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2023.5.15

【簡単に解説】自己肯定感とは?仕事に与える影響と高める方法

自己肯定感は、仕事の生産性や対人関係などビジネスにおける多くの要素に関係しています。「失敗やミスをしないか過剰に心配になる」「仕事ができる同僚を見て、自分はダメだと落ち込んでしまう」といったネガティブな気持ちが出やすい人は、自己肯定感の低さが原因かもしれません。

そんなときに、自己肯定感を適度に高めることができれば、自信を取り戻し、前向きな気持ちで仕事に取り組める可能性が高まります。

本記事では、自己肯定感の意味や定義、高い人・低い人の特徴について解説するとともに、自己肯定感が仕事にもたらす影響や高める方法を紹介します。自己肯定感について理解し、仕事に良い影響をもたらすためにぜひ参考にしてください。

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自己肯定感とは?言葉の意味

「自己肯定感」とは、文字通り「ありのままの自分を肯定する感覚」のことです。他人と比べて評価するのではなく、自分の存在そのままを認め「自分は大切な存在」だと思える心の状態を指します。また、幸福感にも大きく影響する感覚でもあります。

自己肯定感は、自分自身についてどう考え、どう感じているかによって決まります。同一人物でも、自己肯定感が高い時もあれば低い時もあるなど、状況によって変化することあります。

現状の自分の状態を客観的に受け入れており、自分の長所と課題の両方を適切に認識できている状態は、「自己肯定感が高い」と表現できます。自己肯定感は、前向きに取り組もうとする原動力にもつながっているため、仕事だけでなく人生全般においても重要といえます。

自己肯定感の類語:自己効力感

自己肯定感の類語に「自己効力感」があります。自己効力感とは「ある状況で物事を遂行できる」という自分の可能性を信じていることを指します。自己効力感を提唱したアメリカの心理学者であるアルバート・バンデューラ氏は、「自己効力感が強いほど、実際に行動できる傾向にある」と言います。

自己効力感が、自分の能力や可能性を認知していることであるのに対し、自己肯定感は「ありのままの自分を認める感覚」のことで、自分の存在そのものに対する評価を意味します。

自己肯定感が高い人の特徴

自己肯定感の高さは、仕事に対する意識や他者に対する姿勢などに現れやすい傾向があります。ここでは、自己肯定感が高い人にはどのような特徴があるのか、詳しく見ていきましょう。

自分の長所を理解している

自己肯定感が高い人は、自分の状態を感情を抜きにして理解しています。「自分はこういう能力を持っている」「自分はこういう課題が出やすい」といったように、客観的に自分を把握することができている状態です。

そのため、仕事においても自分の長所や能力をどうやって活かせるか、考えることができます。また、自分の長所だけでなく、課題についても適切に認識できているので、課題を前向きに捉え、「どうやって解決していこう」と建設的に考えて行動することが可能です。

自信を持って主体的に行動できる

自己肯定感が高い人は、自分の存在自体を認められているため、自信を持って主体的に行動できます。ありのままの自分を肯定できており、課題となる部分があっても「自分はダメだ」などと卑下することはありません。

物事を肯定的に捉えているため、思考や発言も前向きなものになり、自分の意思をもって物事に取り組みます。また、自身の意志決定に自信があるため、「他人からどう思われるか」を気にして怯えることや、他者からの評価に振り回されることなく行動できるのです。

失敗を恐れずチャレンジできる

自己肯定感が高い場合、新しいことや困難に見えることに対しても、失敗を恐れずチャレンジできる傾向があります。物事を始める際に、自分が成功したときのことを想像でき、ポジティブな気持ちで取り組むことができます。

「失敗してもなんとかなる」と楽観的に物事を捉え、失敗やミスを恐れずチャレンジします。そして、自分自身の選択を信じて行動しているため、選択に対して責任を取ることができ、失敗しても他人のせいにすることはありません。

他者を尊重できる

自分自身だけでなく、他者についても自然と良い面へ目を向ける傾向が見られます。ありのままの自分の価値を認めている人は、他者も同じように大切な存在として認識するため、相手の考えや意思を素直に受け入れ尊重します。

仕事以外のプライベートでも、困っているときにはすぐに相手に寄り添う対応ができます。そのため、コミュニケーションや交流が上手で、健全な人間関係を築くことが可能です。

