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2020.11.6

KPI管理する上で欠かせないポイント

組織が目指すべき方向性を明確にするために欠かせないのが指標です。さまざまなビジネスで用いられている「KPI」は、業務評価において重要な位置付けにあるだけではなく、マネジメント手法の一つとしても多くのシーンで用いられています。この記事では、KPIを活用したマネジメントについて、管理方法や管理する際のポイント、コツ、注意点などの要素を踏まえながら詳しく解説します。

KPIとは?

KPIは「ケーピーアイ」と読み、正式名称である「Key Performance Indicator」の頭文字を取って略した用語です。日本語で、「Key」は「重要な」、「Performance」は「成績」、「Indicator」は「指標」という意味を持つことから、「重要業績評価指標」あるいは「重要達成度指標」などと呼ばれています。

KPIは業績を評価する指標です。経営をよりよくするための目標に向けたさまざまなプロセスにおいて、どれだけ目標を達成できているかの度合いを計測するモノサシであり、結果を評価するための指標でもあります。達成状況の度合いを計測するには、一定の基準における時間的変化をチェックすることが必要です。定めた基準に対して、時間の経過とともによくなっているのか、悪くなっているのかを数字で明確に把握できるようにしておくことは、ビジネスにおいてさまざまなメリットを生みます。そして、このように、KPIを数値化や視覚化し、達成率を管理することを「KPIマネジメント」といいます。

KPIを設定するメリット

KPIを設定することによって期待できるメリットは主に4つあります。

KPIを設定するメリット①:行動の明確化

1つ目は、行動が明確化することです。組織の経営には複数の人間が関わっています。一見するとすべての人が同じ目標に向かって仕事をこなしているようでも、目標達成に対する理解に個人差が生じてしまう可能性は否定できません。企業において目標達成に対する理解について社員間で差を生まないようにするためには、評価指標を誰もが共通して認識しておけるようにしておくことが大事です。KPIの設定により評価指標を体系化すれば、社員一人ひとりの「行動指針」が明確になり、社員間の理解のズレをなくすことができます。また、目標に対して現状でどれくらい進捗しているのかを迅速に把握し、改善すべき点を可視化できるようになるなど、結果として、業務の効率化を目指すPDCAのスムーズな循環にもつなげられるのです。

KPIを設定するメリット②:目標までのプロセスの見える化

2つ目のメリットは、目標達成までのプロセスを見える化できることです。ただし、目標を設定するにあたり、重要とされる4つの要素をきちんと押さえておかなければなりません。4つの要素とは、まず、目標に対する理解に個人差が生じないよう、ゴールだけではなく、そこまでのプロセスも明確にしておくことです。さらに、目標の達成度合いを確認するための数値がきちんと出せるように計量性も欠かせません。指標が測定できなければ、進捗状況や改善点を正しく把握できなくなることもあるため要注意です。

また、どれだけしっかりとした目標を設定していても、それが無理な内容では意味がありません。高すぎる目標は従業員の諦めの気持ちを生み、モチベーションを下げてしまうこともあります。そのため、実現可能な目標を立てることも欠かせないポイントです。最後に、大事なプロセスを後回しにしてしまわないように期間を限定する必要もあります。優先順位をつけて、無駄のない行動を取ることは、作業の効率性にもつながります。これらの4つの要素が一つでも抜けていると、プロセスが見える化されていても、目標につながるようなアクションを具体的に起こすまでの工程に無駄が発生します。プロセスの可視化というメリットを最大限に生かしながらプロセスを上手に活用するためには、売上の拡大やシェアの獲得などのような企業や事業の目標の設定を適切に行うこと必須です。

