2019.11.21

人間力とはどうやって測るもの?ビジネスパーソンに不可欠な力の高め方は?

人間力とはどうやって測るもの?ビジネスパーソンに不可欠な力の高め方は?

「人間力が試される」や「人間力を高める」など、日頃から「人間力」という言葉を耳にする機会はあります。なんとなく意味をわかったつもりでいても、実際には漠然としていて、具体的にどういったものを指しているのか知らない人は多いでしょう。そこで、この記事では人間力とはどんなものを指すのか、どう測ればいいのかといった基本的なことから、その高め方について解説します。

内閣府が定義する「人間力」とは?

漠然とした意味に捉えている人も多い「人間力」という言葉ですが、実は内閣府によってその意味が明確に定義されています。平成15年、内閣府によって「人間力戦略研究会」が設置されました。その報告書では、「人間力」に関する明確な定義はないと前置きしたうえで、「社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」が人間力であると定義しました。簡単にいえば、人間力というのは「社会で生きていくための力」です。基本的な能力ですが、人間としての魅力を高めるためには欠かせない重要な力とされています。社会で働くビジネスマンであれば、まず、身につけておきたいスキルやマインドといえるでしょう。

人間力を構成するものとは?

平成15年に内閣府が発表した「人間力戦略研究会報告書」によれば、人間力を構成するのは「知的能力要素」「対人関係力要素」「自己制御的要素」の3つです。内閣府では人間力の低下を問題視したうえで、解決のためにはこの3つの要素をバランスよく高めることが必要であるとしています。では、これら3つの要素は、具体的にどのような能力を指すのでしょうか。1つ目の知的能力要素は、「学校教育を通じて習得される基礎学力」と「専門的な知識やノウハウ」を持ったうえで、自らそれらを継続的に高めていこうとする力を指しています。基礎学力というのは読み書きや算数、基本的なITスキルのことで、専門的な知識というのは仕事における深い知識や資格などのことです。これらの力の応用となるのが、「論理的思考力」や「創造力」です。

2つ目の対人関係力要素というのは、具体的には「コミュニケーションスキル」や「リーダーシップ」「公共心」「規範意識」などを指しています。また、「他者を尊重し、切磋琢磨しながらお互いを高めようとする力」など、他者との関りや共存に欠かせない能力がこれに分類されています。最後に、3つ目の自己制御的要素は、1つ目の知的能力要素や2つ目の対人関係要素を高めるための「意欲や忍耐力」、「自分らしい生き方や成功を追究する力」のことです。つまり、「人間力の高い人」と評されるのは、これら3つの要素がバランスよく、かつそれぞれの能力値が高い人のことを指しているということになります。

人間力を発揮できる活動とは?

平成15年に内閣府によって発表された「人間力戦略研究会報告書」によれば、人間力を発揮できる活動は大きく3つに分類することができます。1つ目は、職業人としての活動である「職業生活面」です。簡単にいえば、ビジネスパーソンとしての、仕事を通じた活動を指しています。2つ目は、市民として参加する社会活動である「市民生活面」です。これは、仕事以外の、一市民としてのプライベートな活動を指しています。3つ目は、自分の知識や教養を高めたうえで関わる文化的な活動の「文化生活面」です。各個人が、個人的な関心を持って参加する活動を示しています。

経済産業省が定義する「社会人基礎力」とは?

平成18年、経済産業省は「人生100年時代」や「第4次産業革命」を迎えるうえで欠かせない力として、「社会人基礎力」を挙げました。経済産業省によれば、社会人基礎力というのは、職場や地域などでさまざまな人と仕事をしたり、関りを持ったりするうえで、必要になる基礎的な力と定義されています。そして、そのために必要不可欠な12の能力要素を、「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の大きく3つの柱に分類しています。まず、前に踏み出す力に分類されているのは、「主体性」「働きかけ力」「実行力」の3つの要素です。物事に進んで取り組めるか、他人に働きかけることができるか、自ら目標を設定し、それに向かって取り組むことができるか、という行動的要素のある能力がこれにあたります。