また、自分では認知していないような、周りの人から長所や課題と思われていることを認識することができています。そのため、周囲からのフィードバックを尊重し、ネガティブに捉えることなく素直に受け入れ、活かしていくことが可能です。

自己肯定感が低い人の特徴

一方で、自己肯定感が低い人は、過去のトラウマや失敗体験に捉われやすく、ちょっとしたことがきっかけでネガティブになりやすい傾向が見られます。自分に自信がなく、他人の存在を常に気にしていて、劣等感から自己否定に走るケースも少なくありません。

過去のトラウマや失敗体験に捉われている

過去のトラウマが自己肯定感を下げている場合があります。「厳しい親の元で育ち、怒られてばかりで褒められた記憶がない」「兄弟と優劣をつけられてきた」など、子どもの頃にできた心の傷が大人になっても残っていると、ありのままの自分に価値を認めることが難しく、自己肯定感は低くなる傾向があります。

また、過去に大きな失敗や自尊心を傷付けられた経験があると、それらが原因となり、自分に自信が持てなくなってしまう人も少なくありません。

ネガティブになり精神的不安に陥りやすい

自己肯定感が低いと、自分自身を信頼できないため、精神的不安に陥りやすい傾向があります。ありのままの自分を受け入れられていないため、ちょっとのミスや失敗を起こしただけでも極端に落ち込んでしまうのです。

また、単なるミスがきっかけとなって「自分はダメな人間だ」と自己否定に走るケースもあります。自分に自信が持てず、失敗への不安や恐れが強まって、新しいことへ挑戦する気持ちも減ってしまいます。

他人と比較し劣等感を持ちやすい

自己肯定感が低いと、過剰に他人と自分を比べてしまう癖があります。これは、自己肯定感が十分に感じられていないために、自分の劣っているところを自ら探して自己否定しやすい、という傾向に起因することも考えられます。

周りの人や他人と自分を必要以上に比較してしまうと、「あの人はできているのに、自分はなぜできないんだ」と自己嫌悪に陥り、嫉妬や劣等感から精神的に不安定な状態になってしまいます。

他者への依存・承認欲求が強い

自己肯定感が高い人のように、自分で自分のことを認められないために、他者に認めてもらおうとする傾向もよく見られます。自分の価値を確かめるために、他者からの評価を得ようとするため、常に他者の目を気にしてしまいます。

また、自分の意思や決断が必要な場面でも、他者から否定されないかどうかを基準として選択肢を選ぶことが多くなります。つまり、自分ひとりで意思決定ができず、主体性に欠けてしまうのです。

自分自身で納得のいく決断ができないだけでなく、他者の基準で行動するために、自己責任の意識が薄くなり、依存傾向や承認欲求が強まります。その結果、さらに自分で動けなくなり、自信がなくなっていくという負のスパイラルも考えられます。

自己肯定感が仕事にもたらす影響

自己肯定感の高さは、仕事やビジネスの場においても大きな影響があります。自己肯定感が高いと、仕事にプラスの影響をもたらし、反対に自己肯定感が低いとマイナスの影響をもたらします。ここでは、それぞれの仕事に対する影響について、より詳しく見ていきましょう。

自己肯定感が高いことによるプラスの影響

自己肯定感が高い人は、自分の能力や働き方に自信を持っているため、前向きに仕事に取り組むことができ、結果的に活躍しやすい傾向があります。自分の長所を把握しているため、上手に活かせる働き方に集中し、成果につなげることが可能です。

また、自分の課題も明確に認識できているため、克服方法や対処方法を冷静に考えられます。よって、苦手なことや不得意なことを得意とする人に任せる、スキルアップに取り組む、など自ら行動できるのです。行動した結果、よりよい状況を作り出せるために、自信や評価につながって、さらに自己肯定感が高まります。

こうした自己肯定感が高いメンバーが集まると、自主性の高い組織が形成され、活発的なコミュニケーションが生まれます。お互いに相手を尊重しており、課題解決に向けて前向きな議論が可能です。また、自己肯定感が高いリーダーがいるチームは、メンバーを受け入れているため、各人の個性や長所が生かせる環境が構築され、成果や目標達成につながります。

