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2020.9.14

メタ認知が高い・低いって何?高い場合のメリットと鍛え方

「メタ認知」という言葉を知っていますか。これは認知心理学の用語ですが、メタ認知が高い・低いという使い方をすることがあります。しかし、それがどのような状態なのかわからない人もいるでしょう。そこでこの記事では、メタ認知が高い・低いとはどのような状態のことなのか、またメタ認知が高いことのメリットやその高め方などを紹介します。

メタ認知とは

メタ認知とは、自分が認知していることをより俯瞰的に認知するという意味の認知心理学用語のひとつです。「認知」とは「自分の外側にあるものを知覚し、それがどのようなものなのかを判断あるいは解釈すること」をいい、そのなかには知覚や思考、記憶などが含まれます。また「メタ」には「高次の」という意味があり、直接的にまとめると「自分が理解したことを高次の視点から理解すること」がメタ認知です。メタ認知をすると客観的に自分自身を見つめることになるので、もう1人の自分が頭の中にいるような感覚に近いかもしれません。

メタ認知は、もともとアメリカの心理学者であるジョン・H・フラベルが定義付けた概念で、1970年代にその用語が初めて使われました。ただし、メタ認知能力についての記述だけでいえば、ギリシャの哲学者アリストテレスの時代にまでさかのぼる必要があります。メタ認知という用語は、最初のころはあまり浸透しなかったものの、研究が進むに連れて一般的にも知られるようになっていきました。そして、ビジネスや教育の分野においても重要な能力と認識されるようになっていったのです。

「メタ認知が高い人」とは

メタ認知が高い人とは「自分で自分のことを客観的に見てコントロールできる人」のことをいいます。つまり、メタ認知が高い人は自分に何ができて何ができないか、またそれがどのレベルまでできるのかを冷静に分析することができるのです。そのため、学校や企業などの集団のなかに居ても自分の立ち位置を把握するのが得意でしょう。

たとえば、メタ認知が高い人は、人間関係において相手と適切な距離感を保ちつつ気を配ることができますし、ビジネスにおいては自分の弱点を客観的に把握して計画的に仕事に取り組めます。さらに、学校のテストで基本的なミスを連発してしまったとしても、次のテストでは意識的にそのミスを避けて満点を目指すこともできるでしょう。このように、メタ認知は特別な能力とも言えるもので、誰にでも備わっているわけでありません。

「メタ認知が高い」ことで何ができるか?

メタ認知が高い人は「リーダー的な素質」があります。メタ認知が高い人は、周囲との適切な距離感を把握しているので、周囲への配慮もしつつ円満な人間関係を築くことができます。また、協調性が高く、集団における自分の立ち位置も理解しており、周囲の人間をまとめることもできるという意味で、リーダーのような立場に向いていると言えるでしょう。

さらに、メタ認知が高いと「冷静な対応」ができます。前述したように、メタ認知が高い人は自分自身のことを冷静かつ客観的に見られます。ですから、何か予期せぬトラブルが発生したときでも、焦らず冷静に対処することができるのです。また、たくさんの仕事を抱えてしまったとしても、それぞれに優先順位をつけてしっかりこなすことができるでしょう。

加えて、メタ認知が高いと「柔軟性」も高まります。メタ認知が高い人はリスク回避能力も高いので、仕事でミスをしてしまったとしてもそのミスから学び、次に活かすことができるでしょう。そして、他人から自分の欠点についてアドバイスをもらっても、素直に聞き入れて改善することができるのです。これは、人が成長するうえで非常に重要な要素だと言えます。

また、メタ認知が高い人は「時代の変化にも合わせられる」でしょう。スマートフォンやインターネットなどのテクノロジーは大きく発展し、とても速いスピードで世の中は変化し続けています。メタ認知が高ければ、そのようななかでも自分の知識や考え方が時代錯誤ではないか、過去のやり方に固執してはいないかなどを冷静に考えて変化していくことができるのです。これは、今後ますます求められる能力と言えます。

