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2022.7.5

アニバーサリー休暇とは?導入事例から導入することのメリットまで解説!

官民問わず働き方改革が進められる中、休暇制度の見直しは各企業にとって必須の課題となっています。アニバーサリー休暇という制度も、そうした見直し策の一環として、多くの企業で導入が進められている新しい休暇制度のひとつです。それでは、アニバーサリー休暇とは、具体的にどういった種類の制度なのでしょうか。ここでは、アニバーサリー休暇の基本情報を始め、その導入事例から導入することのメリットまで詳しく解説します。

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アニバーサリー休暇とは?

アニバーサリー休暇とは、従業員それぞれが会社のカレンダーに記念日を設定できる制度のことです。記念日として設定された日は、有給として特別に付与された一日となります。記念日の定義は一律ではありませんが、多くの企業では、記念日の設定権を従業員の裁量に委ねています。そのため、従業員は自分の好きな日付を記念日にでき、大切な誰かの誕生日を記念日にすることもできれば、大きなプロジェクトが成功した日を記念日として設定することなども可能です。

いつも仕事を頑張っているご褒美として、ある一日を記念日に決めて休暇を取るという人もいます。このように、アニバーサリー休暇は従業員の希望に合わせて休日が取れるという有給休暇制度のひとつです。また、企業によっては、アニバーサリー休暇の取得者に対して特別な手当を支給しているところもあり、従来の有給休暇に比べて従業員が、より休暇申請しやすい制度となっています。

アニバーサリー休暇普及の背景

アニバーサリー休暇制度は、さまざまな企業で導入が進められている新しい有給休暇制度です。もちろん、有給休暇自体は、どの企業でも既に制度を導入しており、アニバーサリー休暇制度をわざわざ設けなくても、従業員は自由に有給を申請して休暇を取れるようになっています。しかし、一般的には実際の年次有給休暇の取得率は決して高いものではありません。有給取得は労働者に与えられた当然の権利である一方、実際の職場では有給を取りにくい雰囲気が蔓延していることも多く、有給を申請したくてもなかなか申請できないという実情があるのです。

こうした背景は政府でも既に認知しているところであり、厚生労働省は2020年の年次有給休暇の取得目標を70%に設定して、有給の取得を各方面に呼びかけましたが、その数字は改善していません。特に日本の企業では、職場の空気や雰囲気が重んじられる傾向にあります。その結果、自分が有給を取得することでチームに迷惑をかけるのではないか、またプロジェクトの進捗に影響を与えてしまうのではないかと考える人も少なくありません。年次有給休暇取得率がなかなか改善しないのも、職場の雰囲気や他の社員を気にするあまりといった、会社への過剰な気遣いが原因になっているのではと考えられています。

アニバーサリー休暇は、このような有給休暇取得へのためらいを払拭するきっかけになるのではないかと期待されて普及した制度です。有給を取ることが悪いことだと考えがちな日本の社会にとって、有給休暇を取りやすい雰囲気づくりはやはり欠かせないものだといえます。アニバーサリー休暇は、「有給」ではなく「記念日」として休みを申請する制度です。この考え方では、有給取得は悪いことではなく、記念日やご褒美としてむしろ良いイベントとしてとらえられます。なぜ休みを取るのか職場にも周知しやすいため、有給を取りやすい雰囲気づくりに大きく役立つ制度なのです。

アニバーサリー休暇の導入事例

アニバーサリー休暇は既に各企業で導入が進められています。たとえば、玩具メーカーとして知られる株式会社タカラトミーでは、アニバーサリー休暇制度の導入において他企業より一歩進んだ取り組みを実践しています。従業員自身の誕生日はもちろん、誕生日や記念日と名の付くものならどのような日でも年に1日はアニバーサリー休暇として設定できるのがタカラトミーの特徴です。また、5日間連続で休みを取れるリフレッシュ休暇という制度もあり、同社はアニバーサリー休暇以外の休暇制度も充実している会社だといえます。

タカラトミーの他にも、独自のアニバーサリー休暇を取り入れている企業は少なくありません。そのひとつとして挙げられるのが、人材派遣や転職支援を手掛けるリクルートキャリアです。同社は人材の発掘や支援を生業としているだけに、「人」という存在を資源としてとらえて何よりも重視しています。それは顧客だけではなく、自社の社員に対しても例外ではありません。そのため、人材の育成や社内体制の整備にも余念がなく、アニバーサリー休暇もかなり充実した制度となっています。リクルートキャリアのアニバーサリー休暇は、年に1回、4日連続して休暇取得ができる点に大きな特徴があります。しかも、休暇手当として6万円が支給され、従業員が充実した休日を送れるようにサポートしてくれる点もポイントです。

その他、アサヒビールやソフトバンクも独自のアニバーサリー休暇を導入している企業です。アサヒビールでは既に1996年から「メモリアル休暇」という制度を実施しており、結婚記念日や子どもの入学、家族の誕生日として年に2日、事業所によっては年に3日の有給休暇を取得できます。ソフトバンクにも、年1回1日、誕生日や記念日をアニバーサリー休暇として申請できる制度があります。また、配偶者出産休暇やリフレッシュ休暇、ボランティア活動休暇など、他の休暇制度が充実している点も同社の特徴です。

アニバーサリー休暇導入のメリットとは?

