2021.4.23
タレントマネジメントシステムとは|機能・メリット・導入事例を紹介
近年、導入する企業が増えている人事戦略「タレントマネジメント」。導入時には運営を支えるためのシステムの活用が欠かせません。そこで今回は、どのような機能を持つタレントマネジメントシステムがあるのか、活用のメリットや導入事例や、タレントマネジメントシステムの選び方について紹介します。
サイダス社が提供する「CYDAS」は、「働きがい」を生み出すメカニズムが詰まったタレントマネジメントシステムです。人材情報を一元化し、目標管理や1on1、フィードバック機能など、さまざまな機能を組み合わせてサイクルを回すことで、一人ひとりのワークエンゲージメントを高め、組織を強くします。
目次
タレントマネジメントシステムとは
タレントマネジメントシステムとは、社員情報をシステム上に集約・一元化して、社員のタレント(才能)を最大化させるための人事システムです。
タレントマネジメントは、社員一人ひとりのスキルや能力、キャリアプランなどを把握することによって、はじめて実施が可能になります。タレントマネジメントを行うには、これまでの経歴や参加したプロジェクト、面談を経てヒアリングした内容や、社員自身の希望などを一元化し、管理する必要があります。
一元化したデータは、必要な時にすぐに引き出して活用できるものであること、また、誰が見てもわかりやすいものでなくてはいけません。それを可能にするのが、タレントマネジメントシステムです。
タレントマネジメントの意味
タレントマネジメントとは、1990年代にアメリカで始まった人事戦略を指します。企業が優秀な人材の定着化を目指し、「適材適所の人材配置や組織編成」「社員が個別の能力やスキルを発揮できるような採用や人事異動」「社員が目指す姿や身に付けたいスキルによるキャリアプランの形成」など、社員がよりモチベーション高く働ける環境づくりを行う概念です。
人材の流出を防ぐだけでなく、社員が高いスキルや能力を発揮し、モチベーションを持って仕事に取り組むことで、企業全体の生産性や業績アップが見込めます。
タレントマネジメントシステムの導入目的
タレントマネジメントシステムの導入目的は、社員のデータを収集し一元管理することです。従来、多くの企業が行っていた紙媒体やエクセルを利用した手法では、社員情報のアップデートや管理が難しいのがデメリットでした。紙媒体で情報管理をすると、どうしても情報の更新頻度が落ちてしまい、特定の資格やスキルを持った社員を探し出すことも困難な点が課題でした。
タレントマネジメントシステムは、社内のあちこちに散らばっていた社員情報をシステムにより集約し、常に最新の社員データを更新しながら、活用することが目的となります。
タレントマネジメントシステムの機能一覧
タレントマネジメントシステムの機能は、社員データを一元管理するだけではありません。システム提供会社によって仕様は一部異なりますが、ここでは代表的なタレントマネジメントシステムの機能を7つピックアップしてご紹介します。
【タレントマネジメントシステムの機能一覧】
- スキル・プロフィール管理
- 目標管理
- 人事評価
- 組織管理(人事配置・異動)
- コンピテンシー管理
- 育成計画管理
- 分析・レポート機能
1.スキル・プロフィール管理
タレントマネジメントシステムは、社員のタレントを管理することができます。ここでのタレントとは、社員の基本プロフィール(名前や性別、職種や入社年月日)をはじめ、保有資格やスキル・知識、職務経歴、学歴などを指します。使用するタレントマネジメントシステムによっては、入社してから現在までの配属先情報や、行動特性、考え方など幅広い情報を管理することができます。
2.目標管理
タレントマネジメントシステムには、目標管理機能も付いている場合が多いです。個人目標だけでなく、所属部署や会社全体の目標とあわせて管理が可能です。
3.人事評価
目標管理だけでなく、社員の人事評価情報についてもタレントマネジメントシステムで管理が可能です。
4.組織管理(人事配置・異動)
タレントマネジメントシステムでは、社員プロフィールを個別に管理するだけでなく、複数の社員や組織データの管理も可能です。システム上で組織図を作成・閲覧したり、人事配置のシミュレーションを行うこともできます。
利用するシステムによっては、社員を年齢や性別、職種別に絞り込んでグラフデータを抽出したり、勤続年数やコンピテンシーなど特定の情報で検索をかけて、組織状況を可視化することが可能です。
5.コンピテンシー管理
成果に結びつく行動特性として知られるコンピテンシーをタレントマネジメントシステムで管理することも可能です。社員情報にコンピテンシーを紐づけることで、社員の目標管理や人事評価に活用も可能です。
