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2020.6.26

【完全版】法定休日とは?所定休日との違いや正しい運用方法を徹底解説!

会社の休みには実にさまざまな種類がありますが、それぞれの違いをきちんと把握できていないと過剰に賃金を支払ってしまう可能性があるでしょう。また、未払いになってしまうケースもあるかもしれません。休日の違いを正しく把握することは適切な勤怠管理に必要不可欠です。ここでは、法定休日をはじめとした会社の休日の種類や運用方法について紹介します。

法定休日とは①【定義】

会社の休日のなかで、最も多いのが法定休日です。法定休日は労働基準法で定められた、労働者に与えなければならない休日のことをいいます。事業規模や業種に関係なく、全ての企業において最低限設定しなければならない休日です。原則は週休制ですが、労働基準法における「最低でも週1回または4週間に4回以上」という回数を守っていれば、どの日に休日を設けても問題はありません。労働基準法に従い、就業規則にも定められている場合には、各企業が自由に設定をしてもいいとされています。
ただし、労働基準法で定められている法定休日の日数というのは、最低基準としての規定です。すなわち、この条件よりも少ない休日の付与は禁止されています。休日に労働をさせることも可能ですが、その場合でも労働者ごとに別の法定休日を設けなければいけません。さらに、休日労働をさせる場合には36協定を締結する必要がありますので、十分に注意しましょう。

法定休日とは②【所定休日(法定外休日)との違い】

法定休日についての理解を深めていくと、所定休日という言葉も出てきます。所定休日は法定外休日と呼ばれることもある休日で、会社が任意で定めることが可能です。法定休日は労働基準法で定められている休日ですが、所定休日は労働基準法での付与は義務付けられていません。したがって、法定休日とは別物のものとして考えられ、法定休日としてカウントされないのです。また、所定休日は、労働基準法の法定労働時間をクリアする目的で設けられることもあります。例を挙げると1日8時間労働で週5日勤務すると、労働基準法で定められている週40時間に達するでしょう。この場合、残りの2日が休日に該当します。ただし、2日の休日のうち1日は法定休日ですが、もう1日は法定外休日となるのです。
労働基準法では、週に1回または4週に4回の休日を与えれば最低のラインがクリアできます。そのため、残りの1日を法定外休日として法定休日と労働時間上限の差を埋めているということです。多くの企業で週休2日が取り入れられるようになり、一般化されたことで、法定休日と法定外休日の線引きが曖昧になっているケースは多いといえるでしょう。法定休日と法定外休日について就業規則に明記していない会社も増えています。しかし、休日出勤をした場合の給与計算時には、この2つが明確にされている必要がありますので注意しましょう。法定休日と法定外休日の給与計算については後の段落で説明します。法定休日と同じく、休日労働をさせる場合には36協定の締結も必須です。

法定休日とは【休暇との違い】

法定休日と休暇を同じと考える人もみられますが、この2つにも違いはあります。最も大きな違いとなるのが、労働義務の有無です。休日は、労働契約において労働者が労働の義務を一切負わない日とされています。一方、休暇は本来労働義務があるにもかかわらず、その義務が免除された日です。ただし、休暇にも法定休暇と法定外休暇があります。法定休暇として知られているのに年次有給休暇が挙げられるでしょう。また、時間外労働に関する代替休暇も法定休暇の1つです。さらに、育児休暇も法定休暇に含まれ、労働者の権利として法律で規定されています。
企業は労働者から法定休暇を請求された場合、原則として付与しなければなりません。
法定外休暇には、傷病休暇や慶弔休暇、夏季休暇などが挙げられます。これらは、会社が任意で設定できる休暇です。法律では規定されていないため、会社によっては設けていないケースもみられます。休暇中の賃金の支払いに関しても法律では義務付けられていません。したがって、会社で任意で決められるのが特徴です。しかしながら、年次有給休暇や時間外労働に関する代替休暇は例外で、有給として扱う必要があります。

