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2022.4.12

人事評価のコメントの書き方や目的とは?職種別の例文やコツを紹介

定期的に実施される人事評価では、評価を決定するだけでなく各項目にコメントを記す必要があります。しかし「人事評価のコメントをどのように書けばいいか分からない」「なぜ人事評価のコメントが必要なのか知りたい」という悩みを抱える評価者も多いのではないでしょうか。

この記事では人事評価のコメントを書く目的や書き方、職種別にコメントの例文を用意しポイントを解説します。人事評価のコメントでお悩みの評価者の方はぜひ参考にしてください。

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人事評価コメント(人事考課)の重要性

人事考課を行うとき、評価をする上司は適切な評価をするだけでなく、各評価項目に対して適切なコメントを記載しなくてはいけません。人事評価のコメントは、被評価者の部下にとって評価結果以上に影響を及ぼす可能性があり、重要性が高いものです。

コメントの書き方によっては評価者の上司が伝えたい内容が十分に伝わらず、部下の納得度に差が生まれてしまいます。上手く伝えることができないと、部下の仕事のモチベーションが下がったり、退職に繋がることもあります。その一方で、適切な人事評価コメントを記載すれば、部下が意欲高く仕事に取り組んだり、生産性向上に繋がったりするなどメリットも多いです。

そもそも人事評価シートの目的とは

人事評価シートは、人事評価コメントを書く際の評価項目をまとめたシートです。社員の働きぶりやスキル、目標などの項目を整理・管理する役割があります。人事評価シートに記載する主な内容は、社員の自己評価や上司の評価などです。まずは、人事評価シートの目的について確認しましょう。

人事評価シートを活用する主な目的は、以下の4つです。

【人事評価シートの主な目的4つ】

  • 人事評価の基準により公平性を担保できる
  • 社員のモチベーション向上につながる
  • 社員の目標が明確になり自己成長につながる
  • 企業としての組織風土を形成する

それぞれについて以下で詳しく解説していきます。

人事評価の基準により公平性を担保できる

人事評価シートがあることで、評価者は客観的な情報をもとに社員を評価できます。決められた項目や基準に沿って評価するため、主観的な評価ではなく、適切な人事評価が可能になるのです。

例えば、「前期の売上げを全体の20%達成した」「業務効率を図り残業時間を月10時間から2時間に減らした」など、具体的な成果や数値をもとに評価することで、人事評価の透明性が高まり、公平性を保てます。社員からは納得感を得やすくなるため、不平不満のない人事評価を実現できます。

社員のモチベーション向上につながる

人事評価シートがあることで、高く評価されるためには「どのような行動をとるべきか」「どういう成果を上げるとよいのか」、具体的に把握できるようになります。すると、社員は目指すべき姿を明確にできるため、項目をクリアしようと意欲的に努力するでしょう。

加えて、人事評価シートがあることで、結果を出せばしっかり評価してもらえるようになります。高く評価されれば、昇給や昇進につながるため、社員のモチベーション向上を図るのに有効です。

社員の目標が明確になり自己成長につながる

社員の成長促進を目的に、人事評価シートが活用される場合もあります。人事評価シートの評価基準・項目は、いわば企業が社員に求めることを示しています。つまり、社員は評価基準・項目から、「優先的に身につけるべきスキル」「改善すべき点」などを正しく把握できるのです。

すると、社員は自ら目標を設定し、主体的に行動するようになるでしょう。社員の成長を促進し、一人ひとりの能力が上がれば、組織全体としても大きく成長できます。

企業としての組織風土を形成する

人事評価シートは、企業が目指す姿を社員に共有するのにも有効です。例えば、項目の一つに「社員同士コミュニケーションを取りながら業務を進められたか?」とあったとします。企業は、一人で目標を達成するよりも、コミュニケーションを取りながら目標を達成することを求めているのが分かります。社員が目指すべき方向性を明確に示すことが可能です。

また、社員は自己評価しながら、「企業が目指していること」「社員に期待していること」などを把握できます。社員同士が共有することで、企業としての組織風土を形成するのに役立ちます。

人事評価コメントの対象は3つ

人事評価コメントの対象は「成果評価」「能力評価」「情意評価」の3つです。評価者には、それぞれの評価項目に適したコメントの記載が求められます。それぞれの項目に対し具体的にどのような書き方をすれば良いのか、それぞれのOK事例とNG事例を紹介します。

