2020.03.24

生活残業で起こる問題って何があるの?生活残業の解決策とは

生活残業で起こる問題って何があるの?生活残業の解決策とは

従業員が生活残業を続けることによる弊害が、多くの企業で起こっています。生活残業にはデメリットがあり、従業員の健全な労働環境を保つためには解決しなくてはいけない問題だといえるでしょう。その背景を知ったうえで、然るべき対策が求められています。この記事では、生活残業の問題点や企業にできる解決策を紹介します。

生活残業の定義とその実態

日本企業での長時間労働が問題視されており、その一因として生活残業が挙げられます。生活残業とは、生活費として残業代を稼ぐために従業員が意図して残業をする行為を指す言葉です。生活残業の根本にあるのは「労働時間が長くなればなるほど給料がもらえる」という偏った考え方です。本来なら仕事は効率よく終わらせるものであるにも関わらず、残業手当を目的にして、無駄に労働時間を引き延ばしたがる従業員は少なくありません。また残業手当の支給を見込んで、住宅ローンなどを組んでしまっている従業員もいます。

生活残業は本人の体力を消耗させるほか、企業にとっても支出を増やす行為です。それでもなくならない背景には、生活残業を貴重な収入源と捉えている従業員が多い点が挙げられます。こうした従業員の考え方を変えない限り、生活残業をすぐに解決するのは難しいでしょう。また、企業側が生活残業を助長しているケースもあります。勤務時間を人事評価の主軸にしてしまうと、従業員が残業をしたがるのは当然です。「定時で帰ると出世に響く」「残業をしないと社内で孤立する」といった考えが日常化すると、生活残業をする従業員はますます増えていくでしょう。

生活残業する人が出てきた理由

「家族を養うため」は、生活残業の大きな理由でしょう。家族の生活費、子どもの学費などを稼ぐために残業手当を求めた結果、生活残業へとつながっていきます。また、借金の返済も理由のひとつです。奨学金の返済やギャンブルでの多額の借金があると、基本給だけでは早期の完済ができません。生活残業をしなければ、長い間返済に苦しめられることとなります。そして、一時的な物欲を満たすために生活残業をしている人もいます。車やブランド品などの高価なものを手に入れたいため、「残業手当で稼げばいい」という発想に行き着いてしまうのです。

従業員だけでなく、企業側の体質も生活残業を助長する理由になっています。企業が従業員の労働状況を細かく把握していないと、従業員は意図的に仕事の手間や労働時間を増やせます。生活残業を当てにしている従業員からすれば、自由に労働時間を調整できてしまうでしょう。そのほか、偏った人事評価も生活残業の原因です。日本企業は海外に比べて、労働時間を重視して従業員を評価する傾向にあります。要領よく自分の仕事を片づけているだけなのに「残業をしないからやる気がない」と従業員を評価する人事は珍しくありません。こうした評価基準が根深く残っている企業では、望まない生活残業が習慣になっていくのです。

生活残業が多い人の傾向

同じ企業の中でも、生活残業をしない従業員と積極的にする従業員に分かれることがあります。生活残業を積極的にする従業員の傾向として、「退社時間が決まっている」ことが挙げられるでしょう。こうしたタイプは自分の残業時間を細かく計算しています。毎日決められただけの生活残業をして帰るため、退社時間が一定になりやすいのです。また「日中の集中力が低い」のも特徴です。労働時間そのものが長いので、1日を通して集中力を発揮できません。トイレやタバコ休憩で頻繁に席を離れたり、外回り中に手を抜いていたりするなど、日中は全力で仕事をしなくなっていきます。

「作業効率を求めない」傾向も顕著です。納期や定時という概念が消えているので、仕事を早く終わらせようと努力をしません。そして、生活残業は中堅社員ほどしたがるといえます。中堅社員は自分の作業量やスケジュールをある程度調整できるので、自由に生活残業を続けられます。そのほか、「日中の仕事に時間がかかっている」人も生活残業をすることが多いでしょう。残業をするためには仕事を残しておかなくてはいけません。そこで、日中に終わるはずの仕事をわざと引き延ばし、残業に持ち込むのです。もちろん、こういった仕事の進め方は企業のメリットにはなりません。

生活残業が抱えている問題点

なぜ生活残業が望ましくないのかというと、企業が従業員を管理しづらくなるからです。企業が適切に割り振っているはずの従業員へのタスクが把握できなくなっていきます。そして、タスクが完遂するまでの工数も正確に予測できません。次に「従業員の意識低下」です。生活残業が起こる多くの職場では、上司や経営陣が従業員の工数を把握していません。その状況をいいことに、タスクの工数を従業員が勝手に増やしてしまっているのです。納期通りに仕事を早く終わらせるのはビジネスの基本であり、従業員が生活残業を優先している状況は本末転倒といえるでしょう。

