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2020.2.28

OKRとは?Googleやメルカリも導入する目標管理手法。KPIとの違いを確認

会社の目標と個人の目標を正しく紐付けることができていない企業も多くあるかもしれません。より良い利益を生み出すためには、会社と個人の目標を紐付ける、目標設定が必要になります。目標設定のためにはOKRという目標管理方法を取り入れるのが良いでしょう。OKRは世界的な有名企業でも取り入れられている方法です。ここでは、OKRについて、わかりやすく解説していきます。

OKRとは?仕組と意味

OKRは「Objectives and Key Results」の略です。会社が定める目標と、その会社で働く社員の目標を紐付ける目標管理方法のことを指します。世界的な有名企業でも導入されていることから、多くの企業から注目されるようになったのです。OKRでは、まず、会社としての目標を、達成するための鍵となる重要な成果に分解していきます。目標に対して、それを達成するためにはどのような要素が必要かという成果指標を出していくのが効果的です。会社としての目標は、具体的にどのようなことを実現したいのかや、どのくらいの売上を目指したいのかなどを決めます。

それに対する重要な成果は、その目標を達成するためには、1日当たりの売上はどのくらいにすれば良いのかや、顧客満足度をどれくらい高めたら良いのかなどの内容が当てはまります。会社としてのOKRが出せたら、この作業と同様に、チームと個人の目標の鍵となる重要な成果をそれぞれ決定していきます。会社、チーム、個人のそれぞれの鍵を決定したら、会社とチーム、また、チームと個人の目標の鍵となる重要な成果を紐付けていきましょう。このように、それぞれの階層ごとの鍵となる成果を紐付けていくことで、個人の目標達成が会社としての目標達成に貢献できることが分かるように繋げていくのが大切です。

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OKRを導入するメリット

OKRを導入することにより、社員個人と組織の両方にとってさまざまなメリットが期待できます。

・組織と個人の目標が連動しエンゲージメントが向上する
・柔軟に目標の調整や変更ができる
・社員のコミュニケーションが円滑になる
・仕事の優先順位がつき生産性が上がる
・大胆な目標設定ができる

ここでは、OKRによる主な5つのメリットについて解説します。

組織と個人の目標が連動しエンゲージメントが向上する

OKRを導入し、企業のビジョンや目標の全体像が可視化されることで、社員は毎日の仕事が企業にとってどういった意味があるのかを理解しやすくなります。OKRでは、組織全体の目標と部署ごとのOKRや個人のOKRを連動させる形で設定し、運用します。

その結果、エンゲージメントが向上し、社員1人ひとりがモチベーションを持って業務に向き合えるようになります。

柔軟に目標の調整や変更ができる

OKRでは、従来の目標管理手法に比べて目標サイクルが短いため、柔軟な目標の調整や変更が可能です。一般的なOKRでは1〜3ヶ月サイクルで進められるため、高い頻度で設定や評価ができます。

社員も目標に対する進捗状況の振り返りを短期間で行えるため、目指すべき目標を常に見据えて仕事に取り組めるでしょう。

社員のコミュニケーションが円滑になる

OKRにより、全社戦略から実行までの情報が社内で公開されることで、社内のコミュニケーションの円滑化に役立ちます。組織としての動きや目指すゴールを社員個人で具体的にイメージしやすくなります。

どの部署やプロジェクトが何の仕事をしているのか、どのくらい成果が出ているかが可視化されることで、部署やチームの垣根を越えた意思疎通の活性につながります。

仕事の優先順位がつき生産性が上がる

OKRを通して、企業組織の目標に対する部署や個人の目標が段階的に落とし込まれるため、課題やタスクの優先順位を決めやすくなるでしょう。

社員個人が何を期待されているか理解しやすいため、優先的にやるべきことと、やらなくていいことを把握でき、業務効率や生産性の向上が期待できます。

大胆な目標設定ができる

OKRは、人事評価とは切り離して運用することを前提としており、達成基準は60〜70%です。100%達成できずに失敗しても評価には影響しないため、評価を恐れることなく大胆な目標にチャレンジしやすい点も特徴です。

「簡単には達成できなさそうでも、頑張れば実現できる可能性がある」といったゴールを決めることも可能です。現状に甘んじることなくより高みを目指しながら意欲的に業務に取り組めるでしょう。

