2019.08.19

ヘッドハンティングはどう防ぐ?優秀な人材の流出防止に必要なこととは?

ヘッドハンティングはどう防ぐ?優秀な人材の流出防止に必要なこととは?

企業にとって「ヘッドハンティング」は対策を立てておくべき事態です。優秀な人材をヘッドハンティングによって引き抜かれてしまうと大幅な売上低下にもつながりかねません。ヘッドハンティングが行われる仕組みを理解したうえで、人材を引き留めるように努めましょう。この記事では、ヘッドハンティングが起こる仕組みや人材流出防止の方法を解説します。

そもそもヘッドハンティングとは、優秀な人材を他社から引き抜いてくる行為を指す言葉です。基本的に企業が優秀な人材を増やしていくには、自社で若手を育てていかなくてはならないのが大前提です。しかし、それだけでは確実性がないうえに時間もかかってしまいます。そこで、他社ですでにキャリアを重ねてスキルを身につけた人材をスカウトしようとする動きが広まっていきました。特に、経営陣や専門性の高い現場のスタッフはヘッドハンティングの対象になりやすいといえます。また、ミドル層以上のベテランを求めている企業も少なくありません。

本来的に、ヘッドハンティングといえばすべての社会人が対象となっています。業種や業態にかかわらず、優秀な人材なら自社に引き入れたいと考える企業は多いからです。そして、評判や噂に基づいて優秀な人材へと近づき、条件を提示するのがヘッドハンティングの主な方法です。なお、転職エージェントの浸透によってヘッドハンティングはより頻繁に起こる出来事となりました。転職エージェントなど、スカウトを任せられる職業をヘッドハンティングと呼ぶケースも増えてきています。

ヘッドハンティングされるのはどんな人?

まず、「経営幹部」はヘッドハンティングの対象として人気です。創設されて日の浅い企業だと、経営能力のある人材が育っていないこともあります。そこで、他社の経営陣をスカウトするケースは珍しくありません。なお、経営陣に限らず優秀な人材を引き抜いて新たに経営を任せようと考える企業も出てきました。次に、「管理職」もヘッドハンティングの対象でしょう。現場のマネジメント力不足は企業にとって大問題だからです。マネジメント経験者はスカウトから声をかけられやすいといえます。

「将来の幹部候補生」もヘッドハンティングで求められる人材です。採用活動で有望な若手を獲得できていない企業は、将来に関わってきます。他社の若手が基礎的なスキルを身につけてから声をかけることも少なくありません。さらに、「エンジニア」のヘッドハンティングも重要事項です。開発力のあるエンジニアが増えれば、新しい主力となる新商品を生み出せる可能性が高まるからです。そのほか、「トップセールスマン」を求めている企業も多いでしょう。他社で活躍しているセールスマンを引き抜くと自社の営業力がすぐに向上します。しかも、他社の営業力にダメージを与えることも可能です。

4種類あるヘッドハンティングのパターン

ヘッドハンティングのパターンはおおまかに4つです。

1つ目は「人材紹介会社からオファーが来る」パターンです。人材紹介会社に登録すると、本人のスキルや経歴に応じて、企業やヘッドハンターが注目してくれます。もしもライバルがいなかったり、バッティングしなかったりすればオファーを受け入れることで移籍が完了します。

2つ目は「人材紹介会社から特定の役職に応募してほしいと依頼が来る」パターンです。この場合、本人に興味を示している企業やヘッドハンターがいるのは事実です。ただし、同等の能力を有する複数人に声をかけているので、最終的には選考過程の結果を待たなくてはなりません。

3つ目は「知人からオファーを受ける」パターンです。知人が特定の役職について人材を探していたとすれば、可能性のある話です。知人のステータスが高いと、前向きな返事さえすれば就任が決まります。

そして、4つ目は「初対面の人からいきなりスカウトされる」パターンです。もしもスカウトの内容が本当なら、専門のヘッドハンターが動いていた可能性は高いでしょう。そのかわり、詐欺などの恐れもあるので慎重に対応しなくてはいけません。

これら4パターンをさらに分類すると、1、2は人材紹介会社が企業にヘッドハンティングを頼まれている流れで、3、4は人材紹介会社を通していない流れといえます。

登録型とサーチ型がある人材紹介会社

人材紹介会社はヘッドハンティングにおいて重要な役割を果たしています。採用を主に扱っている人材紹介会社には「登録型」と「リサーチ型」があり、それぞれシステムが異なります。まず、「登録型」は転職希望者が自らのアピールポイントを申告する仕組みです。スキルや経験を申告した後、マッチする求人があれば紹介会社が間を取り持ちます。

