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2022.2.7

人員配置の最適化とは?|効果や方法を紹介

人員配置とは、従業員をどの部署・職務に配置するかを決める人材マネジメントのことです。企業の事業目標を達成するために、従業員のスキル・能力を把握し、パフォーマンスを最大限に発揮できるように組織の人数や構成を最適化しています。

この記事では、人員配置を最適化する方法や得られる効果について解説します。人員配置の効率化に有効なツールも紹介するので、ぜひ活用してみてください。

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人員配置の目的

人員配置イメージ

企業の事業計画に沿って、組織的に目標達成を実現することが人員配置の大きな目的です。効率的に目標を達成できるよう、従業員の能力・性格を考慮しながら適材適所に人員を配置していきます。人材育成の一環として、人員配置の見直しが行われることもあります。

事業計画・目標の達成

売上アップや経営課題の解決など、企業が設定した事業計画や事業目標を達成するためには、適切な人員配置が必要不可欠です。

業務に必要なスキルや知識は部門ごとに異なる他、従業員にも得意な業務・苦手な業務があります。従業員が持つ能力や仕事への考え方次第で、部署全体の生産性が変わることもあるでしょう。優れたパフォーマンスを発揮できる環境を整え、業績向上に結びつけるためには業務と人材のマッチングが重要です。

一方、人材配置の直後にパフォーマンスが向上したとしても、ビジネス環境の変化や従業員の能力向上などによってマッチングにズレが生じます。上司や同僚との人間関係が変化すると、従業員のパフォーマンスにも影響が及びます。そのため、人事部門や各部署の管理職が業務の状況や働く環境を観察しながら、必要に応じて人員配置の見直しが必要です。なお、近年は働き方が多様化しているため、人員配置にあたっては従業員の家庭事情などへの配慮も求められます。

人材の育成・活用

企業の戦力となる人材を育成する目的でも、人員配置が行われます。忙しい部署の人員体制を手厚くしたり、リーダーシップを発揮できる人材を配置して部署が抱える課題を解決したりするなど、従業員を有効に活用することも人員配置の目的の一つです。

例えば総合職の育成では、将来的に企業の幹部として活躍することを前提に、さまざまな部署での経験を通じて人材の成長を促します。人事戦略に基づいてジョブローテーションを行い、従業員の潜在能力を引き出した上で配属可能な部署や職種の幅を広げる事例も少なくありません。

既存の従業員を有効活用する目的だけでなく、従業員の働き方に配慮する目的で人員配置が行われる場合もあります。人員配置によって育児・介護などによる休業や時短勤務中の応援態勢を整える事例や、ハラスメントの被害者と加害者を引き離す事例も増えています。従業員のパフォーマンス発揮を妨げる要素を取り除くためにも、人員配置は有効です。

人員配置の種類・タイミング

企業では人事計画や経営戦略に基づいて、さまざまな形で人員配置が行われます。毎年決まった時期に人員配置を見直す、あるいは欠員や経営環境の変化などに応じて人員配置を検討するなど、タイミングも企業の考え方次第です。人員配置の種類ごとの特徴を紹介します。

採用

新たに従業員を採用する場合は、職種や担当業務などの人員配置をあらかじめ決めた上で募集活動を行うのが一般的です。新しい風を吹き込んで組織を活性化する効果や、これまで得られなかった発想や知見を得る効果が期待できます。

中途採用は、組織・事業の拡大に伴う増員や退職などによる欠員補充が主な目的です。転職サイトやハローワークなどに求人情報を掲載して人材を公募します。最近では、人材紹介会社を活用して特定の能力・知見を持つ人をスカウトする企業や、従業員から人材の紹介を受けるリファラル採用を行う企業も増えてきました。また、新卒採用では組織の年齢バランスを適正化して若返りを図ったり、将来の幹部候補を育成したりする目的で行われます。総合職・一般職という枠組みで採用し、本人の適性に応じて配属部署を決める場合もあります。

優れた人材を配置して企業の成長につなげるには、既存の従業員との相性や企業のビジョンへの共感度などを見極めて採用を決めることが大切です。

組織体制の変更

企業の組織体制を変更する際にも、人員配置の見直しが行われます。新事業の展開や組織のスリム化など、経営戦略に応じて組織体制を変更しながら企業の成長を目指していきます。特に中小企業やベンチャー企業では、事業の進展や組織の成長度合いに応じて柔軟に組織変更が行われる傾向です。