自己肯定感が低いことによるマイナスの影響

自己肯定感が低い人は、自分に自信が持てず「自分ができる訳ない」とネガティブな気持ちが強まります。また、少しのミスや失敗が自分の人間そのものの否定にもつながるため、新しいことや失敗しそうなことは避け、自分がやり慣れている仕事を選びます。

自己肯定感が低い状態では、仕事の場で主体的に考えて行動することが難しいため、同僚や上司など周りの人に依存してしまいます。同じ状態が続くと、自分の存在価値を下げないことはできても、高めることはますます難しくなるでしょう。

自己肯定感が低いメンバーが集まると、自分の意見が否定されることを恐れ、発信を躊躇する人が増えます。その結果、組織のコミュニケーションが減り、チーム内での連携が生まれなくなるリスクがあります。

自己肯定感が低いリーダーを持つ組織では、心理的な安全性よりも圧迫感や不安間が強くなる傾向があります。その結果、メンバーが疲弊し、失敗を恐れずチャレンジする風土も薄くなってしまうでしょう。

自己肯定感の高め方

自己肯定感を高めるためには、どのような取り組みが効果的なのでしょうか。厚生労働省の「生活習慣病予防のための健康情報サイト」では、自信(セルフ・エフィカシー)を高めるために「成功経験」と「代理経験」が重要であるとしています。ここでは、自己肯定感を高めるための3つのポイントについて解説します。

成功体験を積み重ねる

成功体験とは、「実際に自分が行ってみて、うまくできた経験」のことです。小さな成功体験を積み上げることで「自分でもできる」という自己信頼感が育まれていきます。ここで、いきなり大きな目標を掲げても、達成できずに挫折してしまう可能性が高いため、まずは今頑張っている自分を認めることから始めましょう。

そして、少し頑張れば達成できそうな目標を立て、目標をクリアすることが重要です。クリアできてきたら、少しずつ目標を上げていくことで、さらに自信がついていきます。並行して、自分の強みを見つけていけば、長所や得意なことの把握につながります。

代理体験を積み重ねる

代理体験とは、自分と似ていると思われる「モデル」となる人がうまく行っているのを、見る、あるいは聞くことで「自分にもうまくできそうだ」と思うことです。性別や年齢、健康状態、生活状況などの条件が自分と似ていると思える人を見つけて、その人をモデルとし、代理的に体験するようなイメージです。

モデルとなる人が、実際にうまくいっている身体行動を続けるコツや行ったことで得られたメリットを聞いてみることで、自信を得やすくなるという効果が期待できます。直接本人に聞けない場合でも「その人だったらどう考えるか」と自問自答することも有効とされます。

心理学NLPのリフレーミングを活用する

リフレーミングとは、できごとの枠組みを変えて別の感じ方を持たせるという心理学用語です。リフレーミングによって、状況や環境などの枠組みを変えることで、不満や不足といった感じ方も、満足や喜びへと変えられるという考え方をします。

リフレーミングによって、自分の考えや行動に対する反対意見も、自分をより良くするための情報に変換し、素直に受け止めやすくなる可能性があります。また、ネガティブな言葉をポジティブな言葉に変換するようにすることで、柔軟な思考を習得でき、ネガティから前向きなニュアンスへと変換できるようになります。

そして、頑固は意志が固い、心配性は責任感がある、といったように、人の短所も長所として捉えられるようになるでしょう。

まとめ

自己肯定感は、「ありのままの自分を肯定する感覚」のことです。自己肯定感が高い人は、自信を持って主体的に行動でき、自分の長所と課題の両方を適切に認めていて、他者を尊重しているといった特徴があります。

反対に、自己肯定感が低い場合、他人からの評価ばかり気にして他者依存や承認欲求が強く出る傾向が見られます。一方で、ちょっとしたミスや失敗も極端にネガティブに受け取ってしまい、自己否定につながる恐れもあり、周囲が評価をしても「自分はまだまだだ」「あの人の方がすごい」といったように、良いフィードバックを素直に受け入れられない可能性も考えられます。

ビジネスの場においては、自己肯定感が低すぎる社員は、自分の役割を責任を持って果たすことや、自ら課題解決について考え主体的に行動を起こすことが難しい場合があります。そこで無理して自己肯定感を高めようとするのではなく、自己肯定感が下がり続ける悪循環から脱するために、まずは現状を認めて分析するところからスタートすると良いでしょう。

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