2020.01.17

年功序列の歴史とは?現在と過去の違いや海外と日本の違いを解説!

年功序列の歴史とは?現在と過去の違いや海外と日本の違いを解説!

年功序列は戦後の日本社会で導入されてきた制度です。日本独特の経済通念にも良く合致し、年功序列が日本経済を支えてきたといっても過言ではありません。ただ、現在では年功序列に異論を唱える人も多くいます。そこで今回は、年功序列の歴史を紐解き、時代の移り変わりの中でどのような見方をされるようになってきたのかを明らかにし、そのうえで年功序列の問題点や海外との違いなどについても併せて解説していきます。

年功序列とは?

年功序列とは、勤続年数や年齢の要素を基に、雇用者の役職や給与などを決めていく人事制度のことです。この制度の下では、会社に長く勤めている年長者を優遇したり、重要なポストに就けたりすることになります。その一方で、実力はあっても若年者や勤続年数の短い人は、組織の序列のなかでは下の位置に組み込まれます。

このように、年功序列制度は一見すると理不尽にも思われるかもしれません。しかし、勤続年数や年齢は、その人の能力を測るわかりやすい指標でもあり、長く勤務していたり年を重ねていったりすれば、自ずと経験やスキルは蓄積されていくものです。その結果、会社に対する貢献度も高くなると見込まれるため、そうした前提に立って勤続年数の長い年長者を優遇するというのが年功序列の本義なのです。

成果より勤続年数や年齢で雇用者を評価する年功序列は、裏を返せば成果を上げなくても年数や年齢で好待遇の身分を勝ち取れるということを意味します。その良し悪しは別にして、長い間、日本の会社で導入されてきた年功序列は、戦後日本の経済発展を支えてきた働き方であることは確かです。

年功序列のメリット

1.帰属意識が高まる

近年では、年功序列を見直す動きも出ていますが、この制度にはメリットもさまざまあります。たとえば、社員の帰属意識が高まるという点が挙げられます。年功序列は、ひとつの会社に長く勤めれば勤めるほど、給料もどんどん上がっていくため、年功序列という制度の下では、会社に多少の不満があっても離職という選択を取る人は多くありません。つまり、年功序列があることで、離職率の低下がもたらされたという背景があるのです。

長期に渡り同じ職場で働いていれば、会社への忠誠心や帰属意識も高まり、その分だけ社員同士の連帯感も強くなります。特に年齢に応じて役職が決まる年功序列では、上下関係がはっきりするため、上司と部下の間にも軋轢が生まれにくいというメリットもあるでしょう。強固な上下関係を結ぶことができれば社員同士での信頼関係も構築しやすくなるので、会社としての一体感や団結感が強まり、企業の成長や業績の向上にもつながりやすくなるのです。

2.教育システムが成立しやすい

企業は通常、長い時間をかけて社員を教育していくもので、そのために制度を充実させたり先行投資を行ったりすることもあります。しかし、もし社員がすぐに辞めてしまったら、せっかく充実させた制度も無駄になり、教育にかけた投資を回収することもできません。離職率の高い職場では、どうせ教育してもすぐ辞めてしまうという前提に陥りがちであるため、社員教育の制度が充実せず、そのことがまたしても社員を離職に走らせてしまう要因にもなっているのです。

一方、年功序列では、社員の離職率が低い点に特徴があります。そのため、長期で働くことを前提とした教育システムを導入しやすく、社員教育にかけたコストも回収しやすいというメリットがあります。成果主義の会社では、自分が教えた部下や後輩が一気に自分を追い抜いてしまうこともあるかもしれません。しかし、年功序列の会社では、指導する側がされる側に追い越される心配もないため、利害関係なしに全力で指導にあたれるでしょう。勤続年数や年齢をベースにした人事評価であれば、新人や部下を公平に評価しやすく、しかも上司は長い間本人を直接指導することになります。そうすることで、より公平な評価が可能となり、新人や後輩も不満をためずに仕事に従事できます。