休日を区別すべき理由!割増賃金について

労働者にとって法定休日も法定外休日も、休日であることに変わりはないでしょう。しかし、休日は法定休日と法定外休日に明確に区別されています。なぜなら、割増賃金を計算する際には、法定休日と法定外休日を分けておく必要があるからです。法定休日のあり方は実に柔軟で、週1回または月に4回という回数を守れば企業が独自に設定できます。しかしながら、割増賃金の計算上、どの日を法定休日・法定外休日とするのかはあらかじめ定めておくとムーズです。
労働者を休日に勤務させると割増賃金の支払いが発生しますが、休日の種類によって割増率が異なります。割増率は労働基準法に明記されており、企業は法定休日と法定外休日を明確にし、労働基準法に従った正しい割増率で割増賃金を支払わなければなりません。法定休日に出勤した場合の割増率は1.35であり、法定外休日出勤であれば1.00または1.25です。法定休日の割増率のほうが高くなりますので、法定休日には多くの割増賃金を支払う必要があります。法定休日の特定は必ずしもしなければならないわけではありません。とはいえ、法定休日を明確にしておくことで割増賃金に関するトラブルが未然に防げるでしょう。行政当局も法定休日の特定を推奨していますので、前もって決めておくと安心です。

振替休日・代休の違いと扱い方①

労働者の休日を考えていくと、休日出勤や振替休日、代休なども出てきます。先ほどの段落でも説明した通り、労働者が休日に勤務すると割増賃金を支払わなければいけません。また、時間外労働と休日労働の合計は1年を通して常に月100時間未満と定められています。さらに、2~6カ月の労働時間の平均を月に80時間以内にする必要もあるのです。
代休は休日に労働した後、別の日に休むことをいいます。休日に出勤した代わりとして、勤務日の勤務免除が認められた休日です。一方の振替休日は、ほかの勤務日とあらかじめ交換した休日をいいます。労働日と休日が前もって振替られていますので、休日に出勤していても休日労働にはなりません。ただし、振替休日については、あらかじめ就業規則に明記しておく必要があります。振替休日を実施するには、振替休日と労働日を特定し、労働者に事前に通知しなければなりません。振替休日の有効期限は2年と定められていますが、労働日とできるだけ近い日程での設定が推奨されています。遅くても3カ月以内には振替休日を付与するようにしましょう。

振替休日・代休の違いと扱い方②

代休と振替休日はどのように運用すべきなのでしょうか。代休は先述した通り、事後報告で行われます。休日に出勤した後に休みを設けるものであり、勤務日の勤務が免除されるものです。代休として休みが与えられていますが、休日に出勤したことに変わりはなく、割増賃金が発生します。法定休日の場合には35%、法定休日に労働したケースでは25%の割増賃金を支払う必要があるのです。
振替休日は、先ほども説明した通り、労働者に事前報告が行われます。休日と勤務日を交換するという考えかたのため、休日出勤であっても割増賃金は発生しないのが特徴です。したがって、休日労働が予想されるのであれば、あらかじめ振替休日を提案しておくのがよいでしょう。ただし、月60時間をこえる法定時間外労働時間の場合には、会社は割増率50%以上という割増賃金を支払う義務があります。また、勤務日の振替が週をこえた場合には週40時間という勤務時間をオーバーしてしまうことも考えられるでしょう。このケースでは、時間外手当として超過分に割増賃金を支払わなければなりません。そのほか、社員の健康確保の目的で代替休暇を与えることも可能です。

