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2023.3.8

事業計画書とは?書き方や作成する際のポイント・活用できるフォーマットを紹介

起業するにあたって、事業計画書を作成しようか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。事業計画書に作成義務はありませんが、準備しておくことでさまざまなシーンで役立ちます。しかし、起業準備で忙しい中、一から作成するのは面倒、作成方法が分からないと感じるケースは少なくありません。

本記事では、事業計画書の必要性や書き方、作成する際のポイントや活用できるフォーマットなどを紹介します。起業を計画している方はぜひ参考にしてください。

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事業計画書とは

事業計画書とは、事業内容や損益見込みなどを社内外に示すための書類のことです。作成義務はありませんが、事業計画書があることで企業が目指す方向性の道しるべになります。事業計画書は、融資を受ける際に必要となる書類であり、出資してもらう際にも有利に働くため、ビジネスに協力してくれる人を集めるのにも有効です。

また、業績が低迷したり出資者が集まらなかったりなど、事業の見直しが必要な場合にも事業計画書は役立ちます。事業計画書があれば、ビジネスプランの全体像が見えてくるため、自社の事業内容を客観的に見直せます。事業が行き詰ったときにコンサルタントへ相談する際、ビジネスプランを正確に伝えることにも活用できるでしょう。

事業計画書は事業を立ち上げるときの資金調達、事業の見直しなど、さまざまなシーンで必要です。作成義務はなくても、安定した事業運営を行うために作成しておきましょう。

事業計画書が必要なタイミング

事業計画書は、主に次のようなタイミングで必要になります。

  • 会社設立や新規事業の提案時
  • 出資や融資申請時

それぞれのタイミングで必要な理由について解説します。

会社設立や新規事業の提案時

事業を新規で立ち上げる際は、頭で思い描いているビジネスプランを事業計画書の各項目に落とし込む必要があります。自社の強みや損益見込み、競合調査などを可視化し、「どのくらい事業規模は拡大するのか」「成長スピードはどのくらいなのか」を方向づけます。

事業計画書があることでビジネスプランが明確になり、より現実的で具体性のある計画書を作成できます。課題や問題点も浮き彫りになりやすいため、立ち上げ直後に起こり得るリスクを最小限に抑えるのにも有効です。

出資や融資申請時

事業計画書は出資や融資の際にも役立ちます。事業を立ち上げる・継続するためには、資金調達が必須です。投資家や金融機関等は、経営計画や資金計画の現実性、損益見込みに対する根拠などに着目します。

事業計画書はこれらの情報を可視化し、まとめたものです。投資家や金融機関等が「説得力があり成功しそう」と思える事業計画書であれば、資金調達が可能になります。しかし、事業計画書がなければ、投資家や金融機関などに具体的なビジネスプランを伝えられないため、資金調達が難航するのは明白です。

事業計画書を作成するメリット

事業計画書を作成すると、次のようなメリットが得られます。

  • ビジネスプランを可視化できる
  • ビジョンや方向性を共有できる
  • 融資や出資を受けやすくなる

それぞれ解説するので、事業計画書を作成するべきか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。

ビジネスプランを可視化できる

事業計画書を作成することで、事業構想であるビジネスプランを可視化し、より明確なものにできます。頭のなかにビジネスプランがあっても、その内容が実現性のあるものなのかは、書き出してみないとわからないものです。

事業計画書を作成すると、主に次のようなことを整理できます。

  • 事業を立ち上げる目的は何か
  • どのように事業を運営するのか
  • 売上の根拠はあるのか
  • 売上目標
  • 参戦する業界・競合企業の状況

自身の思考を整理し、客観的に検討できるようになるため、課題の発見と把握がしやすくなります。また、事業計画書の作成中に新たなアイディアが生まれることもあるでしょう。

ビジョンや方向性を共有できる

事業を立ち上げること自体は一人でできても、規模を拡大するためにはビジネスパートナーや社員の存在が不可欠です。しかし、多様な考えの人々が同じ方向に向かって動くのは、簡単なことではありません。

ビジョンや方向性の道しるべとなる事業計画書を共有することで目指すべき方向性を合わせられます。社員は事業目標を達成するために「何をするべきか」「何が求められているのか」がわかるため、高いモチベーションを維持しながら仕事に取り組めます。

