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2023.3.8

離職票とは?退職時に人事が抑えておきたい手続き

社員が退職するとき、会社は離職票を発行する必要があります。離職票とは、退職した社員が再就職や起業するまでの間に受けられる失業保険の手続きに必要な書類なので、退職が決まったら速やかに発行の手続きをしなければなりません。

今回は離職票について、必要な条件や不要となるケース、退職証明書との違い、発行の手続きと流れについて詳しく解説します。人事担当者はスムーズに発行できるよう、今一度チェックしてみてください。

離職票(雇用保険被保険者離職証明書)とは

離職票とは、会社を退職したことを証明する公的な書類です。

会社を退職した社員で次の就職先が決まっておらず、退職後は失業状態になる場合は、失業手当を受けることができます。離職票は失業手当を受ける際の手続きに必要な書類です。

離職票の発行手続きは会社が行い、会社から社員に交付します。失業手当の手続きは、退職者が離職票などの必要書類を持って、直接ハローワークに提出します。

離職票とは|失業保険申請に必要な書類

離職票の正式名称は、「雇用保険被保険者離職証明書」です。離職票は、退職者が失業給付金を申請する際に必要な書類なので、会社は社員の退職を認知したら、離職票が必要かどうかを確認し、速やかに手続きの準備を行う必要があります。

離職票は会社側から退職者に渡す書類ですが、発行自体はハローワークが行います。そのため、離職票の発行には届け出の期限や書式が定められており、その内容に沿って手続きを行わなければなりません。提出書類や期限についてはあらかじめしっかりと把握しておきましょう。

離職票は2枚ある

離職票には「被保険者資格喪失届(雇用保険被保険者離職票-1)」「被保険者離職証明書(雇用保険被保険者離職票-2)」の2種類があり、両方をセットにしてハローワークに提出します。

被保険者資格喪失届(雇用保険被保険者離職票-1)

被保険者資格喪失届は、雇用保険被保険者番号や入退社の年月日などが印字されている用紙です。「雇用保険資格喪失通知書」と兼用になっています。

 被保険者離職証明書(雇用保険被保険者離職票-2)

被保険者離職証明書は、離職日以前の賃金の支払い状況や離職理由などが書かれている用紙です。

離職証明書とは

離職証明書とは、離職票を発行するために会社がハローワークに提出する書類です。離職証明書は3枚つづりの複写用紙でできており、1枚目は会社控え、2枚目はハローワークへの提出用、3枚目は退職者に提出する「離職票-2」になります。

離職票はいつ必要?

離職票は、雇用保険加入者が次の就職先が決まっていない状態で退職し、失業手当(基本手当)を受け取るときに必要となります。そのため、転職先が決まっている社員や、希望しない社員に対しては発行する必要はありません。ただし、本人が交付を求めている場合は発行しなければなりません。

また、離職の日において59歳以上である人については、本人の希望にかかわらず、離職票の交付が必要です。労働意欲のある60歳以上の人の生活を補うための高年齢雇用継続給付の金額決定に必要だからです。

雇用保険被保険者証との違い

雇用保険被保険者証とは、雇用保険に加入している社員に交付される書類で、離職票と同じく失業給付の申請に必要となります。雇用保険の番号は、1人につき1つの番号が割り当てられ、この番号は転職しても変わることはなく継続して使用します。失業給付を受けずにすぐに再就職する場合でも転職先に引き継ぐ必要があるため、提出しなければなりません。

雇用保険被保険者証は、入社後社員本人に渡す場合もありますが、サイズが小さく紛失しやすいので、会社で保管することが多いようです。この場合、社員が退職するときに会社から本人に渡します。

離職票が不要なケース

離職票は、退職する全ての社員に発行しなければならないというわけではありません。

離職票が必要ではない人は、転職先が決まっておりすぐ働く人、退職後に働く予定がない人です。それぞれ詳しくみていきましょう。

転職先が決まっておりすぐ働く人

退職後、間を空けずに別の会社に就職することが決まっている人に対しては、離職票を発行する必要ありません。失業期間がなく、失業給付も受けられないからです。

ただし、退職後に内定を取り消されたり辞退したりした場合は失業の状態になるので、失業給付を受けるためにも離職票が必要になります。このような不測の事態に備え、転職が決まっていても発行を依頼する退職予定者もいるようです。  