法定休日の運用①【設定の基本】

法定休日が定められているとさまざまなトラブルが防げます。そのため、あらかじめ法定休日を設定しておくのがよいでしょう。法定休日を設定するには、労使協定書の届け出が必要です。その後、就業規則に労使協定書に基づいた法定休日の労働があることを規定します。就業規則には、社員は正当な理由がある場合を除き、それを拒めないことなども規定しておきましょう。労使協定書の届けを出し、就業規則にも規定しておくと、社員に法定休日の出勤が命じられるようになるのです。個人的な理由から出勤しない社員には処罰も可能で、さまざまな効果が期待できます。
就業規則の基本的な文面は「第○条 休日は次の通りとする。(1)土曜日、(2)日曜日、(3)国民の祝日、(4)その他会社が指定する日、法定休日は毎週日曜日とする(1週間は月曜日から日曜日までとする)」などがよいでしょう。どの日を休日にするのかといった定義を明確にし、法定休日を特定しておくことが重要です。さらに、1週間の起算日も記載しますが、シフト勤務の場合にはシフト表における各週の最後の休日を法定休日としましょう。また、シフト表で法定休日を指定するのも1つの方法です。法定休日を新たに特定した場合や変更したときには、労働者に通知しなければなりません。変更点などをしっかりと伝え、新たな規定の周知を徹底するようにしましょう。そうすることで、労使間のトラブルが未然に防げます。
法定休日を設定する際にはこれから紹介する8つのポイントに注意することも肝心です。
1つ目は、毎週1日または4週4日を休日とすることでしょう。4週4日で休日を規定するケースでは、4週間の起算日も規定しておくことが2つ目のポイントです。3つ目は1週間の起算日です。規定がない場合には日曜日となりますが、就業規則で規定しておくようにします。4つ目に挙げられるのがいつ休日を設定するのかという点です。休日は0時から24時間までの1日を確保できるように設定しなければなりません。これは、継続24時間の休息でも可能ですので、しっかりと検討して設定しましょう。
5つ目は法定休日の特定です。これは必須ではないものの、できるだけ特定しておくとトラブル回避につながります。6つ目となるのが国民の休日です。国民の休日は必ず休日にしなければならない日ではありません。したがって、この日を勤務日としても問題はないのです。7つ目は法定休日と所定休日の区分。これは社内で明確にしておくのが安心です。最後の8つ目には、36協定の締結が挙げられるでしょう。法定休日の勤務に関して36協定の締結は必須ですので押さえておかなければなりません。

法定休日の運用②【設定例】

休日の設定は労働時間と休日に関する原則に基づいて行うのが基本です。ただ、会社によっては週5日勤務や週6日勤務など、それぞれにスタイルが異なるでしょう。そこで、週5日勤務と週6日勤務の場合の法定休日の設定について例を挙げて説明していきます。まず、労働時間は1日8時間、週40時間です。この原則に基づいて考えると、週5勤務の会社では月曜日から金曜日までの勤務時間を8時間とし、土日を休日とするのがよいでしょう。そうすることで、1日8時間勤務すると5日間で40時間となります。実際に土日を休日としている企業は多く、一般的な休日の設定方法だといえるでしょう。週6日勤務の場合には、1日の勤務時間を短く設定します。月曜日から土曜日までの1日の勤務時間を6時間40分としておくと、日曜日だけが休日でも労働基準法のクリアが可能です。

法定休日の運用③【計算方法】

法定休日に休日労働した場合には割増賃金を支払わなければなりません。ただし、割増賃金の計算方法は、法定休日を定めているか否かによって異なります。週休2日制を導入しているにもかかわらず、法定休日が定められていない会社で土曜日と日曜日に休日出勤した場合には、週の労働時間が40時間に達してしまうケースが多いでしょう。この場合、週40時間に達するまでの労働時間は通常の賃金として考えられています。週40時間をこえた分の労働時間は時間外労働となり、25%増しの割増賃金で計算するのです。
法定休日が定められている会社でその休日の前日から徹夜で働いた場合には、労働時間に対して100%の賃金を支払う必要があります。ただし、前日の8時間労働が時間外労働には該当しないという前提です。また、18時から22時までの間は時間外労働となるため、賃金の125%で計算しましょう。22時からは深夜時間帯ですので、125%に25%を加算した150%で計算します。さらに、暦日では0時から休日となり、0時をこえると休日労働です。したがって、休日労働の35%に深夜時間帯の25%を加えた160%となります。このように、法定休日が定められていた場合でも、時間帯で割増率が変わるため、十分な注意が求められるのです。

休日の種類を正確に把握して勤怠管理をしよう!

会社の休日の種類は非常にたくさんありますが、どれも同じだと考えてはいけません。それぞれの違いについて正しく把握することで、正確な勤怠管理が実施できるようになるのです。休日について正確に理解していない場合には、割増手当の未払いなどが生じてしまい、労働者との間でトラブルが発生してしまうこともあるでしょう。そのようなことが起こらないようにするためにも、休日の種類と労働基準法を正しく知ることが大切です。

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