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2023.2.9

【最新】職場におけるハラスメントの種類一覧表。法律、リスク、予防策を抑えておこう

近年、ニュースでも取り上げられることの多い「ハラスメント」は、社会問題として重要視されています。職場におけるハラスメントは、被害を受けた従業員が辛い思いをする上、企業側にとっては損害賠償請求などの法的措置や、社会的な評価への悪影響などが考えられるため、予防策や体制の実施が必要です。

本記事では、ハラスメントの定義から種類一覧表、ハラスメントによって起こりうる企業のリスクや予防策まで詳しく解説します。職場ハラスメントの実態や種類について理解し、効果的な対策を社内で講じるために必要な情報をまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

目次

仕事におけるハラスメントの意味・定義

「ハラスメント(Harassment)」という単語は、日本語で「嫌がらせ」や「いじめ」と訳されます。厚生労働省は、社会問題としてのハラスメントの定義を以下のように定めています。

①優越的な関係を背景とした言動であって
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
③労働者の就業環境が害されるものであり
①から③までの3つの要素を全て満たすもの
参照:厚生労働省あかるい職場応援団

職場だけでなく、公共の場や家族や夫婦に対する家庭内での嫌がらせや迷惑行為も、状況次第ではハラスメントに該当します。

厚生労働省のハラスメント調査データによると、過去3年間の勤務先にて、何らかのハラスメントを一度以上経験した者の割合は、約56.6%と半数以上に上っています。

職場におけるハラスメントは増加傾向にありますが、一方で教育や叱咤激励の一貫として言動が相手にパワハラと認知されてしまうケースも増えています。

厚生労働省が定めるパワハラの6類型

ハラスメントのなかでも代表的なパワーハラスメント(パワハラ)に関して、厚生労働省は代表的な言動を以下の6類型に分類しています。

身体的な攻撃
精神的な攻撃
人間関係からの切り離し
過大な要求
過小な要求
個の侵害

ケースや状況によって判断が異なる可能性がありますが、ハラスメントの基本知識として各類方の特徴を理解しておきましょう。

①身体的な攻撃

「身体的な攻撃」は、暴行や傷害にあたる行為を指します。「殴られる」「蹴られる」といった暴行をはじめ、「物を投げつけられて体に当たった」「いきなり胸ぐらをつかまれて怒鳴られた」など、身体に影響を及ぼすハラスメントが該当します。

職場では、上司に資料を提出したら「こんなこともできないのか」と大声で怒られ、ファイルを投げつけられて腕を切った、などの例が考えられます。

②精神的な攻撃

「精神的な攻撃」には、脅迫や侮辱、名誉毀損、暴言といった言動が該当します。相手の性的志向や性自認、出身、ルーツなどの要因や人格を否定するような行為も含まれます。

「同僚の前で、ささいなミスについて必要以上に長時間厳しく叱られた」「他の従業員の前で、上司から無能扱いする発言を受けた」「相手を含む複数の従業員宛のメールで、能力の否定や罵倒といった内容が送られてきた」といったものが挙げられます。

③人間関係からの切り離し

「人間関係からの切り離し」 は、仲間はずれや隔離、無視、拒絶といった行為を指します。「話しかけても無視させる」「理由もなく避けられる」など、特定の人との関係を直接的に切るような行為に加えて、「根拠のない悪い噂を流され、孤立することになった」なども該当します。

「理由なく従業員との接触や協力依頼を禁じられた」「同僚や上司に挨拶しても返してくれない」などが代表例です。また、自身の意に沿わないからなどという動機で、上司が特定の従業員を長期間にわたり別室に隔離する、自宅勤務させる、などもハラスメントに当たります。

④過大な要求

「過大な要求」とは、業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことを強制する、仕事を故意に妨害するといった行為を指します。例えば、「終業間際に明らかに過大な量の仕事を押しつけられる」「1人ではできない量の仕事を短納期で終わらせるように指示される」「達成不可能な営業ノルマを与えられる」などです。