退職後に働く予定がない人

原則として失業給付は、働く意思がある人に対して支給されます。よって、退職後に働く予定がない人は失業給付を受けられないので、離職票も不要となります。 

ただし、妊娠・出産のため一旦退職し、子どもが1歳を過ぎたら保育園に預けて再就職したいと考えている社員や、病気やケガの療養のために退職し、回復したら再就職してまた働きたいと考えている社員は、最長で3年を限度として、働けなくなった日数分だけ失業受給期間の延長の手続きができます。手続きには離職票が必要なので、このようなケースの場合で本人から離職票の発行を求められた場合は、速やかに発行しましょう。

退職証明書とは

離職票と似た書類に、退職証明書があります。退職証明書は社員の退職を証明する書類ですが、公的なものではありません。そのため書式はきまっておらず、会社側が用意したテンプレートやフォーマットに記入したうえで発行します。

では離職証明書とどう違うのか、また必要なタイミングについて、それぞれみていきましょう。

退職証明書と離職証明書の違い 

退職証明書とは、退職者がその会社で確かに働き、退職したことを証明する書類です。離職票と同じく、退職者が希望する場合にのみ会社が発行します。

離職証明書はハローワークに提出する公的な書類ですが、退職証明書は公的な書類ではありません。全ての退職者に対して発行する義務はありませんが、退職者から求められた際は速やかに発行する必要があります。

また、離職証明書は、退職後2年が経つと法的発行義務がなくなります。

退職証明書が必要なとき

退職証明書には退職理由が記載されているため、転職先が退職証明書の提出を求めることがあります。また、退職者が国民健康保険や国民年金への加入手続きをする際の代替書類として使用できます。

また、ハローワークで失業保険の手続きを行うときも、離職票がまだ手元にない場合は退職証明書で代替できる場合があります(ただし仮受付まで)。

このように、退職証明書は公的な書類ではないものの、公的機関での手続きで代用できるのです。

社員が退職する際に人事担当者が行う手続きと流れ

ここからは、離職票を発行するための手続きとその流れについて解説します。原則として会社は、退職日の翌日から10日以内に離職証発行の手続きを行わなければなりません。手続きには、社員に提出してもらわなければならない書類や、人事側が用意しなければならない書類があります。それぞれ期限が設けられている場合があるので、事前にしっかりと把握しておきましょう。

社員に退職届(願)を提出してもらう

まず、ハローワークに対し、社員が退職したことを証明しなければならないため、自己都合で退職する場合は、退職の意思を書面で確認する必要があります。退職届あるいは退職願を提出してもらいましょう。この2つは似ているようですが役割が大きく異なります。

・退職願…会社や経営者に対して退職の意思を表明する書類。

・退職届…退職願が受理され、正式に退職日が確定した後に提出する書類。会社の可否を問わず、受理された時点で退職が決まります。

多くの会社では、就業規則で社員の退職について「退職の1ヶ月以上前に申し出る必要がある」と定めているでしょう。社員の退職の意思を確認して初めて、退職の手続きを開始できます。

離職票の発行を希望するかの意思確認

退職後は連絡が取りにくくなるため、退職を申し出た時点で、離職票が必要かを確認しましょう。

会社によっては本人の希望にかかわらず、退職者全員に離職票を発行する会社もあります。しかし、すでに転職先が決まっている人や再就職しない人に対しては離職票を発行する必要はありません。ただし、その場合でも本人が希望する場合は発行する必要があります。また、離職日において59歳以上である人については、本人の希望にかかわらず、離職票の交付が必要です。

社員が不要と申し出ても、退職後何らかの事情により離職票の発行を願い出ることがありますが、発行の手順は退職前の場合と基本的には変わりません。

離職証明書をハローワークに提出

退職者が離職票を希望した場合、会社は雇用保険被保険者資格喪失届と離職証明書を作成し、退職者に内容を確認してもらった後ハローワークに提出します。提出する際は、離職理由や賃金を証明するための資料を添付する必要があります。ハローワークには、以下を持参しましょう。

  • 労働者名簿
  • 出勤簿(タイムカード)
  • 賃金台帳
  • 辞令及び他の社会保険の届出(控)
  • 離職理由を確認できる書類

原則として会社には、すべての社員を雇用保険に加入させる義務があります。しかし、退職者は退職する日に雇用保険から外れることになります。そのため、雇用保険被保険者資格喪失届は、離職票が必要かどうかにかかわらず必ず提出しなければなりません。 