また、事業計画書があることで組織全体の方向性を統一できるため、スムーズな事業経営を図るのにも有効です。

融資や出資を受けやすくなる

事業資金を調達する際、金融機関等や投資家たちからは事業計画書の提出を求められます。事業計画書がないと事業内容や損益見込みがわからず、お金を貸す側は、貸したお金を確実に回収できるか不安を覚えます。「将来性がない」「ビジョンが明確に定まっていない」と判断されれば、融資や出資の許可は下りません。

事業運営やビジネスプランなど、現実性のある事業計画書を提出することで、金融機関等や投資家から投資する価値があると判断され、融資や出資を受けやすくなるでしょう。

また、参戦する業界の特徴や競合企業の状況を踏まえた上で、損益見込みには根拠をもたせることが重要です。

事業計画書の項目と書き方

事業計画書には決まったルールやフォーマットなどはないため、何を書いたらよいのか迷ってしまうケースも少なくありません。

代表的な記載項目は、主に以下の8つです。

【記載項目】

  • 企業の概要・目的
  • 創業者のプロフィール
  • 事業内容やコンセプト
  • 競合や市場の分析
  • 経営幹部や従業員の情報
  • 人員計画
  • 必要資金や用途・調達方法
  • 財務計画による事業の見通し

それぞれの書き方について解説します。

1.企業の概要・目的

企業の概要として次の項目を記載します。

  • 企業名
  • 事業形態
  • 代表者
  • 本社所在地
  • 従業員数
  • 設立年月日
  • 資本金
  • ホームページのURL

企業の概要だけでなく、創業の目的や動機も記載しましょう。熱意が伝わる内容であれば、「融資(出資)しても良い」と思われ、資金調達を実現しやすくなります。仮に起業の経験がない人でも、目的や動機で経験の浅さをカバーできます。

2.創業者のプロフィール

起業したての場合、お金を貸す側は、創業者がどのような人物なのか気にするものです。創業者のプロフィールは、融資または出資するかどうかの判断材料の一つになります。

具体的には、創業者の「氏名」「肩書き」「経歴」「経験」「保有資格」などを記入します。「この人なら事業を成功させられる」「安心して融資(出資)できる」と思わせられる内容にすることが重要です。

また、起業に至るストーリーを盛り込むことで、より具体性が出るため、相手に好印象を与えられます。

3.事業内容やコンセプト

どのような事業を行うのかを示す部分です。「誰に」「何を」「どのように提供するのか」を明確かつ簡潔にまとめます。

具体的に記載する内容は、自社の特徴や強み、商品・サービスのアピールポイントなどです。「顧客のニーズにマッチしそう」「これなら成功できるかもしれない」というように、納得感を得られれば起業経験のない創業者でも資金調達を実現しやすくなるでしょう。

また、事業内容やコンセプトは、なるべくコンパクトに収めるのがポイントです。長々と説明されても、本当に伝えたい部分がわかりにくくなるだけです。名刺交換時に自社を簡単に説明する場面をイメージしながら書くとよいでしょう。

4.競合や市場の分析

事業を展開する上で競合や市場の分析は欠かせません。競合他社の状況や取り扱う商品、自社の強みなどを分析することで、自社と他社の差別化を図れます。

各業界では、すでに成功している企業が多くあります。同じことを真似しても、「消費者の心には刺さらないだろう」と判断されれば、融資や出資を受けるのは難しくなるでしょう。

競合他社との差別化ができていること、他にはない独自の価値をアピールすることが重要です。

5.経営幹部や従業員の情報

事業計画書には、経営幹部や従業員の情報も必要です。従業員はどのくらいなのか、今後事業を展開する上でどの程度の従業員が必要なのか、どのような従業員を雇用するのか、現状と今後の予定を記載します。

ただし、記載する際には注意点があります。事業の規模に見合わない人数は記載しないこと、取締役などの役職は従業員に含めないこと、この2つは守るようにしましょう。

また、規模が大きい場合は組織図を用いるのも有効な手段です。各部署の役割や人数などをひと目で確認できるため、全体像を把握しやすくなります。

6.人員計画

社員やアルバイト・パートを雇用する際は人件費がかかります。人件費は企業活動にかかる経費の中でも、とくに大きな出費です。人材の優劣によって事業が成功できるかどうかが左右されます。

