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2023.11.6

反省文とは?始末書や顛末書との違いや書き方・社員に促す際の注意点など解説

「反省文の意味や目的、書き方を理解して適切な人事につなげたい」「社員に反省文を促す際の注意点を知りたい」と考えている経営者・人事担当者の方も多いのではないでしょうか。反省文を正確に理解することにより、社員の育成や評価に役立つ可能性があります。

本記事では、最初に反省文の概要を説明した後、始末書・顛末書・謝罪文との違い、反省文の書き方、状況別の例文を紹介します。最後に、社員へ反省文を促す際の注意事項も解説するので参考にしてください。

反省文とは

会社や職場において社員がミスやトラブルを起こした際、反省文を書いてもらうケースがあります。そのため、まずは反省文の概要を理解することが大切です。反省文の意味と目的を解説するので参考にしてください。

反省文の意味

反省文とは、ミスやトラブルが起こった際に記載する文書のことです。ビジネスシーンでは、業務上の失敗について記す社内文書に含まれます。

主に次のような内容が反省文の対象です。

  • 安価なオフィス機器の破損や備品の紛失
  • 報告・連絡・相談を忘れたことによる軽いミス
  • 遅刻のような程度の軽い就業規則違反
  • 飲み会で泥酔したといった失態

基本的には本人の反省によって改善が見込めたり、金銭的な損害が軽微だったりという失敗が反省文の対象になります。

主な提出先は直属の上司です。上司が納得している限り、さらに上の役職者への報告はありません。

反省文を書く目的

反省文はミスをした本人が自らの過ちを認めて謝罪と反省の意を示すものです。事態の収束を図るだけでなく、個人の感情を文章で記録しておくという役割も果たします。

後述する始末書よりも程度が軽いため、基本的に降格や減給のような厳しい処分を下すことはありません。

反省文とよく似た文書との違

反省文とよく似た文書に以下があります。

  • 始末書
  • 顛末書
  • 謝罪文

上記と反省文の違いについて解説するので参考にしてください。

始末書との違い

始末書とは、業務上の失敗・不始末・トラブルの際、企業に対して事実関係を明らかにし、再発防止を書面で誓約する書類です。

主に次のような内容が対象になります。

【始末書の対象例】

  • オフィス機器・建物などの破損やデータの紛失
  • 連続無断欠勤のような重たい就業規則違反
  • パワハラのような深刻なハラスメント行為
  • 取引先の信用を失墜したことによる企業イメージの低下

反省文は本人の行動改善を促すという趣旨があり、基本的に処分の対象にはなりません。一方の始末書は企業から懲罰を受ける可能性が高いという違いがあります。

また、反省文は主に業務上の軽微なミスが対象になる一方、始末書は重大な金銭的損失や、取引先をはじめとした外部に与えるマイナスの影響などが対象となります。

顛末書との違い

顛末書とは、業務上のミス・トラブル・不祥事の事実関係だけを報告する社内文書です。反省や謝罪の意を述べるわけではありません。客観的な視点が必要であり、本人以外の第三者が作成するのが一般的です。

主に次のような内容が顛末書の対象になります。

【顛末書の対象例】

  • システムの不具合
  • 社用車運転中の事故
  • 発注や納品ミス

反省文は本人の自省を促すという目的がある一方、顛末書はミス・トラブル・不祥事の発生理由や経緯を事実として記録するという違いがあります。反省文が事態の収束につながる一方で、顛末書は収束後に提出されるという相違点も挙げられます。

謝罪文との違い

謝罪文とはミスや不祥事などを起こした結果、お客様や取引先などに迷惑が及んだ際に記す機会が多い社外文書です。

主に次のような内容が対象になります。

【謝罪文の対象例】

  • 取引先に納品した商品・サービスの不備や不具合
  • 経理上のミスや不手際によって取引先に被害が及んだ場合
  • お客様から商品・サービスに関してクレームを受けた場合

反省文は本人から上司への社内文書である一方、謝罪文は本人や企業からお客様・取引先などに宛てた社外文書という違いがあります。

反省文と比較し、謝罪文はより丁寧な言葉遣いが必要になるという相違点も挙げられます。「謹啓」や「拝啓」といった頭語や「敬具」のような結語も必要です。

反省文の書き方

反省文の書き方を書式と構成に分けて解説します。書式は手書きとパソコンがあり、構成は5つの手順で進めるのが基本です。それぞれ解説するので参考にしてください。

反省文の書式(手書き・パソコン)

便箋に反省文を手書きする際は縦書きが基本です。パソコンで作成する場合はビジネス書体のレイアウトを使用するケースもあります。

一般的に反省文の書式に含める内容は以下のとおりです。

【反省文に含める書式】

  • 宛名
  • 日付
  • タイトル
  • 作成者の所属と氏名
  • 署名捺印
  • 本文

宛名は文書の左上に記載します。提出先(主に直属の上司)の部署名、役職名、氏名を記す箇所です。氏名の後には様をつけます。

文書の右上には日付を記します。西暦よりも元号(令和)の記載が一般的です。

日付の下や本文下の右側に作成者の所属部署と氏名を記し、署名・捺印します。

文書の中央にタイトルとして「反省文」と記し、その下に本文を記載します。本文には原因と経緯を書いた後、「今後同じ失敗をしないよう細心の注意を払います」といった内容を記していくのが一般的です。詳しくは後述します。

