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2023.9.22

MECE(ミーシー)とは?考え方の具体例やアプローチ方法・フレームワークをわかりやすく解説

課題解決を効率よく行える手法として、MECEが多くの企業で注目されています。MECEの意味や具体的な使い方など、わからない人もいるでしょう。

そこで本記事では、MECEについて詳しく解説します。具体的な例を挙げながら解説していくので、初めて聞く言葉に戸惑っている人もぜひ参考にしてください。本記事を読めばMECEの意味や重要性を理解し、自社の課題解決のために導入できるでしょう。

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MECEとは

MECEとは「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略で、ミーシーミッシーと呼ばれています。まずは、MECEの意味や必要とされている理由について解説します。

MECEの意味

MECEの意味は「全体として漏れがなく、互いに重複がない状態」を意味し、Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの頭文字をとった造語です。

それぞれの意味は、以下のとおりです。

  • Mutually(お互いに)
  • Exclusive(重複せず)
  • Collectively(全体的に)
  • Exhaustive(漏れがない)

物事を考えるとき、漏れや重複があると正確な答えを導き出せなくなります。MECEに分類することで「あれも考慮するべきだった」「何度も同じことを繰り返している」といった状況を作らずに済みます。

MECEが必要とされている理由

ビジネスの現場では複雑な問題が起こりやすいものです。企業が成長し続けるためには問題解決の連続ですが、そもそも真の問題点がわからなければ解決に至らないため企業成長につながりません。そこで、真の問題点を見つけるために注目されているのがMECEです。

課題が生じたとき、担当者は「問題はこれだろう」と決めつけて解決策を考えるケースがあります。しかし、問題を見誤ればせっかく対策を講じても解決には至りません。これでは時間と手間のムダになるでしょう。

MECEを活用すれば、問題を論理的かつシンプルに分類できます。「問題はこれだろう」と曖昧な仮説ではなく、真の問題点を見つけやすくなるため論理的な問題解決が可能です。

【具体例】MECEの考え方

MECEは、漏れがなくダブリがない状態です。その一方で、MECEではない状態にはどのようなケースが当てはまるのでしょうか。具体例を挙げながら解説します。

MECEの状態

MECEは漏れがなくダブリがない状態です。

例えば、ターゲット層を世代別に分類するとします。

  • 0〜19歳
  • 20〜39歳
  • 40〜59歳
  • 60歳以降

このように分類すると、いずれかの区分に必ず1つ該当するため、漏れがなくダブリもありません。性別や国籍に捉われず、全人類を網羅した状態といえます。

漏れありダブリありの状態

MECEではない1つ目の状態には「漏れありダブリあり」が挙げられます。

例えば、0〜20歳までの男女を対象にアンケートを実施するため、以下のように分類したとします。

  • 0〜6歳
  • 小学生
  • 中学生
  • 高校生
  • 予備校生
  • 大学生

このように分類すると、中学・高校卒業後に働いている社会人や専門学生に該当する項目がないため漏れが生じます。また、6歳は未就学児にも小学1年生にもいますし、高校生の予備校生もいるため、ここでダブリが発生していることになります。

漏れありダブリなしの状態

MECEではない2つ目の状態には「漏れありダブリなし」が挙げられます。

例えば、社内の労働者を雇用形態で以下のように分類したとします。

  • 正社員
  • パートタイマー

労働者は1つの雇用形態で働くため、ダブリが発生することはありません。しかし、契約社員や派遣社員がいる場合は、いずれにも該当しないため漏れが発生します。

漏れなしダブリありの状態

MECEではない3つ目の状態には「漏れなしダブリあり」が挙げられます。

例えば、自社商品の顧客ターゲットを以下のように分類したとします。

  • 子ども向け
  • 大人向け
  • 男性向け
  • 女性向け
  • 若者向け
  • シニア向け

顧客ターゲットは網羅できているので漏れはありません。しかし、子どもの中にも男の子と女の子がいるようにお互いにダブリが発生してしまいます。

MECEの基本的概念とされるロジカルシンキングとは

ロジカルシンキングとは、発生している問題や課題を客観的に分類し、原因解明や解決までの道筋を矛盾や飛躍なく整理する思考法です。日本では論理的思考とも呼ばれています。ロジカルシンキングにはさまざまな手法がありますが、MECEはその中の1つであり、最も基礎的な手法といわれています。

ロジカルシンキングを用いて問題や課題を分類する際、出来事を整理します。このとき、漏れやダブリがあると課題を整理できなかったり、見直すべき問題を誤ったりする可能性があるため注意が必要です。MECEにより漏れなしダブリなしの状態にできれば、真の問題点を見つけやすくなるため、論理的な問題解決が可能になります。