例えば、優秀な人材が多ければ最小限の人数での企業活動ができるため、人件費を大幅に削減できます。しかし、経験の浅い・得意とするスキルがない人材が多ければ、頭数を増やして企業活動を行うことになるでしょう。

人員計画を立てる際は、最初に目標とする売上に対し、どの程度の人材が必要になるのかを予測します。その上で、売上高に占める人件費を計算しましょう。

7.必要資金や用途・調達方法

必要資金とその用途・調達方法は、事業の売上計画の根拠となる重要な部分です。記載されていないと集めた資金が何に使われるのかがわからず、不信感を抱かせてしまいます。

まずは、必要資金となる「設備資金(パソコンや机、椅子などの設備に関する資金)」と「運転資金(家賃や給与、仕入れ資金などの毎月必要となる資金)」を洗い出します。その後、必要となる資金をどのような方法で調達するのかを記載しましょう。

調達方法には主に、自己資金をはじめ、親族や友人等、日本政策金融公庫・国民生活事業、金融機関等からの借入などがあります。どこからいくら借りたのかわかるよう、借入先ごとに金額を記載しておきましょう。

8.財務計画による事業の見通し

将来性を見るために、財務計画による事業の見通しは欠かせない項目です。売上計画や利益に関する計画、資金調達に関する計画、借り入れ状況などを記載します。

ここで、とくに重要となるのは売上計画です。そもそも売上がなければ事業を継続することはできないため、事業計画書を見る人に不安を与えます。売上計画を記載するときは売上数量や売上高、原価、経費などを細かく書き出しましょう。ざっくりとした売上よりも説得性が生まれます。

事業計画書の作成に利用できるフォーマット

事業計画書に決まったフォーマットやテンプレートはないため、作成者によって記載する項目は異なります。

ここでは、一般的によく利用されている代表的なフォーマットやテンプレートを紹介します。事業計画書を効率よく作成するための参考にしてください。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、個人企業や中小企業を対象に小口融資を行う政府系金融機関です。銀行などでの資金調達に難航している人へ積極的な融資をしています。

また、事業の拡大・継続するための経営力強化資金や、女性・シニア起業家のための支援資金など、さまざまな貸付をしているところも特徴です。

日本政策金融公庫のホームページでは、創業計画書や事業計画書、海外展開事業計画書などのテンプレートのダウンロードが可能です。記入例も見られるため、何を書いたらよいのかわからない人も迷わずに作成できます。

>>>日本政策金融公庫各種書式ダウンロードはこちら

J-Net21

J-Net21は、中小企業の経営者が抱える課題解決をサポートするポータルサイトです。独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しており、支援情報や事例などの情報を発信しています。

J-Net21のホームページでは、事業計画書の書き方やポイントを詳しく解説しています。イメージを具体化させたい人には、各事業の事業計画書の作成例がおすすめです。「飲食業」「小売業」「サービス業」の3種類の事例を参考にできます。

どのような点に注意すればよいのか、まとめ方のポイントなどを事業別に確認できるので、一度目を通しておくと良いでしょう。

>>>J-Net21事業計画書の作成例はこちら

大阪産業創造館

大阪産業創造館は2001年に開業以降、大阪市経済戦略局の中小・ベンチャー企業の支援活動を行う機関です。事業の設立や運営、日常業務などさまざまなシーンで起こりやすい課題を解決するためのヒントや、イベントの情報などを発信しています。

融資を受けるために提出する「借入タイプの事業計画書」、プラン構築段階において作成する「ビジネスプランサマリー」、ビジネスプランを要約した「エグゼクティブサマリー」などのテンプレートがダウンロード可能です。作成時のポイントや記入事例もあるため、確認しながら作成できます。

>>>大阪産業創造館の事業計画書ダウンロードはこちら

マイクロソフト

マイクロソフトでは、Excelのテンプレートに沿って項目を入力するだけで簡単に事業計画書を作成できます。金額項目は自動計算の機能付きなので、面倒な手間を省きながら、正確性の高さを保てます。

