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2024.9.24

モラハラ(モラルハラスメント)とは?職場での具体例や企業に与える影響・対策など詳しく解説 


こんにちは!働きがいを応援するメディア「ピポラボ」を運営するサイダス編集部です。

みなさんは「モラハラ」や「モラルハラスメント」という言葉を耳にしたことはありますか? 

「モラハラ(モラルハラスメント)」とは、言葉や態度によって、相手の心を傷つけたり、精神的に追い詰めたりする行為を指します。モラハラは、家庭内だけではなく、職場でも起こり得る問題であり、暴言や無視のような分かりやすい攻撃とは異なり、巧妙で陰湿なため、被害者は自分がモラルハラスメントを受けていることに気づかないケースも少なくありません。 

また、職場でのモラハラは、生産性の低下や離職に繋がる恐れがあるため、徹底的な対策が必要となります。 本記事では、モラハラの定義、職場における具体的な例、企業に与える影響、そして具体的な対策について詳しく解説していきます。 

モラハラ(モラルハラスメント)とは 

モラハラ(モラルハラスメント)とは、相手が嫌がる言動や行動などによって、精神的に追い詰めることを意味します。「モラル(道徳や倫理)」と「ハラスメント(嫌がらせ)」を組み合わせた言葉で、モラハラと省略されることもあります。モラハラは叱責や暴力を受けるのとは違い、言動や行動などで行う「見えない暴力」のため、周囲が気付きにくいケースがほとんどです。気付いたときには、被害者は大きなストレスを抱えてうつ状態になっていることも少なくありません。 

フランスの精神科医であるイルゴイエンヌによる定義

フランスの精神科医であるイルゴイエンヌは、モラハラの定義を「言葉や態度によって相手の心を傷つける精神的な暴力」と提唱しています。モラハラという「目に見えない暴力」は、被害者の心身の健康に悪影響を与え、うつ状態のスパイラルへと陥らせ、ひどい場合は自殺に追い込むとして危険視されているのです。 

また、イルゴイエンヌ氏が提唱するモラハラの範囲は、職場だけではなく、家庭などあらゆる日常生活に潜んでいるとされています。イルゴイエンヌ氏は精神科医としてこの問題に早くから取り組み、時に被害者を自殺にまで追い込むこれらの精神的暴力は、肉体的な暴力よりも深刻であり、犯罪行為であると述べています。

パワハラ(パワーハラスメント)との違い 

「モラハラ (モラルハラスメント)」と「パワハラ (パワーハラスメント)」は、全く別物ではありませんが、加害者の特徴やハラスメントの手法に違いがあります。厚生労働省では、職場におけるパワハラを以下のように定義しています。 

「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、その雇用する労働者の就業環境が害されること」 

出典:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」 

しかし、上記すべての要素を満たした状態であっても、客観的判断により業務上必要で相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については該当しないとされています。

パワハラは上司や先輩といった立場を利用し、大声で叱責したり暴力を振るったりする一方で、モラハラは精神的な苦痛を与える言動や行動をとります。したがって、パワハラよりも周囲に気付かれにくいケースが少なくありません。

また、パワハラは職場における嫌がらせ行為に限定されますが、モラハラは家庭や交友関係にまで当てはまるため、対象範囲の広さも異なる点です。 

パワハラ(パワーハラスメント) モラハラ(モラルハラスメント) 
ハラスメントをする人権力的に上の立場に位置する人 同僚・上司・部下など
さまざまな立場の人 
該当する行為 直接的な暴言や暴力 陰湿な嫌がらせ 
対象範囲 職場 職場・家庭・交友関係 

▼ 職場で起こり得るハラスメントについては、こちらでも解説しています ▼ 
【最新】職場におけるハラスメントの種類一覧表。法律、リスク、予防策を抑えておこう 

職場におけるモラルハラスメントの具体例 

ここからは、職場におけるモラハラについて、具体例を踏まえながら見ていきます。モラハラは、皆さんが想像するよりも、加害者自身が「モラハラをしている」という認識がないケースが非常に多いです。 