従業員の成長を促して潜在能力を引き出せる一方、人間関係や職種など環境の変化に伴い従業員の能力が十分に発揮できなくなるリスクも潜んでいます。人員の組み合わせによっては組織のパフォーマンスが大きく変わり、企業の命運を分けることも考えられます。組織体制の変更では、企業の将来像や人員の能力・適性を見極めた上での人員配置が重要です。

人事異動

人事異動は配置転換と呼ばれることもあり、企業では頻繁に行われる人員配置の一つです。従業員の担当業務や部署を変更して計画的な成長を促すジョブローテーションを目的とする他、特定の顧客との癒着を防ぐリスクマネジメントの一環として行われる場合があります。社内での人事異動だけでなく、人事交流やノウハウの指導・獲得を目的として関連企業などに従業員を出向させる場合もあります。

就業場所の変更や転居を伴う人事異動を行う場合は、働く環境だけでなく生活環境も大きく変わる可能性があるため、従業員の家庭事情などへの配慮も必要です。なお、テレワークの普及に伴い、転勤や単身赴任を伴わない形で人事異動を行う企業も出始めています。

役職変更

役職変更は組織体制の変更や人事異動と同時に行われる場合や、企業が必要だと判断したタイミングで行われる場合があります。どちらの場合も、役職が変わる従業員だけでなく、関連する従業員を含めて人材配置を検討します。

昇進・昇格による役職変更では企業から評価されていると実感でき、従業員のモチベーション向上にもつながります。一方、業務の成果や勤務態度によっては一旦降格させて、従業員の奮起を促す場合もあります。

役職変更によって空きポジションができれば、他の従業員にもステップアップのチャンスが生まれ、組織全体の活性化につながります。上司・管理職が変わることで働く環境も変化する可能性があるため、役職変更を行う際は組織全体に及ぼす影響も考慮するようにしましょう。

リストラ・解雇

従業員の人数を減らすために、リストラや解雇による人員配置が行われる場合があります。企業の業績悪化や業務縮小によって余剰人員が発生した時に希望退職者を募集したり、企業が特定の従業員に退職勧奨を行ったりする方法が代表例です。有期雇用契約で働くパートタイマー・契約社員・派遣社員の雇い止めを行う場合もあります。

人員が減ることで残された従業員の負担が増すだけでなく、モチベーション低下や連鎖退職も懸念されます。企業への不満に発展しないよう、関係する従業員にもリストラ・解雇を決めた背景を説明するなどの配慮が必要です。

また、従業員が就業規則違反を繰り返したり不祥事を起こしたりした時に、他の従業員への悪影響を避けるために解雇を言い渡す場合もあります。

人員配置を最適化することによる効果

適材適所に人員が配置されていれば、効率的に業務が進み企業の生産性向上につながります。従業員が業務の成果を実感することでエンゲージメントが向上し、離職率が低下して採用コストも軽減できます。さらに、適正な人数で業務を進められるため余計な人件費を負担しなくて済み、企業の収益性も高まるでしょう。人員配置の最適化で得られる効果について解説します。

エンゲージメント向上・離職率の低下

人員配置が最適化されていれば従業員が知識・能力を存分に発揮でき、企業へのエンゲージメントが高まります。従業員の能力が認められることで承認欲求が満たされ、更に高いレベルの業務に取り組む意欲が生まれるからです。人事異動や役職変更によって業務の幅が広がれば長く働き続けたい気持ちも生まれ、離職率の低下につながるだけでなく社外へのノウハウ流出も避けられます。

給与や福利厚生といった労働条件を理由に転職する人が多い一方で、自分が能力を発揮できる場所を重視して働く会社を選ぶ人も少なくありません。人事評価や上司・部下とのコミュニケーションを通じて従業員の能力や将来的なキャリアプランを把握することで、最適な人員配置につなげられます。従業員が企業に必要とされていると実感できれば、労働条件の優れた企業が現れたとしても自社で活躍したいという気持ちは揺らがないでしょう。人員配置の最適化は、リテンション施策にもつながるのです。

業務効率化・生産性の向上

従業員の希望や能力に応じて人員配置を最適化することで業務を効率化させ、組織・企業の生産性向上につなげられます。従業員の能力と組織の業務がうまくマッチングできていれば、最小限の努力で最大のパフォーマンスを発揮できます。心にゆとりのある状態で業務に取り組むことができ、業務改善や新たな提案につながるなど業務の質も高まるでしょう。