アニバーサリー休暇は、実態としては普通の有給休暇と大きな違いはありません。しかし、この休暇制度には、単なる有給休暇とは違う独自のメリットがあります。それでは、実際にどのようなメリットがあるのでしょうか。以下、具体的に見ていきます。

従業員のモチベーションアップ

従業員によっては、有給休暇を取得することに抵抗がある人も少なくありません。アニバーサリー休暇は、誕生日や記念日という個人的な理由で休みを取る制度です。これは企業側の働きかけで、記念日を理由として休んでも良いことを奨励する制度です。それは同時に、記念日は休むものだという認識を周知することでもあります。本来なら取得しづらい有給休暇も、記念日は休むものだという認識が社内で共通のものになっていけば、従業員もストレスなく休暇申請ができます。

取得時のストレスが軽減されれば、従業員は趣旨に沿って休みを取れるようになるでしょう。休暇を用いたリフレッシュも可能となります。従業員のパフォーマンスには仕事のモチベーションも大きく関係しているので、休暇を利用することで従業員のリフレッシュができれば、結果として従業員のパフォーマンスや生産性を向上させることにもつながります。それは企業にとっても大きなメリット。このことからいっても、アニバーサリー休暇の導入は、従業員と企業双方にメリットのある制度なのです。

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有給取得率の改善

アニバーサリー休暇導入の最大のメリットは、有給取得率の改善にあります。アニバーサリー休暇自体、そもそも取得率を上げるきっかけとして普及した制度です。もちろん、ただ導入するだけでは改善も難しいですが、従業員の目線に即した制度導入を実現できれば、年次有給取得率の向上にも大きく貢献してくれるでしょう。

有給取得率の改善は、決して従業員のためだけにするものではありません。有給消化率が上がれば、従業員の働くモチベーションが向上するだけではなく、仕事が辛くなって辞めてしまう人を減らす効果なども期待できます。また、休暇取得の際は業務スケジュールを調整したり、業務の引継ぎをしたりといった必要も生じるでしょう。アニバーサリー休暇の導入には、こうした業務を従業員自身に課すことで、ビジネススキルの向上につなげるという狙いもあります。

採用時のアピールポイント

新卒の就活生や転職希望者の中には、会社の福利厚生や休暇制度に注目して企業を選んでいるという人も決して少なくありません。特に長時間労働が社会問題化する中で、ワークライフバランスという言葉も各世代に浸透してきています。有給取得率が気になるという学生も多いため、福利厚生や休暇制度の充実は、就活生や転職希望者に向けた大きなアピールポイントのひとつになり得ます。福利厚生が整っていることはもちろん、有給申請しやすい環境が整備されていることは、就活生や転職希望者にとっても大きなプラスです。

特に人材不足が深刻化している業界では、福利厚生や休暇制度の不備によって、優秀な人材を逃してしまうようなことは何としても避けたいところでしょう。アニバーサリー休暇といった従業員のための制度の充実は、採用活動の幅を広げるという意味でも大いにメリットのある取り組みです。

導入時のポイント

アニバーサリー休暇を新しく導入する際は、休暇の扱いを決めたり、就業規則を変更したりなど、あらかじめ導入の体制をしっかり整えておかなければなりません。ここでは、アニバーサリー休暇導入時のポイントについて解説します。

休暇の扱いを決める

アニバーサリー休暇は法定休暇ではなく、会社が独自に定める休暇です。そのため、アニバーサリー休暇を有給にするか無給にするかは、会社側が自由に決めて良いことになっています。実際、アニバーサリー休暇のような法定休暇ではない休暇に関しては、一律で無給休暇にしている企業も少なくありません。ただ、無給休暇となれば、取得した休暇分は欠勤として扱われるため、従業員にとっては休暇を取得するメリットが少なくなってしまいます。その結果、せっかくアニバーサリー休暇を導入しても、その最大のメリットである有給休暇取得率の改善という効果が半減してしまう恐れもあります。

アニバーサリー休暇を導入するなら、会社側で有給か無給かを決めてしまうのではなく、従業員側ともしっかり対話をして意見を聞くことも大切です。基本的には従業員のために導入する制度であるため、制度を円滑に運用してもらうためにも、労働組合のある会社は労使で協議することが重要です。

就業規則の変更

アニバーサリー休暇の導入には、就業規則の変更も必須となります。記念日として制定できる日が無制限になってしまうと、アニバーサリー休暇の実態が薄れ、制度を適切に運用できなくなってしまう場合もあります。誕生日や結婚記念日など、どのような日であれば記念日として設定できるのか就業規則で明確化しておきましょう。

また、アニバーサリー休暇は通常の有給休暇とは一線を画す休暇制度です。そのため、取得や申請をするタイミングについても就業規則への記載が必要です。記念日の日付に対してだけしか休暇が設定できないとなると、場合によっては休暇を取得できない従業員も出てきます。ですから、当日だけではなく記念日の前後数日なら取得できるようにしておくなど、ある程度柔軟な規則にしておけば制度の運用もうまくできるようになるでしょう。

労働環境の改善をしましょう

アニバーサリー休暇は、今までの有給休暇制度を根本から変えなければいけないものではありません。休暇の扱いや就業規則の変更をすれば、どのような企業でも明日から取り入れられるでしょう。アニバーサリー休暇を導入すれば、有給取休暇得率の改善や従業員のモチベーションアップといった効果も期待できます。社員の労働環境を整えて、よりよい会社を目指すためにも、ぜひアニバーサリー休暇の導入を検討しましょう。

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