そのため、知らず知らずのうちに加害者になっていたり、被害を受けていたりする可能性も否定できません。職場でモラハラが起きていないか、以下の具体例を通して、ぜひ一度チェックしてみてください。

発言や連絡を無視する

職場でのモラハラでは、発言や連絡を無視する行為が見られます。具体的には、「挨拶されても返さない」「話しかけられているのに返事をしない」といった無視や共有すべき情報をその人にだけ伝えていないなどです。 

発言や連絡を無視したことで、ほかの社員との関係性が切り離されることもあるでしょう。意図的に行っているのであれば、モラハラに該当します。 

否定的な言葉を投げつける 

「どうせできない」「バカ」といった否定的な言葉を投げつける言動は、モラハラに該当します。能力に限らず、人格や外見を否定する場合もあります。暴言や侮辱、嫌味などは、すべて相手を傷つける言動です。

また、本人がいないところで悪口をいったり、誹謗中傷したりする行為もモラハラに含まれます。

業務と関係ないことに干渉する

家庭内の事情や恋愛などプライベートな部分を暴こうとしたり侮辱したりする行為は、モラハラに該当します。業務を行ううえで、プライベートなことは関係ありません。終業後や休日の過ごし方に干渉したり、付き合いを強要したりすることもモラハラになり得るため注意が必要です。

場合によっては、コミュニケーションの一つとしてプライベートな内容に干渉してしまう人もいるでしょう。悪意がなくても精神的な負担につながれば、モラハラを受けたと思われる可能性があります。 

業務内容に関する嫌がらせをする

職場という環境を利用したモラハラのひとつに、営業妨害があります。具体的には、「一人では処理できない量の業務を押しつける」「簡単な仕事しか割り振らない」「必要な情報を共有しない」といったことです。

業務に直接的な影響を与えてしまったり、自身の評価が下がったりするため、被害者は大きなダメージを受けます。 

▼ 「自分のケースは本当にモラハラに該当するのか?」チェックリストはこちら ▼ 
チェックリストからわかる職場モラハラの判断基準 

モラルハラスメントの加害者になりやすいタイプとは 

モラハラの加害者になりやすい人には共通点があります。職場でのモラハラの防止・改善を図るため、加害者になりやすいタイプを把握しておきましょう。

モラハラの加害者になりやすいタイプは、自身が優位に立つことを強く求める人です。具体的には、以下のような特徴があります。 

【加害者になりやすいタイプ】 

・自信過剰もしくは自信がない 
・他人を支配したがる 
・自己愛が強い 
・モラハラやパワハラの元被害者 
・失敗を認めない(他人のせいにする) 

【加害者によく見られる言動】 

・「君は何もできない。もう少し努力しても良いじゃないか。」といった侮辱的な発言 
・「君には才能がない。それでみんなと同じ給料なの?」といった軽蔑的な発言 
・「これは、君の仕事だよ。嫌なら辞めれば?」といった責任転嫁な発言 

自分が優位に立つことを求めるあまり、他人を思い通りに操ろうと考えたり、自分の失敗を他人のせいにしたりする傾向があります。また、過去にモラハラの被害に遭ったことがあり、仕返ししてやろうという気持ちを持つことでモラハラの加害者になる可能性があります。

モラハラによる被害者の精神状態・行動の変化

モラハラの被害を受けることで、以下のような精神状態や行動に変化していきます。

【モラハラによる被害者の精神状態・行動の変化】 

・自己肯定感の低下 
・不安や抑うつ 
・不眠や食欲不振 
・人間不信 
・仕事への意欲低下 

モラハラの被害を受けた被害者は、「自分が全て悪いんだ。」「自分は価値のない人間なんだ。」など、何をしても楽しいと思えない、何をしても興味が湧かないといった無気力状態に陥ります。以前と比較して、周囲の人の表情が暗いと感じた時には、悩みを抱えていないか、モラハラの被害を受けていないかなどを確認してみるのも良いかもしれません。 