6.育成計画管理
タレントマネジメントシステムは、社員が自分の情報を入力し、自分自身の目標や評価結果などを管理する使い方もありますが、管理者が社員の育成計画を作成して可視化するのにも役立ちます。タレントマネジメントシステムを用いながら全社員の保有スキルや評価、コンピテンシーなどを分析し、自社社員に足りないスキルや不足人材を見出します。現状の課題を抽出しながら、人材育成計画を練ったり、採用計画を検討したりすることが可能です。
7.分析・レポート機能
タレントマネジメントシステムには、様々な分析やレポーティング機能が備わっています。紙媒体やエクセルを用いた社員情報管理では、どうしても分析は手作業が多くなり、工数がかかります。
タレントマネジメントシステムの分析機能を活用すれば、欲しい情報をワンクリックで抽出できるだけでなく、複数の項目を掛け合わせてグラフ化や予測値の算出などが可能になります。
その他
今回ご紹介した代表的な機能7つの他に、社員の適職などを診断する機能や、社員の置かれている状況や今後の目標などについてヒアリングする「アンケート機能」、システム内のデータを分析して適切な人材配置を導き出す「分析機能」、リーダーの機能不足などを発見し解決する「後継者管理機能」など、システムによって兼ね備えている機能は様々です。
<その他の機能例>
- 顔写真の登録
- 面談管理
- キャリアプラン管理
- 人材プールの作成(プロジェクトへのアサイン候補者などを独自に作成する)
- 多言語管理
- 研修実施の記録・管理 など
会社の規模や事業内容をふまえ、自社の実現したいことに合った機能のあるタレントマネジメントシステムを選ぶことが重要です。
タレントマネジメントシステムのメリット
タレントマネジメントシステムを活用する一番のメリットは、データに基づいた戦略的な採用や人材配置や適切な人事評価がかなうことです。人材配置や人事評価が、マネジメントをする人の主観によって行われてしまうと、それによって理不尽な配置・評価を受けた社員のモチベーションは低下してしまいます。評価軸を統一し、平等な評価が受けることが可能になれば、社員はモチベーションを高く持って業務にあたることができます。
また、これまでバラバラに管理されていた社員のさまざまな情報を一元化することにより、人事やマネジメント業務の効率化も可能です。
タレントマネジメントシステムのデメリット
タレントマネジメントシステムを活用するデメリットの一つは、導入コストがかかることです。
既にリリースされているさまざまなシステムの中から、自社のニーズに合うものを選んで導入するのが一般的ですが、サービスによっては数百~数千万円かかることもあります。
また、社内にシステムが浸透するのに時間がかかる点も、デメリットの一つです。これまでと異なる人事制度が導入されることに、不安を感じる社員も出てくるでしょう。社員への丁寧な説明と、フォローが欠かせません。
タレントマネジメントシステムの比較ポイント
タレントマネジメントの重要性が高まっていることもあり、多くの企業がタレントマネジメントシステムを提供しています。タレントマネジメントシステムを導入する際には、次の7つのポイントを念頭に置いて、比較するのがおすすめです。
【タレントマネジメントシステムの比較ポイント7つ】
- 機能
- 料金
- 連携サービス
- セキュリティ
- サポート体制
- 無料期間があるか
- クラウド型orオンプレミス型
機能
まず比較すべき点は、機能です。システムによって、搭載されている機能はさまざまです。その中からより活用できるものを選ぶには、まず、自社の現状認識と解決すべき課題を明らかにすることから始める必要があります。
「人事評価を公平に行う必要がある」「社員の能力やスキルをもとに人材配置を行いたい」「社員のキャリアプランをもとに、適切な教育を行いたい」など、自社のニーズや課題を整理したのち、それらに対応する機能が充実しているシステムの導入を検討しましょう。
料金
システムや利用するサービスによって、かかるコストも大きく異なります。備わっている機能の充実度や、自社サーバを使うか、クラウドを使うかによっても費用は異なります。初期費用はもちろんのこと、導入後の月額費用や保守費用なども含めて、総合的にコストパフォーマンスを判断しなくてはいけません。
商品によっては、一定期間トライアル利用ができるものもあります。導入を悩んだ場合は、まず無料や低価格なトライアルから試してみるのも一つの手です。
連携サービス