そして、メタ認知が高い人は「分析能力が高い」傾向にあります。高い分析能力があるからこそ、自分自身を客観的かつ冷静に見られるのです。メタ認知が高まれば高まるほど、自分にどのような長所や短所があって、言動にはどのような傾向があるのかなどが細かく見えてきます。そして、自己分析はそのまま自分のさらなる成長へとつながっていくのです。

「メタ認知が低い人」とは

メタ認知が低い人とは、メタ認知が高い人の逆で「自分が周りからどう思われているのかを客観的かつ冷静に把握できない人」のことです。メタ認知が低い人は自己中心的で、周囲の認識を把握できずに自分が正しいと思い込んでしまう傾向にあります。このような人は「非認知能力が低い人」とも言いかえることができます。非認知能力というのは「意欲」「協調性」「粘り強さ」など、個人の特性のことです。この特性が低いと、人間関係においてもさまざまな弊害をもたらす危険性があります。

より具体的な例を挙げると、メタ認知が低い人は上司の態度が冷たいと感じると「自分の行動がよくなかったかもしれないから今後気をつけよう」と考えるのではなく「自分は嫌われている」という安直な考え方をしてしまうでしょう。また、協調性もなく相手に合わせるのも苦手なので、空気を読めない人だと思われてしまう可能性もあります。

「メタ認知が低い」ことでどうなってしまうのか?

メタ認知が低いと「扱いづらい人」だと思われてしまうおそれがあります。なぜなら、冷静に自分自身を見つめられないので、思い込みが激しく感情的になりやすいからです。また、自分が好きなように動く傾向があり、空気が読めない自分勝手な人間だと思われてしまう可能性もあります。

さらに、メタ認知が低いと「成果が出しにくい」傾向もあります。メタ認知が低い人は、自分を分析したり周囲に対して気配りをしたりすることが苦手なため、今回のミスを次回に活かすのが苦手です。また、自分の欠点とも向き合うことができないので、周囲のアドバイスを聞いて修正するのも難しいでしょう。つまり、メタ認知が低いことが自分自身の成長の機会を妨げてしまっているとも言えます。

メタ認知的知識

メタ認知的知識とは、自分の長所や短所などもすべてひっくるめて「自分自身について知っている知識」のことです。この知識は基本的に、自分自身を分析することで得られます。メタ認知的知識を身につければ、自分自身の弱点を把握して対処法を導くことができるようになります。つまり、本当の意味でメタ認知を高い状態にできるのです。

ちなみに、このメタ認知知識はさらに、人変数に関する知識や課題変数に関する知識、方略変数に関する知識に分けられます。人変数に関する知識は「人についての知識」、課題変数に関する知識は「課題の性質が自分たちの認知に与える影響に関する知識」です。方略変数に関する知識は「目的に適した効果的な方略の使用に関する知識」のことです。

メタ認知的技能

メタ認知的知識を習得しただけでは、成果を出すには不十分です。メタ認知的知識を応用した「メタ認知的技能」も学ぶ必要があります。メタ認知的技能とは、メタ認知的知識に照らし合わせて現在の自分自身を評価したりコントロールしたりする能力のことで「メタ認知的モニタリング」と「メタ認知的コントロール」の2つに分けられます。

メタ認知的モニタリングとは、メタ認知的知識を現在の自分と照らし合わせ、修正すべき改善点がないか、正しい認知を持てているかなどを確認することです。たとえば、一度にたくさんの仕事を任されたときに、自分はマルチタスクが苦手だから一つひとつの仕事を分割したほうがいいのではないかと考えることなどが挙げられます。一方で、メタ認知的コントロールとは、メタ認知的モニタリングでわかったことを活用し、自分の戦略や行動などを改善することをいいます。先程の例に当てはめると、実際に仕事を分割して取り組んでみることがメタ認知的コントロールにあたるでしょう。