一方、サーチ型では企業側の求人条件が大切にされています。人材紹介会社は求人条件にマッチする人材を幅広く探していくのが特徴です。まだ転職の意志を示していないビジネスパーソンであっても、条件に合っていればコンタクトを取ってきます。さらに、人材紹介会社は「ヘッドハンティング」「スカウト」と呼ばれる行為にも積極的です。優秀な人材がいれば、他社への興味がないかと聞いてきます。総じて、登録型はミドル層の採用に適した流れで運営されています。それに対して、サーチ型はミドル層よりもさらに上の年代をターゲットにしたシステムだといえるでしょう。

どうやってヘッドハンティングの対象を探すのか

企業にとって懸念材料となるのは、サーチ型の人材紹介会社の動きです。サーチ型は優秀な人材がいるとわかりきやコンタクトをとってきます。その理由はまず、会社自らが情報収集に努めているからです。こうした会社は、ネット上の口コミや業界内での評判などを調査して、どの企業に優秀な人材がいるのかをリストアップしていきます。SNSの広まりも情報収集の手段としては便利となりました。もしも自社に業界トップクラスの人材がいれば、人材紹介会社の耳にも入っていると考えるのが賢明です。

次に、「登録情報を利用している」ケースです。強く転職を希望しているわけではなくても、興味本位で人材紹介会社に登録しているビジネスパーソンは少なくありません。ただ、本人の意志の強さにかかわりなく、企業が求める人材像にマッチすれば紹介会社は接近してきます。さらに、「潜在的転職希望者」を割り出す技術も多くの紹介会社は有しています。人脈などを活用すれば、優秀な人材の心境を察することは不可能ではありません。そのほか、「独特のリサーチ方法」を使っている会社もあり、ヘッドハンティングの動きそのものを止めることは難しいでしょう。人材紹介会社が保有している以上のデータをつかんで、ヘッドハンティング対象をしぼりだしてくるからです。

ヘッドハンティングの情報源

スカウトされた本人が人材紹介会社に登録していなくても、ヘッドハンティングは行われています。たとえば、「新聞や雑誌の記事」などが情報源となるからです。本人が企業の代表として取材を受けたとき、人材紹介会社は注目しています。中でも、経営幹部や商品開発者の情報を調べるには便利なソースとなってしまいます。次に、「SNSやネット」での活動も紹介会社はチェックしています。Facebookなどは実名なので、紹介会社の目にも触れやすいでしょう。また、Twitterやブログは本音を暴く場所として機能します。過去の投稿から人間関係や職場への不満が洗い出されてしまうと、ヘッドハンティングの際に有利な条件を提示されやすくなります。

そのほか、「企業サイトのIR情報」や「特許情報」「論文」「資格情報」などにも気をつけましょう。これらの情報は公に出回ってしまううえ、本人の人となりや能力まで宣伝されています。職業適性や経歴を調べるための材料になりえる文章です。それに加えて、「人的ネットワーク」も無視できません。人材紹介会社は各業界に協力者を置いていることがあります。そして、企業からの求人依頼があったら、マッチする人材を紹介してもらっているのです。「転職サイトや転職エージェント」と連携しているのも要注意です。お互い、登録者の情報交換をしている会社は少なくありません。複数の情報源で情報が被っていると、交渉の対象となりやすいので余計に厄介です。

ヘッドハンティングが行われるのはなぜ?

企業がヘッドハンティングにこだわる意味も踏まえておきましょう。そもそも、単に人材を補充するだけであれば求人サイトでも事足ります。しかし、経営幹部を募集するとなると世間の目がついてまわります。「幹部候補生がいない」「経営が不安定」といった印象を抱かれると、社会的信用が損なわれるでしょう。そのまま株価が下落するなどすれば経営危機にも直結します。さらに、現社員が「自分たちは評価されていない」と思い始めると、会社の空気も悪くなっていきかねません。それに、応募してくる人材を待つだけでは条件を完璧に満たしている相手と出会いにくくなります。そこで、ヘッドハンティングという手段が選ばれるのです。専門性の高いポジションを求めているケースでは特に、ヘッドハンティングが選ばれる傾向は強まります。

しかも、能力があるベテランを募集したとしても、結果は芳しくないことは少なくありません。なぜなら、そもそも優秀なベテランは他社で高い役職に就いているので、待遇に不満がないからです。そのため、人材募集するだけでは転職を希望してくれないのです。結果的に、ヘッドハンティングをして個別交渉を行うのが効率的な方法だといえます。

ヘッドハンティングのメリットとは?

企業にとっても本人にとっても、ヘッドハンティングには大きなメリットがあります。その点をしっかり理解しておかないと、自社でヘッドハンティングが起こったときに対応できません。まず、企業にとっては「課題解決」が最大のメリットです。自社に不足している経験やスキルを短期間で補えます。自社にはなかった新しい価値観や思考も取り入れられるでしょう。それに、特殊で応募人数が期待できない職種についても、ヘッドハンティングなら高確率で該当者とコンタクトがとれます。また、ヘッドハンティングは大々的に募集をかけることで発生する悪い噂も避けられる方法です。

一方、ヘッドハンティングされる側のメリットは「自己評価の確認」です。他社から必要とされることで自分の社会的価値を自覚できます。それに加えて、ヘッドハンティングなら普通に転職する以上の好待遇を期待できます。現在、高い役職に就いている人材も条件を落とさずに転職できるので、入社後の不安が少なくなります。

ヘッドハンティングのデメリットとは?

