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2019.7.15

障害者雇用は企業の戦力強化になる!採用方法や注意点とは?

従来と比較して仕事に対して前向きな障害者が増えていることもあり、企業も障害者を雇用して働く場を提供することが望まれます。今後障害者雇用を考えている企業も増えてくるはずですので、この記事では、企業で障害者雇用を検討するうえで知っておくべき制度や企業にとってのメリットを紹介します。障害者雇用は人手不足の解消にも有効な手段ですので、企業の戦力を強化していきましょう。

厚生労働省が定める「障害者雇用率制度」とは?

ここでは障害者雇用の基本である障害者雇用率制度について紹介します。一定数以上の従業員を雇っている企業の事業主は、身体障害者や知的障害者、精神障害者を一定の割合以上で雇用しなければなりません。民間企業の法定雇用率は2.2%で、これは従業員45.5人に対して障害者を1人雇用しなければならないということです。つまり、従業員を46人雇っている企業は、1人障害者を雇うことが義務ということになります。
もし企業が法定雇用率以上の障害者を雇用していなければ違反となり、ルールを守らない事業主に対してハローワークから行政指導が行われます。外国に比べると日本の法定雇用率は低く、まだ日本では障害者を雇うことが浸透していないことがわかります。今後日本は働き方改革により障碍者雇用を積極的に推奨していくことが予想されるので、法定雇用率が上がる可能性が高まるでしょう。従業員が多い企業は指導を受けないように、自社の障害者雇用率の数字を把握しておくことが重要です。

対象企業が拡大した「障害者雇用納付金制度」とは?

障害者を雇用するにはコストがかかるので、会社の負担を減らすために障害者雇用納付金制度があります。障害者を雇うためには作業施設や作業設備の改善、職場環境の整備をすることが必要となり、健常者を雇うよりも雇用するまでにかなりの費用がかかってしまうのです。これらの経済的負担を受けたくないがために障害者の雇用を進めない企業が増えても不思議ではありません。それゆえ、事業主の負担を減らすために障害者雇用納付金制度が制定されたのです。
障害者雇用納付金制度によって、法定雇用率を達成している企業は調整金や報奨金が支給されたり、障害者を雇うために一時的に経済的負担が大きくなる場合に助成金が支給されたりします。ちなみに、企業に支給されるこうしたお金は法定雇用率を達成していない企業のうち、常時労働者が100人以上の企業から障害者雇用納付金として回収されています。つまり、障害者雇用納付金制度によって、障害者雇用率が低くて規模の大きな企業からお金を回収し、それを積極的に障害者を雇用している企業に回していることになるのです。

障害者雇用を行うメリット

1.戦力強化

障害者を雇用することで企業には2つのメリットあります。1つは戦力を強化できるという点です。日本では少子高齢化による労働者の減少や転職の増加などによる高い離職率が原因で、さまざまな業種で人材不足が問題になっています。特に地方の中小企業は人が集まりにくく、深刻な人材難に陥っており、事業活動を縮小したり事業継承ができなかったりしている企業も増えているのです。販売や接客、流通など人が中心になって行う業種は人手不足が業績に大きく影響するので、社員の確保は企業が最も力をいれるべき活動の1つと言っても過言ではないでしょう。
こうした人手不足が深刻化している中、障害者は企業にとって大きな戦力です。労働者は減っていますが、働く意欲のある障害者が増えているので、障害者が事業活動の救世主となる可能性があります。確かに障害者は健常者に比べて制限のある中で働かなければなりませんが、企業が行っている作業を障害者でもできる仕事と健常者にしかできない仕事に振り分け、人材を使い分ければ解決できる問題となります。障害者でも可能な仕事を増やして、業務の効率化を図れば戦力の強化につながるのではないでしょうか。

2.柔軟な働き方の実現

障害者雇用の2つ目のメリットは、柔軟な働き方を実現することができることです。障害者を雇うためには、既存マニュアルの更新や業務の可視化、作業手順の簡略化といった業務の工夫が必要になります。つまり、障害者雇用の準備が企業内の問題を改善する機会や、環境や業務内容の見直しをするタイミングにもなるのです。障害者を受け入れることで労働に対する価値観が変わり、オンラインのビジネスチャットやテレビ会議、リモートワークなどさまざまな働き方を取り入れやすくなります。
また、障害者のために新たなシステムを導入することで、人手不足を解消するヒントになることもあるのです。例えば、通勤が難しい障害者のために在宅勤務のシステムを導入すれば、全国から健常者のリモートワーカーを採用することも可能になります。特に地方にいけばいくほど恩恵を受けることができ、都心に住んでいる優秀な人材を社員として雇うことも可能となります。他にも子育てや介護で仕事を辞めざるをえなかった社員の離職を防ぐこともでき、社員の確保がしやすくなります。このように、柔軟な働き方を取り入れることで、既存のルールに縛られることなく優秀な人材を確保する可能性を高めることができるのです。