年功序列と成果主義の違い

年功序列と対置する制度として、欧米で主流の成果主義という制度があり、この成果主義における人事評価の基準は、社員の成果・成績が第一です。つまり成果主義の仕組みでは、個人が挙げた成果によって給与や処遇が決定されます。この制度の下では、目に見える成果が給与に大きな影響を与えるため、従業員はチャレンジ精神を持って仕事に臨むようになり、そうした従業員一人一人の積極的な姿勢が会社全体の業績アップにもつながっていくことになるでしょう。

年功序列と比べると、成果主義は人件費を削減しやすい方法ともいえるでしょう。成果を挙げられなければ待遇や給与も上がらないため、評価をしっかり行うことで人件費を抑えながら優秀な人材を確保することもできます。ただ、その分だけ人事評価のコストは増大するというデメリットがあります。また、成果で評価を行うことで、職場の人間関係が悪化しやすいという点も見逃せません。成果やノルマで評価されるため、職場はどうしても殺伐としがちです。そうした雰囲気の職場では人材教育も行いにくく、囲い込みや引き抜きなどに走りがちになった結果、人材育成がますます鈍化してしまうというケースも少なくありません。実際、殺伐とした職場になることを敬遠して、成果主義を導入できないでいる日本企業も多いのが実情です。

年功序列の歴史

日本において、年功序列のシステムが構築されたのは戦後になってからです。戦後間もなく、日本は高度経済成長期を迎え、社会は劇的に変化し発展していきます。そのなかで企業は労働力の内部化を進め、働く側も安定した雇用や給与の増加を求めるようになっていきました。年功序列というシステムは、企業にとっては専門的な労働力を将来にわたって確保でき、働き手にとっては手に職を付けて安定的に働けるという、双方に旨味のある制度だったのです。だからこそ、日本社会では年功序列がどんどん定着していきました。

さらに、高度経済成長が落ち着きを見せ始めると、年功序列は別の意味を持つようにもなります。団塊ジュニアの世代が学齢期に入り、若い労働力を大量に雇う企業が増えれば人件費高騰の問題が浮上しますが、年功序列であれば年齢や勤続年数で賃金が決まるため、若い労働力を大量に雇ってもそこまで人件費が経営を圧迫しません。しかも、年配の社員からすれば、自然と給与が上がっていくというシステムのおかげで、子どもの養育や教育などにお金を確保できるという合理性もあり、バブル期を迎えても年功序列はまだまだ日本企業の常識的な制度であり続けたのです。

ところが、バブルが崩壊して日本が経済的な成熟期を迎えると、これまでの雇用慣行を見直そうという動きも出てくるようになります。成熟した経済社会では、将来を見込んで人材育成する意義も小さくなります。その結果、欧米の成果主義を取り入れるところが増え、年功序列は日本企業の雇用慣行から徐々に消えていくことになるのです。

年功序列の現状

欧米の成果主義は、人材の無駄を省き、社員を正当に評価できる制度だと考えられていました。しかし、成果主義などの影響を大きく受けた結果、非正規雇用者の増加や学歴による賃金格差などが増大してしまったことも事実です。年功序列は長期雇用が前提ですが、成果主義的制度ではそうではありません。その結果、雇用自体がシビアに評価されるようになり、非正規雇用者の増加を生むという結果をもたらしました。

また、勤続年数や年齢以外の部分で人材を評価するのは簡単ではありません。その点、学歴は企業が人材を評価するのにわかりやすい指標のひとつです。実際、学歴を参考に人材を振り分ける企業も多く、それが学歴による賃金格差や雇用格差を増大させる要因にもなっています。このような背景があることから中途半端な成果主義を続けるより、従来の年功序列を再び戻すべきだという意見も実際出てきていますが、社会全体として議論が進んでいるとはいえず、各企業の裁量に任せているというのが実情でしょう。

一方、2011年の段階で、日本経済団体連合会は年功序列の根幹をなす定期昇給制度について「当然視できない」との談話を公表しています。社会の要請として、年功序列への回帰は高まっているものの、現在の日本経済では制度を維持することが難しく、抜本的な見直しが必要だと認識されているのです。

