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2019.11.5

給与計算における注意点とは?システムを使えば効率的!

どんな会社にも組織として存在する人事部門にはさまざまな役割が与えられています。人事の数ある仕事のなかでも特に重要なひとつが給与計算であり、さまざまなプロセスを経て給与が計算されています。そのため、工数の削減をして効率化を図りたいと考えている会社はたくさんあります。そこで、給与計算担当者に求められる能力や給与計算の注意点、工数を削減するための方法について解説します。

給与計算を行うために必要な準備

給与計算をするためには、さまざまな準備をしなければいけません。まず、給与計算のルールを決めるために就業規則と給与規定の作成をします。就業規則とは会社や従業員の守るべきルールであり、企業の法律のようなものです。また、給与規定は給与を決めるためのルールを定めています。給与を計算するためのルールが定められていないと、それぞれの従業員の給与の決め方が明確でなくなり、不公平になってしまうのです。従業員が不満を覚えない公平なルールをつくることが求められます。
給与はそれぞれの従業員ごとに異なるものであり、さまざまな情報をもとにして決められるものです。そのため、従業員情報の収集をして、情報が変更されたならば更新します。たとえば、普段の勤務状況は給与に大きく影響を与える点であり、正確な情報を集めることが求められるのです。残業代や手当などの計算をする必要もあり、そのための情報も細かく収集しなければいけません。
また、給与計算をするためには保険の加入をさせて、健康保険や厚生年金保険といった社会保険や税金などを控除する必要があります。実際に従業員に支払われるのは、当初の給与から控除額を差し引いたものです。そのため、どういった保険に加入していて、どのくらいの保険料が発生するのかを計算します。

給与計算が担う2つの重要な役割

給与計算とは、給料の総支給額とそこから差し引く控除額、最終的な手取り額を計算して、従業員や各関係機関に支払う仕事です。給与計算では、勤労などの労働実績を考慮して、就業規則に基づいた総支給額を計算して、さらに社会保険や税金などによる控除額の計算もします。実際に従業員が受け取る手取り額は、総支給額から控除額を差し引いたものです。こういった給与計算をすることで、労働契約の履行、税金や社会保険などの公的手続きという2つの重要な仕事を行います。
会社は従業員を雇う際にはさまざまな条件を決めて契約をしているのです。契約内容には給与についても明確に取り決めがされています。給与計算でミスが発生したり、当初の契約とは異なる条件で給与計算がなされたりすれば、契約を反故したことになるのです。あくまでも企業と従業員は対等の関係であり、雇い主だからといって自由に給与を決められるわけではありません。当初の約束をきちんと守らなければ、従業員に訴えられる可能性もあるでしょう。労働契約の履行を果たすことは、法律によって定められている企業の義務です。
また、企業は従業員の社会保険について管理する重要な役割があります。正確な給与を計算しないと、税金や社会保険料に影響し、公的機関に納付する金額が正確なものではなくなるのです。納付する金額にミスがあれば、滞納や脱税をしていることになります。給与計算をきちんと行うことが、税金や社会保険などの公的手続きを正確に行うことにつながるのです。

給与計算担当者に必要なスキル

1.高度な専門知識

給与計算には、さまざまな法律の問題が関わってくるため、複数の法律知識が必要となります。関係する法律として、労働基準法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法、税法などがあるのです。また、給与計算を正確に処理するためには、専門知識が必要とされ、仕組みについても理解しなければいけません。残業代などを計算するケースもあり、さまざまな労働法による規定を確認します。労働法令にしたがった方法で給与計算が行われないと、残業代の未払いなどが発生してしまい、労働基準監督署から指摘されるケースがあるのです。
また、給与計算に関わる法律は内容が法改正によって変更されることがよくあります。労働法令や税金、社会保険などについて最新の知識を常に持っていなければいけません。企業には法令遵守することが義務づけられており、労働法令に違反するとコンプライアンス上の問題が生じてしまいます。法律に違反した給与計算は違法であり、労働基準監督署から注意されるだけではなく、従業員から訴えられることもあるのです。給与計算担当者は、給与計算に関係するさまざまな分野の高度な専門知識が求められます。

