2023.12.25
SaaSとは?読み方やサービス例をわかりやすく解説
IT技術の進化やDX推進に伴い、ビジネスだけでなく個人の生活においても身近なSaaSサービスが増えています。とはいえ、SaaSという言葉を目にする機会はあるものの、意味や使い方をよくわかっていない人もいるのではないでしょうか。
本記事では、SaaSの意味や似た言葉との違い、メリット・デメリット、SaaSサービスの種類や代表例などをわかりやすく解説します。自社に最適なSaaSサービスの選び方も解説しますので、SaaSについて正しく理解し、事業や業務に活用するためにぜひ参考にしてください。
目次
SaaSとは?クラウド上で使えるソフトウェア
SaaSとは「Software as a Service」の頭文字を取った略称です。日本語に訳すと「サービスとしてのソフトウェア」となり、インターネット上で使えるインストール不要のソフトウェア、およびそのサービス形態のことを指します。
多くの場合、読み方は「サース」ですが、「サーズ」と呼ばれる場合もあります。従来のソフトウェアは、パッケージとしてCD-ROMなどでライセンス販売され、購入後に自分でパソコンにインストールする形態が中心でした。
一方、SaaSはベンダーやクラウドサービス事業者やがシステムやクラウドサーバーを保持し、ユーザーがインターネット経由でアクセスして利用する仕組みです。
代表的なSaaS企業
世界的なSaaS企業としては、Office製品のビジネス向けパッケージなどを提供する「Microsoft」やGメールで知られる「Google」、SFAツールやCRMツールを中心に手掛ける「Salesforce」などがあります。
また、日本国内の企業には、クラウド型会計ソフトの「freee株式会社」や「マネーフォワード」、名刺管理ツールで知られる「Sansan」などが挙げられます。日々使用しているツールの中にも、SaaSサービスが多く存在していることがわかります。
SaaSの特徴
SaaSは、インターネット接続さえあればアクセスして利用できる上、複数のユーザーが同時に使える点も特徴です。ここでは、SaaSの主な2つの特徴について解説します。
インターネット経由でどこからでもアクセス可能
SaaSは、インターネット経由でアクセスが可能です。従来のソフトウェアサービスはインストールが必須で、特定のパソコンに対してライセンスが与えられていました。
一方、SaaSは契約しているアカウントであれば利用が認められているため、外出先やリモートワークなどオフィス以外からでもアクセス可能です。また、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットなど、異なる端末から利用できます。
複数のユーザーが同時に作業できる
多くのSaaSにはドキュメント編集機能やストレージ機能が搭載されており、複数のユーザーが同時に使用できます。必要なタイミングで使いたい人が、同時にファイル閲覧や編集作業を行えるため、業務効率化につながります。
また、編集後のファイルはクラウド上で保存されるため、ユーザーがログインすると常にアップデートされたファイルを共有できる点も特徴です。
SaaSサービスの代表例
ここからは、SaaSサービスの種類や代表例について解説します。自社における組織力や売上の向上に役立つシステムやプログラムを見つけるために、ぜひ参考にしてください。
ビジネスチャット
ビジネスチャットは、リモートワークの基本アイテムとも言えるコミュニケーションツールです。同じ部署内やチームメンバー同士だけでなく、協力企業や業務契約している社外メンバーを招待して使用できます。
また、LINEのようなスタンプや、挨拶の定型文を省略するなどカジュアルな使い方も可能です。メールよりもスピーディな情報共有を実現します。
ビジネスチャットの代表例として、下記があります。
【チャットツール代表例】
- Slack
- Chatwork
- Microsoft Teams
- LINE WORKS など
Web会議システム
Web会議システムは、音声通話やビデオ通話などの機能が使えるSaaSです。1対1だけでなく複数人でのWeb会議にも使用でき、ビジネスチャットと同様にリモートワークで活躍します。
また、オンライン上で配信するウェビナーを開催できるものもあります。Web会議システムの代表例は以下の通りです。
【Web会議ツール代表例】
- Zoom
- Skype
- Google Meet など
プロジェクト・タスク管理
プロジェクト・タスク管理システムは、タスクや進捗を一元管理できるSaaSです。タスクやToDoなどをまとめて管理・共有できるため、リモートワークや現場業務などでメンバーが同じ場所にいなくても、個人のタスクや予定を確認できます。
また、ガントチャートやカンバン、カレンダーなど多様な形式が使えて、業界・業種に特化したものもあります。プロジェクト・タスク管理SaaSの代表例は、下記の通りです。
【タスク管理ツール代表例】
- Backlog
- Trello
- Wrike
- Asana など
スケジュール管理
スケジュール管理ツールは、メンバーが個別の予定をそれぞれ登録し、閲覧・管理できるSaaSです。プロジェクトチームや部署内での予定共有が簡単に行えて、従業員数の多い企業や組織における管理業務をサポートします。
また、情報の公開範囲を限定できるものもあり、機密性が重要な業種にも向いています。スケジュール管理ツールの代表例は以下の通りです。