年功序列の問題点

1.人件費の高騰

年功序列の問題点に、人件費が高騰しやすいという点が挙げられます。年功序列では、人事評価のコストを抑えることは難しくありません。これは勤続年数と年齢によって公平な評価ができるため、成果主義のような厳正な評価制度はそこまで重要ではないためです。しかし、長く働く人が増えれば増えるほど、業績に関わらず会社全体の人件費が高騰する懸念はあります。

もし、長期雇用者の数が増えたことによって人件費が高騰すれば、それが会社の経営を圧迫してしまうこともあり得ます。そうなれば、結果としてリストラによる人員削減もやむを得なくなってしまうでしょう。また、勤続年数の長い社員を優遇するために、長期で働けない人材や高齢になってからの転職者は賃金を低く抑えられてしまうこともあります。

2.人材の流出

年功序列は社員の帰属意識を構築しやすい点に特徴のある制度です。しかし、以前はそうでも、最近では情報も多く、諸外国の影響も強く受けているため、長期で働くことを前提としない価値観も増えてきています。とりわけ若年層は長く働かないと給与が上がらない仕組みに不満を持つ人も少なくありません。その結果、年功序列の会社では、若手の人材が成果主義の企業や海外へ流出してしまう懸念があります。

優秀であればあるほど出世や昇給の道も大きく開ける成果主義の会社とは違って、年功序列では優秀であることは人事評価の対象としてそこまで重視されません。そのため、優秀な人材ほど年功序列による評価に納得できず、離職を検討するケースが多くなり、会社にとっては大きなダメージに直結してしまうこともあります。

3.リスクに消極的

年功序列における人事評価の対象は、勤続年数や年齢などが主です。成果に関してはそこまで重視されないだけに、社員のなかには成果を第一としない思考を持つ者も出てきてしまいます。ただ勤続年数や年齢を積み上げるだけで、成果を上げようという意欲が低下してしまえば、会社の業績にとっても良くない影響を及ぼしかねません。成果を評価基準にしない年功序列の仕組みでは、リスクを取ってまで大きな施策にチャレンジする必要がなく、企業や人材の成長性はどうしても薄れてしまいがちです。こうした事なかれ主義やリスク回避の姿勢は、特に公務員に多い傾向があります。

現在の日本に年功序列は合っているのか?

年功序列が成立するためには、いくつか条件を満たさなければなりません。高度経済成長期の日本なら、その条件を満たすことも難しくはありませんでした。しかし、現在の日本はかつてとは状況が大きく変わっており、年功序列を成立させるのが難しくなってきています。たとえば、年功序列が成立するには、企業や国が継続的に成長していることが条件のひとつになります。なぜなら、成長を前提にしていなければ、高騰する人件費に経営がひっ迫してしまう恐れがあるからです。

また、労働人口が増加していることも、年功序列が成立するための条件のひとつです。企業の業績を上げていくためには、大胆な新規事業の立ち上げや事業拡大を図らなければなりません。しかし、新規事業や事業拡大をするためには、新しい人材を登用して適材適所活用していく必要があります。そのためには、働く人が次から次へと増えていくような社会が前提になければなりません。そうでなければ、事業の立ち上げや拡大もできず、企業業績も頭打ちとなってしまうでしょう。

さらに、労働者がスキルアップできる仕組みが整っていることも条件になります。年功序列は、長期雇用者ほど賃金が上がっていくシステムですが、長期雇用者が賃金に見合う能力を持っていなければ、無駄に人件費ばかりが高騰し、企業に対する見返りも少なくなってしまいます。年功序列で給与が上がっていく雇用者には、それに見合うだけの能力も身に付けてもらわなければ、会社として効率的に利益を上げていくことも難しくなってしまうのです。

現状では、日本経済は停滞期を迎え、労働人口も減少しています。また、ITの導入でスキルアップが無駄になる面も出ており、現在の日本は必ずしも年功序列に適しているとはいえなくなってきているのが実情です。

