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2022.4.18

【記入例付き】ジョブカードとは?活用方法から書き方まで紹介

キャリアプランニングや就職活動に役立つツールとして厚生労働省が推奨しているのがジョブカード制度です。とはいえ、名前を聞いたことはあってもどのようなものなのか、職務務経歴書や履歴書の違いは何か、どのように活用されるのかなどは詳しく知らない人も多いのではないでしょうか。そこで、本記事ではジョブカードの概要や活用方法、記入例などについて詳しく説明します。

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ジョブカードとは?

ジョブカードとは、厚生労働省が推奨するジョブカード制度で使用する一連の書類を指します。キャリアプラン作成や職業能力の証明として作成され、主に雇用型訓練や職業訓練に参加する際の応募書類として利用されています。

ジョブカード制度は、正社員経験があまりない人を対象に就職やキャリア形成をサポートする人材支援策の一環として2008年に始まりました。いわゆる就職氷河期世代に対する雇用対策である「職業能力形成プログラム」に参加、活用するために打ち出されたのです。2015年には「新ジョブカード制度」として見直しが行われ、求職者にかぎらず在職者や学生など、誰でも作成・活用できるものとなりました。

なお、「ジョブカード」といっても1枚のカードではありません。「キャリア・プランシート」「職務経歴シート」「職業能力証明シート」の3つの様式で1セットです。ハローワークのほか、「ジョブカード制度総合サイト」からダウンロードして印刷することで入手できます。

ジョブカードの活用方法は?

ジョブカードは、在職者、求職者、企業の採用担当者のそれぞれが立場によって異なる方法で活用することが可能です。ジョブカードに記入する項目は、単に学歴や職歴、資格といった基本的な事柄だけではありません。大事にしたい価値観や興味・関心を持っていること、自身が思う強みや弱みを克服するためにしている努力、今後してみたい仕事や業務で達成したいことなど、非常に事細かです。そのため、在職者はジョブカードを記入する過程において自分自身の考え方と向かい合うことになります。それを可視化することで「自分に必要な能力はこれだ」「やりたいことを実現するため○○の仕事に取りくんでみよう」というように、新たな視点を持つことが可能になるのです。

企業が採用活動を行う際は、履歴書や職務経歴書に追加する資料となり、求職者のより詳しい情報を手に入れられます。ここでいう職業能力とは、実務に活かせる経験や業務を通して習得したスキル、業界に関するさまざまな知見といったものです。求職者が希望する仕事も明確に記載されているため、採用後のミスマッチを防ぐのにも役立つでしょう。また、社員に作成させることでもいくつものメリットが得られます。

たとえば、社員が改めて自分の仕事やキャリアについて考えることでモチベーションがアップし、離職率の低下や企業全体の活性化につながります。社員が作成したジョブカードの内容を参考にすることで、企業は個々の能力に合わせた細やかな教育の実施が可能になるでしょう。さらに、社員それぞれのキャリアプランニングを行う際にも資料として役立ちます。

なお、ジョブカードはもともとハローワークが行う職業訓練を受ける際に提出する書類です。求職者はジョブカードを作成することで職業訓練を受けられ、必要な能力を身につけられる大きなメリットがあります。また、中途採用の選考を通過するためにはうまく自己PRすることが欠かせません。ジョブカードを作成することで自分がどういう人間かわかるため自己PRしやすくなり、効果的な選考対策にもなるでしょう。志望企業を選ぶ際にも、自分に合った会社を適切に判断できるようになります。

ジョブカードってどうやって作成するの?

ジョブカードは、厚生労働省の「ジョブカード制度総合サイト」から作成できます。次の3つから選べるため、使いやすい方法で作成しましょう。

  • ジョブカード作成支援WEB/ソフトウエアを使用
  • PDFを印刷し手書きで作成
  • Excelを使って作成

ジョブカード作成支援WEB/ソフトウエアで作成するときは、ジョブカード制度総合サイトの右上にある「ジョブカード作成支援WEBはこちら」「ジョブカード作成支援ソフトウェアはこちら」のどちらかを選んでクリックしましょう。ソフトウェアを使うときはインストールが必要です。どちらを選んでも、直接入力することもフォーマットを印刷して手書きで記入することもできます。サポート機能があるため、スムーズに作成できるでしょう。

PDF様式でフォーマットのみ印刷し、手書きで作成することもできます。手書きでじっくり書きたい人やパソコン操作が苦手な人、自宅にパソコンやプリンタがない人がジョブカードを作成するときは、この方法がおすすめです。パソコンやプリンタがない人は、役所などの公共の施設にある共用パソコンで印刷して持ち帰ると良いでしょう。キャリア・プランシートには「就業経験がある人」と「就業経験がない人・学卒者」の2種類があるため、自分に合うほうを選びます。「求職者(職歴が長い、若年層)」や「求職者(職歴が短い、若年層)」などさまざまなパターンの記入例が12種類用意されていますので、自分の状況に合うものを選ぶと参考になるでしょう。

Excelで作成することも可能です。特別なソフトのインストールは不要で、ジョブカード制度総合サイトからExcel様式を選んでダウンロードして使います。Excelはほかの様式に比べて自由度が高く、書くことがなく不要だと判断した項目は削除したりほかのジョブカードに書いた内容の補足や企業にアピールする項目に変えたりと、アレンジしやすいです。

ジョブカードの記入例と書き方は?