KPIやMBOとの違い

目標設定方法のフレームワークはOKRだけではありません。ほかにも、KPIやMBOをはじめとした、いくつかの方法があります。それぞれの違いを解説します。

OKRとMBOの違い

OKRは組織と個人の目標を統一させる目標管理方法であるのに対し、MBOは組織としての目標と個人としての目標をそれぞれ出したうえで、それを統一させる目標管理方法です。MBOは1970年代から目標管理方法として主流となってきた考えかたであり、OKRと比べられることも多くある方法です。

しかし、OKRとMBOは、目標の位置づけや振り返りの位置づけなど、いくつかの点で異なっています。たとえば、目標の位置づけに関しては、OKRは会社とチーム、個人の目標がすべて繋がっているため、オープンに扱われることが多いです。一方、MBOの場合は、個人単位で設定され、それが人事評価に繋がるので、クローズに扱われています。組織の活性化や業務の効率化を目標にしたOKRに対し、MBOは個人の賃金査定のために活用される目標管理方法となっているのです。

また、設定した目標に対しての振り返りでは、OKRは高頻度の振り返りが推奨されていることからも分かるように、目標設定した次の週には進捗状況を確認する作業をすることもあります。しかし、MBOでは、評価のタイミングでの振り返りとなるので、半年もしくは1年に1回となるでしょう。

MBOとの違いは下記の記事でも詳しく解説しています。

OKRとKPIの違い

KPIは最終的な目標を別で設定し、その目標を達成するために重要となる中間管理指標のことを指します。OKRは会社全体の目標と主要な結果を立て、そこに紐づく部署や個人の目標を立てることが特徴です。部署を越えて一つの目標に突き進むのが特徴です。従業員はの帰属意識をも高めることができ、企業に貢献している実感を得られやすいというメリットもあります。

OKRでは、到達点や状態などチームのモチベーションに繋がりやすい、シンプルで抽象度の高い定性的な目標を立てることがポイントです。 OKRについては、到達点・状態など定性的なものを目標に掲げます。「自社のサービスAについてより収益化ができるようにする」「自社サービスBについての評判や認知度を高める」などがOKRの例です。OKRをもとに、各部署やチームで定量的なKPIを設定するとイメージがわかりやすいでしょう。

KPIをOKRと比較すると、目標を達成するための過程の細分化をおこなっているという点は同じです。しかし、OKRでは会社全体で導入し、全部署かつ全社員に実行させているのに対し、KPIは導入するかどうかを部署単位で決定していきます。これは、KPIが目標達成のためのプロセス評価をおこなうために導入されることが多いというのも理由の1つとなるでしょう。

OKRとKPIの違いは下記の記事でも紹介しています。

OKRの導入と運用方法

OKR

OKRを導入することで、企業としての目標を社員に明確に提示できるようになるだけでなく、チームも社員個人も、その目標を達成するためには何をすれば良いのかを明確にすることができます。このような目標管理方法を取り入れることで、組織全体の活性化に繋がったり、業務の効率化が図れるようになったりするというメリットがあるのです。

ここからは、OKRの具体的な導入方法と運用方法について解説していきます。OKRを導入しても正しい運用方法をおこなわないと、正しい成果が出ないこともあるでしょう。しっかりと運用方法を学び、生かしていくことが大切です。

ステップ1.目標(Objectives)の設定

効果の高い成果を得るためには目標(Objectives)の設定が大切です。目標は、簡単に達成できるものではなく、到達できるかどうかわからないくらいの難易度の高いものを設定するようにしましょう。理想的な数値としては、達成率が60~70%程度になるのが良いといわれています。また、定量的な数値や誰が見ても分かるような言葉を使って表現することが大切です。OKRにおける目標は、個人だけでなくチーム全体で共有する必要があります。分かりやすい言葉で表現することで、全員の目標意識を揃えることができ、目標達成に向けた行動にも取り組みやすくなるでしょう。

ほかにも、目標数を3~5個にすることや、期限を明確に区切ることも重要です。目標数に関しては、5個よりも多い数を設定してしまうと、目標に対する集中が分散してしまうため、それぞれの目標に対して効果的な結果が得にくいとされています。一般的には、5個までくらいの目標にしたほうが集中してその目標に向かっていけるので良いといわれていますが、それぞれの目標の難易度が高ければ少なめに設定したほうが良いです。いくつの目標を掲げるかは、メンバーのポテンシャルも考えながら設定するようにしましょう。

