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2020.11.30

ビジネスパーソン必見!離職率とは?平均・算出方法まで徹底解説

日本は長い間、画一的な勤務形態が続いていましたが、ワーク・ライフ・バランスを重視する声が出てくるなど、多くの変化も起き始めています。根本的に働き方が変革しつつある中、知っておきたい指標の一つが離職率でしょう。離職率という言葉は知っていても、その平均値や具体的な算出方法まで理解している人は少ないのではないでしょうか。今回の記事では、離職率の平均や算出方法、離職の原因まで解説します。

離職率とは

離職率はメディアなどを通してよく聞く言葉です。離職率とは、対象となる企業でどのくらいの従業員が辞めているかの割合を示す数字として使われます。厚生労働省によると、離職率は「常用労働者数に対する離職者の割合」と定義されています。もう少し具体的に理解するなら、ある時点で仕事に就いていた人々のうち、一定期間後に退職した人数の割合を算出したものと覚えるとよいでしょう。つまり、一定の期間の中でどのくらいの人々が仕事を離れたのかを表す指標として利用されているのです。

離職率という言葉が注目を集める背景には、企業評価の良し悪しを左右する指標という認識が広まっているからです。離職率があまりにも高ければ、外部からは問題がある企業と見られる可能性もあるでしょう。また、離職率は従業員の仕事や職場に対する満足度に比例するため、多くの企業にとって人事部門が追及するべき重要業績評価指標KPIにもなっています。

離職率の算出方法

離職率には、法的に定められた計算方法がありません。したがって、対象期間や対象者を計算する側で任意に設定します。任意に設定するということは、使用する目的によって、さまざまな離職率を算出できるということです。ただ、一般的には期初から期末までの1年間で算出することが多いでしょう。1年間という区切りは誰が見ても分かりやすく、対象期間として適切と考えられているからです。その他、対象期間や対象者として多いのは、新卒や中途入社社員を1年間、3年間などの期間で区切って算出するケースです。

特に新卒の離職率は度々話題となり、世間の注目を集めることも多くなっています。このように、算出期間は離職率を計算する目的によって異なってきます。参考として、厚生労働省が実施する雇用動向調査における、離職率の計算式を紹介します。
この計算式は、入 (離) 職率 = 入 (離) 職者数 ÷ 1月1日現在の常用労働者数(年齢階級別は6月末日現在の常用労働者数) ×100 (%)です。また、「定着率」という、100から離職率を引いた数字で評価されることもあります。

離職率の算出方法

  • 入 (離) 職率 = 入 (離) 職者数 ÷ 1月1日現在の常用労働者数(年齢階級別は6月末日現在の常用労働者数) ×100 (%)

離職率と価値観の変化の関係

企業の離職率は多くの人々の注目を集めていますが、それは雇用環境の変化とも無関係ではありません。たとえば、日本は長年にわたって年功序列の価値観が根強く、正規の社員として一つの企業に勤めることがよいとされてきました。中には転職する人もいましたが、上述したような価値観が強いために、転職回数の多い人は市場で評価されにくかったのです。ただ、世界的に見ればこのような転職に対するネガティブな捉え方は珍しいものであり、アメリカでは転職回数がポジティブな意味で捉えられています。

転職によって複数の企業や業界を経験した人は幅広い専門知識を持っている可能性が高く、それを業務に生かすことが期待できるからです。日本でもグローバル化に伴い、今までの年功序列型の価値観から、転職をポジティブなものに捉えるアメリカ型のものに変わってきています。また、人材の流動性も活発化しているので、転職に対するハードルはかなり低くなったといえるでしょう。1つの企業で一生働くのではなく、よい条件があれば転職を視野に入れ、より自分らしい働き方を求めている労働者が増えているといえます。

離職率が高いことの影響は?