2.計算能力と判断力

給与計算は単純に計算できるものではなく、それぞれの状況に応じた判断が必要とされます。多数の項目について計算する必要があり、最終的には給料の総支給額や控除額、手取り額を正確に求める仕事です。給与計算に関わるもののなかには、残業代のように毎月変動するものも含まれます。1円の誤りもなく正確に計算しなければいけないため、高い計算能力が要求されるのです。また、計算するだけではなく、扱う情報の正確性も意識しなければいけません。たとえば、勤怠に記入漏れがないかなどもチェックが必要です。給与計算のもとになる情報に誤りがあるかもしれず、判断力が重要となります。

3.モラル

給与計算をする際にはほかの従業員の給与を知ってしまうため、担当者にはモラルが必要とされます。給与情報も当然保護されるべき個人情報であり、情報漏えいを避けるために努力することが求められるのです。万が一、給与情報が漏えいしてしまえば、従業員と会社との信頼関係が崩れてしまいます。社員の給与をきちんと管理できない企業というイメージは、取引先や世間への印象も悪くなってしまうでしょう。今後のビジネスにも大きな悪影響を及ぼしてしまうかもしれません。
給与計算担当者には、自身の仕事に対する責任を自覚してもらい、モラルの向上を図るための工夫が必要です。たとえば、個人情報保護や機密保持などに関する教育を定期的に実施します。セキュリティ関連の教育も必要であり、情報漏えいのリスクを極力避ける取り組みが必要です。また、給与計算担当者の業務実施場所の環境を整えることも重要となります。たとえば、入退室や給与計算に用いる機器の操作などについて、記録を取っておく方法があります。給与計算の担当者以外の作業場所への入室を制限するケースもあります。関係者以外が入室するのを禁じて、さらに監視カメラを設置している会社もあるのです。
ただし、いかに気強固なセキュリティ対策を整えたとしても、担当者のモラルが低ければ、情報漏えいは発生してしまいます。そのため、給与計算担当者にとって情報モラルの意識は欠かせない要素といえるのです。

給与計算における注意点

1.計算ミスは厳禁

給与計算におけるミスは、単に従業員の給与に影響するだけではありません。企業は従業員の給与を計算して、税金や社会保険料などを差し引いて公的機関に納付するのです。たとえば、厚生年金の金額に誤りがあると、従業員が将来受け取る年金額に大きな影響が出てしまいます。ただし、社会保険については、社会保険事務所から納付額の通知がくるため、間違える可能性は低いでしょう。一方、税金の計算ミスは、追微課税される可能性があります。
また、給与計算には労働法や税法など、いろいろな法規制による縛りがあるため、正確に計算することは簡単ではありません。法律は毎年細かい部分が改正されており、その時点の法律の内容にしたがって給与計算することが求められます。法律の解釈を間違えていると、すべての従業員の給与計算にミスが生じてしまうこともあるのです。計算ミスすることによる影響は大きく、従業員からの信頼が失われる可能性もあります。
給与の過不足が発覚した場合には、その分の精算をしなければいけません。たとえば、不足分が発覚した場合は、税金や保険料のことも考慮して追加の支給額を算出して精算します。それだけではなく、計算ミスのあった従業員に説明をして、信頼回復に努めることも必要になるのです。計算ミスがあることで、仕事が増えてしまい負担が大きくなってしまいます。ヒューマンエラーによって、給与計算ミスは意外と発生する可能性が高いのです。給与計算は正しく行われて当たり前と捉えられていることが多く、給与計算担当者には責任を持って取り組むことが求められます。