肉体的・精神的な苦痛を伴う過酷な環境での長期間勤務や、新人教育をせずに経験者レベルの業務目標を課すこと、業務に直接関係ない雑用や私用を強制的に行わせること、なども該当します。

⑤過少な要求

「過少な要求」は、過大な要求の正反対で「業務上の合理性に関係なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を任せること」を指します。

例えば、役職があるにも関わらず誰でもできる仕事を与える、営業職の従業員に必要以上の掃除や片付けを強要する、といったものが挙げられます。また、故意に部署を異動させる、仕事を与えない嫌がらせも該当します。

⑥個の侵害

「個の侵害」は、私的な事情に過度に立ち入り、相手に不快な思いをさせることです。職場において「個人用スマホを勝手にのぞかれる」「立席中にデスクの引き出しを勝手に物色される」「有給申請の際に理由をしつこく聞かれる」といったものが該当します。

また、職場で個人情報を本人の了解を得ずに他人に暴露する、といった行為も含まれます。

ハラスメントの種類一覧表

多くの人が知る「パワハラ」と「セクハラ」「マタハラ」の3つは3大ハラスメントと呼ばれますが、一般社団法人日本ハラスメント協会によると、ハラスメントの種類は実に30以上にも上ります。

ここからは、法律で禁じられているものから、近年急増している新しいハラスメントまで20のハラスメントについて詳しく紹介します。

パワー・ハラスメント(パワハラ)

「パワー・ハラスメント(パワハラ)」とは、同じ職場で働く人に対して、上司など立場が上の人が、適正な業務範囲を超えて精神的・身体的に苦痛を与えることです。職場で起こる代表的なハラスメントの1つとして知られています。

地位的に優位であることを利用し、苦痛や害を与えるケースが一般的ですが、部下から上司に対してもパワハラは起こりえます。例えば、他社や別部署から異動してきた上司に対して、嫌がらせや無視を行うなどです。

モラルハラスメント(モラハラ)

「モラルハラスメント(モラハラ)」とは、モラルに反した言葉や態度による嫌がらせや暴力のことです。厚生労働省の「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳」内では、モラルハラスメントを「言葉や態度、身振りや文書などによって、働く人間の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、その人間が職場を辞めざるを得ない状況に追い込むことや、職場の雰囲気を悪くさせること」と定義しています。

職場で他の従業員の前で過剰に叱責する、陰口や誹謗中傷、わかりやすい舌打ちなどは、モラハラにあたります。ただ、モラハラの明確な基準を打ち立てることは難しく、判断が難しいケースも少なくありません。

ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)

「ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)」とは、性別を理由にしたハラスメントです。「男らしさ」「女らしさ」といった基準を用いて、差別的な言動や避難、基準に沿った行動の強要により嫌がらせをすることを指します。

例えば、お茶くみを女性従業員のみに指示するなど、特定の業務をどちらか一方の性別のみ対応させることが挙げられます。近年世界的な課題となっているLGBTQに関する差別もジェンハラに含まれます。

セクシャル・ハラスメント(セクハラ)

「セクシャル・ハラスメント(セクハラ)」は、基本的には性的嫌がらせや性的言動を意味しますが、実際の範囲は広く、男性から女性に対する言動だけでなく、対男性やLGBTに対する性的言動も該当します。

職場においては、性的嫌がらせや性的言動によって、全体の労働条件や就業環境が悪化することも含まれます。厚生労働省の定義では、セクハラは「対価型セクシュアルハラスメント」と「環境型セクシュアルハラスメント」という2つの分類があります。

対価型は、相手が性的な言動に対して拒否や抵抗を示したことで、解雇や降格、減給といった不利益を受けることを指します。また、環境型は、本人の意に反する性的言動によって、従業員の就業環境が悪化したために業務に支障が生じることを言います。

