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2021.1.21

サステナビリティとは?意味やメリット・企業の取り組み事例を紹介

ビジネスの世界では、「これからはもっとサステナビリティを全面に推し出していかなくてはならない」など、「サステナビリティ」という言葉をよく耳にします。なんとなく意味を理解していたとしても、明確な言葉で説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか。そこで本記事では、サステナビリティの意味を説明しつつ、そのメリットやそれを用いた事例などを紹介していきます。

サステナビリティとは?

サステナビリティ(sustainability)を直訳すると「持続可能性」という意味で、地球環境、社会、経済などあらゆる場面において、将来にわたって現在の社会の機能を継続していくことができるシステムやプロセスを指します。
企業が使う場合は、目先の利益を追い求めるのではなく、自然環境や社会システムの維持にも目を向けようという考え方や活動を指す言葉になります。元々は水産業界で用いられてきた言葉で、水産資源を減らさずに漁獲量を持続させるという意味で使われてきました。
そして、その考え方がやがて一般企業にも取り入れられ、事業活動が環境や経済などに与える影響を考えながら長期的な運営を目指そうという、「コーポレート・サステナビリティ」の取り組みが行われるようになったのです。
また、サステナビリティの概念は日本社会全体に広く浸透しつつあり、現代においては企業による環境保護活動や社会貢献活動などに高い注目が集まっています。そのため、企業は自社の利益を追うだけではイメージの向上を図ることが難しくなっています。
企業に対して世間は、社会全体のことを考慮した動きを求めており、それを成し得るかどうかで企業の価値が決まるといっても過言ではありません。したがって、サステナビリティへの取り組みは、今後、あらゆる企業にとって欠かせないテーマとなっていくといえるでしょう。

サステナビリティにおける3つの観点

サステナビリティというと自然環境に対する配慮ばかりが強調されがちですが、それはこの言葉が持つ意味の一要素にすぎません。実際は自然保護と同様、社会に対する配慮も求められているのです。ここで、サステナビリティを考える際に重要な3つの観点を説明します。

社会

貧困格差や教育格差、人種差別やジェンダー差別をなくし、多様性を認める社会にしていくことが求められています。教育、医療などの社会サービスの改善や自由に教育を受ける機会の提供、多様な働き方への配慮などが挙げられます。

経済

職を求めている貧困者や女性及び高齢者などに対して、いかに雇用を創出するかといった問題も、サステナビリティの重要な問題です。企業においては、長期的なパフォーマンスを維持し、利益を上げていく持続可能な経営が一層求められていくといえます。

環境

原材料、廃棄物、大気汚染、生物多様性など、地球環境問題を解決し、人間のみならず動物や植物などの生態系全体が持続できるように環境に配慮することが求められています。エネルギー問題では、化学エネルギーから再生可能エネルギーへの転換に向けた活動が挙げられます。他にも、森林の保存や海洋汚染対策、水資源の節約、生物多様性の保全など、地球環境を保護する活動が求められています。

サステナビリティの要素「GRIスタンダード」

では、具体的にはどこからどこまでをカバーすればよいのか、という疑問が浮かんでくる人もいるのではないでしょうか。これは、国際的なスタンダードを記した「GRIスタンダード」というガイドラインを参考にすると理解しやすいかもしれません。
「GRIスタンダード」は組織が経済、環境、社会に与えるさまざまなインパクトについて説明するための国際的なフレームワークです。 このフレームワークを活用しサステナビリティ報告書を作成することで、各分野の重要項目について、組織の取り組みや目標を体系立てて説明することが可能です。GRIスタンダードは、共通スタンダード・セクター別スタンダード・項目別スタンダードの3つに分かれており、項目別スタンダードでは、経済、社会、環境の3つの分野のインパクトに関する開示事項がまとめられています。
また、共通スタンダードは全ての組織に適用されますが、セクター別スタンダード・項目別スタンダードは組織が該当する事項を選択することが可能です。「社会」の分野では、労使関係・多様性と機会均等・マーケティングとラベリング・顧客プライバシーなどの17項目です。「経済」の分野では、間接的な経済影響・反競争的行為などの7項目がまとめられています。「環境」からは大気への排出・原材料といった8項目がそれぞれ挙げられています。
GRIのサイトよりGRIスタンダードの最新版がご確認いただけます。

