2024.10.17
人事評価におけるフィードバック面談の重要性・正しいやり方をわかりやすく解説
こんにちは!働きがいを応援するメディア「ピポラボ」を運営するサイダス編集部です。
今回のテーマは、「人事評価後のフィードバック面談」です。フィードバック面談は、適切に実施すれば部下のモチベーションアップや労働意欲の向上につながり、成長をサポートできる重要な機会です。ところが、単なる評価結果通達の場と化し、適切に実施されていないケースも少なくありません。そこで、本記事ではフィードバック面談の重要性や正しい実施方法などについて解説します。
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フィードバック面談とは
フィードバック(feedback)とは、人事の場では「上司(評価者)が部下(被評価者)の行動や結果を評価し、当人に伝え返すこと」の意味で使われています。
フィードバックは、もともと工学やITの分野で使われていた用語で、「入出力機能のあるシステムにおいて、出力したデータのすべてもしくは一部を戻しシステム全体の制御や調整を行うこと」を意味します。これが転じて、「相手に結果を伝えること」という意味で使われるようになりました。
フィードバック面談とは、まさしく上司が部下に対してフィードバックを行う面談であり、人事評価・人事考課の結果や具体的な課題を共有してどのように解決するのかについて話し合います。上司が部下に一方的に評価の結果を伝えたり、処遇を記した通知書類を渡したりするだけの機会ではないことをしっかり覚えておきましょう。
フィードバックの概念や種類については、「フィードバックとは?意味やメリット・目的をわかりやすく解説」の記事でも詳しく解説しています。
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フィードバック面談の目的と重要性
フィードバック面談を適切に行うには、まずはどのような目的で行うのかを上司と部下の双方が正確に理解しておくことが必要です。フィードバック面談を行う目的には、主に以下のようなものがあります。
【フィードバック面談を行う目的】
- 人事評価の結果を上司と部下で共有する
- 部下の課題を把握し解決策を話し合う
- 部下のモチベーションを高める
- 上司のマネジメント能力育成につながる
つまり、フィードバック面談には、人事評価の結果や現在の状況、課題などを共有したうえで部下に課題の解決方法を考えさせ、モチベーションが向上するよう導く重要な育成目的があるのです。それぞれの目的について、詳しく解説します。
1.人事評価の結果を上司と部下で共有する
フィードバック面談においては、上司は部下に評価の結果を伝えます。このとき大切なのが、部下が評価結果を納得できるようにすることです。特に、本人の自己評価を大きく下回る悪い結果であった場合、なかなか受け入れられない部下もいるでしょう。そのため、評価の根拠となった具体的な事柄を明確に説明することが必要です。高い評価が得られた過去の具体的な事例も示せれば、より理解が深まるでしょう。根拠を示すときは、日ごろ上司が指導してきた内容と評価基準とにズレが生じないようにすることも大切です。
2.部下の課題を把握し解決策を話し合う
評価結果を伝え部下と話し合うことで、現状でどのような課題や改善点があるのかを明確化できます。本人が気づいていない問題点があれば、上司はその点を指摘することも大切です。課題や改善点が明確になれば、どのように解決し改善するのか、筋道が見えてくるでしょう。このとき、上司が一方的にどのようにするべきか指示するのではなく、部下自らに考えさせることが大事です。そのうえで助言すると良いでしょう。また、中長期の目標も話し合い、適切なアドバイスや奨励を行うことで、さらなるモチベーションアップも図れます。
3.部下のモチベーションを高める
定期的なフィードバックは、上司と部下の間に信頼関係を築きます。オープンなコミュニケーションがあると、部下は「自分は上司に大切にされている」「意見を尊重されている」と感じ、職場に対する帰属意識や責任感が強まります。この信頼関係が、モチベーション向上に直結します。
また、ネガティブなフィードバックも適切に行えば、部下は安心して自己改善に取り組むことができます。改善点をただ批判的に指摘するのではなく、建設的な提案や具体的なアドバイスを含めることで、部下は「次にどうすればいいのか」が分かり、不安を減らしながら行動に移せます。これにより、「成長できる」というポジティブな感覚が生まれ、モチベーションが維持されます。
4.上司のマネジメント能力育成につながる
フィードバック面談は、部下の育成や成長促進のためだけのものではありません。上司のマネジメント能力の育成にも寄与します。なぜなら、フィードバック面談を効果的に行うためには、部下に適切に評価結果を伝えて納得を促し、課題や改善点と向き合わせどうすべきかを考えさせる力が求められるからです。部下の本音や回答を引き出して、的確にアドバイスできる力も必要でしょう。フィードバック面談を通して、上司もこのようなマネジメントに欠かせない能力を磨くことができます。
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フィードバック面談の効果
ここでは、フィードバック面談には具体的にどのような効果があるのかについて説明します。
人材の育成
フィードバック面談を適切に実施できれば、部下に対して直面している課題と向き合わせ内省を促すことができます。内省とは「自分自身と深く向き合い、自分の言動をよく省みてなんらかの気づきを得ること」です。自分の言動を振り返って悪い点を認める反省とはやや異なり、内省は「次はどうすべきか」「どう改善すべきか」につながる心の動きといえるでしょう。フィードバック面談でうまく内省を促すことができれば、部下は自発的に課題や問題点の解決に気づけるようになるでしょう。また、内省する習慣が身につけば、ビジネスをするうえで大きな力となります。自律性が高まり、効率的で生産性の高い方法を的確に選択できる有能な人材として育つでしょう。
