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2024.10.2

【例文付き】看護師の目標管理シート|個人目標の書き方や目標設定のポイント

こんにちは!働きがいを応援するメディア「ピポラボ」を運営するサイダス編集部です。

今回のテーマは、「看護師の個人目標の立て方と目標管理シートの書き方」です。看護師が日々の業務でスキルアップを図るためには、自分の立てた目標を意識し、達成のために行動することが求められます。しかし、忙しい看護業務に就くなかで目標を管理するのは容易ではありません。そこで活用できるのが、目標管理シートです。

目標管理シートは、看護師の目標達成をサポートすると共にキャリア形成にも役立つため、多くの病院で導入されています。しかし一方で、目標の立て方やシートへの書き方に迷う方もいることでしょう。そこで今回は、看護師の個人目標とは何かを踏まえ、個人目標の立て方のポイントや具体的な記入例をキャリア別に解説します。

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看護師の目標管理シートとは

目標管理シート

看護師の目標管理シートとは、看護部が定めた目標や、看護師が立てた個人目標を管理するためのシートです。

近年では多くの企業が、個人目標の達成度によって人事評価を行う「目標管理制度(Management By Objectives=通称MBO)」を導入しています。MBOには、組織の理念や方向性を明確にし、組織全体の生産性を上げるといった意義があるため、看護師組織においても重視されている制度です。

看護師が個人目標を達成することは、看護部全体の目標の達成につながります。そのため個人目標を管理する目標管理シートは、看護師が日々の業務に従事するうえで非常に重要なものなのです。

MBOについて詳しく知りたい方は、「目標管理制度(MBO)とは|メリットや失敗例、運用ポイントを紹介」をご覧ください。

看護師の個人目標とは?

看護師の個人目標とは、看護部が定めた目標に沿って、看護師が立てた個人的な目標です。

看護部が定めた目標を達成するために動くのは、看護師に他なりません。しかし、他人が立てた目標を常に意識して動くことは容易ではなく、いつしか忘れてしまうことがあります。そのような事態を防止するために、看護部が定めた目標達成に向けて自分が取り組むべき業務を明確にしたものが、個人目標です。

個人目標の達成は看護師自身の看護力だけでなく、看護部の組織力を高めることにもつながります。

目標管理シートを看護師に活用するメリット

MERIT

看護師が個人目標を達成するために欠かせない目標管理シートを活用することには、以下のようなメリットがあります。

  • 指導やアドバイスが行いやすくなる
  • 公正な評価がしやすくなる
  • やりがいを感じてもらい定着率が向上する

個人目標を立てた看護師自身だけでなく、指導や評価をする立場にもメリットがあることは、特筆すべき点でしょう。ここからは、これらのメリットについてそれぞれ詳しく解説します。

指導やアドバイスが行いやすくなる

個人目標は、先輩看護師や看護師長との面談でアドバイスを受けながら立てていきます。その際、個人目標を立てる本人に目標設定の理由や達成するための具体的な方法を伝えられるため、先輩看護師や看護師長は、業務においてもより的確な指導を行うことができます。

個人目標の立て方が分からない新人看護師などには何度も面談を行い、双方の認識を擦り合わせていきます。目標管理シートは、自分の業務内容を整理し、経験に見合った目標を把握するためにも役立つシートなのです。

公正な評価がしやすくなる

目標管理シートで個人目標を具体的にすると達成までのプロセスや達成率が明確になるため、管理者による評価業務がスムーズになります。効率的かつ円滑な評価業務は管理者の負担を減らすと共に、公正な評価の実現にもつながるでしょう。

公正な評価は、看護師一人一人のモチベーションをアップさせるので、結果として組織全体の生産性の向上にもつながります。

やりがいを感じてもらい定着率が向上する

目標管理シートを用いることで注力すべき行動が明確になるため、業務に取り組みやすくなり、仕事へのやりがいを感じやすくなります。看護師一人ひとりがやりがいを持って働くことは、離職率の低下にもつながります。

看護業務はときに激務であるため、モチベーションを保つことができないことがあるでしょう。しかし、自分が立てた目標を達成することで成長を実感できると共に、さらなる業務の質の向上にもつながります。

看護目標を立てるときの具体的なポイント

POINT!!

いざ個人目標を立てようとしても、なかなか思うように立てられない人もいるでしょう。特にまだ経験の浅い看護師は再提出を求められることが多いようです。

看護師が個人目標を立てる際は、行動を具体的にし、期限を定め、誰から見てもわかりやすく記載することがポイントです。ポイントを念頭に置くことで、分かりやすくスムーズに個人目標を立てることができ、達成のための行動にも移しやすくなるでしょう。ここでは、3つのポイントについて詳しくご紹介します。

目標達成のための取り組みを明確にする

まずは自分のスキルにあった目標を立て、目標達成のための行動を具体的に記しましょう。行動が抽象的だと、何をすれば良いのか見出せなくなります。「業務に集中する」と記しても、具体的にどのような業務に集中すれば良いのか分かりません。