年功序列がない業界もある

年功序列は古くから日本になじみのある制度ではありますが、日本企業のなかにも年功序列がない業界もあります。たとえば、営業職や不動産業界などは、昔から勤務年数や年齢よりノルマが要求される業界です。そのような職種では、以前から成果主義を採用していたケースも多いでしょう。もちろん、会社によって制度はさまざまですが、歩合という形で契約数に応じた上乗せがあるなど、独自の体制で成果主義的な取り組みを実施している企業もあります。

外資系企業では、そもそも海外の人事制度を取り入れていることが多いため、やはり年功序列になっていないことが多い業界のひとつです。新興企業やベンチャー企業などでも、日本では年功序列より新しい成果主義を取っている場合が多くあります。そのような会社では、まだまだ制度が整備しきれていないというデメリットもあるものの、成果が忠実に待遇や給与に反映されるので、やりがいを持って仕事に臨めるといった側面があるといえるでしょう。

海外の働き方

1.アメリカ

年功序列の風土がないアメリカは、日本とは働き方の仕組みや雇用者の意識も大きく異なります。たとえば、日本ではチームワークを重視して仕事に取り組むのが基本です。年功序列によって会社への帰属意識も育てられ、上下関係や仲間意識などが会社を支える根本になります。これに対して、アメリカではチームよりも個が重視されるため、オフィスの形態も異なりそれぞれの社員に個室が用意されている場合も珍しくありません。

また、勤続年数や年齢による評価上昇がないため、転職も珍しくなく、その反対に成果を挙げられなければ解雇されることも少なくありません。会社のためというより、自分のために働いている人が多く、社員は成果を挙げて少しでも収入を増やすために意欲を持って活動しています。残業も少なく、開放的なオフィスや自由な服装など、比較的制限の少ない形での働き方が特徴といえるでしょう。

2.ドイツ

ドイツは日本と国民性が似ているとよくいわれます。しかし、働き方の制度や意識に関しては日本と異なる部分が多く、個のスキルが重視される部分や、量より質が重視される働き方にドイツの特徴があります。実際、ドイツでは休暇制度や労働時間への意識が高いにもかかわらず、日本より労働生産性が1.5倍も高いというデータもあります。

また、日本で役職は地位を表すものです。しかしドイツにおける役職は、あくまで役割に過ぎません。上司や部下という上下関係の意識も薄く、上司の顔をうかがいながら仕事をするのではなく、社員一人一人が能動的に考えて働くという意識が徹底されています。こうした意識が根付くのは、ドイツの教育制度の影響も強いです。

ドイツでは、10歳で自分の進路を決めなければならないなど、小さいころからキャリア教育を徹底的に行います。そうすることで、自分で主体的に行動するという意識を培うことができ、そのことが働き方にも良い影響を与えてくれるのです。インターンも盛んで、研修制度も日本とは異なるでしょう。

3.タイ

タイは日本企業も多く進出している国です。「微笑みの国」ともいわれるタイでは、働き方も「幸福」を基準に考えられおり、従業員への気配りがされた企業が多く、心身ともに健康的に働ける環境づくりが進んでいます。従業員は上司や同僚というより家族や友達といった感覚が強いため、結果的に愛社精神も高まり離職率も低いという特徴があります。ストレスの多い日本社会とは正反対の部分もあり、見習うべきところも少なくありません。働き方も比較的自由が許されており、スマホや喫煙も自分のタイミングでして良いとなっている会社も多いです。

年功序列の問題点を理解して働き方を改善していこう!

非正規雇用者の増加や賃金格差の拡大などの影響で、年功序列を再び取り戻そうという声が上がってはいることは事実です。しかし、現代の日本社会では、年功序列がマッチしているか疑問な点も少なくありません。諸外国から学べる点も多く、必ずしも年功序列だけが解決の糸口になるとはいえないでしょう。経済の低迷が続くなかで、今後、年功序列を含む日本人の働き方がどうなっていくのかは注視が必要なところです。

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