自社で利用している基幹システムと連携できるかどうかも、タレントマネジメントシステムを選ぶ際の決め手となるポイントです。連携が可能であれば、人事・給与・ワークフロー・勤怠などを管理する基幹システムと、タレントマネジメントシステムで情報を一元管理することができます。それによって、統合的な人材管理が可能になります。
たとえば、勤怠管理システムと連携すれば、フレックス勤務や在宅勤務など、勤務形態ごとに管理できるといった利点もあります。
セキュリティ
タレントマネジメントシステムでは、社員一人ひとりのさまざまな個人情報を管理するため、セキュリティ対策が万全なものを選ぶ必要があります。
IDやパスワードの設定はもちろん、クライアント証明書による端末認証機能や、端末を紛失した際、遠隔操作でデータの外部流出を阻止する機能は必須です。また、パスワードの強度の設定、データの自動バックアップ、データベースの二重化ができるものだと、より安全性が高まります。既存のセキュリティーシステムとの整合性も確認しておきましょう。
サポート体制
システムの機能や、操作方法がわからない場合、また障害が発生した際などに、素早く十分なサポートが受けられるかどうかも重要です。メール、電話、チャットでの問い合わせに対応しているか、サポートページを設けているか、技術スタッフに来社してもらい現場サポートが可能かどうか、などを事前に確認しましょう。
無料期間があるか
タレントマネジメントシステムを選ぶ際は、無料のトライアル期間があるかどうか確認してみると良いでしょう。各社のタレントマネジメントシステムの基本機能は大きく変わらないものの、実際に使ってみないと自社に何の機能が必要か分からないものです。また機能面は充実していたとしても、操作画面が見づらかったり、取り組みたい分析ができなかったりするケースもあるでしょう。
なるべくコストを抑えて、適切なシステムを採択するために、無料トライアル期間があるものから試していくことをおすすめします。
クラウド型orオンプレミス型
多くの人事システムはオンプレミス型からクラウド型に移行をしていますが、どちらが適しているかは会社の状況によって異なります。会社規模やタレントマネジメントシステムにかけられる費用、社内の技術者の有無など、複数の視点から、クラウド型かオンプレミス型を選ぶようにしましょう。
一般的に、オンプレミス型は初期費用が高くなりがちで導入までの時間がやや長くなります。しかし個社別にカスタマイズしてシステム構築を行うため、長い目で見ると使い勝手が良く、セキュリティ面も強いと言われています。
一方、クラウド型は初期費用を抑えつつ導入期間も短い点が最大の強みです。従量課金制を採択するのが一般的なため、社員数が急増すると、その分費用も増加しやすい点に注意が必要です。
タレントマネジメントシステム導入企業事例
実際に、タレントマネジメントシステムを導入している会社のご事例を紹介します。どのように活用しているのか、どのような点にメリットを感じているのかなど、導入イメージの参考にしてみてください。
株式会社大分銀行
<導入の背景・課題>
- デジタル化によって銀行を取り巻く状況が急激に変化
- 店頭への来店客数が減少し、窓口業務から営業に携わる人材を増やしていく必要があった
<タレントマネジメントシステム導入により望んでいること>
- 経験やスキルだけでなく、行員の「やりたい」「挑戦したい」という意思の見える化
- 社員の意思に基づいたキャリア開発支援と評価制度の構築
- 数字だけでなく、お客様への提案をベースにした「行動プロセス評価」の管理
- データ集めや集計に使っていた時間を行員一人ひとりのキャリア開発支援に活用
効果的なタレントマネジメントを行なっていくためにも、システムの導入は欠かせません。自社の課題感や目的に合ったシステムを導入することで、データに基づいた人材配置や評価制度の実現に繋がります。
おすすめのタレントマネジメントツール
また、継続的なタレントマネジメントを行う上で大切なのが、自社の成長フェーズに合わせて、さまざまなツールやアプリケーションをカスタマイズできるシステムの導入です。情報の一元化や見える化だけでなく、目標管理やキャリ開発、社員のエンゲージメント向上などにも対応したシステムを導入することで、経営層を巻き込んだ長期的なタレントマネジメントが行えます。
ここでは、社員情報の一元管理・見える化はもちろん、育成や評価制度の構築、社内のコミュニケーション活性化にも対応したプラットフォーム「CYDAS」をご紹介します。
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このように、一つのプラットフォームで幅広い領域がカバーされているシステムを選ぶことで、よりデータドリブンなタレントマネジメントの実現に繋がります。
CYDASの詳細は、こちらの資料からご覧いただけます。