業務で成果を出せる環境が整うことで上司・同僚とのコミュニケーションも活性化し、良好な人間関係も構築できます。組織としても目標達成までの時間が短縮されるだけでなく、更なる高みを目指す余力が生まれるため、組織全体の生産性向上につながります。

人件費・採用コストの削減

前述したように、最適な人員配置を実践することで従業員と組織が高いパフォーマンスを実現でき、離職率も低下します。その結果、企業の人件費や採用コストの削減につながり利益の確保につながります。

求人サイトや転職エージェントを使って離職に伴う欠員補充を行う場合は最低でも数万円、高い場合だと数百万円の採用コストが発生します。入社後のOJT研修は費用は安上がりですが、教育にかかる時間や他のメンバーの負担増といった目に見えない負担が生じがちです。

人員配置が最適化されていれば採用コストを削減できるだけでなく、既存の人材を活用できるため人件費の負担も軽減できます。削減した人件費・採用コストの一部を既存従業員の待遇改善につなげれば、さらなるモチベーション向上を期待できるでしょう。

人員配置を最適化する方法

人員配置を最適化するには、組織・社内の現状を見える化した上で複数の観点からシミュレーションすることが大切です。従業員のスキルや適性を一元管理すると、経営戦略の変化に応じて迅速に人員配置を検討できます。キャリアに関する従業員の要望を反映できれば、業務への意欲も高まるでしょう。現状分析から具体的な立案まで、人員配置を最適化する方法を紹介します。

現状の人員配置を見える化する

組織図や従業員の履歴書・評価シートなど既存の資料をもとに現状の人員配置を見える化することが、人員配置を最適化するための第一歩です。

経歴や社内での業務実績といった、人員配置の計画を立てる際に参考にしたい情報を部門や組織ごとにとりまとめて人員配置表を作成します。採用を決めた時の経緯や評価面談の記録、入社後のスキルアップの状況などできる限り多くの項目を設定しておくと、人員配置を検討する際の客観性が高まります。集める情報が多岐にわたり、さまざまな観点からデータを分析した上で人員配置を検討していくため、後述するツールやシステムを活用すると便利です。

人員のスキルや適性を一元管理する

人員配置を見える化した後は、従業員ごとに職務経歴・持っている資格や社内での各種経験などを一元管理して、必要に応じて人事部や管理職が参照できるようにします。参照するデータがバラバラだと人員配置を検討する基準にブレが生じて、組織・企業としてのパフォーマンスの最大化に支障をきたすからです。

定期的に業務状況や保有資格などの情報を収集して、従業員に関する最新の情報を把握するようにしましょう。人員配置表の作成とあわせて履歴書や評価シートなど紙ベースの資料をデータ化しておくことも、情報を共有しながら人員配置を検討するためには効果的です。

人員の希望や要望を聞く

人員配置は人事部や管理職が企業の判断として実施するのが一般的ですが、人員配置の最適化を実現するためには従業員の要望や意見を聞くことも大切です。従業員一人ひとりが能力を発揮して組織・企業の目標達成を目指していくため、業務の現状や将来的に取り組みたい仕事などについて把握するようにします。

全社的にアンケートを取ったり特定のポジションへの社内公募制度を設けたりすることも、人員配置に関する従業員の要望を反映させる一つの方法です。近年は働き方も多様化しているため、人事異動を検討する際には育児・介護などの家庭事情についても配慮するとよいでしょう。また、1on1ミーティングで上司が部下の話を聞いて人員配置に活かす企業も増えています。

人員配置の計画を立てる

従業員の経歴などの情報や意見・要望がまとまったら、組織・企業のパフォーマンスを最大化できるように人員配置を検討します。

目標を達成するために必要な業務を洗い出した上で、部門ごとに必要な人員数をとりまとめます。従業員のモチベーションにも関わるため、業務量や人件費のバランスを考慮しながら計画することが大切です。可能であれば、従業員の希望やメンバーの人間関係にも配慮するとよいでしょう。社内の人員だけで目標達成が難しい場合は、業務に必要な能力・知見を持つ人の中途採用も視野に入れて検討していきます。その上で、組織図に当てはめながら最適な人員配置をシミュレーションしましょう。

法律で配置ルールが定められている場合もある

人員配置は企業の経営戦略に基づいて実施するのが基本ですが、医療機関や介護施設といった福祉サービスなど、業種によっては職種ごとの人員配置数の基準が定められていたり、国家資格保有者の配置が法令で定められているなど、基準に沿った対応が求められる場合もあるため注意が必要です。
介護事業所・介護施設の人員配置基準はこちらの記事で詳しく解説しています。