KPIを設定するメリット③:組織全体の能力向上

3つ目のメリットとして、組織全体における能力の向上につながる点も挙げられます。役員や一部の社員だけが高い目標を持っていても結果は出しにくいものです。一方、組織全体で同じベクトルを持てるようになれば、効率的で生産性の高い仕事ができるようになります。KPIを設定すれば、それぞれの従業員の立場から見る業務上の目的や目標を共通した設定にできるので、すべての社員で同じベクトルを持つことが可能です。曖昧だった指標や評価構造を明確に体系化させることができ、目標達成に向けた取り組みの途中で課題や問題点が浮上したときには、それらもすべての社員で共有できるようにもなります。組織としての核をきちんと統一できていれば、日常業務における社員やチーム間の思い違いや考えのすれ違いなどを防ぎ、従業員のモチベーションや意識の向上につなげられるだけではなく、組織全体への相乗効果が期待できるのです。

KPIを設定するメリット④:組織内での評価基準の統一

4つ目のメリットは、組織内で共有すべき評価基準をきちんと統一できることです。客観的で数値的なKPIの適切な設定は、評価基準を統一できるだけではなく、事業が目標に対してどれだけ進捗しているかといった状況や状態を明確に分析することも可能にします。また、数値化により見える化することで、チームやメンバーに対する公平な評価もできるようになるのです。

KGIとKSFとの違い

KPIを正しく導くために併せて必要となるのが、KGIとKSFです。KGIの正式名称は、「Key Goal Indicator」で、日本語では、目指すべき重要な数値であることから「重要目標達成指標」と呼ばれています。最終的に達成したいと考えている企業や事業における最終目標を指し、この指標を設定するのに用いられるのは、売上高や利益率、成約件数などの数値です。いずれも、定量的に定められ、客観的に数値化できる指標となります。時期や数値が具体的に設定されていれば、人によって成果の判断にずれが生じることもありません。公平な評価をするためには、誰が成果を見ても同じように判断できる明確な基準を設けておくことが重要です。

一方、KSFは、「Key Success Factor」を略した用語で、目標を達成して事業を成功に導くためには何が必要であるかを示す指標です。最終目標に到達するための要因となることから、日本語では、「主要成功要因」と呼ばれています。経営戦略や事業計画について方針を立てて、どのような取り組みを行うかを定める際には、戦略や事業の成功の可否をさまざまな視点から判断したうえで、決定しなければなりません。

具体的な方法としては、「外的環境分析」を明確化し、「内的環境分析」と照合します。外的環境分析とは市場におけるニーズなどから業界での競合の強みとなるものの条件を見極める方法で、内的環境分析とは自社の強みを生かすためにどのように実現するかという具体的な戦略を進めるための分析です。KSFの指標として用いられる要素には、たとえば、規模や技術力、顧客に対する迅速対応、ブランド力などがあります。ただし、KSFの要素は、競争構造が変わることで変化する場合もあるため、その時々に応じたKSFを選択することが重要です。

KPI、KGI、KSFの3つの指標は、同じ目標に向かうなかでお互いの足りない部分を補完し合える関係にあります。指標を単体で使用すると効果は期待できないので、併用して活用することがポイントです。KGIというゴールに向かうなかで、KPIとKSFを、順を追ってうまく利用しながら、プロセスをよりわかりやすく確実に設計することが、目標達成につながるプロセスを明確化するためには必須です。段階的に内容を向上させることで、方向性を決めやすくなります。

KPI管理を行う必要性

KPIを設定することは経営戦略において欠かせない工程です。経営者が業績を上げたいと思っても、ただ最終目標を掲げるだけでは、実現しにくくなります。たとえば、目標として「今月の売り上げは●●%UP」と掲げたとしても、具体的な手段がないと、社員は、売り上げを●●%上げるために何をすればよいのか判断できないからです。それぞれの判断で非効率な作業を行ったり、成果が出づらいことでモチベーションが上がらなかったりすれば、無駄にコストがかってしまう場合もあります。

効果の見られる経営戦略を立てて、効率的に結果を出すためには、社員が正しいアクションを起こしやすいように、「数値」を挙げて社員に理解を求めることが大事です。KPIを項目ごとに細かく分けて具体的に伝えることで、誰が何をどのようにすれば目標を達成できるかについて社員が明確に理解できるようになります。