反省文の構成

反省文の基本的な構成として以下の5つがあります。

  1. 文頭には事実を記載する
  2. 失敗の内容を具体的に記載する
  3. 失敗した理由を記載する
  4. 決意・対策を記載する
  5. 文末は反省の言葉で締めくくる

次項でそれぞれ詳しく解説します。

1.文頭には事実を記載する

最初にミスやトラブルが起こった事実関係を記載します。主観を入れず、出来事のみ正確に記すのがポイントです。

起承転結の起にあたる部分なので、淡々と事実を記しましょう。分かりやすい言葉で端的に表現することが大切です。

例えば以下のような内容が挙げられます。

例文

  • 〇月〇日、私の誤解により資材発注に遅れが生じました
  • 〇月〇日、私の連絡ミスが原因でコピー機が一部破損しました
  • 〇月〇日、私は〇〇部長から機密書類の扱い方に関する注意を受けました

上記は業務上のミスですが、ほかにも、遅刻、勤務中の交通事故、飲酒の失敗など、内容に合わせて変更してください。具体的な例文については後述します。

2.失敗の内容を具体的に記載する

文頭で事実関係を記した後、失敗の内容を詳細に記載します。複数の失敗がある場合は、省略せずにすべてを記しましょう。反省が必要な点について明確に記すことがポイントです。

例えば以下のような内容です。

例文

  • 本来であれば余裕を持って資材を発注しなければならないところ、納入予定日から〇日後の発注となり、結果的に〇日の遅れが発生しました
  • 〇月〇日、経理部のコピー機に不具合があったため業者に電話連絡したところ、「メンテナンスが終了するまで使用を控えてほしい」と言われました。しかしそのことを自社の社員に伝え忘れた結果、社員がコピー機を使用したため、部分的な破損が生じた次第です
  • 機密書類はローカル環境での保存が義務づけられていますが、私は簡単にアクセスできるクラウドネットワークに保存していました

3.失敗した理由を記載する

次に失敗の理由を記載します。ポイントは言い訳や都合のよい解釈を避けることです。

「社内ツールの使用方法が分からなかった」や「短時間なので問題ないと判断した」といった内容は反省につながりません。上司としても、事前に「言い訳や勝手な解釈は避けるように」と部下に伝えることが重要です。

具体的には以下のような内容が挙げられます。

例文

  • 私が資材発注の期日を失念していたことがミスの理由です
  • コピー機が一部破損した理由は私の社内共有が遅れたためです
  • 機密書類をクラウドネットワークに保存した理由は「セキュリティ面を考慮するよりも、アクセスしやすいほうがいいだろう」という私の勝手な思い込みでした

このように、失敗に至った理由を明確に記す必要があります。

4.決意・対策を記載する

失敗の理由を記した後、同じミスを繰り返さないために対策と決意を記載します。ポイントは今後の対策をはっきりと宣言することです。「今後はなんとか気をつけたいと思っています」といった曖昧な表現は避けましょう。

具体例は以下です。

例文

  • 資材発注を忘れたことにより、業務フローが大きく滞ることが分かりました。今後はより慎重に期日管理を行います
  • 経理部のコピー機が破損したことにより、必要書類を印刷できないという支障が生じました。今後は社内共有を徹底します
  • 今回〇〇部長から忠告を受けたことにより、セキュリティ管理の重要性を思い知りました。今一度セキュリティに関する社内マニュアルを読み込み、同じ失敗を防ぎます

5.文末は反省の言葉で締めくくる

最後は反省の言葉で締めくくります。「すみません」「ごめんなさい」といったカジュアルな文章は避けましょう。ビジネスシーンで通用するフォーマルな言葉を使用してください。

具体例は以下です。

例文

  • このたびは発注ミスを犯してしまい申し訳ございませんでした
  • コピー機が破損する原因をつくってしまい大変申し訳ございませんでした
  • このたびはセキュリティ違反を起こしてしまい申し訳ございません

上記のように、「申し訳ございません」「申し訳ございませんでした」といった言葉で締めくくるのが基本です。

【状況別】反省文の例文

ここでは、状況別に反省文の例文(本文)を紹介します。具体的には以下4つの種類を紹介するので参考にしてください。

  1. 遅刻した場合
  2. 業務ミスを起こした場合
  3. 勤務中に交通事故を起こしてしまった場合
  4. 飲酒で失敗した場合

1.遅刻した場合

遅刻した場合の例文は以下です。

私は〇年〇月〇日に遅刻したため、取引先を交えた自社開催の会議に参加できませんでした。
遅刻の理由は渋滞です。普段から自家用車で通勤していますが、大雪によって道路状況が悪化したため、始業時刻に間に合いませんでした。結果的に9時からの会議にも参加できず、取引先の信頼を大きく損なう形となりました。
自社にとって大切な会議の進行を任されていた以上、余裕を持って自宅を出るべきだったと猛省しています。
同じ失敗を起こさぬよう、今後は事前に天候を考慮し、余裕あるタイムスケジュールを徹底いたします。
このたびは大変申し訳ありませんでした。