人員配置を適切に実践することで業務の効率化を実現できるだけでなく、刻々と変化する経営環境に柔軟に対応できるのが経営上のメリットです。また、従業員の希望を取り入れて人員配置を行うと仕事のモチベーションが高まり、働きがいを実感できるようになるなど離職率の低下にも効果を発揮します。

最適な人員配置に活用できるツール

人員配置を最適化するために活用できるツールを紹介します。従業員の能力・適性や取り組みたい業務などの情報を定期的に収集し、最新の情報に更新しておくことがスムーズに人員配置を進めるコツです。

人員配置表・人員配置図

ExcelやGoogleスプレッドシートで人員配置表を作成しておくと、人員配置を検討する際に必要な情報を簡単に集約できます。無料でダウンロードできるテンプレートが多数提供されており、低コストで人員配置のシミュレーションが可能です。人員配置の検討材料は企業によってさまざまですが、少なくても以下の情報は盛り込んでおきましょう。

【従業員に関する情報】

  • 氏名と年齢 
  • 雇用形態
  • 給与
  • 経歴や実務経験
  • 労働時間や勤務状況

【企業に関する情報】

  • 売上目標
  • 総人件費
  • 稼働人員数

ホワイトボードや紙に書き出した人員配置図を画像化して表に貼り付けておくと、後で見返す時にわかりやすいでしょう。集計用の計算式が壊れたり不意にデータが書き換えられたりした場合に備えて、定期的にバックアップを作成しておくことをおすすめします。

タレントマネジメントシステム

タレントマネジメントシステムを活用すると人員配置のシミュレーションはもちろん、従業員の情報を一元管理できます。複数の拠点やテレワーク環境でも同じ情報を参照できるクラウド型が主流です。初期費用と社員数に応じた月額料金はかかりますが、導入前のサポートやデータのバックアップなどのサービスが充実しているので、スムーズに人員配置の最適化を実現できます。

Excelやデータベースに関する知識がなくても、Webブラウザやアプリ画面から簡単に情報を登録できます。データ分析機能も充実しており、従業員のスキル・経験や希望をとりまとめて複数のパターンから最適な人員配置を検討可能です。人事評価や目標管理に関する情報も集約できるため、業績や成長度合いのフィードバックを通じて組織全体のパフォーマンス向上に役立てることができます。

蓄積した人材情報を配置検討に活用できる「CYDAS」

人員配置を最適化することで従業員のパフォーマンスを最大限に引き出し、組織・企業の業務効率化や生産性向上を実現できます。配属された部署で従業員が能力を存分に発揮できれば潜在能力の発掘や業務の品質向上にもつながり、企業のエンゲージメントが向上して長期にわたる活躍も期待できるでしょう。従業員の能力や人事評価の結果などをデータ化して企業の人員配置を見える化しておくと、スムーズな人員配置の検討が可能です。

従業員に関するデータをもとに最適な人員配置を実現するためには、タレントマネジメントシステムの活用が効果的です。サイダスのタレントマネジメントシステム「CYDAS」では従業員がマイページからスキルや能力・資格に関する情報を登録できるので、人事データの一元化がスムーズに行えます。成長の度合いも自分自身でチェックできるので、能力の発揮やスキルアップへの意欲も芽生えます。

データ分析機能も充実しており、さまざまな条件から人員配置のシミュレーションが可能です。さらに、上司と部下のコミュニケーションを活性化する「1on1 Talk」も搭載。相互理解を図りながら人材配置を検討できるので従業員の納得度も高まります。

なにより、従業員のデータが一元管理できるだけでなく、従業員自らが情報を更新したくなる仕組みで情報の鮮度と充実度を保つことが可能です。

まとめ

従業員の能力を最大限に引き出し、企業の生産性・業績を高めていくには人員配置の最適化が必要不可欠です。人員配置は経営戦略に基づいて計画的に実施する場面や、欠員など組織の変化に応じて機動的に実施する場面など多岐にわたります。
人員配置を適切に実践することで業務の効率化を実現できるだけでなく、刻々と変化する経営環境に柔軟に対応できるのが経営上のメリットです。また、従業員の働き方やキャリアアップの希望を取り入れて人員配置を行うと仕事のモチベーションが高まり、働きがいを実感できるようになるなど離職率の低下やエンゲージメント向上にも効果を発揮するでしょう。

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