提出期限は10日

雇用保険被保険者資格喪失届と離職証明書の提出期限は、退職日の翌日から10日以内です。退職してすぐに発行できるものでないので注意しましょう。退職者が離職票の交付を希望しない場合は、雇用保険被保険者資格喪失届のみの提出でも問題ありません。 

ハローワークが離職票を事業主に交付

ハローワークは、雇用保険被保険者資格喪失届と離職証明書を受理した後、その内容を精査します。問題がなければ、離職票-1と離職票-2の2種類の離職票を発行し、会社に交付します。

離職票を退職者に送付

会社はハローワークから送られてきた離職票-1と離職票-2を受け取ったら、退職者に交付します。「雇用保険被保険者資格喪失確認通知書(事業主通知用)」と「雇用保険被保険者離職証明書(事業主控)」は、会社で保管します。一般的に、退職者の手元に離職票が届くのは退職日から10日前後です。 

なお、社員が離職票を受け取るときはすでに退職しているため、郵送で交付する場合がほとんどです。退職後に引っ越す予定のある社員には、新しい住所を聞いて控えておきましょう。

離職票の手続きは電子申請でも可能

離職票の手続きは2011年11月から電子申請でも可能となり、2020年4月からは、以下の法人での電子申請が義務化されました。

  • 資本金または出資金の額が1億円を超える法人
  • 相互会社
  • 投資法人
  • 特定目的会社

電子申請の場合、申請に費やす時間や交通費などのコストを抑えることができる、複数の窓口での手続きも一括で申請できるといったメリットがあります。また、電子申請の場合は、退職者本人が離職証明書の内容について確認したことを証明する「離職証明書の記載内容に関する確認書」という書類が用意されており、退職者に記載して送ってもらうことで、離職者本人の電子署名に替えることができます。

離職票の書き方

ここでは離職票の発行の際に、記載する情報や注意点などについて紹介します。 離職票発行のための書類作成にあたっては、退職者の基本情報をはじめ、労働期間や賃金額、離職理由などさまざまな情報が必要です。人事担当者は速やかに発行できるよう、これらの記載項目について把握しておきましょう。

離職票に記載する情報

人事担当者が記載するのは、複写用紙の1枚目にある離職証明書です。記載項目は以下のとおりです。

・離職する社員の被保険者番号

・離職する社員の氏名

・離職する社員の住所または居所

・離職理由

・離職する日

・事業所名・所在地・電話番号

・事業所番号

・被保険者期間算定対象期間

・被保険者期間算定対象期間における賃金支払基礎日数

・賃金支払対象期間

・賃金支払対象期間における基礎日数

・賃金額

・備考

・賃金に関する特記事項

離職証明書の中で最も重要な項目は、離職理由です。

ハローワークは、この離職理由をもとに「特定受給資格者(倒産や解雇など再就職の準備期間がないまま退職した場合に適用)」や「特定理由離職者(期間の定めのある雇用契約が更新されなかった場合などに適用)」に該当するか判断し、失業手当の給付日数を決定するからです。なお、離職理由は以下の6つに大きく分類され、そこからさらに20のパターンに区分されています。

・事業所の倒産等によるもの

・定年によるもの

・労働契約期間満了等によるもの

・事業主からの働きかけによるもの(解雇、希望退職募集、退職勧奨など)

・労働者の判断によるもの(自己都合退職など)

・その他 

離職票を書く際に注意すべきこと

離職票の発行手続きは、退職日の翌日から10日以内に行わなければなりません。スムーズに書類を作成しハローワークに離職証明書を提出するためにも、社員が退職を申し出た時点で、先に挙げた記載項目を事前にまとめておきましょう。提出期限内に提出をしなければ、退職する社員が失業給付金を受け取れないなどのトラブルが生じる可能性があります。

離職票の発行手続きは、退職日の翌日から10日以内に行わなければなりません。スムーズに書類を作成しハローワークに離職証明書を提出するためにも、社員が退職を申し出た時点で、先に挙げた記載項目を事前にまとめておきましょう。提出期限内に提出をしなければ、退職する社員が失業給付金を受け取れないなどのトラブルが生じる可能性があります。