なお、定めた目標に期限を設けておくことで、その目標が現実味を増し、メンバーも目標達成に向けて行動しやすいというメリットがあります。期限は、1年もしくは四半期単位で設定されることが多いです。

ステップ2.主要な成果(Key Results)の設定

主要な成果(Key Results)は定量的な目標を設定します。成果も、目標の設定のときと同様に、誰が見ても分かるような分かりやすい表現かつ、数値化した目標を掲げることが大切です。このことにより、客観的な判断が可能になり、目標に対しての結果の測定をするときも容易になるでしょう。なお、成果の目標達成率は70%以上になるように設定していきます。また、1つの達成目標に対しては、3~5個程度の成果目標を設定すると良いです。3~5個の成果目標を立てることで、目標を達成するには具体的にどのような行動をしなくてはいけないのかが、はっきり分かるようになるでしょう。

なお、成果目標を立てるうえで重要なのは、設定した成果目標を達成したことで、最終的な目標が達成できるような仕組みにしないといけないことです。成果目標を達成したにもかかわらず、最終的な目標は達成できないのであれば、目標に対する成果目標を設定した意味がありません。そのような事態を避けるためにも、最終的な目標を達成できるための成果目標をしっかり考えることを心がけるのが大切です。

ステップ3.OKRの共有と公開

目標を達成するためにも、あらかじめ設定したOKRは社内インフラなどを利用して、全社員がいつでも閲覧できる状態にしておくことが必要になります。目標を立てただけで満足して、実際の業務に生かすことができなければ、OKRを導入したのは成功といえないでしょう。全員がいつでも見られるようにして、常に目標達成を意識しながら業務をおこなうことが大切なのです。また、経営陣が全社員の前で、これからの会社の目標に関するプレゼンテーションをおこなうのも有効な手段です。全社員に共有したり、宣言したりすることで、社員の結束力を強化し、更なる効果の発揮を期待することができます。

ステップ4.フィードバック

OKRで目標を立てるだけで良いということではなく、正しい結果を得るには目標の達成度合いを定期的に確認したり、フィードバックをおこなったりするのがおすすめです。このようなフィードバック作業をすることで、はじめに定めた期限内で目標が達成できるかどうかを検証していきます。最低でも月に1回はフィードバックのタイミングを設け、チームで個人目標の達成度合いを確認し、お互いに評価していくことが大切です。このような機会を設けることで、組織全体の達成目標を再認識することに繋がるだけでなく、個人目標の進捗状況をチーム全員が把握できるというメリットがあります。

定期的に確認のタイミングがあると決まっているだけでも、モチベーションアップに繋がることもあるでしょう。フィードバックに関しては、週のはじめに開催されるミーティングであるチェックインと、週の終わりに開催されるミーティングであるウィンセッションの実行が推奨されています。特にウィンセッションでは、一週間で取り組んだことの成果を発表していくため、できなかったことよりもできたことに着目してセッションが進行していくのです。このように、達成できたことに注目する機会を設けることは、社員のモチベーションを保つ機会にもなり得ます。

ステップ5.検証と評価

OKRは目標管理方法なので、最終的に設定した期日に達したタイミングで目標の達成度合いを評価しなくてはいけません。評価では、Key Resultsが70%ほどに到達していた場合は達成とみなし、達成できない場合は失敗となります。各部署やチームごとに達成度合いを算出し、どれくらいの達成率であったのかを全社員に公開、共有するのです。OKRではあらかじめ、目標と結果をすぐに確認できるようにしてあるため、評価にはあまり時間を必要としないでしょう。目標を達成できた場合も、そうでない場合も、取り組みの過程や評価内容は次回のOKR設定や経営の最適化に生かすことができます。そのため、それらを貴重な材料としてしっかり把握し、具体例を出して次に活かせるようにしましょう。

業種別OKRの具体例

ここで、業種別のOKRの例を紹介します。「O」と「KR」に分けて、設定時のポイントと具体例を解説しますので、現場へのOKR導入にお役立てください。

営業

営業職のOKRでは、企業組織や部署の売上増加に直接つながる目標が挙げられます。例えば、新規顧客獲得につながるアプローチの方法や具体的な数値などです。

【O(目標)】

売上1,000万円を達成

【KR(達成指標)】

  • 新規顧客の獲得による売上400万円以上達成
  • 既存顧客からの売上20%アップ

人事

人事職のOKRでは、採用人数や人材確保、採用コストの削減などの目標が挙げられます。新たなチームを結成する人材が必要な場合、どのような人材を何人、どういった方法で獲得するかといった指標を考えます。