【スケジュール管理ツール代表例】
- Google カレンダー
- TimeTree
- TeamOn など
また、サイボウズOfficeのようにスケジュール管理に加えて、メッセージ機能やタスク管理機能などを盛り込んだグループウェアもあります。
CRM・SFA
CRM・SFAは、いずれも顧客との関係性を整理し、カスタマーサクセスを効率化するためのSaaSです。
CRM(Customer Relationship Management)は、顧客満足度の向上を目的とし、顧客情報を一元管理するツールです。SFA(Sales Force Automation)は、営業プロセスを可視化し、業務効率を高めるために役立ちます。
CRMやSFAの活用により、営業チームの連携や顧客対応における属人性の防止といった効果が期待できます。CRM・SFAの代表例は下記の通りです。
【CRM代表例】
- Salesforce Sales Cloud
- Microsoft Dynamics 365
- eセールスマネージャーRemix Cloud など
MA
MA(Marketing Automation)ツールは、マーケティングを自動化する仕組みです。リード客の育成に向けたメール配信やスコアリングの自動化など、営業とのスムーズな連携に役立つ機能を備えています。
RMやSFAと連携できるものもあり、異なるチャネルで管理していた顧客情報を集約・整理し、一元管理できます。MAツールの代表例は以下の通りです。
【MAツール代表例】
- Adobe Marketo Engage
- Account Engagement(旧Pardot)
- SHANON MARKETING PLATFORM など
会計ソフト
会計ソフトは、経理業務を効率化できるSaaSです。経理や財務に必要な情報の一元管理や業務の自動化を通して、会計業務をサポートしてくれます。インターネット環境があれば使用できるため、リモートワークにもスムーズに対応できます。
また、法改正後にもベンダー側でアップデートを行うため、自社の負担が軽減できるでしょう。企業向けから個人事業主向けまで幅広い種類から選べます。
会計ソフトの代表例は下記の通りです。
【会計ソフト代表例】
- マネーフォワード クラウド
- freee会計
- やよいの白色申告/青色申告オンライン など
ERP
ERP(Enterprise Resources Planning)とは、企業の資産である「ヒト・モノ・カネ・情報」を統合的に管理できる基幹業務システムです。人事や会計、物流、販売、在庫などの情報を一元管理でき、マネジメント業務の負担軽減や経営判断の精度の向上といったメリットが期待できます。
ERPの代表例は下記があります。
【ERP代表例】
- クラウドERP ZAC
- SAP S/4HANA
- NetSuite
- SuperStream-NX など
人材管理システム
人材管理システムは、勤怠管理や人材採用、タレントマネジメントなどの人事業務を支援するSaaSです。オンラインでの出勤・退勤の打刻や休暇申請機能が搭載されており、在宅勤務の普及とともに注目が集まっています。
人材管理システムの代表例として、以下が挙げられます。
【人材管理システム代表例】
- CYDAS
- ジョブカン勤怠管理
- KING OF TIME
- 勤革時(きんかくじ) など
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社内SNS
社内SNSは、社内の情報共有を効率化するためのコミュニケーション用SaaSです。プロジェクトチームや部署間、拠点間などさまざまなシーンで活用でき、全社横断的な情報共有や社員同士の交流を促します。
また、企業理念の浸透や企業内のノウハウ蓄積にも役立ちます。社内SNSの代表例は以下の通りです。
【社内SNS代表例】
- Talknote
- NotePM
- workplace など
SaaSとPaaS・IaaSなどとの違い
SaaSと類似している言葉に「PaaS」や「IaaS」などがあります。これらの用語はいずれもクラウドサービスの種類ですが、提供するサービスの範囲に違いがあります。ここでは、SaaSと似た言葉の違いについて詳しく解説します。
PaaSとは
PaaS(Platform as a Service)の定義は「サービスとしてのプラットフォーム」で、「パース」と読みます。特定のソフトウェアを動作させるためのプラットフォームをインターネット経由で提供するサービスで、アプリケーションやシステムの開発などに利用されています。
開発に必要なシステム環境を自社で用意しなくても、PaaSを活用することでスピーディかつ低コストな開発が実現します。代表例は、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureなどです。
SaaSではソフトウェアとその稼働に必要なプラットフォーム、インフラまでを提供します。一方、PaaSにはソフトウェアは含まれず、プラットフォームやインフラのみを利用できる点が異なります。
IaaSとは
IaaS(Infrastructure as a Service)は「イアース」または「アイアース」と読み、「サービスとしてのインフラストラクチャー」を指します。システム稼働に必要となるサーバーやネットワークなどのインフラを、インターネット経由で提供するサービスです。