マタニティハラスメント(マタハラ)

「マタニティハラスメント(マタハラ)」は、妊娠または出産した女性に対する職場でのハラスメントです。「妊娠や出産を理由に退職や就業制限を迫られる」「業務上支障を来たす、として精神的・肉体的な嫌がらせや脅しを受ける」といったものが挙げられます。

また、「忙しい時期に妊娠するなんて信じられない」といった皮肉を言われることもマタハラに該当します。

パタニティハラスメント(パタハラ)

マタハラに対して、男性側が受ける不利益な扱いは「パタニティハラスメント(パタハラ)」と呼ばれます。配偶者の妊娠・出産・育児に関わる男性に向けられたハラスメントで、育児休業や妊婦健診の同行のための休暇申請の際に、不利益な扱いや苦痛を受けることを指します。

「男のくせに育児休暇なんてありえない」「他の人を雇うから、辞めてもらう」といった嫌味や脅迫は、パタハラの代表例です。また、育休自体は取れたものの、復帰後にポジションが用意されておらず、退職や転職を余儀なくされるケースも含まれます。

ロジカルハラスメント(ロジハラ)

「ロジカルハラスメント(ロジハラ)」とは、論理的に相手を言い負かすことで、不快感や苦痛を与える行為を指します。「自分の方が絶対正しいのだから、相手を説得するのが当然」といった思い込みによる言動により、相手に寄り添うことなく理不尽に追い詰めることです。

例えば、個人の成長につながらないような非生産的な追求や、必要以上に長時間に渡る指導などです。また、マウントや反対意見の封殺だけを目的とした会議中の言動も、ロジハラに含まれます。

セカンドハラスメント

「セカンドハラスメント」とは、パワハラやセクハラを受けた人が、別の上司や周囲の同僚から二次被害を受けることです。勇気を出してハラスメントの相談をしたにもかかわらず、

別な人からもバッシングを受ける、協力を得られない、といった事態を指します。

「被害妄想じゃない?」「あなたにも原因があったはず」「それくらいは我慢しなさい」などと言われ、更に辛い思いをする状況がセカンドハラスメントに該当します。

アルコールハラスメント(アルハラ)

「アルコールハラスメント(アルハラ)」とは、飲酒に関連した嫌がらせや迷惑行為です。相手の体調や体質、意向を無視して飲酒を強要する、罰ゲームやはやし立てによるイッキ飲みをさせる、などの行為が該当します。

飲めない人に対して、ノンアルコールの飲み物を用意しないなど、配慮を欠くこともアルハラに含まれます。アルハラは、急性アルコール中毒など命に危険が及ぶリスクもあるため、特に注意が必要です。

カラオケ・ハラスメント

「カラオケ・ハラスメント」は、無理やりカラオケを歌わせる行為を指します。優越的な立場を利用して上司が部下に強要するケースが一般的ですが、一方的に女性社員の肩を組んでデュエットする行為も含まれます。

「人前で歌うのは恥ずかしい」と感じている人やカラオケが苦手な人に対するパワハラやセクハラの可能性も考えられます。

ソーシャルハラスメント(ソーハラ)

「ソーシャルハラスメント(ソーハラ)」とは、SNSの利用におけるハラスメントのことです。比較的新しいタイプのハラスメントで、職場の同僚や上司、部下がSNS上でつながることで、業務時間外にまで職場の関係が持ち込まれてストレスとなる、トラブルに発展するといった可能性があります。

職場の部下に友達申請やフォローを強要する、自分の投稿に「いいね!」を押すよう過度にプレッシャーを与える、といった行為も、ソーハラに該当する場合があります。

スモークハラスメント(スモハラ)

「スモークハラスメント(スモハラ)」とは、喫煙者が非喫煙者に対して行う嫌がらせです。喫煙者によって、非喫煙者が苦痛や不快さを感じることや、非喫煙者に喫煙を強要することなどが該当します。