【O(目標)】

プログラム開発用エンジニアチームを半年以内に新しく結成する

【KR(達成指標)】

  • プログラム開発実績のある人材を3ヶ月以内に社内外で5人以上確保する
  • チーム結成後に教育研修をスタートする

マーケティング

マーケティングのOKRでは、既存顧客の定着率と新規顧客獲得率の向上を目標に設定すると良いでしょう。売上アップを目指した、新規キャンペーンの企画や広告の運用検討などが該当します。

【O(目標)】

市場シェアを3%拡大するために、顧客数を500人以上増やす

【KR(達成指標)】

  • 無料トライアルを前期比で10%以上増やす
  • Google広告のクリック数を前期比で4,000回以上引き上げる
  • 契約数を30%に引き上げる

OKRの導入、成功事例

1.Google

世界的なテクノロジー企業であるGoogle社もOKRを導入している企業の1つです。Google社は2000年代初頭にOKRを導入しました。1年と四半期毎にOKRを設定し、四半期のOKRでは全社を対象として目標の評価を実行しているのです。Google社におけるOKRの運用では高い目標に対して、達成率70%を設定しています。このような高い達成率を設定することで、優秀な人材とのエンゲージメントを高めるほかに、働いている社員個人やチーム全体に活気やワクワク感を与えているようです。

なお、Google社では、実際のOKRの活用事例などについて発信をおこなうことで、ほかの企業でもOKRを導入する手助けをしています。世界中の企業で普及する前から導入し、試行錯誤を繰り返してきたGoogle社だからこそ伝えられることがたくさんあるのです。

2.メルカリ

また、日本を代表するIT企業であるメルカリ社もOKRを導入しています。メルカリではグループ全体から各事業部、各部署、各チームを経て個人という単位での落とし込みがおこなわれていて、評価も四半期ごとに実行されているのです。なお、進捗状況はイエローやレッドといったような表現が用いられていて、どのような状況なのかが分かりやすいように設定されています。また、日々の面談やミーティングで評価をおこなうだけでなく、事業部の進捗状況確認については毎週おこなわれる会議もしくは隔週でフィードバックしているのが特徴です。

メルカリでは達成率を50%に設定し、目標はチャレンジングでワクワクするものにすることで、挑戦を後押しする風土を生んでいます。

OKRを活用するために重要なこと

OKRにおいて設定する目標は簡単すぎても難しすぎても良くないので、達成率は60~70%にするのが良いでしょう。また、目標を設定する際は、社員も巻き込んで、意見を聞きながら決めていくことが大切です。このようにして、目標に対する納得感を高めたうえで設定をしないと、経営陣と社員との間に意識の溝が生まれてしまう可能性もあるので気を付ける必要があります。ほかにも、達成度合いを人事評価に反映させることは良くありません。本来、OKRは全社員共通の目標と目標達成度指標を明確にすることで、会社の全体的なコミュニケーションを促進したり、生産性を上げたりするために利用されるべきものです。

実際、日本企業の中にはOKRを人事評価制度と繋げるために導入しているところもありますが、本来の使いかたとは異なります。人事評価制度として利用するのであれば、MBOを導入するなど、OKRとは別のものを取り入れるべきです。ほかにも、目標や進捗状況を常に確認できるような社内環境を整える必要があります。決められた期日までに目標が達成できるように、常に状況を確認し、日々の業務から意識して行動していくことが大切です。

OKRをうまく組織に取り入れよう

OKRを導入し、組織と個人の目標を紐付け、定期的にレビューをおこなうことは社員のワクワク感を高めることに繋がるだけでなく、モチベーションを維持する効果もあるでしょう。また、会社全体の目標達成意識を高めることができるので、売上アップなど会社の利益を向上させることにも繋がります。導入の際には、毎日の進捗管理とフィードバックを徹底することが大切なので、クラウドツールを活用しながら実行していきましょう。

人材データプラットフォーム「CYDAS」の機能の一つ「1on1 Talk」は、1on1ツールでありながらOKRとしてもご利用いただけます。1on1エバンジェリスト・堀井耕策氏監修のもと開発され、上司と部下の信頼関係を構築しながら、部下の目標達成の進捗状況を見える化し成功の最適なサポートを実現します。

無料デモも行っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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