モラルハラスメントが企業に与える影響

職場でモラハラが発生すると、企業には次のような影響が及びます。モラハラ対策の重要性を知るためにも、必ず確認しておきたいポイントです。

① 生産性が下がる 
② 離職率が増加する 
③ 企業イメージが低下する 
④ 安全配慮義務違反となる 

① 生産性が下がる

モラハラが与える影響の一つに被害者の生産性の低下が挙げられます。日常的に無視されたり暴言を吐かれたりすることで、被害者は精神的に追い詰められて仕事へのモチベーション低下につながるでしょう。

モラハラによる職場環境の悪化が社員の意欲低下につながり、社員の意欲低下がさらに職場環境を悪化させるといった悪循環が起こり得ます。また、悪循環のなか社員が休みがちになると全体的な業務に遅れがでてしまうことも考えられます。

② 離職率が増加する

モラハラの被害者は、離職を考えるほど思い悩むことがあります。終身雇用が崩壊した今の時代、転職することは珍しくありません。モラハラを受けながら仕事するよりも、転職したほうがよいと考えるのも当然でしょう。

また、モラハラが日常的に行われている職場は、「雰囲気が悪い」「社員のなかに派閥がある」といった傾向が見られます。居心地が悪い職場では、社員は安心して働けません。仮に、モラハラの被害を受けていなくても、離職を考える社員は増える一方です。

③ 企業イメージが低下する

モラハラがあったことが世間に知れ渡れば、企業イメージは一気に低下します。「入社希望者が少なく人材不足に陥った」「自社製品・サービスが売れなくなった」「取引がなくなった」といった社会的制裁を受ける可能性があります。

モラハラを見逃せば、今まで築き上げてきた企業のイメージが崩れるため、大きな損失を生むことになり兼ねません。とくに、モラハラの事実を知りながら適切に対応しなかったことが明るみになれば、さらなる企業イメージの低下を招くことになります。 

④ 安全配慮義務違反となる

企業は社員の安全と健康を守るため、安全配慮義務を負っています。仮に、職場のモラハラに気付いていながら何の対処もせず放置すれば、安全配慮義務違反となります。損害賠償責任が問われる可能性があるため、世間に知られるきっかけにもなるでしょう。被害者から相談されたり、告発があったりした場合は速やかに対処することが重要です。 

企業にできるモラルハラスメント対策 

職場でのモラハラを許したり気付けなかったりすると、企業は大きな影響を受けることになります。社員一人ひとりが安心して働ける環境を整えることが重要です。

企業にできる主なモラハラ対策として有効なのは以下の4つです。 

① 相談窓口を設置する 
② ハラスメント研修を実施する 
③ 厚生労働省の指針を社員に周知する 
④ 罰則を設けて明示する 

それぞれ詳しく解説します。

① 相談窓口を設置する 

モラハラを受けた社員が相談できる窓口を社内に設置しましょう。相談窓口があることで、被害者は一人で抱え込まずに悩みを打ち明けやすくなります。企業にとっては早めに気付くことができるため、取り返しがつかなくなる前に対処できます。 

窓口で相談できる内容はモラハラだけでなく、仕事上の悩みや制度に関することなど、幅広く対応できるようにするのがポイントです。窓口の担当者が社内の人間の場合、話しにくいこともあるでしょう。その際は外部機関を利用して、相談しやすい環境を整えるのも方法の一つです。 

② ハラスメント研修を実施する 

モラハラを未然に防ぐためには、ハラスメント研修の実施が有効です。なぜなら、加害者自身がモラハラを行っている認識がないケースが多いからです。

どのような言動や行動がモラハラに該当するのかの具体例を挙げることで明確化できます。言動や行動に注意する社員が増えるため、モラハラを未然に防げます。

また、ハラスメント研修は外部講師に依頼するのがおすすめです。モラハラに詳しい知識を持つ専門家に相談できるため、効果的な研修を実施できます。定期的な研修を行い、企業全体でモラハラを防ぐ取り組みを示すことが大切です。 

