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2021.4.12

学習性無力感をわかりやすく紹介!どうやって対策したらいいの?

組織に属していて、「何をやっても無駄だ」「頑張っても意味がない」というような雰囲気が流れたことはないでしょうか。その雰囲気の正体こそが、学習性無力感と呼ばれるものです。この感覚は、どのような原因で起こるのでしょうか。また、どうやって対策すればよいのでしょうか。この記事では、学習性無力感について紹介します。

学習性無力感って何?

学習性無力感とは、抵抗したり回避したりすることができないストレスの渦中に置かれているうちに、そのストレスから逃れようとする行動を起こさなくなってしまう現象のことです。一般的には、何かしらのストレスがかかれば抵抗したり回避したりしようとするでしょう。しかし、いくら行動を起こしてもストレスから逃れられないと学習すると、無気力な状態に陥ってしまうのです。「どうせ何をやっても無駄だ」「頑張っても意味がない」という気持ちになり、実際にはストレスから逃れられるチャンスが訪れたとしても、現状維持の状況に甘んじてしまいます。

期待した結果と異なる事態が連続して起きるか長期的に続く状況になると、そのストレスを受け続けなければなりません。その逃れようのない結果に抗う行動をとることは、場合によっては命の危険を冒す行動につながる可能性もあります。その危険かもしれない行動を止めるために生まれる無力感こそ、学習性無力感なのです。学習性無力感は、人間だけでなくイヌやネズミなどほかの生物でも起こることがわかっています。生物としての防衛本能だと捉えることができるでしょう。学習性無力感がひどくなると、うつ病などの病気になる可能性もあります。専門用語を使って学問的に説明するならば、期待理論のなかの結果期待、随伴性認知の一種にあたるものであり、抑うつ状態のモデルのひとつでもあります。

学習性無力感はどうしたら現れるの?

では、学習性無力感がどのような状況下で生まれるのかについて、心理学上の2つの実験結果を通して理解していきましょう。1つ目は、道具的課題を人間に与えるための実験です。人間に対して片方はスイッチを押せば雑音が止まる状況を作り出し、もう片方は何をしても雑音の発生を回避できない状況を作り出します。何をしても雑音の発生を回避できない状況下つまり何をしても結果が変わらない状況下に置かれているグループは、学習性無力感に陥るとされています。逆に、スイッチを押せば雑音が止まる状況下にあるグループは、自分の行動によって結果を変えることができると学習することが可能です。

2つ目は、認知的課題を人間に与えるための実験です。数学の問題を使って、片方には答えがある問題を解いてもらい、もう片方には答えがなく解説もない問題を解いてもらいます。答えがない問題を解かされているグループは困難な状況のように見えますが、必ずしも学習性無力感が現れるわけではないという実験結果が出ています。むしろ、答えがなく解説もなく解決不可能な問題を渡したグループのほうが、答えのある問題を解いてもらったグループよりも積極性をもって問題解決に挑む場合があるとのことです。答えがない問題を複数与えられた場合とひとつだけ与えられた場合とでも、実験結果が異なります。複数与えられると学習性無力感の症状が引き起こされることもありますが、ストレスを感じる状況が単発的なものであれば意欲を増して課題解決に取り組んでいくケースもあるのです。

学習性無力感に陥るのはどうして?

ビジネスシーンにおいて学習性無力感に陥るよくあるパターンとしては、周囲の人から繰り返し否定をされるケースです。上司によく怒られたり同僚によく注意されたりすることが続くと、学習性無力感に陥る可能性があります。先述のように、単発的な叱咤激励であればむしろ意欲向上につながることもあるかもしれません。しかし、日常的にまたは繰り返し否定をされることが続くと、「自分は何をやってもダメだ」「どうせまた失敗する」といったような非随伴性認知つまり行動と結果の関連性が感じられない状態になり、学習性無力感の症状が出てしまいます。

たとえ上司や同僚が本人のためを思って怒ってくれているのだとしても、怒られている本人が自分のためにわざわざ怒ってくれているのだと捉えていなければ学習性無力感の症状は引き起こされます。上司や同僚に注意されることは自分が成長するうえで必要だと捉えられるような人は、学習性無力感に陥りにくいといえるでしょう。また、上司が部下に対して明確なフィードバックをしない場合も、部下が学習性無力感に陥ることがあります。

自分の行動によって結果がどのように変わったのかやどのような影響を与えることができたのかがわからないと、「自分の行動によって結果を変えることができる」「自分はやればできる」といった感覚が養われません。フィードバックがもらえない状況が続けば、自分の行動に対する自分自身の期待が低くなってしまい、学習性無力感にさいなまれやすくなります。ほかにも、学習性無力感に陥っている人が周囲に多数いる場合、本人が否定され続けているわけではなくてもその無力感が伝染することによって学習性無力感に陥ってしまうことがあります。