メタ認知を高めるアプローチ:セルフモニタリング

メタ認知を高める方法のひとつに「セルフモニタリング」というものがあります。これは、自分のことを客観的に見て思考や行動の傾向、短所や長所の確認などを行う作業のことです。その際のポイントは、自分の弱みや課題から逃げずに、冷静かつ的確に把握することです。また、この作業によって、今まで自分が無意識に行っていたことに意識を向けてあげる必要もあります。たとえば、自分が他人に対して強い怒りを覚えたとしましょう。普段なら無意識で済ませているかもしれませんが、1度立ち止まって自分がなぜ怒っているのかを冷静に観察・分析してみるのです。そして、その感情が周りの人と比べてあまりにかけ離れていないかも確認しましょう。

メタ認知を高めるアプローチ:コントロール

メタ認知を高めるもうひとつの方法は「コントロール」です。これは、モニタリングで得た情報を踏まえたうえで対処法を考えて行動に移していく作業となります。たとえば、モニタリングの結果、自分の怒りの原因が上司の態度だったとしましょう。それがわかれば、今後は上司となるべく接しないようにしようと考えて行動することができます。これこそが、コントロールです。このように、コントロールをうまく使いこなせるようになると、感情的になったり、後悔するような言動をしたりすることが減っていきます。また、セルフモニタリングとコントロールを繰り返し行えば、これらを意識せずともできるようになり、次第にメタ認知能力も上がっていくでしょう。

メタ認知を高めるトレーニング:ライティング

ライティングもメタ認知を高めるのに効果的な方法です。これは、ライティングという名前のとおり、書くことでメタ認知を高めるトレーニングになります。何でも書けばいいわけではなく、自分のネガティブな感情を書き出して客観的に見ることでメタ認知を高める手法です。これを「ライティングセラピー」といいます。ライティングセラピーを行うと自分を客観視できるため、精神の安定にも効果的です。

ライティングは、たとえば日記を書くこともメタ認知を高めるのに効果的です。毎日自分が抱いた感情を書き出すことで「モニタリング能力」を高められます。また、TwitterやFacebookなどのSNSで、自分の情報を見た人がどのような反応をするかを考えながら発信するのもいいでしょう。ただし、こうしたライティングの作業は一朝一夕では効果が出にくいので、継続して行うことが大切です。

認知行動療法とは

認知行動療法とは、うつ病の治療法としても有名で「現実の受け取り方」や「ものの見方」といった、認知に働きかけることでストレスを減らす方法です。人の認知のなかには「自動思考」というものがあり、これは何かの出来事に対して無意識に浮かんでしまう考えやイメージのことを指します。人は、自動思考の働きによって感情が動いたり行動を起こしたりしますが、ストレスに強くなるには自動思考に気づき、働きかけてあげる必要があるのです。ただ、こうした思考の癖や習慣は、自分ではなかなか気づくことができません。

認知行動療法には専門の知識やスキルも必要です。ですから、もし認知療法を受けてみたいのなら、プロのコーチからサポートを受けるのもひとつの方法と言えるでしょう。第三者の視点は、自分自身の視点よりも客観的かつ冷静です。そのため、自分1人では見えなかった新たな自分を見つけられる可能性があります。

メタ認知が高いことの弊害

メタ認知が高いことには多くのメリットがあるのは事実ですが、一方でデメリットもあります。それは、自分を客観視できすぎるがゆえに、周りの目が気になり自意識過剰になってしまうということです。そして、周りの目が気になると不安を感じやすくなり、精神的にも不安定になりやすくなります。さらに、プレッシャーを感じて萎縮してしまうことで、本来の自分の能力が発揮できなくなるおそれもあるのです。ですから、メタ認知が高すぎる人には、周りのフォローが必要です。もし自分の部下にメタ認知が高すぎる人がいたら、しっかりとフォローをして、能力が発揮できるようにしてあげるといいでしょう。

メタ認知を鍛えて結果を出そう

メタ認知を高めることができれば感情的になりにくく、自分や他人が抱えている課題なども冷静に把握できるようになります。メタ認知の向上により、成果も出やすく人間関係においてもうまくいきやすくなるはずです。メタ認知を高めるには一朝一夕にはいかないものですが、たくさんのメリットを得られるので普段から意識しましょう。

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