次に、考え抜く力に分類されているのは、「課題発⾒⼒」「計画⼒」「想像⼒」の3つの要素です。現状を分析し、自ら課題を明らかにできるか、課題の解決に対するプロセスを明らかにし、備えられるか、既存のやり方に捉われず、新しい価値を生み出せるか、といった思考的要素のある能力がこれにあたります。また、「チームで働く力」に分類されているのは、「発信力」「傾聴力」「柔軟性」「状況把握力」「規律性」「ストレスコントロール力」の6つの要素です。これらは、いずれも他者と協調・協力するうえで欠かせない能力です。

具体的な内容としては、社会のルールや人との約束を守れるかといった基本的なことから、自分の意見を伝えられるか、相手の意見に丁寧に耳を傾けられるか、両者の意見や立場に違いがあるときは、相手を尊重し理解できるか、などのコミュニケーションをとるうえで大切な能力を指しています。また、これらの能力に加えて、「何を学ぶか(目的)」「どのように学ぶか(学び)」「どうやって活躍するかという(統合)」という3つの視点を持つことも重要とされています。定期的にこの3つの視点で自己を振り返りながら、3つの力、12の能力要素を高めていくことが、社会人基礎力の向上をはかるうえで重要です。

企業と学生が必要と感じる能力のずれ

平成21年に経済産業省によって「大学生の「社会人観」の把握と「社会人基礎力」の認知度向上実証に関する調査」が行われました。その調査のなかで、経済産業省は学生に対して「自分が既に身につけていると思う能力」と「自分に不足していると思う能力」についてのアンケートを行いました。一方で、企業の採用担当者に対しても、「学生が既に身につけていると思う能力」と「学生に不足していると思う能力」に関する調査が行われました。その結果、ある興味深い事実が浮き彫りになりました。それは、「学生と企業の採用担当者が必要と感じる能力に、認識のズレがある」ということです。

まず、企業の採用担当者が学生に足りないと感じているのは、「粘り強さ」「チームワーク力」「主体性」「コミュニケーション力」といった、いわゆる「人間力」の部分でした。これに対して、学生本人は「それらの能力は足りている」と認識していたのです。たしかに、就職活動の場面でこれらの能力をアピールする学生は多い傾向がありますが、企業の認識としてはまだまだ足りていないと感じていることがこの結果から明らかになりました。一方、同じ調査で学生が自分に足りていないと答えた能力で上位を占めたのは、「ビジネスマナー」「語学力」「業界の専門知識」「PCスキル」といった技術的な能力でした。しかしながら、これらの能力について企業の採用担当者側は、「これから身につければ十分である」という認識を示していたのです。

この結果からわかったのは、企業と学生の間に認識のギャップがあったことだけではありません。もう一つ重要なのは、「学生たちが学生の時点で、ビジネスパーソンとして重要な人間力の不足に気付いていない」という事実です。なぜなら、不足していることに気付かなければ、就職活動やこれからの社会人生活に向けて人間力を高める努力すらできないからです。人間力、社会人基礎力が不足していることに自分自身で気付くことが、人間力を高めるうえで必要不可欠といえるでしょう。

人間力測定検査HAMEとは?

人間力は、目で測ることができません。そのため、個々の人間力を可視化して測定できるよう、大学などではその方法の研究がなされてきました。「人間力測定検査HAME」は、そんな研究が生み出した検査ツールの一つです。別名を「職業適性・能力開発課題発見ツール」ともいい、内閣府が定義する「人間力」や経済産業省が定義する「社会人基礎力」に基づき、株式会社學匠によって開発されました。この検査を受けることで、個々の持つ価値観や行動特性、能力の傾向などを可視化することができます。

ちなみに、この検査で重視される具体的な項目は4つあります。
1つ目は、個々の大切にしている「価値観」を明確にすることです。2つ目は心のバランス状態を明確にする「意志力」です。また、3つ目の「マネジメント力」によって、論理的な思考と問題解決力を測ります。最後に、「コミュニケーション力」を測ることによって、個々の対人交流のスタイルを明確にしていきます。それぞれの項目に対して6つの指標があり、結果はレーダーチャート(クモの巣グラフ)形式で表されるため、個々の価値観や能力の傾向が一目で分かるようになっているのです。この検査を必要としているのは、主に社会人や就職活動を控えた学生たちです。人間力測定検査HAMEの結果を分析し、仕事や人間関係における強みや重要な課題を発見できれば、今後の行動プランの作成などに役立てることができるでしょう。

人間力診断(総合コンピテンシー診断)とは?