KPI設定の手順

企業が持つ課題やその課題に対する進捗状況についてきちんと把握するためには、KPIの設定は欠かせません。そこで、ここからは、KPIを設定する方法について詳しく説明します。

KGIを設定する

KPIを設定するには、まず、KGIの設定を行わなければなりません。KGIは企業が目指す最終的な目標を示す指標であり、KPIはその最終目標までの各プロセスにおける指標だからです。ゴールが決まっていないと、その道筋も定められません。また、KGIの指標は明確であるほど有効です。目指すべき目標がはっきりと定められていれば、そこに到達するまでのプロセスにブレが生じてにくくなります。さらに、指標が明確であっても、無理な内容であってはなりません。実現が難しいことが明らかな、むやみに高い目標の設定は、社員のやる気を失わせます。当然ながら、業績アップに効果のないような簡単に実現できる内容にすることも避けなければなりませんが、努力すれば達成できるレベルの指標を設定することが大事です。

KSFを絞り込む

KGIを設定できたら、次に行うのが、KGIという最終目標を達成するための要因となるKSFの絞り込みです。KSFを絞り込む方法は大きく4つのステップがあります。最初のステップでは、KGIというゴールに到達するまでのプロセスを洗い出します。具体的には、ゴールまでに想定できるステップを具体的に挙げていき、それらを時系列で並べていく工程です。たとえば、営業のプロセスでいえば、顧客への連絡や訪問、受注などについて、実際に行った順番に挙げていきます。訪問については、提案や見積もりなど、何を目的に訪れたのかまで詳しく記載しておくとより具体的です。

プロセスの洗い出しを行ったら、次に行うのがプロセスとゴールの数値化です。売上などの数値目標を掲げるだけではなく、目標を達成するために必要となる具体的な数字も掘り下げて出していきます。たとえば、目標として売上を掲げている場合、その売上を出すためには、受注単価の平均がいくらで、それをいくつ受注すればよいかという試算が必要です。さらに、掘り下げて、どのくらいの受注率で、何件の訪問をすれば、試算で出した受注数を達成できるかも調べます。このように、より具体的に数値化していくことで、社員が実際にどのようなアクションをすればよいのかが明確化されるようになるのです。

プロセスとゴールを数値化したら、その数値化したものに対するコントロールの可否を判断します。計算上では数字が出ても、現実的ではない数字が含まれている場合もあるからです。そのため、最後に、自身でコントロールできる数字で、なおかつ、全体のプロセスに対して影響が大きなものから優先順位を付けていき、KSFの絞り込みを行います。選んだKSFが実際にもKSFとなり得るかどうかという実現性の確認として、すでに結果が出ている過去の数値を使いチェックしておくと安心です。

KPIに落とし込む

KPIを設定する最後の手順として行うのが、決まったKSFの指標をもとにして具体的に測定できる指標をKPIに落とし込む作業です。指標を落とし込む際には、現場の声も汲み入れる必要があります。KPIの指標を追うのは実際に現場で働いている社員だからです。さらに、関係するのはひとつの部門だけとは限らず、関わる部門が複数ある場合には、部門間の連携にも考慮しなければなりません。ただし、落とし込みでは、担当者や部門のレベルに合った内容に調整することが必要です。KGIと同じく、指標は実現可能な内容にしなければなりません。スキルの高い人と、経験値の浅い人では、実現可能であるかの判断は変わってくるため、スキルに応じたKPIの割り振りをきちんと行うことが大切です。

KPI設定の際のコツ

KPIの設定を上手に行うには主に3つのコツがあります。

KPI設定の際のコツ①:設計を複雑にしない

1つ目は設計を複雑にしないことです。誰が見ても理解できるように可能な限り目標設定の単純化を心掛けます。単純化を実行するためには、目標の達成と具体的な測定が可能となるような数値を挙げるようにしましょう。また、抽象的だったり、要素をたくさん含んでいたりするような目標にしないこともポイントです。具体性に欠けた目標は、従業員の行動の迷いや非効率な業務につながります。また、多くの要素があると、その分、評価するときの基準も複雑になってしまうため、非効率です。業務実績を上げるために行うことが、業務効率の低下を引き起こしてしまったり、生産性を下げる結果となってしまったりしては意味がありません。KPIを、結果の出ない目的化に陥れないようにしましょう。

