2018.03.06

組織進化のステージと意味:みんなティールになろう?

組織進化のステージと意味:みんなティールになろう?

マネジメントの分野で、この2ヶ月間で一気に日本に広まってきた話題の本があるのをご存じでしょうか。それは「ティール」という本です(原題: Reinventing Organizations)。

「ティール:マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現」(フレデリック・ラルー)
あまりに国内で話題が広がりすぎ、先週の国会(参院予算会議)でも生産性革命の文脈で紹介をされたほどです。たとえば「ティール、組織」のキーワードで検索してみてください。本日時点で検索すると200万以上ヒットしてきます。
本そのものは600ページ近い大作なので読むのも結構力がいります。あえて一言で伝えるとすると、新しいマネジメントや組織運営の姿を紹介したうえで、従来のマネジメントや組織の考え方に対する「副作用」的な弊害について指摘している内容になっています。
「ティール」というのは緑がかかった青い色を示す言葉で、組織のある段階を示す言葉です。(こんな色です)

人類が地球上に出てきてからコミュニティや組織を作ってきた進化のパラダイムの流れにあわせ、無色、マゼンタ(神秘的)、レッド(衝動型)、アンバー(順応型)、オレンジ(達成型)、グリーン(多元型)、ティール(進化型)という7つのステージを定義しています。色分けはインテグラル理論というものをもとにしています。無色(組織というものが存在しない状況)から、組織がある段階を超えると次のステージにいく(といっても必ずいくわけではなく、条件や環境が整った場合に限る)、かつ前のステージの状態・条件を内包しているということです。

この本をポジティブにとらえると、全ての組織はティール組織を目指していくべき、そのための方法論を考えていこう、ととることもできます。ただし、本でも一部記載がありますがそんな簡単ではないと思っています。それに必ずしも向いていない組織もあるなかで無理矢理この方向にすべて持っていこうとすると逆効果だとも思います。かつ、正確に特性を理解しないと誤解をうんだ形で組織の姿が定義されることにつながりかねず、リスクさえあります。

まだ方法論や理論が確立していない中では試行錯誤の段階が当分続くのだと考えています。実際、こういったコンセプトは10年近く前からあり、たとえば似ている組織コンセプトとしてホラクラシーというものがあります。Amazonに買収された靴のオンラインショップを展開するZapposがこの考え方で組織運営をしていたことで大変話題になったものです。組織には階層構造がなく、チーム単位ですべてが決まって進んでいく。つまり「マネジメント」なるものが存在しない組織とも言えます。しばらくはポジティブにとらえられている組織形態でしたが、最近ではこの限界や課題も指摘されており、まだ完成形として考えるのは時期尚早だということだと思います。

とはいいつつも、こういったより「ソフト」な面に注目が集まってきているのは大変喜ばしいことです。人間性や人間関係よりもハードな戦略、効率性や効果のみを重視したやり方に対する抵抗が少なからずこの注目度に反映されていると考えるからです。「組織は人なり」ということもあり、個人、人間関係、組織のダイナミクスを考えたマネジメントをしていかないと立ちゆかなくなる時もあると思います。何のために組織があるのか、何のために価値を生んでいるのか、なんでこの組織にいるのか、こういった仕事そのものに対する根源的なことを考えるヒントを与えてくれる良書です。

この本は様々な分野の研究や知見が絡み合っていることもあり、ささっと読んだだけでは正確な理解ができないと思います。私も今後、情報収集や周囲の方と議論を重ねながらこのコンセプトの理解と、実用的なマネジメントにどう展開できるのか考えていきたいと思います。それから、組織の方を「データ」として取得・管理してマネジメントしていくにはどうするか、データドリブンな組織マネジメントについても追求していきます。

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