GRIホームページはこちら
https://www.globalreporting.org/

注目されるサステナビリティ経営

環境・社会・経済という3つの観点から、自社と社会において共存し、それぞれが持続可能な状態を実現していくことを目指す経営スタイルを「サステナビリティ経営」と言います。
生産やサービス提供など自らの企業活動が環境・社会・経済という3つの要素に与える影響を考慮することは事業の長期的な維持継続には欠かせません。たとえば廃棄物をなくし、地球環境への負荷を軽減することは、良好な生活環境の実現につながります。多様性の面からは、ジェンダーやLGBTを尊重した人材を活用することは、一企業の雇用の安定にとどまらず価値観を認め合う多様な社会の実現にもつながります。

サステナビリティの取り組み事例

サステナビリティに対する取り組みを積極的に行っている組織は数多くあります。まず、2007年より毎年、北海道大学が主催する事業であるサステナビリティ・ウィークがあります。人類が抱える諸課題をテーマにしたシンポジウムやワークショップ、展示などを短期間に集中的に開催し、世界の研究者、学生、市民と共に、より良い未来を作るために議論しています。 続いて企業の事例をいくつかご紹介します。

日産自動車の事例

自動車メーカーの日産は、車から排出されるガスが地球温暖化や空気汚染の原因になっているところから、その改善が業界全体の課題だと考え、電気自動車の開発を進めることで問題の解決を図ろうとしています。さらに、具体的な推進方法として、2022年度までに新車からの二酸化炭素(CO2)排出量を2000年度比で40%削減するという目標を掲げているのです。また、これとは別に、社会貢献活動や災害支援を行っている点も目を引きます。

ファーストリテイリングの事例

アパレル事業を行っているファーストリテイリングでは、調達・製造・在庫管理・配送・販売・消費といった一連の流れを表す「サプライチェーン」を始めとして、そこに「商品」「店舗とコミュニティ」「従業員」を加えた4つのポイントを重視してサステナビリティに取り組んでいます。たとえば、ウズベキスタンでは、コットンの収穫時に政府主導の児童強制労働が行われている懸念が指摘されているため、ウズベキスタン産コットンの不使用を徹底しています。同時に、先に掲げた4つの領域における持続的な実現を推進していくうえで指針となる「ファーストリテイリンググループサステナビリティポリシー」を制定しています。

スターバックスの事例

世界規模で展開しているコーヒーチェーン店のスターバックスでは、調達・環境・コミュニティ・文化といった幅広い分野においてサステナビリティに取り組んでいます。その中で、特に重視しているのが調達です。生産者や生産地域に対してフェアトレード(適正な条件での取引)を順守し、生産先の労働環境を守るなどといった「エシカル調達(倫理的な調達)」を達成すべき最重要課題として掲げています。それに加え、紙コップの削減や各種リサイクルを推進するなど使い方を考えることで、事業における環境負荷の低減も目指しています。

「SDGs」「CSR」とは違うの?

サステナビリティと似た考え方に「CSR」「SDGs」というものがあります。しかし、それぞれに微妙な違いがあるため、きちんと理解しておくことが大切です。

サステナビリティとCSRの違い

まず、CSRとは「企業の社会的責任」という意味です。ここでいう責任とは、顧客・従業員・取引先・投資家など全ての利害関係者の要求に応えなければならないという意味です。たとえば、安全な製品を顧客に提供したり、健康的で働きやすい職場環境を従業員に用意したりすることがこれにあたります。それらに加え、内外に対して説明責任を果たしたり、法令を遵守したりといった、企業の果たすべき責任もここに含まれます。 サステナビリティと目指すべき方向はほぼ同じですが、CSRは、達成すべき範囲を利害関係者に限定している点が異なります。また、サステナビリティが企業だけでなく、政府・自治体・団体・個人といった具合に責任の主体を幅広く設定しているのに対して、CSRは主に企業の責任を指したい場合に用いられる特徴があります。