メリットしかないわけではなく、ヘッドハンティングにはデメリットもあります。優秀な人材を慰留するときの鍵となるので、デメリットも押さえておきましょう。まず、企業にとっては「採用コスト」が問題になります。登録型の人材紹介を利用するよりも、サーチ型でヘッドハンティングしてもらうほうがコストはかかります。それに見合っただけの人材を紹介してもらえないと、かえって痛手を被るでしょう。また、ヘッドハンティングは時間も長引きます。条件に合う人材を見つけてこないといけないので、紹介会社のデータベースに理想の相手がいなければゼロからのスタートとなります。その場合、期限内にマッチする人材が見つかる確証はありません。仮に見つかったとしても、相手に転職の意志がないと交渉は難航するでしょう。

一方、ヘッドハンティングされる側のデメリットは「情報の不正確性」です。たとえば、ヘッドハンティングという体裁をとって紹介会社が、応募の集まっていない部署や企業に誘導してくるケースもあります。より危険なパターンだと、ヘッドハンティングを騙った詐欺も考えられるでしょう。もしもだまされてしまうと転職に失敗するだけでなく、安定した職場も失うことになるのです。ポイントとなるのはヘッドハンターの信頼性です。信用できないヘッドハンターに話を持ちかけられ、交渉が破談すればこれまでのキャリアを棒に振ってしまいます。

ヘッドハンティングを受けた人の心中は?

もしもヘッドハンティングされたとしても、素直に喜ぶ人ばかりではありません。第一に、「どうして自分なのか」を疑問に思う人もたくさんいます。そして、自分の情報をどこで調べたのかという警戒心が働くでしょう。特に、初対面のヘッドハンターから条件を持ちかけられたとすれば、すぐには鵜呑みにしにくいといえます。本人に転職の意向がないなら、簡単には心が動かないでしょう。

それでも、一度ヘッドハンターと会ってしまうと警戒心が薄れていく傾向にあります。スカウトの根拠を示され、新しい職場の話を聞いているうち「自分の力を試したい」と思うようになっていくのです。ヘッドハンターに興味を抱き始めたら、元の職場にとっては不利な状況です。それに、ヘッドハンターは相手の警戒を解きながら、「あなたは高く評価されています」と持ち上げてきます。本人がうれしく感じるようになると、本格的に移籍が進んでいきかねません。

最初は移籍を拒んでいても、巧妙なヘッドハンターと話しているうちに迷いは生じます。ヘッドハンターはその隙を見逃しません。タイミングを見計らって強い説得に転じると、本人も意見が変わってしまいます。その瞬間に移籍を決断してしまい、他企業に引き抜かれてしまうケースは少なくないのです。

ヘッドハンティングによる流出を防ぐには

無策のまま社員と接していると、ヘッドハンティングが起こったときに太刀打ちできません。優秀な人材の流出を防ぐにはまず、社員に「リスクを冒したくない」と感じさせておく必要があるでしょう。どんなに好条件でも、転職には不安がつきものです。不安を抱えて転職するくらいなら現状がいいと思ってくれるよう、待遇を整えていきます。たとえば、ワークライフバランスは大切です。仕事に追われて忙しくしている毎日では、社員のストレスはたまっていきます。そんな状況で他社から好条件を提示されれば、気持ちは揺れ動きます。逆に、社員のプライベートを大切にしてあげることで、会社の居心地はよくなっていくでしょう。

次に、社員との「コミュニケーション」を徹底します。社員と経営陣の間に溝が空いていると、「希望が通らない」「不満をいいにくい」と思われるようになっていきます。その結果、会社への信頼を薄めていったらヘッドハンティングに反応してしまう可能性が大です。また、上層部とのコミュニケーションが活発な職場なら自然と思い入れを抱いてくれやすくなるでしょう。そして、「研修制度や能力開発」のチャンスを与えることです。キャリア志向の強い社員ほど転職願望を抱きやすいものです。特に、「この会社では満たされない」と感じてしまったら移籍を引き留められません。社員が「ここでも夢を叶えられる」と思える組織を築いていけば、社員もヘッドハンティングを気にしなくなる可能性は高いでしょう。

優秀な人材が残りたいと思う企業にしよう

人材紹介会社の数が増え、優秀な人材の情報があふれている時代ではヘッドハンティングの起こる確率も上がっています。ヘッドハンティングを防止するための対策はしっかり立てておきましょう。そのうえで、他社から条件を提示されても社員の心が揺るがないような環境は整えられるはずです。優秀な人材ほど残りたいと考えてくれる組織づくりを目指しましょう。

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