企業イメージと離職率は密接な結びつきがあります。一般的に、離職率が高い企業と聞くと、労働環境が悪いネガティブなイメージになってしまうのです。このようなイメージが世間に定着してしまうと、その企業はブラック企業と判断され、さまざまな面でマイナスの影響を受ける可能性があります。たとえば、商品やサービスのブランドイメージが悪くなり、業績に影響を及ぼすこともあるでしょう。また、離職率が高いと分かっている企業に応募したいと考える人は少ないため、人材採用の難易度も上がるはずです。

市場に人材が余っているような状態ならまだよいですが、人材不足が深刻化する時代には致命的なダメージといえます。このようにブラック企業のイメージが強くなって採用すること自体が難しくなれば、企業の市場競争力も落ちてしまいます。仮に離職率が高く仕事がハードと認識されている状態で優秀な人材を確保したいなら、高額な報酬を用意したり、十分にスキルアップできる場を整備したりすることが必要になるでしょう。

離職率の正しい見方

多くの人は離職率が高いことをよくないことと認識しています。ただ、細かいところまで見ていけば、一概に離職率が高いことがよくないとは言い切れません。たとえば、特定の年齢層の従業員比率が高い企業の場合、その人たちが退職する時期は一気に離職率が上がることもあるからです。このように考えると、離職率はある側面を表した数字でしかないと分かるでしょう。事実、適正な離職率の絶対値というような数値は存在しません。絶対値が存在しないというのは、離職率の対象となる母体や算出の目的によって、導き出される数字に大きな違いがあることを表しています。

さらにいえば国や業種、規模、ライフサイクルや年齢などによって算出される離職率の適正レベルも全く異なるのです。離職率が高いことはよくないと思い込み、数字だけ追ってしまうのはリスクにつながります。大切なのは、その背景などを考えて多面的に読み解く姿勢です。

離職率の平均はどれくらい?

厚生労働省の雇用動向調査では、離職率についても触れられています。具体的には、2016年の年間平均離職率は15%になっています。この数字はそのときどきで多少の変化があるものの、2002年以降は14~17%の間で推移しています。そして、2016年まで過去10年間の数値を平均化すると、離職率は15.12%となります。離職率の高さを業界別で見ると、2016年の一年間で最も数字が高かった業界が「宿泊業・飲食サービス業」となり、30.0%という数字が出ています。同じ条件で2番目に高いのが「生活関連サービス・娯楽業」であり、こちらは20.3%となっています。

また、2016年を含めた過去5年間の同じ調査結果を見ても、「宿泊業・飲食サービス業」と「生活関連サービス・娯楽業」の離職率は高くなっています。これに対して、定着率が高くなっている業界も見てみましょう。東洋経済新報社「就職四季報2019年版」によれば、「電飾・ガスなどのエネルギー」が95.6%、「メーカー」が91.6%、「建設・不動産」が87.1%で定着率上位となっています。これに続くのが「情報・通信・同関連ソフト」の86.9%、「金融」の86.5%となっています。

新卒の離職率が問題になっている?

新卒の離職率は世間でも度々話題となるものです。厚生労働省では、「新規学卒者の離職状況」という調査を行っており、2014年3月の調査結果が残されています。この調査によると、大学を卒業して3年後の離職率は32.2%となっているのです。全体平均離職率が15%前後なのを考えると、新卒入社の従業員が3年目までで離職率30%を超えるということは由々しき事態であり、社会問題といってもよいでしょう。この離職率の問題は753(シチゴサン) 現象という名称でも知られており、数字はそれぞれの学歴別卒業者の離職率を表しています。具体的には、7が中学卒業者の7割、5が高等学校卒業者の5割、最後の3が大学卒業者の3割です。

この数字を見れば分かるように年齢が低ければ低いほど、離職率は高い傾向にあります。具体的に新卒社員が離職してしまう原因としては、希望していた業務とのミスマッチ、待遇や福利厚生などへの不満が挙げられます。また、将来のキャリアが見えにくいことや人間関係のストレス、雰囲気に馴染めないといった要因も当然あるでしょう。

離職率の高い企業の特徴

離職率の高い企業には、共通したいくつかの特徴があります。
最初にいえるのは、「休暇が取りにくい」という特徴です。週休2日未満や有給休暇を取得しにくい職場は避けられがちであり、その環境にいる人材の離職率も高まる傾向にあるのです。

2つ目の特徴は「評価・待遇への不満」です。企業の評価制度は従業員の定着率やモチベーション、離職にも深く関係しています。また、当然ながら普段の労働や貢献に対して低い給料と判断された場合、従業員の離職は避けられません。