サステナビリティとSDGsの違い

一方、SDGsは直訳すると「持続可能な開発目標」となり、「持続可能性」という意味を持つサステナビリティよりさらにテーマを深掘りし、「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」などといった具体的な17のゴールを提示したものです。サステナビリティが大まかな枠組みを用意し、SDGsがそれを深堀りしていくということで、両者は相互補完的な関係にあるといえます。

サステナビリティと「ESG」の関連性

ESGは、サステナビリティを語る上で欠かせない言葉の一つです。ESGとは、環境(Environment )、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の英単語の頭文字をとった言葉です。環境、社会、ガバナンスに配慮した取り組みを評価指標として投資することをESG投資といいます。企業のESGへの取り組み(ESG経営)は、中長期的な企業価値向上につながると考えられ、投資家も注目しています。そして、ESGはサステナビリティを推進する動力でもあるのです。企業がESG経営をすると結果的にSDGsの目標達成に貢献できるため、2つの取り組みを同時行う企業が多いことが現状です。 

サステナビリティ経営のメリット

サステナビリティは、負担ばかりが大きくて企業にとってデメリットしかないと思う人もいるかもしれません。しかし、実際は積極的にサステナビリティ経営を行う基本方針を固めることで、企業は多くのメリットを得ることができるのです。

企業価値向上につながる

それでは、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。まず考えられるのが、企業価値の向上です。社会的な評価が上がり、それに連動して企業のブランド価値も高まり、業績アップへの足がかりとなります。 また、天然資源の消費量を減らすことで、生産効率を高め、コスト削減につながったという例もあります。さらに、労働環境の改善を行えば、従業員の満足度が高まり、離職防止や優秀な人材の誘致につながるでしょう。目先の負担だけでなく、その先にある企業価値の向上を考えることで、サステナビリティ経営によるメリットがより理解しやすくなるはずです。

エンゲージメント向上につながる

サステナビリティ経営には労働環境に関わる内容も含まれています。多様な働き方や、社会貢献につながる取り組みから、エンゲージメント向上も期待できます。サステナビリティへの取り組みの中で目指す方向性が明確化されることも多く、そのような面でもエンゲージメントを高める効果が期待できます。

資金調達の面で有利になる

世界的にESG投資への関心が高まる中で、環境や社会に配慮した経営を評価する傾向が高まっています。サステナビリティは持続可能な成長や発展を目指す考え方に対し、ESGは経営や投資スタイルを指します。サステナビリティ経営とESG経営は取り組みの中で重なる部分が多くあるため、環境や社会に配慮した取り組みが各ステークホルダーに評価されることで投資対象としての価値が固まり、資金調達にも影響してきます。

事業拡大につながる

サステナビリティへの取り組みでは、新たな事業開発や事業創出の可能性も秘めています。環境に配慮した商品や、社会に貢献するサービスの開発など、サステナブル(持続可能)なサービスや事業の開発が世界的にも期待され、需要が高まっています。サステナビリティ経営を推進する企業は各ステークホルダーに注目され、取引先とのつながりの強化も期待できます。

「サイダスピープル」でサステナビリティ経営を加速

サステナビリティと企業の成長・収益力の両立を図る「サステナビリティ経営」。その重要要素でもある「人的資本」への投資が近年注目されています。そのような背景から、日本でも人的資本の情報を、投資家などのステークホルダーに開示する動きが加速しており、2022年11月の金融庁の発表で、2023年3月31日以降に作成される有価証券報告書への人的資本の情報開示が義務化されました。人的資本の情報開示には組織の人材データを集約、活用していくことが不可欠です。 

サイダスピープルは人材データを集約し、人的資本の情報開示をサポートできるタレントマネジメントシステムです。 

サイダスのタレントマネジメントシステム「CYDAS PEOPLE」は人材情報を一元化でき、社員の雇用情報も管理できるシステムです。評価やキャリア支援まで一気通貫して実現できます。

また、勤怠や給与のシステムとデータ連携することで、組織の状態をダッシュボードとして俯瞰的に見ることができ、人事や経営の意思決定にも役立てられます。

組織課題に合わせたご利用ができますので、まずはお気軽にご相談ください。

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