例えば技術面について書くのであれば「業務の終わりに一日を振り返り反省点を見つけ、改善のための復習をする。先輩の指導を受けずに自分でできる項目を増やす」など、自分の行動を具体的に記入しましょう。

目標達成のための行動を設定することで「できた」「できなかった」などの二択での評価ができるため、自分の現状を客観的に把握することができます。次に何をするべきか、優先順位をつけて行動できるようになるでしょう。

期間内で達成できる目標にする

個人目標を立てる際は、決められた期間内で達成できる目標にすることが大切です。基本的には、1年間で取り組みながら達成できる目標を立てましょう。

仮に年に2回目標を立てる場合は、半年で達成できる目標にします。すぐに達成できる目標を立てても大きな成長は望めませんし、逆に何年もかかってしまう目標を立てるとモチベーションの維持が難しくなり、途中で挫折してしまうでしょう。

目標の達成に向かって頑張るのは良いことですが、早く達成することを目的にすると業務の質が下がってしまい、成長することはできません。決められた期間内にじっくり取り組み、着実にステップアップできる目標を立てましょう。

誰が見ても分かりやすく書く

個人目標は、誰が見ても分かりやすく書きましょう。分かりやすく書くことで、第三者が評価しやすくなります。

新人看護師に多い書き方の例として「頑張る」「勉強する」といった表現が見られますが、これらの度合いには個人差があるので、第三者は目標を達成できたかどうか判断できません。そのため、具体的に分かりやすく書きましょう。

例えば、「○○○の疾患について技術面の習得を頑張る」「○○○の疾患について○月までに勉強する」などと書けば、自分自身も達成までの過程を振り返りやすくなりますし、第三者も評価しやすくなります。誰が見ても分かりやすく、かつ先輩看護師や看護師長が指導しやすい目標を立てましょう。

看護師の目標管理シートの書き方・例文

看護師の業務内容やスキルは看護歴の年数や役職によって異なるため、個人目標もそれに応じた内容にする必要があります。自分の勤続年数や業務内容、知識・技術の習得状況をよく把握したうえで、立てていきましょう。これまでの評価を振り返るなどし、自分の現状を客観的に把握するのも良い方法です。

ここからは、新人・リーダー・中堅・主任・外来に分け、それぞれの目標管理シートの書き方のポイントや例文を紹介します。

新人看護師(1年目)

新人看護師の場合はまず、独り立ちすることを目標にします。先輩に頼らずとも、一通りの業務を一人でこなせることを目指しましょう。その上で、まずは基礎をしっかりと身に付けながら、患者さんのケアやアセスメントのとり方、看護計画の立案方法など、業務のレベルを段階的に上げていくことが大切です。

新人看護師はまだ働き始めたばかりのため、一人ではできないことが多いでしょう。しかし、早く一人前の看護師にならなければと焦る必要はありません。高い目標を設定してしまうと達成が難しくなってしまうので、現状の自分を深堀りし、課題点を見つけながら目標を立てましょう。また、なりたい自分の姿から目標設定を行うのもおすすめです。

例文

  • ナースコールを誰よりも早くとる。
  • 毎日、業務開始10分前までに一日の準備を完了させる。
  • 採血を○月までに一人でできるようになる。
  • 入浴介助・トイレ介助・オムツ交換などの基本的な看護技術を○月までに習得する。

リーダー看護師(3年目)

リーダー看護師は個人のスキルアップに加え、後輩看護師の指導も視野に入れて目標を設定しましょう。

看護師は3年目になると一人前としてみなされるため、業務を任されることが増えてきます。リーダーとしてチーム全体の業務の進捗を把握すると共に、業務を円滑に進めるための正しい状況判断が求められるので、急患の受け入れや急変時の対処など、さまざまな対応力が養われるでしょう。

また、新人看護師の教育や指導を任されるのもこの時期です。新人看護師の手本となるよう自分の知識・技術を再確認することはもちろん、コーチングについて学ぶのも良いでしょう。コーチングについて詳しく知りたい方は、「コーチングの価値とは?具体的な手法・ポイントや学び方を徹底解説!」の記事もおすすめです。

例文

  • チームのリーダーとしての役割と責任を果たすことができる。
  • チーム全体の業務を把握し、優先順位をつけて効率よく業務を進めることができる。
  • 積極的に後輩看護師に声をかけ、的確な指示や助言を行うことができる。
  • 院内外で得た学びを実践に生かすことができる。

中堅看護師(5年目)

中堅看護師になると、通常業務をミスなくこなせるのはもちろんのこと、さらに高い技術や専門知識の習得が求められます。これまで培ってきたスキルを活かしながら、レベルの高い資格の取得や後輩看護師の育成、今後のキャリア形成に関する目標を立てていきましょう。

5年目ともなると、周りから信頼や期待を寄せられるようになりますが、その分責任も大きくなります。看護師としてのやりがいを大いに感じられるでしょう。各委員会への参加や看護学生の実習指導などあらゆる業務を任されるため、看護師としてのキャリアを積むチャンスを多く得られるのもこの時期です。