また、賃金支払状況等の欄に記入する際は、1枚で収まるか確認しておきましょう。金支払状況等の欄は、退職日からさかのぼって2年間で賃金支払基礎日数が11日以上になる月を12カ月分記入する必要があるため、全て記入できなくなる場合があります。

1枚で収まらない場合は、2枚目を用意し「続紙」として使えば問題ありません。被保険者番号・事業所番号・離職者氏名・離職年月日・事業主の住所、氏名を記載し、賃金支払状況等の続きを記載します。

会社都合による退職の場合

育児短時間勤務制度などを利用していた場合は、実際に支払った賃金を記載する必要があります。 失業給付金の基本手当の算定に使われるため、実際に支払った賃金を記載する必要があるからです。

ただし、会社の倒産や解雇などで退職を余儀なくされた場合は「会社都合による退職」となるため、勤務時間短縮前の賃金日額によって基本手当の日額が算定されます。この場合は「雇用保険被保険者短縮措置等適用時賃金証明書」の添付が必要です。 

離職票に関するよくあるトラブル

離職票発行の手続きにおいては、離職理由や離職票の発行時期に関するトラブルが生じやすいので、注意が必要です。また、会社が受け取る雇用関係の助成金においても影響が出るケースがあり、離職票発行の手続きは迅速かつ慎重に行わなければなりません。

最後の章では、離職票発行の手続きについてよくあるトラブルと未然に防ぐためのポイントについて解説します。

会社側と退職者側で退職理由が一致しない

離職票に関するトラブルで最も多いのが、会社側と退職者の退職理由の不一致です。退職理由は失業手当の金額や期間などにもかかわるので、非常に重要なポイントです。例えば、同じ自己都合退職でも「正当な理由のある自己都合の離職」と「正当な理由のない自己都合の離職」では失業手当の条件が変わってきます。

また、離職理由が特定受給資格者、あるいは特定理由離職者に該当する項目があるか確認することも大切です。例えば、配偶者の転勤により離職を余儀なくされた場合は、特定理由離職者の離職理由 「配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避」に該当しますが、「自己都合退職」にすると、一般被保険者と同等の扱いとなり、失業給付(基本手当)を十分に受け取ることができなくなってしまうのです。

退職者は会社が記載した離職理由に異議があればハローワークに申し立てを行うことができます。ハローワークは事実関係を調査し、正当な離職理由の判定をします。

こういったトラブルを避けるためにも、離職票を発行する前に退職者と十分に話し合い、退職理由について認識を擦り合わせておくことが大切です。

離職票が送付されない

退職者から「まだ離職票が送られてこない」という苦情が寄せられることがあります。この場合、会社側が期限内に提出し忘れていたことやハローワークでの処理が遅れていたといった理由が考えられます。

また、離職票が必要だということを退職者が認識していなかったということもあるので、会社は退職者に離職票が重要な書類であることをしっかりと説明しておくことが大切です。そして、少しでも離職票が必要だと判断した場合は、発行しておくと安心です。

助成金が受給できなくなる

離職理由は大きく分けると「自己都合」と「会社都合」がありますが、数年以内に会社都合の退職者がいる場合は、雇用関係の助成金が受給できない可能性があるので注意しましょう。 会社都合の退職とは、倒産や解雇(リストラ)などです。

雇用関係の助成金には、キャリアアップ助成金やトライアル雇用奨励金などがありますが、これらは雇用の安定や社員の処遇改善を促すための制度です。しかし、会社都合による退職はその趣旨に反し、不支給要件となる「解雇等」に該当するため、支給対象から外れてしまうのです。 

雇用関係の助成金では、会社都合による退職者を1人でも出すと支給対象から外れることがほとんどなので、退職理由についてはしっかりと確認しておく必要があります。 

まとめ

離職票は、会社を退職したことを証明する公的な書類で、退職者が失業給付金を申請する際に必要な書類です。離職票は会社から退職者に渡す書類ですが、発行のための書類作成は会社(人事担当者など)が行い、発行自体はハローワークが行います。

離職票は原則として退職日の翌日の10日以内に提出しなければならず、記載にあたっては社員の労働期間や賃金などの情報が必要です。スムーズに手続きを進められるよう、記載項目についてはあらかじめ把握しておき、社員が退職を申し出た時点で離職票が必要かどうか確認しておきましょう。

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