作成できるのは、「事業内容」「取引先・取引関係等」「必要な資金と調達方法」「事業の見通し」です。また、ページを追加すれば「経営幹部や従業員の情報」や「人員計画」など、他の項目も付け加えられます。必要に応じてカスタマイズできるため、利便性の高いテンプレートを探している人におすすめです。

>>>マイクロソフトでの事業計画書の作成はこちら

事業計画書作成のポイント

事業計画書を作成するときは、融資担当者や投資家など、相手にわかりやすく伝えるのがポイントです。主に以下4つのポイントを踏まえると、説得力のある事業計画書を作成できます。

  • 各項目の要点を整理して記載する
  • 数字は根拠を具体的に記載する
  • 数字や文字だけでなく図やグラフも活用する
  • フレームワークを活用する

事業計画書の内容に説得力があれば、資金を調達しやすくなります。それぞれ確認しておきましょう。

1.各項目の要点を整理して記載する

事業計画書は具体的かつ詳しく記載するよりも、各項目の要点を整理して記載するのがポイントです。一つずつ詳しく記載すると、長々とした事業計画書になり、読む側としては目を通す気力を失います。

伝えたい内容をしっかり伝えられるよう、「読みやすさ」を考慮しながら作成しましょう。

具体的には、「事業内容やコンセプトに共感を呼ぶ言葉は使われているか?」「事業の見通しは説得力があるか?」「プロフィールは事業成功を裏付ける内容になっているか?」など、読み手の立場で確認してみてください。もし、まとめるのが難しい場合は、考えていることを書き出し、その後でテンプレートを活用しながら整理しましょう。

2.数字は根拠を具体的に記載する

「売上〇%増」などのように数字を用いる際は、根拠を示すことがポイントです。根拠に乏しいと事業計画書に説得力をもたせられないため、相手に何も刺さりません。

資金計画や損益見込みなどは数字を記載するだけで満足せず、その根拠となる裏付けまでしっかり行いましょう。

3.数字や文字だけでなく図やグラフも活用する

数字や文字だけの書類は、内容を把握するのに時間がかかったり伝わりにくかったりするものです。図やグラフを活用することで、売上計画や必要資金などを視覚的に把握できるようになります。

事業計画書の内容がより伝わりやすくなるため、相手に効率よくアピールできます。出資や融資の際に、有利に働くでしょう。

4.フレームワークを活用する

事業計画書は「6W2H」のフレームワークを活用すると、具体性や実現性のある内容に仕上げられます。

  • When(いつおこなうのか)
  • Where(どの市場を狙うのか)
  • Who(誰が実行するのか)
  • Whom(ターゲット層はどこか)
  • What(何の商品・サービスを提供するのか)
  • Why(なぜ事業を立ち上げるのか)
  • How(どのようにおこなうのか)
  • How much(事業資金はいくらか)

何もない状態から適切な事業計画書を作成するのは容易ではありません。フレームワークに沿うことで頭のなかで描くビジネスプランを可視化できるため、やるべきことや課題が見えやすくなります。

関連記事:5W1Hとは?目的や得られるメリット・活用の際の注意点など例文を交えて紹介

事業計画書を作成して新規事業の立ち上げを円滑に進めよう

事業計画書とは、事業内容や損益見込みなどを社内外に示すための書類のことです。必ず作成しなければいけないものではありませんが、資金調達や事業の見直しなど、さまざまなシーンで役立ちます。

新規事業の立ち上げを検討している、もしくは進めているのであれば、事業計画書は作成しておくべきです。

しかし、事業計画書を一から作成するのは時間と手間がかかるため、面倒に感じるケースも少なくないでしょう。今回紹介したテンプレートを活用したり、ポイントを押さえたりすることで、負担を減らしながら効果的な事業計画書を作成できます。

企業の規模が大きく、経営幹部や従業員の情報を伝えるための組織図を作成するのが難しい場合は、タレントマネジメントシステム「CYDAS(サイダス)」をご活用ください。各部署の構成メンバーや役職、勤続年数などをすぐに把握できるため、事業計画書をスムーズに作成できます。

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