先に説明したとおり、ジョブカードには職業能力証明シート、職務経歴シート、キャリア・プランシートの3種類があり、いずれも記入する項目・量ともに多いです。実際にジョブカードを作成しようと思っても、何を意識してどのように記入すれば良いのかよくわからない人もいるでしょう。そこで、本段落ではジョブカードのそれぞれのシートの書き方について、記入例を含めて解説します。

職業能力証明シート

職業能力証明シートには「免許・資格シート」「学習歴・訓練歴シート」「訓練成果・実務成果シート」の3種類があります。このうち、免許・資格シートに記入するのは以下の項目です。

【免許・資格シートの記載項目】

  • 保有する免許や資格の名称、取得時期
  • 実施・認定機関の名称
  • 資格・免許の内容

保有している免許や資格のうち、業務に関わるものはすべて記入しましょう。資格名や実施・認定機関名は略称を使っていることも多いため、正しく記入することが大切です。資格証明書を確認するかインターネットで調べるかして正式名称を書きましょう。

免許も資格も持っていない人でも、受験する予定の免許や資格があり具体的な試験日も決まっているのであれば、取得前でも記載できます。一時期は保有していたもののすでに失効したもの、一次試験のみ合格しているものなどがあれば、それらも書いて構いません。ただし、「免許・資格の内容等」欄にその旨をきちんと明記しておきましょう。

  • 最終学歴が中学校:中学校から
  • 最終学歴が高校以上:高校から

なお、中退した場合は、期間や機関名を記入したうえで内容欄に「経済的理由により途中で退学」などと理由を書き添えておきましょう。高校や大学、専門学校だけでなくハローワークの公共職業訓練などの受講歴も記入できます。内容は、受けた教育や訓練が現在の職業観にどのような影響を与えたかをメインに書くことが大切です。

訓練成果・実務成果シートは、企業で実習やOJTを実施した際の成果や実務経験に対する評価などを記入するもので、評価者が作成します。記入項目は職務内容、職務遂行のための基本的能力、技能・技術に関する能力です。

職務経歴書・エントリーシート

職務経歴書には以下の内容を記載します。

【職務経歴書の記載項目】

  • 基本情報(氏名や連絡先など)
  • 志望動機
  • 職務経歴(期間や会社名・所属・職名、職務の内容、職務の中で学んだこと・得られた知識・能力・スキルなど)
  • 免許・資格の内容(免許・資格の名称、取得時期、実施・認定機関の名称、内容)
  • 学習歴・職業訓練の内容(入学と卒業の年月日、学校・訓練期間の名前、内容)
  • 活かせる知識、能力、スキルなど
  • 自己PR

いずれの項目も、キャリア・プランシートや職業能力証明シートに書いた内容を転記できます。

エントリーシートに記載する事項は以下のとおりです。

【エントリーシートの記載項目】

  • 学歴
  • 学校の課程のなかで関心を持って取り組んでいること
  • 課程以外で取り組んでいること(サークルやボランティア活動、インターンシップなど)

就職活動で必要な情報を記入するシートです。こちらも、キャリア・プランシートや職務能力証明シートに書いた内容を転記できます。

キャリア・プランシート(就業経験あり)

就業経験がある人のキャリア・プランシートに記載する項目は以下のとおりです。

【キャリア・プランシート(就業経験あり)】

  • 基本情報(氏名や連絡先)
  • 価値観、興味、関心事項
  • 強み

価値観、興味、関心事項の欄には、主に業務に関して大事にしたい価値観について記入します。たとえば、「これまで培ってきた英語力が活かせる環境で働き、専門性を高めたい」といった内容です。強みの欄は、自分の強みと思うもの、また弱みを克服するために努力していることを記入しましょう。たとえば、「ビジネス英語を向上させるため、週に1度外国人講師のプライベートレッスンを受けている」のように書きます。

将来取り組みたい仕事の欄に記入するのは、これから経験したいと考えている仕事や働き方です。例として「英語力を活かし、外国人観光客が快適に過ごせるようなおもてなしができるよう、接客部門で働きたい」といった書き方が挙げられます。これから取り組むことの欄は、業務を続けるにあたって向上したり習得したりすべきと考えるスキルやその方法を記入するものです。たとえば、「ホテル業界への理解を深めるため、さまざまな部門を経験したい」などとなります。

キャリア・プランシート(就業経験なし・学卒者)

就業経験がない人や学卒者のキャリア・プランシートの主な記入項目は以下のとおりです。

【キャリア・プランシート(就業経験なし・学卒者)の記載項目】

  • 基本情報(氏名や連絡先など)
  • 学校の課程で関心を持って取り組んだこと・取り組んでいること
  • 学校のキャリア教育で実施される科目・プログラム、インターンシップ(正課)への参加や取り組みの状況
  • 学校の課程以外で学んだ学習歴
  • 社会体験そのほかの活動(サークル、ボランティア活動、正課外のインターンシップ、アルバイトなど)

基本情報はすべて正式名称で記入しましょう。

また、上記以外に価値観、興味、関心事項や強みなど、就業経験ありのキャリア・プランシートと同様の項目も記入する必要があります。厚生労働省のジョブカード制度総合サイトに詳細な記入例があるため、参考にすると良いでしょう。

自身のキャリアを見直すためにも作成を検討しよう

ジョブカードについて理解できたでしょうか。ジョブカードは活用の仕方次第で企業にとって大変有効なものとなります。たとえば、選考の段階で求職者の能力やビジョンがしっかり把握できるため、有能な人材の採用につながるでしょう。従業員もキャリアの目標をもったり理解を深めたりでき、モチベーションの向上につながります。作成には手間と時間がかかりますが、キャリアを見直すため作成を検討してみてはいかがでしょうか。

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