③ 厚生労働省の指針を社員に周知する 

厚生労働省では、職場におけるハラスメントに関する指針をホームページにて公開しています。

職場で起こるハラスメントは、モラハラをはじめ、パワハラやセクハラ、妊娠・出産・育児休暇等に関するハラスメントなどさまざまです。そのため、どのようなことがハラスメントに当たるのかを社員が把握するために、厚生労働省の指針を社内に周知するのも方法の一つです。

また同時に、モラハラは侮辱罪や名誉毀損罪などにあたる可能性があることも周知しておくとより効果的です。 

出典: 厚生労働省|職場におけるハラスメント防止のために 

④ 罰則を設けて明示する 

モラハラを認めない厳しい態度を示すため、罰則を設けて明示するのも有効な方法です。罰則があることで抑止力につながるため、モラハラの発生率を抑えられます。加害者に対しては、「減給」「降格」「解雇」といった厳正な処分が下される可能性があることを就業規則などに明示しましょう。 

モラルハラスメントが起きてしまった場合の対処法

モラハラが起きた場合、次のような対処法を行いましょう。

① 加害者に事実確認を行う 
② 就業規則に基づき適正な措置を行う 
③ メンタルケア・職場環境回復などのフォローを行う 

適切に対処できるよう、しっかり押さえておきましょう。 

① 加害者に事実確認を行う 

モラハラが起きてしまったら、最初にやるべきことは事実確認です。被害者の了承を得たうえで、加害者や第三者を対象にヒアリングを実施し、事実確認を行います。「いつどこで発生したか」「どのようなモラハラが行われたのか」など詳しく確認します。

被害者と加害者の間で意見が食い違う場合は、複数の第三者から情報を収集します。メールや録音といった物的証拠がある場合は、提出してもらいましょう。なお、事実確認を行う社員は私情を挟まず中立な立場でいることが基本です。 

② 就業規則に基づき適正な措置を行う 

モラハラが発生した事実が明らかとなれば、就業規則に基づき措置をとります。措置の内容を検討する際は、過去の裁判例を参考にすることがほとんどです。また、社内にハラスメント対策委員が設けられている企業では、事実関係を再確認したうえで、措置を決定することもあります。

懲戒に値しない場合は被害者への謝罪や配置転換などの措置が講じられ、懲戒に値する場合は減給・出勤停止・自宅待機・諭旨解雇・懲戒解雇などの措置が講じられます。なかには、加害者が事実として認めないケースもあるでしょう。その場合、裁判に発展することもあります。

③ メンタルケア・職場環境回復などのフォローを行う

被害者と加害者の関係改善の援助や異動、不利益や職場環境回復、メンタルケアなどを行います。仮にプライバシーに配慮しつつ内密にフォローしても、モラハラの事実を第三者に気付かれるかもしれません。

被害者が職場に居づらいと感じたり不安を抱えたりしないよう、慎重にフォローしましょう。また、加害者に対しては、立ち直れるように丁寧なケアが求められます。

起きてしまったモラハラを二度と起こさないため、社内メールで注意喚起したり、定期的な研修を実施したりなど、再発防止に努めることも重要です。

モラルハラスメントのない職場環境を目指そう 

企業には社員の安全と健康を守る義務があります。職場でのモラハラは、絶対に起こしてはならないトラブルです。仮に、モラハラが起きてしまえば、離職率の増加や企業のイメージダウン、安全配慮義務違反など、さまざまな影響を及ぼします。 

モラハラのない職場環境を整えるには、「どのような社員がいるのか」「人材配置は適切か」といったことまで、詳しく把握する必要があります。とはいえ、社員一人ひとりの情報を管理するのは容易ではありません。 

人事システム「CYDAS(サイダス)」は人材情報を一元化し、全社員のデータを把握しやすくするツールです。「自社で働く社員がどのような人物なのか詳しく知りたい」「社内のコミュニケーションを活性化し、モラハラが起こりにくい職場を作りたい」という方は、気軽にお問い合わせください。 

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