「生産性」の面でも生活残業は問題です。1つの仕事にあたる人数や時間が多くなれば、当然、企業の生産性は落ちていきます。ときには、収益にも悪影響を及ぼすでしょう。さらに、「従業員間の公平性」も保てません。残業をしている人が評価される雰囲気を作ってしまうので、生活残業をしていない人が批判されるようになります。従業員の能力ではなく、労働時間が人事評価につながる歪んだ環境を生み出しかねません。その結果、仕事を早く終わらせて定時で帰りたい従業員でも「残業をしなくては」と思うようになり、ますます無駄な生活残業が増えていく悪循環へと陥ってしまうでしょう。

生活残業は企業にとって大きなコストになる

従業員の生活残業に対策を練るときは、企業側のコストを理解するところから始めましょう。たとえば1人の従業員が生活残業を2時間起している職場では、残業代が1時間2000円として、1カ月あたり8万円の残業手当が支払われています。1年あたりでは96万円もの経費がかかってしまうのです。そして、1人が生活残業を4時間した場合、1カ月あたり16万円、1年あたり192万円の残業手当を支払わなくてはいけません。これらはあくまで従業員1人に対しての経費です。

同じ条件で従業員10人が生活残業をしていると考えると、毎日2時間の残業代は1カ月あたり80万円にものぼります。1年あたりでは960万円にもなってしまいます。そして、社員100人が2時間生活残業をしているとすれば、1カ月あたり800万円・1年あたり9,600万円の経費が失われていくでしょう。これだけの経費がかかっているのに対し、意図的な生活残業はタスクを引き延ばしているだけなので売上が伸びているとは言い切れません。つまり、売上は変わらないのに経費だけが大幅に増えている状態です。生活残業は企業にとって莫大なコストになるため、一刻も早く解決策を用意することが肝心なのです。

企業の残業の在り方を見直そう

生活残業を減らしていくには、企業にとっての残業の意味を考え直しましょう。たとえば、ノー残業デーを設けることは、従業員の意識改変のきっかけになりえます。毎週、決められた曜日をノー残業デーにすると、無理にでも従業員は定時で帰らなくてはいけません。作業効率を振り返ったり、定時で帰るメリットを確認したりできるでしょう。また、残業に関するルールを明文化するのも得策です。許可なく残業をできない決まりにするのはひとつの方法です。そして一定の残業時間を超えると、その部署の責任者に経営陣が注意するなど、「残業は望ましくない」という価値観を教育していきます。

責任者同士の情報共有も大切です。各従業員の残業時間を報告し合って、リアルタイムの労働状況を把握できるようにしていきましょう。従業員の仕事振りを上司がしっかり見ていれば、勝手に工数を増やしにくくなります。さらに、残業を正義としない雰囲気を作り出し、定時を過ぎたら帰ることを当たり前に変えていきます。企業体質や上司の考え方自体を根本から改革するように努めましょう。そのほか、チーム内の業務を可視化することも重要です。個人の業務が周囲から見えづらくなると生活残業は増えていきます。進捗状況や作業内容が周囲に伝わる環境が整えば、不要な残業は減るでしょう。

生活残業の解決策

管理職の考えが改まれば、部下の残業を減らすことは可能です。組織のメンバーがどのような仕事をしているのか、管理職はしっかり把握するようにしましょう。メンバーの作業量、進捗度などを常に見守っていれば、管理職が残業の正当性を判断できます。そしてプロジェクトのチェックポイントを設け、それぞれに遅れが出たときのリスクマネージメントも想定しておきましょう。また、従業員のタスクを関連づけることも大切です。作業の進捗に相対性を持たせるには、個人のタスクを周囲と結びつけてしまいます。そうすれば、個人の勝手な判断で作業を引き延ばしにくくなるでしょう。

仕事の効率性を高めるには、状況に応じてフレックスタイム制を適用するのも一案です。特に1人で進めた方がはかどるタイプのタスクを従業員に与えているのならば、出勤時間や退勤時間の見直しは不可欠です。そのほか人事評価のシステムを整え、労働時間以外の基準を設けましょう。同僚からの評判や効率性を上げる努力などは人事評価に加えたいところです。そのうえで生産性を軸にした評価を徹底すると、生活残業の減少に役立ちます。「従業員の能力を等級で区別する」のも効果的でしょう。昇給するには、等級に見合った仕事ができるように従業員を鼓舞します。そうすれば、自然と従業員も仕事の量と質を両立させたいと願うようになり、残業を優先しなくなっていきます。

生活残業が減るよう企業全体を見直そう!

従業員が生活残業をしたがる企業では、上司の考え方に問題があるケースが少なくありません。企業の古い体質も生活残業を助長します。デメリットの多い生活残業を減らしていくには、残業に対するルールを明確化することが大切です。そのうえで、「長く働いている従業員」ではなく「生産性の高い従業員」を評価する風土を築いていきましょう。

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