ハードウェアのCPUやストレージ、OSなどを選択可能で、セキュリティレベルや拡張性も高い点が特徴です。代表例には、Amazon EC2やIDCFクラウドなどがあります。
SaaSがソフトウェアからプラットフォーム、インフラまでをまとめて提供するのに対し、IaaSではインフラのみを提供します。
クラウドサービスとの違い
クラウドサービスとは、インターネット経由で提供されるサービス形態そのものを指します。つまり、SaaSよりも広義な意味を持ち、SaaSはクラウドサービスの一種と言うことができます。また、前述のPaaSやIaaSもクラウドサービスに含まれます。
SaaSのメリット
SaaSサービスを利用するメリットとして、主に以下の3つが挙げられます。
- 開発不要で導入コストを抑えられる
- 保守管理の負担が少ない
- 常に最新機能を使用できる
それぞれについて詳しく解説します。
開発不要で導入コストが安い
SaaSは、自社でのシステム構築や高額なパッケージの購入が不要です。システムの保守やメンテナンスは基本的にベンダーが行うため、開発にかかるコストを抑えられます。
また、SaaSでは月額や年額のサブスクリプション制が一般的です。ユーザーの利用状況に応じて料金プランを選べるため、従業員が多い企業でも初期コストを抑えて導入できます。ランニングコストも少なくなり、業務効率化や人件費の削減にも役立ちます。
保守管理の負担が少ない
SaaSを利用する場合、自社における保守管理はほぼ不要です。自社開発のシステムや買い切りのソフトウェアでは、トラブル対応やセキュリティ対策などは自社で行う必要がありますが、SaaSではベンダーが保守管理を担当します。そのため、保守管理の負担が軽減されています。
常に最新機能を利用できる
SaaSでは、最新バージョンへのアップデートもベンダーが担当してくれるため、自社での作業不要で常に最新機能を利用できます。
インストール型のソフトウェアなどでは、自社で最新版を構築する必要がありますが、難易度の高い作業を要します。SaaSなら常に最新の状態で利用できるため、セキュリティ面でも安心でしょう。
SaaSのデメリット
SaaSはメリットが多いですが、デメリットもあります。ここでは、SaaSの以下3つのデメリットについて解説します。
- セキュリティリスクがある
- カスタマイズの自由度は低め
- 障害の影響を受けやすい
それぞれの項目について見ていきましょう。
セキュリティリスクがある
SaaSは、インターネット経由で利用できるため、不正アクセスなどのリスクに注意が必要です。ベンダーやクラウドサービス事業者は、当然ながら高度なセキュリティ対策を行っていますが、インターネットを利用する以上リスクは存在しています。
そのため、社内で別途セキュリティ対策を行う必要があります。リモートワークでは各労働環境における漏えい対策を決める、外出先では重要なデータを表示したまま放置しないなど、社員のセキュリティ意識を高めることも大切です。
カスタマイズの自由度が低い
SaaSでは、すでに構築されているソフトウェアを使用するため、カスタマイズの自由度は低めです。幅広い企業や個人が使いやすいよう、汎用性が重視されているものが多いため、商品・サービスの特性に合わせてカスタマイズすることは難しいでしょう。
カスタマイズできるとしても、ソフトウェア上のメニュー設定の範囲などの制約があり、大幅に変更できないものが多いです。中には別途カスタマイズを依頼できる製品もありますが、費用は割高な傾向があります。
障害の影響を受けやすい
SaaSでは、通信回線やシステムの障害やメンテナンスの対応がベンダー任せになります。そのため、ベンダー側で作業している間は利用が制限されるなどの影響が考えられます。
インストール型のソフトウェアの場合、デバイス上の問題でない限りは通信回線に影響されることはありませんが、SaaSの不具合やトラブルの対応はベンダー側の仕事です。障害から回復するまでの時間や、どういった対応がなされるかもベンダー任せになり、自社で積極的に進められない点に不便さを感じるかもしれません。
自社に適したSaaSを選ぶ際のポイント
自社に合ったSaaSを選ぶポイントとして、以下の項目が挙げられます。
【SaaS選びポイント】
- 利用する目的や解消したい課題
- 機能性
- 利用人数や規模
- 初期コストや利用料金(無料トライアルの有無)
- サポート体制
- セキュリティ対策
- 導入実績
SaaSを導入する目的や、SaaSによって解消したい課題を明確にした上で、適したサービスを選ぶ必要があります。使える機能やサポート体制、セキュリティ対策などを確認し、利用人数や規模、予算に合ったものを比較検討するとスムーズでしょう。
働きがいをつくる人材プラットフォームならCYDAS
SaaSは、社内の業務効率化や働き方の多様化対策に有用なシステムです。インストール型や自社での開発に比べてコストを抑えられ、保守管理の負担も軽減されているなど、導入ハードルが低いため、多くの企業で活用できます。
ただ、セキュリティリスクや障害の影響を受けやすいなどのデメリットもあり、自由にカスタマイズしたい場合には不向きでしょう。多くのSaaSが登場していますので、自社の目的や課題に合わせて最適なサービスの導入を検討してみましょう。
CYDAS(サイダス)は、「働きがい」を作ることを目的とした人材管理SaaSサービスです。万全なセキュリティ対策のもと、社員の属性だけでなく変動しやすい動的データも可視化、管理できます。タレントマネジメントや人材管理システムの導入でお悩みの際には、お気軽にご相談ください。