2.支払い遅れは許されない

給与計算では計算ミスだけではなく支払い遅れにも注意しなければいけません。給与は従業員が生活をしていくために必要なものであり、少し遅れるだけでも、大きな影響が出てしまいます。毎月、決まった日に給与を受け取ることを前提として従業員は生活をしているのです。1日でも遅れることがあれば、従業員の口座が残高不足の状態となり、各種の引き落としができなくなるケースもあります。また、給与が遅れることによって、従業員との信頼関係が崩れてしまうこともあるのです。従業員のモチベーションが下がるなどのリスクも生じます。
どれだけ気をつけていたとしても、給与の支払いが遅れてしまうケースがあるかもしれません。万が一のときには、事前に支払いが遅れることを伝えます。その際には、どうして支払いが遅れるのか、従業員が納得できる理由を提示する必要もあります。給与計算担当者の怠慢によって給与が遅れることは許されません。給与の支払いが遅れる会社は、経営状況が悪化していると判断されても仕方ありません。そのような状況にある会社からは、倒産する前に脱出しようと考える人が出てきても不思議ではありません。支払い遅れが生じることによって、優秀な人材が会社を離れていく可能性が高まります。

3.担当者を固定しない

給与計算の仕事は高度な知識と計算力が必要とされ、独力で行えるようになるためには時間がかかります。担当者を一人に固定すると、その人が離職してしまえば、誰も代わりができません。離職以外にも病気や怪我などで長期的に会社を休むケースも考えられます。リスクに備えておくために、給与担当者は複数置いておくのが基本となります。また、複数の担当者に仕事を任せることによって、それぞれがお互いの仕事を確認するようになり、計算ミスを見つけやすくなります。たとえば、給与計算の担当者だけではなく、チェック担当者を置く方法もあるでしょう。複数の人員で担当させることによって、分担して仕事を任せて、効率性を高めることもできます。
給与計算は一人の従業員の分を済ませるだけでもかなりの労力が必要となるものです。中小企業であっても、給与計算の担当者は複数用意したほうが良いでしょう。給与計算に関する専門知識についても、担当者が複数いればお互いの知識の不足分を埋めることもできます。難しい場面に直面したときには、複数の担当者で話し合うことにより、正確な判断ができるのです。

給与計算をシステムで自動化するとどんなメリットがある?

給与計算を担当者の人力に任せるのは、労力がかかり要求される知識もたくさんあるため、とても大変です。給与計算を任せられる担当者を育てるために時間がかかり、離職や交代のために正しい計算ができないケースもあります。こういった問題を解決する効果を期待できるのが、給与計算の自動化です。システムを導入して給与計算をさせることによって、自動化を実現できます。実際に給与計算の問題をシステム導入で解決している企業は増えているのです。
システムによる自動化のメリットとして、人事担当者の工数を圧縮することができます。給与計算のために必要な勤怠管理や集計から給与計算までの業務をすべて自動化できるのです。また、税率や料率の改定などの際には、システムが自動反映するため、計算ミスや未払いを防げます。年末調整や入退社手続きなどもシステムが一貫して行えるようにできます。人に頼らずにシステムに任せることによって、ヒューマンエラーを防ぐことができます。設定をきちんとしていれば、システムが計算ミスするケースはないため、トラブルを防げるのです。担当者の離職や交代などの事態が起きても、システムを使うことで正しい計算を継続することができます。

給与計算にミスは許されない!

給与計算は従業員が将来受け取る年金にまで影響する大切なものであり、計算ミスは許されません。万が一、ミスが発生すると会社の信用失墜にもつながってしまいます。また、給与は残業代などを含めて計算する必要があり、最新の法律の内容に基づいた内容であることが求められるため、とても難しい業務です。給与計算を正確にできるのは専門的な能力であり、給与情報を扱うためスキルや知識だけではなくモラルも要求されます。そこで、便利な給与計算システムを導入することで、煩雑な給与計算を効率よく正確に行えるようになるのです。給与計算の工数を削減したいならば、給与計算システムを使うことが有効な対策となるでしょう。

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