前述した反省文の基本的な構成では、事実、具体的な内容、失敗理由という順序でしたが、上記は失敗理由に具体的な内容を含めています。そのあたりは本文の流れに応じて臨機応変に変えてください。

2.業務ミスを起こした場合

業務ミスを起こした場合の例文は以下です。

私は〇年〇月〇日、当事務所の顧客であるA社に対してメールを誤送信してしまいました。本来であればB社に送るはずだった契約書に関するメールです。
送信ミスが発生した理由は私の勘違いにあります。A社とB社の担当者様が同じ名字でああったため、誤って送信してしまいました。
今後このようなことがないよう、送信前の再確認を徹底します。また、部署内でのダブルチェック体制も徹底いたします。
このたびはメールの誤送信でご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ございませんでした。

業務ミスにはさまざまなパターンがあります。上記は送信ミスの例文ですが、ほかにも書類の紛失や機器の破損などが考えられるでしょう。

3.勤務中に交通事故を起こしてしまった場合

勤務中に交通事故を起こした場合の例文は以下です。

私は〇年〇月〇日、社用車を運転し顧客先に向かう途中、接触事故を起こしました。道路を左折した際、停車中のバイクに気づかず転倒させてしまったのです。
事故の原因は私の安全確認ミスにあります。幸いにも相手方に怪我はなく、物損事故扱いとなり、保険会社との示談交渉も終了しました。
今後このような事故を起こさぬよう気を引き締め、より慎重に運転いたします。
このたびは社用車で事故を起こしてしまい、申し訳ございませんでした。

社用車による交通事故に関しては、基本的に始末書や顛末書の提出が必要になります。ただし軽微な事故に関しては、反省文の提出で済むケースもあります。

4.飲酒で失敗した場合

飲酒で失敗した場合の例文は以下です。

〇年〇月〇日の忘年会において、私は泥酔し、ほかの社員に暴言を吐きました。中にはセクハラと受け取られかねない発言もしてしまいました。
忘年会という場の雰囲気や開放感ではなく、自身の酒癖の悪さが原因です。社会人として品位を欠いた行動が情けなく、恥ずかしく思うと共に深く反省しております。
今後はアルコールの摂取量に注意し、節度を持った行動を徹底いたします。二度と同じ事態を起こさないことを誓約するため、反省文を提出いたします。
本当に申し訳ございませんでした。

飲酒によりセクハラとみなされかねない発言を行った場合は、反省文が誓約の証になることがあります。場合によっては、被害を与えてしまった人への謝罪が必要かもしれません。

社員に反省文の提出を促す際の注意点

社員に反省文の提出を促す際の注意点には以下があります。

  • 反省文の提出は正当な理由に従い促す必要がある
  • 反省文の提出を拒否しても懲戒処分にはできない

それぞれ解説するので参考にしてください。

反省文の提出は正当な理由に従い促す必要がある

反省文を促す際は正当な理由が必要です。理不尽に強制した場合はパワハラと認識されかねないので注意してください。

上司から部下への指導や指示に関して業務上必要な範囲であればパワハラに該当しません。しかし主観的に部下を判断し、高圧的に反省文の提出を促すとパワハラに該当する可能性があります。

そのため、反省文を求める際は客観的な事実関係を確認したり、再発防止につなげたりといった正当な理由が必要です。

反省文の提出を促した理由がパワハラと受け止められた場合、SNSに投稿されるリスクもあるため、慎重に対処しなければなりません。

反省文の提出を拒否しても懲戒処分にはできない

反省文を書くように社員に促したものの、提出を忘れたり、拒否したりといった場合でも、懲戒処分にはできません。憲法第19条によって「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」と定められており、すべての国民は内心の自由が保障されているからです。

そのため、社員が反省文を提出しなかったとしても、それを原因に懲戒処分できないという点は押さえる必要があります。

反省文の目的を理解し社員に促す際は正当な理由が必要

ビジネスシーンにおける反省文とは、ミスや失敗が起こった際に記載する社内文書を指します。反省文の目的は、過ちを認めて謝罪と反省の意を示すことです。反省の気持ちを社内文書で記録しておく役割もあります。反省文が必要になる状況として、遅刻、業務ミス、勤務中の交通事故、飲酒による失態などが考えられます。

また、社員に反省文を促す際は正当な理由が必要です。反省文を拒否しても懲戒処分にできないという点も押さえてください。

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