障害者雇用をしない場合のデメリット

1.企業イメージの低下

障害者雇用をしない場合、企業にとって大きなデメリットがあります。それは企業のイメージが低下してしまう可能性があるということです。障害者を雇用する風潮が広まっている中、その流れに反しているということになるので世間からの印象が悪くなってしまいます。企業は利益を出すことが目的ですが、地域貢献も求められるため、障害者を拒否することは世間から、社会に対して貢献しない意思表示と受け取られる可能性が高いのです。
ちなみに、障害者雇用率の低い企業は、ハローワークや労働局、厚生労働省などの行政から指導が入り、2年間で2.2%の障害者雇用率を達成できるような計画を立てなければなりません。計画通りに取り組みが進まなかった場合や行政からの指導に従わなかった場合は、社名が公表されることがあります。障害者雇用に非協力的な企業として社会に公表されると、世間からの目が厳しくなってしまうので、障害者を雇わないことは大きなリスクを背負うことになるのです。障害者に優しくない企業として認知されるとブランドイメージに大きなダメージを与えることになるので、企業の社会的責任を果たすことが難しくなってしまいます。

2.納付金の徴収

障害者雇用の経済的負担を減らすために障害者雇用納付金制度があるのですが、障害者雇用をしなければ納付金を納めなければならなくなってしまいます。障害者を積極的に雇用している企業には奨励金などが支給されるのですが、常用労働者が100人を超えている雇用率が低い企業は逆に納付金が徴収されてしまうのです。
確かに、障害者を雇った場合の費用より納付金の方が安い企業は、雇用しないことを選択するかもしれませんが、コストを削減できても人手不足の解消や好感度アップが難しくなる可能性が高まります。障害者を雇用してもしなくても費用がかかるのであれば、障害者を雇用して人材の確保やイメージアップにつなげた方が賢明な選択ではないでしょうか。多少費用はかかるかもしれませんが、長い目で見るとメリットの方が大きいので、障害者雇用を積極的に検討していくようにしましょう。

障害者の採用方法は主に4種類

実際に障害者を雇用しようとしている企業は、どのように採用活動をすればよいのでしょうか。採用の進め方は主に4つの方法があります。1つ目は、自社のウェブサイトで周知する方法です。広告を出すわけではないので費用を抑えることができ、ネームバリューが高い企業はそれだけで高い広告効果が期待できます。知名度の高い企業でコストを削減させたい場合は自社のウェブサイトを活用しましょう。
続いての方法は、求人サイトを利用することです。インターネットの求人サイトに自社の情報を掲載して、障害者雇用をしていることを世間にアピールするとよいでしょう。SNSの普及によりネットを活用する人が増えているので、求人サイトの情報媒体は宣伝効果が高く、応募や面接までの調整をスムーズに進めることができます。ただし、自社情報を掲載するのに広告費がかかってしまうため、予算に合わせて利用することがポイントです。また、ハローワークを利用することも採用活動に有効で、障害者雇用の求人票の提出は無料で行えます。ハローワークを通じて採用した場合に各種助成金の交付が受けられるのでお得なのですが、採用までの手続きに時間がかかったり、掲載できる情報が少なかったりします。
もし、ハローワークを利用するのであれば、時間に余裕を持たせ簡潔に求人条件をまとめておきましょう。最後の方法は、障害者職業面接会に参加することです。ハローワークや民間の人材紹介事務所が、定期的に障害者向けの職業面接会やイベントを開催しているので、そのイベントに参加すれば一度にまとめて仕事を探している人に会えます。障害者を採用する場合は、4つの方法の中から自社に適した方法を活用しましょう。

障害者雇用のために企業が行うべき準備

障害者を雇用する際、企業が事前に行っておくべきことがあります。それは、雇用形態や勤務時間、給与などを明確にして、職場環境を整備することです。雇用形態では、時短勤務の社員や非正規社員でも、特定の条件を満たせば障害者雇用率の算定対象となります。また勤務時間は、通勤ラッシュに被らないようにするか時短勤務にして負担がかからないように配慮しておくこともポイントです。給与に関しては健常者と同様に最低賃金を守るようにして、職種によっては頑張りや努力が評価されるようにしておきましょう。そして、バリアフリーや手すりの設置など障害者が働きやすい環境を整備しておくことも重要です。障害者が定着できるように、企業コンプライアンスを維持しながら積極的に障害者を採用していきましょう。

障害者雇用は今後も拡大する見込み

障害者雇用は人材確保や企業の見直しができるといったメリットがあり、積極的に雇用しなければ企業のイメージ低下や納付金の徴収などのデメリットがあります。障害者の法定雇用率が2.2%から、2021年4月までに2.3%に上昇する予定で、今後行政は働き方改革などで障害者雇用政策を積極的に推進するでしょう。ますます行政からの要求が強まることもあり、企業は障害者雇用の積極的な取り組みが必要とされているのです。

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