MECEに考えるためのアプローチ方法

MECEに考えるためのアプローチ方法は、以下の2つです。

  • トップダウンアプローチ
  • ボトムアップアプローチ

それぞれ詳しく解説します。

トップダウンアプローチ

トップダウンアプローチとは物事の全体像を捉えたうえで、そこに目的や課題に沿った切り口で要素を当てはめるアプローチ方法です。物事を客観的に見れる点や、ゴールを意識しやすい点がメリットです。

ただし、トップダウンアプローチは全体像を決定し、要素を当てはめる方法なので、全体像を正確に把握できていないと漏れやダブリが発生しやすくなります。全体像に明確な定義があるときや、分類の仕方がはっきりしているときに有効な方法です。

ボトムアップアプローチ

ボトムアップアプローチとは要素を思いつく限り洗い出し、グループ化して全体像を描いていくアプローチ方法です。全体像が不明瞭でも、ボトムアップアプローチなら要素から全体像を導き出せます。

デメリットとしては、全体像がわからないことで要素を洗い出すときに漏れやダブリが発生しやすくなることです。その一方で、未知の領域でも思考しやすいところがメリットです。全体像がはっきりしないときや、分類の仕方がわからないときに有効な方法です。

MECEに考えるためのフレームワーク

MECEに考えるためのフレームワークには、以下のものがあります。

  • 3C分析
  • 4P分析
  • 5フォース分析
  • SWOT分析
  • PEST分析

それぞれ詳しく解説します。

3C分析

3C分析とは外部環境分析を行う際に用いるフレームワークです。もともとはマーケティングに用いられていましたが、企業活動を顧客(Customer)・競合会社(Competitor)・自社(Company)の3つのCで分析することで、ダブリのない市場分析が可能となったことからMECEを考えるときにも用いられるようになりました。

顧客では市場や顧客のニーズの変化を、競合では競合他社の戦力や主力商品をそれぞれ分析します。この2つの分析結果をもとに、自社の成功要因を見い出します。

4P分析

4P分析とは商品やサービスをどのようにして効率よく販売するか、マーケティング施策を規格・立案するときに用いられるフレームワークです。Product(製品)・Price(価格)・Place(流通)・Promotion(プロモーション)の4つの視点から、商品やサービスを分析して販売戦略へとつなげます。

製品では機能性やデザインなどを、価格では値段や割引などをそれぞれ検討します。流通では販売場所や流通範囲を定め、プロモーションでは宣伝方法や活動方法などを決定することでマーケティング戦略の構築が可能となるのです。

5フォース分析

5フォース分析とは、業界に新規参入したり新製品を開発したりするときに、どのくらいの収益性が見込めるかを検証するためのフレームワークです。

「フォース」には脅威という意味があり、5つの脅威(競争要因)について分析することで、自社がとるべき行動や有効な対策を把握できるようになります。5フォースの要素には、業界内での競争・新規参入企業の脅威・代替品の脅威・売り手(仕入れ元)の交渉力・買い手(顧客)の交渉力があります。

SWOT分析

SWOT分析は、自社のビジネスチャンスを発見するために用いるフレームワークです。SWOTとはStrength(強み)・Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)の頭文字をとった造語で、それぞれに分類することでマーケティングの意思決定や戦略策定などに役立てられます。

PEST分析

PEST分析は、Politics(政治)・Economy(経済)・Society(社会)・Technology(技術)の4つの要素で構成されているフレームワークです。世の中にあるすべてのマクロ環境(自社を取り巻く市場や競合他社)を把握し、洞察する際に用いられます。

PEST分析を行うことで、自社に与える影響を把握し脅威を予測できるようになります。そのため、PEST分析は事業戦略やマーケティング戦略に役立てられることがほとんどです。

MECEに考えるための4つの切り口

MECEに考えるための切り口には、以下4つがあります。

  1. 要素分解
  2. 因数分解
  3. 対称概念
  4. 時系列・ステップ分け

それぞれ詳しく解説します。

1.要素分解

要素分解は全体像から各要素へと分解していく手法です。分解した要素はそのままにせず、要素をあわせて全体像になるように、部分集合へと切り分けます。

「足し算型」「積み上げ型」とも呼ばれており、分解した要素をあわせると全体集合となるのが特徴です。

2.因数分解

因数分解は分析したい対象を計算式で表し、それぞれの要素に分解する手法です。別名「かけ算式」と呼ばれることもあります。

例としては、企業の売上を「顧客数×顧客単価」と分解することを指します。

3.対称概念

対称概念は分析対象となる出来事について、相反する対称的な概念を挙げて分解する手法です。「質と量」「速さと品質」「主観と客観」「メリットとデメリット」といったように、分析対象となる出来事と相反するものを挙げて分析していきます。