3つ目の特徴は「働き方の多様性を認めない」ことです。今の時代はさまざまな価値観や環境で働いている労働者が多く、この多様性を認めない企業は離職率が高くなる傾向があるのです。具体的には、家族との団らんや子育て、介護や複業などとのバランスを保ちづらい企業文化の場合、離職率は高まるでしょう。

「労働時間が長い」ことも離職率を高める要因となり、4つ目の特徴と考えてよいでしょう。具体的には、36協定に規定される労働時間を超えていたり、深夜残業や休日出勤が常習となっていたりすると、離職率が上がることは避けられないでしょう。厳しい言い方をすれば、労働基準法の規定に違反している企業の離職率が高くなるのは当然です。

最後の特徴は「ハラスメントの横行」になります。閉鎖的で風通しのよくない職場環境、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントの横行は従業員に強いストレスを与えます。このような環境なら必然的に、従業員の離職率も高まります。

離職を防ぐ対策①社員のコミュニケーション向上

離職を防ぐ対策はいろいろとあります。その中でも真っ先に考えられるのが、社員間のコミュニケーションの向上です。たとえば、対人関係で悩んでいるとき、社内に信頼できる人がいないと誰にも相談できず、1人で問題を抱え込んでしまうケースも珍しくありません。このようなことにならないように、日頃から問題解決ができるような関係性を築いておくことが大切です。

そのためには、社内コミュニケーションが重要になるのです。コミュニケーションを活発に行っていれば、問題を抱えたときも第三者が状況を理解して間に入り、解決が容易になる可能性もあります。また、お互いに生じていたすれ違いなどにも気づき、人間関係も修復しやすくなるでしょう。

離職を防ぐ対策②人事制度の見直し

会社で働く多くの人が自身の仕事や成果に対して、正当な評価を得たいと考えています。そのためには、金銭的な報酬はもちろん、非金銭的な報酬も得られる仕組みを整えて運用していかなければいけません。具体的には、給料や昇給に紐づく評価制度だけではなく、表彰を行うなど従業員を多角的に評価する仕組みをつくっていくことが大切です。そのためには、会社として評価基準を明確に示し、個々に合わせた目標設定と定期的な振り返りが必要になるでしょう。正しく公正な評価をすることが従業員のモチベーションを刺激し、離職を防ぐ対策につながります。

離職を防ぐ対策③多様性への理解

多様性への理解も離職を防ぐキーワードといってよいでしょう。会社内で求められている多様な働き方に理解を示すことが、従業員の定着率にも大きく影響するのです。多様なニーズに応える一例としては、フレックスタイム制や週休3日制の導入、テレワークなどの新しい働き方を取り入れることが考えられます。このような労働環境を実現できるように整備することで、出産や育児、介護などの事情を抱えながらも長く働きたいと考える人々を後押しする形になります。

多様性へ配慮した社内環境整備は、従業員の適切な「ワーク・ライフ・バランス」を実現する意味でも欠かせません。ワークライフバランスを重要視する声は一部の人々だけではなく、多くの労働者の間で叫ばれるようになっています。

離職を防ぐ対策④ミスマッチの防止

実際に入社した後に想像していた仕事と違ったり、仕事に対してやりがいを感じられなかったりといったミスマッチは、従業員と会社の双方にとってマイナスになります。そのため、ミスマッチを未然に防ぐことも離職率を下げるためには重要です。実際に考えられる取り組みとしては、会社の経営理念や仕事内容、職場環境などを入社前から深く知ってもらう機会をつくることです。事前にこのような機会があれば、マイナスのギャップが生じるリスクを減らせるからです。特に新入社員の離職は大きな社会問題となっているため、入社前と入社後のフォローも入念に行うようにしましょう。

離職率を抑える意識が大事

本文で解説した離職率の平均や算出方法、離職についての理解は進んだでしょうか。企業を評価するうえでも、離職率の仕組みを知るのが重要になってきます。また、働き方が大きく変わる可能性のある今の時代においては、離職率について考えることが多くなるはずです。ビジネスパーソンとして、離職率や離職を防止するための知識は身に付けておくとよいでしょう。

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