KPI設定の際のコツ②:評価システムを明確にしておく

2つ目のコツは、評価システムを体系化し明確にしておくことです。成果や活動に対して、どのように評価するかを決めておきます。評価の基準はKPIの進捗状況に対応できるようにしておくことが大切です。また、評価システムは、組織の誰もがわかりやすい状態にするように明確化します。組織の全員が理解を深めるためには、評価基準を単純な段階形式にして可視化するのが適した手段です。

KPI設定の際のコツ③:システムやツールを活用する

3つ目のコツとして、CRMやSFAを有効活用することも挙げられます。CRMとは顧客管理システム、SFAとは営業支援ツールです。この2つを上手に活用することで、さまざまなデータの管理や、営業活動の可視化を進めることができるようになります。さまざまなデータとは、たとえば、受注にたどり着くまでの営業活動、既存顧客に対する営業活動やサポートなどです。業務で扱うデータは、営業の活動や情報が蓄積された大事な資料です。これらの資料を状況の把握や蓄積、分析に活用すれば、効率的で迅速な業務を実現できるようになります。また、結果として、PDCAサイクルの好循環にもつなげられるのです。

管理する上での注意点

KPIを管理する際には、KPIの絞り込みと従業員のモチベーションの低下に注意しなければなりません。まず、KPIの絞り込みを行うときには、必ず1つだけにしておくことが重要です。KPIの設定の手順として、目標に対する優先順位を決めることや、プロセスや評価する際の基準を体系化する必要性を述べましたが、このとき、たくさんある要素を絞り込めず、複数の要素を抽出して盛り込んでしまうことは避けなければなりません。いろいろな要素があると、従業員は重視すべき指標がどれであるかを判断できず、組織全体の混乱を招いてしまうことがあります。そのようなリスクを防ぐためには、「SMART」の法則を活用することも良い手段です。

SMARTとは、目標達成に必要な5つのキーワードの頭文字を取って付けられた名前です。5つのキーワードとは、Specific(具体的で分かりやすい)、Measurable(計測可能な)、Achievable(達成できる)、Relevant(関連した)、Time-bounded(期限を明確に定めた)を指します。「期限や計量が具体的でわかりやすく、最終目標につながり達成が可能なもの」というKPIのそもそもの目的と同じ「SMART」の法則を活用することで、的確な目標設定が可能となります。

一方、従業員のモチベーションや意欲を下げないようにするためには、KPIとKGIの設定を正しく行うことがポイントです。KPIとKGIの設定が理想ばかりを追っていて現実との開きが大きいと、遂行が難しくなるため、従業員がやる気を失ってしまったり、無理なアクションを起こしてしまったりすることがあります。特に、売上や利益の数字に直接的にかかわるようなKPIとKGIの設定においては要注意です。理想の数字を遂行するために、顧客の実際の意思や都合に合わない押し売りをしてしまう可能性があります。従業員の声や市場に則さない上層部の考えだけによる指標の決定は、よい結果を生みません。議論や決定に到達するまでのプロセスを従業員と共有したり、あくまでもKPIは指標であり、状況に応じた見直しを柔軟に行う考えであることを従業員に伝えておいたりすることが大事です。また、組織全体で関わりやすい環境を構築することも、適切なKPIマネジメントを実施するうえでは重要となります。

KPI管理で目標が分かりやすくなる

KPIはビジネスの目標を誰でも分かるように数値化した指標です。明確に数値化されたKPIを設定すれば社内の目標を可視化できるので、組織全体での目標の共有や理解の浸透にもつながります。その結果、組織のメンバーがまとまり、共通の目標に向かって行うべきタスクを各従業員が把握できるので生産性の向上も期待できるのです。さらに、成果を出した後の振り返りや結果からの改善も可能となり、PDCAサイクルもスムーズな循環となります。

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