喫煙者がたばこを吸う「一服の時間」が、非喫煙者の休憩時間よりも明らかに長い、頻度が多い、といった場合も、スモハラとして扱われる可能性があります。

スメルハラスメント(スメハラ)

「スメルハラスメント(スメハラ)」とは、匂い(=Smell/スメル)が強いことで相手に不快感を与えるハラスメントのことです。一般的には口臭や体臭による悪影響を指しますが、強すぎる香水や柔軟剤の匂いも要因となる場合があります。

職場という密閉された空間で、近距離で仕事をするにあたって、特に匂いに敏感な人には強い匂いがストレスとなりやすく、頭痛や体調不良の原因にもなりかねません。

リストラハラスメント

「リストラハラスメント」とは、リストラ対象者に対する嫌がらせのことで、パワハラの1種として認識されます。リストラ対象の従業員に対し、無理難題を押し付ける、急な人事異動により窓際部署や望まない部署へ異動させる、といった対応を行い、自主退職に追い込むことを指します。

テクノロジーハラスメント

「テクノロジーハラスメント」とは、パソコンやスマホなどに詳しい人が、そうでない人に対して嫌がらせや迷惑行為を行うことです。高度IT技術に詳しい人やITスキルの高い人が、そうでない人に対して見下した態度や言動を取る行為などが該当します。

例えば、わざと専門用語を使って指示を出して相手を困惑させることや、パソコントラブルを解決する際に回りくどい言い方をすることなどです。

エイジハラスメント(エイハラ)

「エイジハラスメント(エイハラ)」とは、年齢に紐づけて悪口や嫌味を言うことです。例えば、中高年で役職に就いていない従業員に対して「もういい年なのに平社員」などと言うことが挙げられます。

また、年齢による差別や偏見に加えて、業務と関係なく「35歳まで」など年齢制限を設けて求人を募集することもエイハラに該当します。

従来は、中高年の従業員が若手に対する行為に対して使われていましたが、近年は家庭内の父親や、介護施設を利用する高齢者に対する差別や嫌がらせもエイハラに含まれます。

就活終われハラスメント(オワハラ)

「就活終われハラスメント(オワハラ)」とは、企業が就活中の学生に対して、内定を出す代わりに就職活動を終わらせるよう迫る行為を指します。「内定をもらえなかったらどうしよう」と不安になりやすい就活生の心情につけ込んだハラスメントです。

採用面接において「あなたなんて他じゃ採用される訳ない」といった発言は、オワハラとして扱われるだけでなく、コンプライアンス問題にも関わる可能性があります。

リモートハラスメント(リモハラ)

「リモートハラスメント(リモハラ)」は、リモートワークに関する嫌がらせのことで、コロナ禍の在宅勤務とともに増えているハラスメントです。同じ空間にいないことを理由に、過度な監視や一方的な思い込みによる叱責を行うことなどが該当します。

例えば、「就業時間内に過度に進捗状況を確認される」「ごく稀に連絡が取れなかったために、サボっていると思い込んで怒られる」などです。また、嫌がらせが目的で特定の従業員をリモート会議に招待しない、Webカメラに映った部屋の様子を細かくチェックする、といった行為もリモハラに含まれます。

ケアハラスメント(ケアハラ)

「ケアハラスメント(ケアハラ)」とは、働きながら介護を行う従業員に対する嫌がらせのことです。介護休暇を取得する従業員に対する嫌味などが該当します。

また、「介護=家のこと」という思い込みにより、女性がやるものとして、男性社員が介護休暇を申請した際に理解を示さず嫌味を言う、休暇を認めない、といった行為も含まれます。

ハラスメントハラスメント(ハラハラ)

「ハラスメントハラスメント(ハラハラ)」とは、上司が部下に対して業務上適切な指導を行った際に、部下がハラスメントだと騒ぎ立てる行為のことです。本人の被害者意識が強い場合や、単純に指導とハラスメントを区別できていないなど、さまざまなケースが考えられます。