例文

  • 他の看護師や職種と連携をとり、業務の調整ができる。
  • 看護部全体の目標達成のために、中心的な立場で周りを先導できる。
  • 看護学生の指導者として知識や技術を深め、実践できる。
  • 担当患者のカンファレンスを○月までに○回以上実施する。

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主任看護師

ベテランである主任看護師は部署を統括する立場として、新人から中堅看護師の規範になることが求められます。そのため、管理職として全体を統括する目標を立てましょう。

主任クラスになると、部署だけでなく病院全体から頼られる存在になります。看護部と経営陣の連絡調整も担うので、看護師としてのスキルだけでなくコミュニケーションスキルも必要です。仕事におけるコミュニケーション能力を向上させる方法については、「仕事に必要なコミュニケーション能力とは?その高め方について」の記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

また、管理職として看護師たちの成長を鑑みながら各々を正しく評価したり、冷静な判断や迅速な対応のもとフォロー体制を整えたりすることも求められるでしょう。他の部署や職種と円滑に連携をとるためにも、病院全体を俯瞰しながら動くことが大切です。

例文

  • すべての業務において看護師たちの規範になる
  • 管理職として看護師たち一人ひとりを正当に評価できる
  • 看護師が抱える課題を見出し、それぞれに合った具体的な解決方法を提案できる
  • 部署を統括する管理職として、他部署・多職種と円滑な連絡調整ができる
  • 病院のSWOT分析を行い、弱みに対する改善策を提案する

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外来病棟の看護師

外来病棟には、日々さまざま症状を抱えたあらゆる年代の患者さんが来院します。どの患者さんにも平等に接しながら症状を見抜くためにも、素早い判断や臨機応変な対応が求められます。よって、それらを高めるための目標を立てましょう。

また外来病棟では、他の病棟や検査科と連携をとることが多いため、身体の看護よりもコミュニケーションに重きが置かれます。的確な表現で状況を正しく伝えるスキルを身に付ける目標も立てると良いでしょう。

例文

  • 短時間で患者の情報を収集し、スムーズにアセスメントをとることができる。
  • 各部署の基本情報を知り、全ての患者に正しい案内や説明ができる。
  • 患者の状態を瞬時に見抜き、治療の優先順位をつけることができる。
  • 入院までの準備・連絡・手続きを○分以内に完了できる。

看護師の個人目標の設定に役立つ「クリニカルラダー」とは

看護師の個人目標を立てる際には、公益社団法人日本看護協会が定める「クリニカルラダー」を活用することもおすすめです。クリニカルラダーとは、看護師のスキルや知識の向上を体系的にサポートするために定めれられたレベル定義のことです。「ラダー(=梯子)」という言葉の通り、ステップアップ形式で、レベルごとに求められる技術や知識、態度などが設定されています。

クリニカルラダーは、以下の4つの能力で構成されています。

①専門的・倫理的・法的な実践能力・アカウンタビリティ(責務に基づく実践)
・倫理的実践
・法的実践
②臨床実践能力・ニーズをとらえる力
・ケアする力
・意思決定を支える力
・協働する力
③リーダーシップとマネジメント能力・業務の委譲/移譲と管理監督
・安全な環境の整備
・組織の一員としての役割発揮
④専門性の開発能力・看護の専門性の強化と社会貢献
・看護実践の質の改善
・生涯学習
・自身のウェルビーイングの向上
参考:日本看護協会「看護実践能力

また、クリニカルラダーでは、5つのレベルが定義されています。

【クリニカルラダーの定義】

新人:必要に応じ助言を得て実践する

I:標準的な実践を自立して行う

II:個別の状況に応じた判断と実践を行う

III:幅広い視野で予測的に判断し実践を行い、ロールモデルとなる

Ⅳ:より煩雑な状況において創造的な実践を行い、組織や分野を超えて参画する

クリニカルラダーでは、それぞれのレベルによって、求められる習熟度が決まっています。そのため、個人目標の設定に悩んだ際は、今の自分がどのレベルに当たり、次のレベルにステップアップするためには何をすべきなのか、照らし合わせながら考えていくのもよいでしょう。クリティカルラダーの一覧表については、日本看護協会が発表している「看護実践能力」を参照しましょう。

看護師の目標管理シートの書き方まとめ

看護師が個人目標を立てることは、自分自身のスキルを高めるだけでなく、看護部全体の業務の質を高めることにつながります。目標管理シートは目標達成までの道筋を明確にし、達成度を客観的に把握するための重要なものとなるため、積極的に活用しましょう。

個人目標は、看護師としての経験や勤続年数によって目指すべき内容が変わります。達成までに要する期間を1年とし、自分のスキルや状況に合った目標を立てましょう。達成までの期間が短いと大きな成長は見込めませんし、逆に長すぎると途中で挫折し、自信を失う可能性があります。また目標を立てるときは、誰が見ても分かりやすく、かつ評価しやすいか意識することが大切です。

目標管理シートを日々の業務に活用し、看護師としての成長ややりがいを、ぜひ感じてください。

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