成果評価

成果評価とは、被評価者である部下の仕事における成果や業績に基づいて評価を行うものです。

一定期間における成果や業績を定量的に評価するため、評価内容が分かりやすく被評価者も納得感を持ちやすい点が特徴です。成果評価では高い成果や業績を残した従業員の給与アップや昇進・昇格に繋がり、モチベーション向上が期待できます。

成果評価のコメントでは、評価の根拠となる数字を明確にしなくてはいけません。成果評価は定量的に評価を行うため、コメントには数字を用いて具体的に評価を記載しましょう。数字が明確に記されていないコメントは不十分といえます。

OKコメント例

「上期は営業目標に対して120%の成果を残した。この数字は営業部の課員のなかでトップの数字であり、営業部平均達成率90%を大きく上回る実績となる。不景気の影響で営業部全体が伸び悩むなか、高い実績で営業部を牽引してくれた。今後は成功事例を営業部内で共有し、営業部全体の業績底上げに貢献してほしい。」

上記のOKコメントでは「営業目標に対して120%」「課員の中でトップ」「営業部平均達成率90%」と具体的な数字を用いて、目標をどれくらい超えたのか、ほかメンバーの結果と比較してどの位置にいるかが明確です。成果評価では具体的な数字をコメントに入れるようにします。

NGコメント例

「上期は高い業績を残して営業目標に貢献してくれた。不景気の影響で営業部全体が伸び悩むなか、上期の貢献は素晴らしいものがある。今後は成功事例を営業部内で共有し、営業部全体の業績底上げに貢献してほしい。」

上記のNGコメントでは「頑張った」ことは伝わりますが、具体的にどれほど頑張ったのか、ほかの課員の結果と比較してどれほど優れていたのかが分かりません。理由は具体的な数字が記されていないためです。営業のように具体的に数字での目標が立てにくい場合は、あらかじめ定量的な目標を設定しておくようにしましょう。

能力評価

能力評価とは知識やスキルといった能力をベースに行う評価です。業種や職種によって求められる能力が異なりますが、具体的には「企画力」「実行力」「提案力」など業務に必要な能力を指します。能力評価は被評価者1人ひとりの成長や育成を目的に行われます。

能力評価は数値化することが難しく、客観的な評価が難しいといえます。被評価者の理解度・納得度を高めるために事前に目標を具体化し、振り返りしやすいようにしておきましょう。その上で仕事でどれくらい能力を活かせたか、能力を伸ばせたか数字を用いて具体的に評価を行うのがポイントです。

OKコメント例

「課題発見力を高めることをテーマとし、期初に業務改善提案5回を設定。結果として8回の提案を行い、数多くの有益な業務改善提案を行った。8回の提案のなかから6つが採用され、部の業務改善が進み、部全体の残業時間が3割削減された。メンバーにも業務改善の意識が根付き、部の雰囲気が前向きになった。」

数値化しにくい能力評価について、期初に目標を設定し、振り返りしやすい状況を作っています。具体的な目標を設定することで振り返りやすく、被評価者の理解度・納得度を高めることができます。評価期間ごとに被評価者と目標を設定して取り組むことが重要です。

NGコメント例

「業務改善提案を目標とし、提案自体はされたものの、具体的に実行に移された提案はなかった。目標に対する相談がなく、意識を持って取り組めたとは言い難い。部内に変化を生み出せず、不十分な結果といえる。」

提案が目標であったものの定量的な目標設定をしていないため、評価者の主観で提案数の大小が判断されています。被評価者としては十分に提案をしていると考えているかもしれず、納得度が低くなる恐れがあります。事前に目標と具体的な数値を設けておくと良いでしょう。

情意評価

情意評価とは勤務態度や姿勢について評価を行うことです。勤怠をはじめ、会社の掲げる理念に則って仕事に取り組んでいるか、積極的に仕事を行っているかといった点を評価します。

能力評価同様に情意評価も数字で評価することが難しく、上司は日頃から被評価者の仕事への取り組み姿勢をチェックする必要があります。また情意評価は、評価者の主観が入りやすい評価項目です。上司は事前に部内のメンバーから話を聞くことで、公平な評価を行うように心がけましょう。

情意評価は短期的な効果は期待しにくいものの、中長期的には従業員のモチベーション向上や優秀な人材確保に繋がる評価項目です。

OKコメント例

「勤務態度に問題はなく、業務に活かす知識を身に付けるため自主的に通信教育を行っている点が評価できる。会議など全体の場では発言は少ないが、会議後に細かくメンバーのフォローを行っており、メンバーから感謝の声が上がってきている。メンバーの精神的な支柱として組織に貢献してくれている。」