たとえば、上司に対して会社がよりよくなるような意見を伝えているにもかかわらず、まったく聞きいれてもらえない人がいる状況を想像してみてください。意見を直接伝えていた人だけでなく、周囲の人にも「この上司には何を伝えてもダメだ」というあきらめの空気が流れます。ひとりまたは何人かの行動によって、行動した人だけでなく周囲の人も行動しても状況が変わらないことを学習してしまうのです。

学習性無力感の事例

学習性無力感の具体的な事例としては、どのようなものが挙げられるでしょうか。1つ目は、資格取得のための勉強です。いくら勉強をしても一向に成績が上がらないと、その資格の勉強をやめてしまうケースがあります。勉強全般にいえることですが、勉強方法が適切だったのかどうかや合格点まであと何点だったのかなどといった要素は関係ありません。勉強していた本人が「頑張っても成績が上がらなかった」という結果をどう認知するかによって、学習性無力感の症状が引き起こされるかどうかが決まります。学生時代に苦手科目があった人は多いのではないでしょうか。苦手科目だと位置づけたのは、勉強をしても成績が上がらない無力感を覚えたからではありませんか。資格取得の勉強でも、頑張っても意味がないと認知するかどうかは本人の感じ方次第だということです。

2つ目は、人間関係です。ひょんなことがきっかけで同僚や上司から避けられるようになるなど、職場の人間関係が悪化してしまうこともあるでしょう。もちろん転職や異動などができればよいですが、なかなか簡単にはいきません。生活のために仕事をやめられない人がほとんどでしょうから、人間関係悪化によるストレスから逃げ出すことは難しいのが現実です。壊れてしまった人間関係の修復ほど思い通りにいかないものはないといっても過言ではないでしょう。この過大なストレスをじっと耐え続けるばかりになりがちであり、学習性無力感の症状が出てしまいます。

3つ目は、自分ばかりを責めることです。前述した通り、自分がやった仕事に対して上司から何のフィードバックもないと、自分が会社にいる意味について悩んでしまうことがあります。実際に本人が会社にあまり貢献できていない可能性もありますが、ただ単にフィードバックのできない上司にあたってしまっただけかもしれません。また、自分が新人教育係であり、すぐに新人が辞めてしまう会社にいたとしましょう。新人が辞めてしまう原因は自分にあるのではないかと、自分を責めてしまうことが考えられます。このようなケースでも、学習性無力感の症状が引き起こされます。

学習性無力感はどうやって克服するの?

学習性無力感は、どのようにして克服すればよいのでしょうか。学習性無力感に陥る人の傾向として、完璧主義であるケースが多くあります。完璧主義な気質だと、上司や同僚に怒られなくても自分で自分の些細なミスなどを見つけてしまって、自分ばかりを責めてしまいがちです。一度失敗に目が向くとポジティブな部分に注目できなくなるケースがあるため、物事に対する視野が狭くなっていないかどうか自問自答してみましょう。

資格取得の勉強のように目標が遠く感じるものには、スモールステップという考え方が有効です。スモールステップとは、小さな目標をいくつか立てることによって成功体験を積み重ねていくものです。着実に目標に向かって進んでいるという達成感が得られるため、モチベーションを高く保つことができます。完璧主義の人であっても、自分がやったひとつひとつの小さな行動に対して即座に自身でフィードバックできますので、些細なミスがあっても達成感を得られることで学習性無力感に対抗できるようになるでしょう。

時には、結果の原因を環境のせいにすることもひとつの手です。何もかもを環境のせいにして何の行動もしないのは好ましくありませんが、そもそもそういうタイプの人は学習性無力感に陥るケースが少ないです。自分に原因を求めて自分ばかり責めてしまう人がほとんどであるため、自分以外の原因もあったのかもしれないと考えることが必要でしょう。たまたま環境が合わなかったケースもあるでしょうし、運が悪かっただけのケースもあります。

また、自分自身を大切にすることも必要です。学習性無力感に陥ると、みるみるうちに自分に対する自信がなくなっていきます。服装や身だしなみを整えて自尊心を高めることが、学習性無力感を脱するきっかけになることもあるのです。周囲にうまくいっているように見える人や成功している人がいれば、その人の考え方に触れてみるのもよいでしょう。身近にうまくいっている人がいなければ、偉人の著書などを読んで参考にすることも考えてみてください。何の悩みもなく最初から成功している人はほとんどいないため、視野を広げる手助けになるでしょう。

学習性無力感について熟知して対策をしよう

学習性無力感は誰しもが陥る可能性のある精神状態であり、仕事をするうえで陥ってしまうと非常に厄介なものです。まずはこの学習性無力感についてよく理解し、自分や自分の周囲の人がそういった精神状態になる可能性があることを知っておくだけでも意味があります。学習性無力感について熟知し、もし陥ってしまっても落ち着いて対処して仕事を成功につなげましょう。

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