、シェイプアップや健康的な状態の維持など、いろいろな面でブルーカラーの仕事は体に良い影響を及ぼすというわけです。

ブルーカラーはこれから注目される

ブルーカラーが何を指しているのか理解できたでしょうか。ホワイトカラーと違って体力が必要ですが、それは必ずしもデメリットではありません。体を使う専門的な仕事であるため、これからAIなどのテクノロジーが発展しても代替が難しく、その分だけ注目度がアップしていくと考えられています。ブルーカラーとホワイトカラーの相違点を踏まえ、メリットや今後のニーズも把握しておきましょう。

Category

ビジネス用語全般

Keyword

Keywordキーワード