表面的な仕事ぶりだけでなく、業務時間外の取り組みやメンバー同士のコミュニケーションを把握し、評価しています。メンバーの意見も確認しており、客観的な評価を心掛けている点が良いです。

NGコメント例

「勤務態度に問題はないが、ほかの課員に比べて業務に対する改善活動を積極的に行っているようには見受けられない。部内の会議では意見の数が少なく、もっと課題意識や改善意識を持って業務に取り組んでほしい。」

評価者である上司から見えている一部分のみで評価しており、主観が入っている恐れがあります。陰で努力していたり、1対1でメンバーをフォローしている可能性があるので、情意評価を行うときは周囲のメンバーに確認しましょう。また日々の働きぶりを細かくチェックし、表には見えにくい部分を確認するように心がけてください。

人事評価コメントを書く際の注意点

人事評価コメントは被評価者の能力を高めたりモチベーションを高める効果がある一方で、コメントがふさわしい内容でないと部下の信頼を損ねたり、意欲の低下を招いてしまうかもしれません。書き方次第で部下に良い影響も悪い影響も与えるかもしれないと肝に銘じましょう。

人事評価コメントを書く際の5つの注意点を紹介します。

【人事評価コメントを書く際の5つの注意点】

  1. 良い点・悪い点をどちらもフィードバックする
  2. 社歴や経験など相手に合わせた言葉を選ぶ
  3. 具体例を挙げる
  4. 人格を否定しない
  5. 他者比較をしない

良い点・悪い点をどちらもフィードバックする

人事評価コメントでは良い点・悪い点どちらもフィードバックしましょう。悪い点ばかりをフィードバックすると部下の仕事に対するモチベーションを低下させてしまうかもしれません。改善策ばかりコメントすると「期待されていない」「何をやってもダメ」とショックを受け、組織全体に悪影響を及ぼすこともあります。

また、良い点ばかりでなく悪い点をフィードバックしないと、「自分には課題はない」とせっかくの機会にも関わらず反省したり、課題に向き合わずに終わってしまう場合もあるでしょう。

人事評価コメントは良い点と悪い点をセットでフィードバックするように心がけてください。

社歴や経験など相手に合わせた言葉を選ぶ

人事評価コメントは被評価者が理解し、納得してもらわなくてはいけません。そのため、コメントを受け取る相手によって、伝わりやすい言葉を選ぶ必要があります。

相手に伝わりやすい言葉を選ぶために、役職や入社年次、経験、技術力や被評価者の性格や社内での立ち位置などをさまざまな要素を意識するのがポイントです。たとえば被評価者より立場は上でも入社年次が先の人に対してコメントする際は、敬語を用いてコメントするのが基本です。

正しい内容を書いていても、被評価者の理解度・納得度が低ければ十分な効果は期待できません。相手に合わせた言葉でコメントを書くよう意識してください。

具体例を挙げる

人事評価コメントでは結論だけを書くのではなく、結論に至った具体的な例を挙げるように心がけましょう。具体例を挙げることで被評価者の理解度・納得度が高まり、コメントの効果を上げることができます。

たとえば「社内プロジェクトで問題が起きた時、率先してメンバーとコミュニケーションを取り、問題解決に繋げたことが今回のプロジェクトマネジメント力の評価に繋がっています。」と、プロジェクトマネジメント力を評価するに至った具体的な事例を記載します。具体的なシーンを伝えることで被評価者はイメージができ、納得度を高めることができます。

人格を否定しない

人事評価の対象は「業務」なので、人事評価コメントは「業務」についてのみ記載し、決して人格を否定するようなコメントは記載しないようにしましょう。

特に注意が必要なのは、定量化しにくい情意評価のコメントです。情意評価は主観が入ったコメントになりがちなので、人格について言及してしまう恐れがあります。

人格を否定してしまうと、被評価者は自分自身を否定されたと自信を失い、信頼関係が崩れてしまいます。人事評価コメントは人格について記載せず、「業務」を対象に記載するように心がけてください。

他者比較をしない

最後に人事評価コメントでは、他者と比較をしないよう気をつけてください。成績優秀な先輩社員や同期と比較し、「同期の○○に比べて、この点ができていない」「先輩の△△と比べて成長が遅い」といったコメントは被評価者の否定につながり、自信を喪失してしまいます。