人間力診断(総合コンピテンシー診断)は、株式会社ネクストエデュケーションシンクによって開発された人間力診断ツールです。この検査では、60のコンピテンシーを測定することで、その人物が持つ優れた要素と不足している要素を探し出し、分析につなげることができます。ちなみに、コンピテンシーというのは、優れた業績や成果を出した人物に共通する行動特性を指しています。各コンピテンシーの全国的な平均値を導き出し、その結果と個々の結果のギャップを比べることで、自分の能力値を客観視することができるのです。検査にかかる所要時間は30~45分ほどです。

この人間力診断では、人間力を「社会貢献性」「テクニカルスキル」「ヒューマンスキル」「コンセプチュアルスキル」「自己成熟」の5つの能力の総合値として捉えています。これによって、個人の強みや不足している要素がレーダーチャートで浮き彫りになるほか、自立度や他者との協助力を測り、結果を可視化することが可能です。弱みに対しては、どのように改善していくべきか、その最適な方法のヒントが提示されます。また、ビジネスマネジメント力を測れるため、マネジメント力の育成のために用いられることもあります。

人間力の高め方

1.思いやりと謙虚さを持つ

人間力を高めるうえでまず重要なのが、「思いやり」と「謙虚さ」を持つことです。それが仕事であってもプライベートであっても、人間は多くの人に囲まれて生きています。多くの人というのは、同僚や顧客、取引先だけではありません。オフィスの安全を守ってくれる警備員、訪れた店の店員たちなど、普段は意識しないような人たちもそこに含まれています。プライベートであれば、家族や友人、恋人も含まれるでしょう。仕事で成功している人の多くは、相手に思いをめぐらせ、相手の話をよく聞き、相手の望むこと、喜ぶことはなにかを常に考えています。そこには、部下だから、上司だからと相手の立場によって態度を変える浅はかさはありません。

仕事であれば、まずは上司や同僚、部下に関心を持つことから始めてみましょう。相手に関心を持ち、心を配ることで、彼らが必要としていることが見えてくるはずです。また、周りに目を向けることによって、周りから助けられている自分にも気付くことができるでしょう。相手の優しさに対して「ありがとう」「助かったよ」という労いの言葉を忘れず、常に感謝することができれば、必要なときには自然と協力が得られるものです。家族のように近しい存在の場合は、ついついやってもらって当たり前になっていることも多いので、改めて、まっさらな視点で見つめなおしてみるといいでしょう。相手を思いやり、謙虚にふるまうことで、多くの人から信頼を得られるようになります。

2.目標達成力を養う

人間力を高めるうえでは、目標達成力を養うことも大切です。さまざまなことに対して目標を立て、それを達成するためにやらなければいけないことを整理し、スケジュールを立てる習慣をつけてみましょう。小さな目標をいくつも立てることで、簡単に達成感を得られるというメリットもあります。特に、仕事の場面では会社や上司から与えられた仕事だけではなく、自分にできる仕事を自ら探し出し、目標を決めて実践するといいでしょう。たとえひとつひとつは小さな目標であっても、目標の設定と達成を繰り返すことが自信につながり、大きな目標に向かって努力するきっかけになるはずです。

足りない能力を見極めて高めることが大事

人間力は、知的能力、対人関係力、自己制御力の3つの要素で成り立っています。それぞれで能力の高め方が異なるため、まずは、自分に足りている能力と足りていない能力をしっかりと見極め、高めたい能力に適した高め方をすることが欠かせません。総合的な人間力アップを目指すのであれば、サイダスの人材管理・分析・育成アプリケーションを活用するといいでしょう。

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