ハラスメントが発生した時に企業に起こるリスク

ハラスメントには多くの種類があり、どの職場においても発生する可能性があるといえます。実際に企業においてハラスメントが発生した場合、企業は法的責任を問われ、社内環境や社外評価へも悪影響が及ぶ可能性があります。

損害賠償責任

ハラスメントによって企業が負うことになる法的責任の1つとして、損害賠償責任があります。従業員に対するハラスメントが、会社側の安全配慮義務や職場環境配慮義務に反したことによる、と判断された場合、被害者に対して損害賠償責任を負います。

民法715条の「使用者責任」や、民法415条の労働契約上の「債務不履行責任」、民法709条「不法行為責任」などの基準で責任が問われ、被害者が被った損害を企業側が賠償することとなります。

刑事責任

ハラスメントは民法の他、刑法に違反するとして刑事責任を問われる可能性もあります。刑法では、暴行罪や名誉毀損罪、強制わいせつ罪といった犯罪に対する処罰について定められています。

ハラスメントと判断された場合、悪質性の高いものとして、行為者およびそれに加担した個人が刑罰を背負うこととなります。

懲戒処分

パワハラが社内で発覚した場合、企業として職場の規律を維持するために懲戒処分を検討する場合もあります。

行為者や加担した個人などに対して、減給や降格、出勤停止、懲戒解雇といった処分が下されます。適切な懲戒処分を実施するためにも、事実関係の調査を徹底する必要があります。

労災認定手続きへの関与

パワハラが業務災害に該当する場合は、労災保険の対象となるため手続きが必要です。労災保険は、業務災害と通勤災害に関して、被害者本人やその遺族に支払われるものです。

労働災害などによって従業員が死傷した場合、企業は「労働者死傷病報告」を労働基準監督署長宛に提出しなければなりません。故意に提出しなかった場合や、偽造の内容を記載した場合には、罰金などの罰則が下される可能性もあるため注意が必要です。

職場ハラスメントの予防対策

職場におけるハラスメントは、法的責任に加えて、社会の職場環境の悪化や離職者の増加、社外評価の低下など多くの悪影響が考えられるため、対策を徹底する必要があります。ここでは、職場ハラスメントを未然に防ぐために有効な予防対策について解説します。自社での労働環境や社内制度の見直しの際にお役立てください。

社内への周知・啓蒙

ハラスメントに対する方針やルールについて、従業員に積極的に周知することが従業です。全従業員が取り組まなければならない重要課題であるという周知によって、個人のハラスメントに対する意識が高まり、予防につながります。

企業のトップや役員が方針を把握した上で、ハラスメント対策は率先して関与すべき重要課題であり、組織が一体となって真剣に取り組む必要があると明確に示せる方法を活用しましょう。周知する方法は、ポスターや全社メール、就業規則などさまざまなやり方がありますが、具体的な取り組みに通ずる手段を継続的に行うと効果的です。

研修の実施

自覚なくパワハラにあたる言葉を使ってしまっているケースも考えられるため、どのような行動、言動がハラスメントに当たるのか理解し、正しい知識を身につけるための教育研修を実施する必要があります。

研修は全従業員が受講することが重要なため、中途社員や新入社員の入社研修にも組み込むと良いでしょう。規模の大きな企業では、経営層や管理職と一般の従業員を分け、階層別の研修を実施する方法も有効です。

研修内容は、トップのメッセージや社内ルール、ハラスメント予防策の具体的な取り組み内容、事例の紹介などが一般的です。定期的かつ繰り返し研修を開催することで、従業員の意識が高まり、ハラスメントの予防効果が見込めます。