成績優秀な先輩社員や同期をお手本に成長を促したい場合は、「同期の○○に話を聞いてみてはどうか」などアドバイスを求めるような内容にしましょう。他者を比較をして、被評価者の意欲を損ねるようなコメントは控えてください。

職種別コメント例

人事評価は基本的に業務に対して行います。そのため業務内容が違えば、人事評価のポイントや項目は異なりコメントも変わります。

ここでは代表的な職種ごとに人事評価のポイントとコメント例を紹介します。伝え方一つで部下の理解度や納得度が大きく変わってしまうので、職種に合わせて適切なコメントを記載するようにしましょう。

営業職

営業職は売り上げや利益など成果や実績を具体的な数字で表しやすい職種です。まず目標に対する実績や達成度についてコメントしましょう。次に実績や達成度の要因、よかった点や課題点を記載し、どのように改善をしていくべきかアドバイスを記載すると効果が高まります。

結果だけでなく、結果に至った具体的な内容を盛り込むのがポイントです。

コメント例

「上期は目標達成率120%と高い業績を残した。既存顧客だけでなく、休眠顧客に対して丁寧にアプローチを行い、成果に繋げたことが要因であろう。高い目標達成意欲はチームに良い影響を与えている。今後の課題は成功事例をチームに共有し、チーム全体の業績を向上させる事である。」

エンジニア職

エンジニア職は定量的な評価が難しい職種の一つです。そのため開発製品の進捗度やコスト削減、システム改善など技術的な貢献度を目標にし、定量的に振り返りのコメントをしましょう。製品開発を通じて特許を取得したなど具体的な成果があれば追加で触れます。マネージャーやプロジェクトリーダーの場合は、メンバーとのコミュニケーション、交渉スキルにもコメントしましょう。

コメント例

「担当製品の開発工程見直しにより開発スケジュールを1ヵ月前倒しすることができた。またプロジェクトリーダーとしてメンバーと週1回の1on1を行い、モチベーション向上に繋げた点は評価に値する。今後は他部門との調整能力を高めて、マネージャーを目指してほしい。」

企画・マーケティング職

企画・マーケティング職は、担当する製品やプロジェクトにおける具体的な実績や取り組み内容についてコメントしましょう。ただしプロジェクトが長期間におよぶ場合、評価期間内に具体的な成果を残せない可能性があります。その場合はデータ調査・分析、企画立案、他部門との折衝など、企画・マーケティング職の業務を細分化して評価を記載するのがポイントです。

コメント例

「担当プロジェクトにおけるデータ調査・分析を行い、メインターゲットを変更したところ昨対比130%の実績を残した。メインターゲットの変更に難色を示した営業部門に丁寧な説明を重ね、成果に繋がった要因であろう。今後はチームメンバーの育成にも期待したい。」

事務職

事務職は日々大きな変化がなく、ルーティン業務を担っています。具体的な成果が見えにくく、達成基準もあいまいになりがちです。そのため一つひとつの業務の完成度を高めたり、業務改善を目標に置き、目標を数値化して設定しておきましょう。人事評価コメントでは設定した目標に対して記載するよう書き方に工夫が必要です。

コメント例

「資料作成不備が多い課題に対しダブルチェックを行なうことでミスを90%減らすことに貢献した。ミスが減少したことで事務職の残業時間を大幅に減らすことができた。今後はほかのメンバーにも課題に取り組むようにサポートしてほしい。」

管理職

管理職は担当部署や店舗の成績で評価を行いますので、目標に対する達成度とその要因について触れます。また管理職は人材育成の役割を担っているケースもあります。個人の実績だけでなく、担当範囲全体の実績や人材育成の状況についても記載するのがポイントです。

コメント例

「支店の達成率は90%と未達成だが、個人達成者は前期から3名増えた。各課員との営業同行の成果が出ており、着実に部下の育成が進んでいる。今後も継続して部下の育成に注力しつつ、支店全体の達成を目指してもらいたい。」

人事評価はCYDAS

人事評価のコメントは書き方によって部下に良い影響、悪い影響どちらも与えてしまうかもしれません。人事評価コメントの対象である「成果評価」「能力評価」「情意評価」それぞれの特徴をおさえて記載しましょう。

また人事評価のコメントは相手に伝わらなくては意味がありません。被評価者によって伝え方を変えたり、良い点・悪い点双方を一緒にフィードバックするなど工夫してコメントを記載します。職種によって評価するポイントは異なるので、職種ごとの例文を参考に人事評価コメントを記載してみてください。

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