4.時系列・ステップ分け

時系列・ステップ分けは段階的に分けて分解する手法です。例えば、新しいツールを自社に導入するときは「準備→実行→評価→改善」、モノを販売するときは「仕入れ→加工→製品化→出荷」といったように、各作業をステップで分けて考えます。

MECEといえる具体例

MECEに分類できている具体例を見ていきましょう。

【雇用形態ごとに分類する】

自社で働く従業員の雇用形態を分類するときは、以下4つに分けると要素の漏れやダブリを作らずに済みます。

  • 正社員
  • 派遣社員
  • アルバイト
  • 契約社員

【日本の国民を分類する】
国民を分類するときは、年齢と性別の2つに分けて考えると漏れなしダブリなしで網羅できます。

  1. 年齢(20歳未満・20代・30代・40代・50代以上)
  2. 性別(男性・女性)

【日本を地方ごとに分類する】
日本を地方ごとに分類するときは、都道府県もしくは地方別に分けるとMECEの状態を作れます。

  • 都道府県別に分ける場合(北海道・青森県・岩手県・宮城県…)
  • 地方別に分ける場合(北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州)

MECEとはいえない具体例

続いて、MECEに分類できていない具体例を幾つか見ていきましょう。

【20代以上の人を所属ごとに分類する】
20代以上の人を学生や会社員、主婦、その他で分類したとします。すべての要素を網羅しているように見えますが、主婦をしながら学生をしている人や会社に勤めながら主婦業をこなしている人がいる場合は、重複することになります。ダブリが発生するため、MECEとはいえません。

また、「その他」の項目に頼り過ぎてしまうと正確なデータを収集できず、上手く分析できない可能性があります。その他を設ける場合は、必要最小限の範囲に収まるよう、細かく分類することが大切です。

【就業形態を分類する】
就業形態を、正社員・派遣社員・パート・アルバイト・無職に分類したとします。個人事業主やフリーランス、家賃収入や投資などで利益を得ている不労所得者、自宅で委託を受けて働く家内労働者などはどの区分にも当てはまらないため漏れが発生します。

MECEの注意点

MECEには次のような注意点があります。

  • ダブリよりも漏れに注意する
  • 分析する目的を忘れないようにする
  • 要素に優先順位を付け切り口を絞る

MECEを効果的なものにするためにも、しっかり押さえておきましょう。

ダブリよりも漏れに注意する

MECEは漏れなしダブリなしの状態をいいますが、そもそもMECEは漏れをなくすための概念です。要素そのものが漏れてしまうと、必要な部分を見落としていることになるため改善効果が下がります。MECEに分類するときは、ダブリよりも漏れがない状態にすることが重要です。

ダブリの場合は、重複していてもより細かく分類して分けるなど対策はあるため、許容範囲と考えてよいでしょう。

分析する目的を忘れないようにする

MECEに分類するときは、分析する目的を忘れないよう注意しましょう。よくある失敗のケースに、MECEに分類することに気を取られてしまい、本来の目的を忘れ深掘りし過ぎてしまうケースがあります。

MECEを完璧にしようとした結果、あまり影響のない要素も細かく分類してしまえば、逆にわかりにくくなります。分析する目的から、どこまで掘り下げるべきか検討しましょう。共に仕事する仲間が納得できるまで掘り下げることが基準の一つになります。

要素に優先順位を付け切り口を絞る

MECEに分類すると、検討や分析において重要度の低い要素が出てくることがあります。検討や分析の目的を果たすために必要となるのは重要度の高い要素です。重要度の高い要素が低い要素に隠れないよう、優先順位を付ける必要があります。

そもそも、すべての要素が分類できるわけではありません。場合によっては、2〜3つのカテゴリーに同時に分類されることもあります。特に、境界が曖昧な場合は、思い込みや主観に左右され安いため注意が必要です。

要素に優先順位を付けることで、切り口が絞り込みやすくなります。検討や分析を効果的かつ効率よく行えるようになります。

ビジネスでMECEの考え方を活用しよう

MECEはロジカルシンキングの基礎といわれているほど、ビジネスの現場において重要な考え方です。

企業が成長し続けるためには課題解決の繰り返しが必須です。MECEの考え方を用いることで真の課題を見つけやすくなります。曖昧な仮説を立てて対策を講じるよりも、論理的な対策を講じることができるため、早期解決へと導けます。

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