パルスサーベイで定期観察

ハラスメントは、弱い立場にある人が被害に遭うケースが多いため、実態が顕在化しづらい傾向があります。そこで、パルスサーベイと呼ばれる簡易調査を短期間に繰り返し実施する手法を定期的に実施し、実態を把握することで、ハラスメントやその予兆の早期発見につながります。

より正確な実態把握や回収率向上のために、調査は匿名で実施すると効果的です。調査の実施により、ハラスメントに対する従業員の意識向上や労働環境について考える機会の増加といった良い影響も見込めます。

ハラスメント相談窓口の設置

社内にハラスメント専門の相談窓口を設けることで、状況の的確な把握と発生前の予防につながります。相談窓口へ寄せられた内容を受けて、コミュニケーションの改善や人事異動など、重大可する前に効果的な対応を取ることが可能です。

また、相談できる窓口があるだけで、当事者を守れる上、企業にとっても訴訟リスクや離職の回避といった効果が期待できます。

相談窓口では、相談者が安心して相談できる環境を整えることが重要です。プライバシーの保護はもちろん、相談すること自体や相談内容によって不利益を被るリスクの有無などを考慮し、適切に対応できる担当者を任命することが大切です。また、ハラスメントに該当するかどうかが曖昧であっても、安易に判断せず広く対応するよう心掛ける必要があります。

ハラスメントに関する法律

ここで、ハラスメントに関する法律を3つ紹介します。近年は、ハラスメントに特化した法律も施行されており、企業側も規則に応じた措置や対応が必要です。

労働施策総合推進法(パワハラ防止法)

「労働施策総合推進法」は、労働者が安定的かついきいきと働ける社会の実現を目指すために、労働問題の是正や多様な働き方の推進について定めた法律です。これまで時代背景にあわせて改正が行われており、2020年6月の最新改正においてパワハラに関する企業の義務が明記されたことから、「パワハラ防止法」と呼ばれています。

パワハラ防止法では、セクハラを相談した労働者への不利益な取り扱いの禁止など、実効性を高めるための対策を強化する内容が記載されています。違反が見つかり、公的機関による指導や勧告が入った後も措置を行わない場合は、企業名が公開される可能性があります。企業がパワハラの防止、対応に関する措置を講じる上で、十分に参考にすべき法律です。

男女雇用機会均等法

「男女雇用機会均等法」は、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保、女性労働者の就業に関して妊娠中及び出産後の健康の確保を図る等の措置を推進すること」を目的とした法律です。

第11条において、セクハラやマタハラの防止・対応に関する事業主の責務を定めています。2019年の法改正では、ハラスメントについての相談等を理由にした不利益な扱いの禁止、自社社員が他社の従業員にハラスメントを行った場合の協力対応などが追加されています。

育児・介護休業法

職場でのマタハラやパタハラ、ケアハラに関する防止措置を講じる必要性は、「育児・介護休業法」でも定められています。同法第25条と第28条において、育児や介護に関するハラスメントについて厚生労働大臣が指針を定めています。

2022年4月からは、育児休業を取得しやすい雇用環境を整備する一環として「産後パパ育休制度」が創設され、今後段階的に法改正が施行されていくことが決まっています。

まとめ

ハラスメントは、重大な社会問題の1つであり、時代の変化とともに種類や内容は複雑化しています。故意ではなくても、相手が不快に感じることや人間としての尊厳を傷づけることがあればハラスメントは成立するとされています。

ハラスメントによって個人の人権が侵害され、精神的・肉体的な苦痛から退職や求職を余儀なくされる可能性も考えられます。また企業にとっては、社内の労働環境や社外評価に悪影響を及ぼす可能性があるため、早期発見や予防向けた十分な対策を講じる必要があります。

従業員のハラスメントに対する意識が定着すれば、関わる人に不快感を与えていないかを自ら振り返り、言動を改める機会を増やすことが可能です。適切なハラスメント対策を導入し、誰もが気持ちよく働ける職場環境の構築に取り組みましょう。

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