一方、上司も部下本人が気づいていない問題点を指摘したり部下のレベルに合った目標や研修を提示したりすることで、人材育成に取り組めます。
モチベーションアップ
フィードバック面談は、さまざまな方面から部下の意欲やモチベーションをアップさせることが可能です。たとえば、どのような基準でどのように評価されるのかを把握することで「自分はどう行動すれば良いか」が分かるため、仕事に対するモチベーションがアップします。また、人間は自分のがんばりが適切に評価されると、やる気がでるものです。これまでに上げてきた成果が給与や待遇にしっかり反映されていることが分かれば、評価結果を知ることでより多くの報酬を得ようと労働意欲をアップさせられるでしょう。さらに、今ある課題のフィードバックを受けることで今後どうすべきかのヒントがつかめるため、解決に向かってやる気も高まります。
パフォーマンスの向上
フィードバック面談を行うと、一人ひとりが現時点で保有しているスキルや強み弱み、問題点などを明瞭に把握できます。客観的な視点で状況をとらえられるようになり、上司として的確で効果的な行動がとれるようになるでしょう。結果として、生産性の向上につながります。明確に効果があった行動であれば、そのまま継続もしくは強化し、効果がなかった行動は改善する、または止めるといった判断ができます。この過程を繰り返すことで精度が高まり、大きくパフォーマンスを改善することが可能です。
フィードバック面談の実践方法
フィードバック面談を効果的に行うには、一定の手順があります。以下の手順に沿って、順番に進めていきましょう。
【人事評価におけるフィードバック面談の実施手順】
- アイスブレイクを行う
- 自己評価を聞く
- 評価フィードバックを行う
- 来期に向けた目標設定を実施する
それぞれの工程の具体的な実践方法について解説します。フィードバックでどのような言葉をかけたら良いのかわからないという方は、「【例文付き】ビジネスにおける効果的なフィードバックの手法をわかりやすく解説」の記事もおすすめです。
①アイスブレイク
面談が始まったら、いきなり評価結果の話を始めてはいけません。なぜなら、部下はこれから話される内容に不安を感じ、緊張していることが多いからです。緊張状態ではうまく集中できず、話をしてもスムーズに要点を理解したり柔軟に考えたりすることは難しいでしょう。そこで、面談の最初になるべく部下の緊張をほぐす必要があります。
そのために有効なのが、アイスブレイクです。アイスブレイクとは、場の参加者の気持ちを和ませ、場を温めるための手法です。コミュニケーションしやすく本音で話しやすい雰囲気を醸成できます。
フィードバック面談の場合は、趣味や好きな食べ物、ペットなど業務とは関係のない気軽な雑談をすると良いでしょう。場の雰囲気がほぐれたら、頃合いを見てフィードバック面談の趣旨やどのように進めていくかについて簡単に説明し、開始します。
②自己評価を聞く
アイスブレイクを終えて部下の緊張がほぐれたら、まずは部下に自己評価の結果やそう判断した理由、今期に担当した業務全般などについて話を聞きます。このとき、上司から先に評価結果を伝えてはいけません。なぜなら、部下が評価結果を聞いたことで影響されてしまい、本音が話しづらくなったり、評価に対する言い訳を始めたりする恐れがあるからです。必ず先に部下から話させるようにし、部下の考えや状況を正確に把握しましょう。
自己評価を聞く際には、上司の役目の1つとして、部下が話しやすい環境を整えることを意識しましょう。書類に目を落としたまま顔も合わせず聞いたり、しかめっ面で黙って聞いたりすることは望ましくありません。適度に目を合わせたり、軽い相槌を打ったりして話しやすい雰囲気をつくりましょう。部下が間違っていたり誤解していたりしても、途中で話をさえぎって指摘してはいけません。最後までしっかり部下の話を聞くようにしましょう。間違いや誤解があった場合は、話を聞き終えたあとで訂正します。
③人事評価の報告
部下の自己評価についての報告が終わったら、上司から最終的な人事評価の結果を伝えます。このとき大切なことは、まずは褒めるべき点・良い評価について話すことです。その後に悪い評価を話しましょう。良い評価を先に聞くことで部下の気持ちが和らぎ、次に続く悪い評価も受け入れやすくなります。悪い評価を話すときは、感情的になったり叱責調になったりせず、落ちついて冷静に伝えることを意識しましょう。否定的な言葉をかけると、部下のやる気を低下させる結果になりかねず、フィードバック面談を実施する意義が損なわれます。
最終評価が自己評価より低かったときは、部下が結果を受け入れられず不満に思っている可能性が高くなります。そのため、納得できるようにその評価にいたった理由を具体的かつ丁寧に説明することが大切です。もちろん、自己評価より最終評価の結果が良かったときも、根拠を十分に説明しギャップを埋めることが大切です。
④課題の解決に向けて目標設定
今期の評価結果を共有したら、そこから読み取れる課題や改善点を明確にしましょう。そして、具体的にどのように解決すべきかについて話し合います。その結果を踏まえて今後の目標も設定しましょう。
このとき重要なのは、上司が解決策や目標を考えて一方的に押し付けないことです。「やらされている」と感じると、仕事に対するモチベーションも上がりません。あくまで、部下が自発的に考えて課題の明確化や目標の設定を行う必要があります。部下のキャリアビジョンを的確に把握したうえで、会社の方針や方向性とのズレがあれば調整し、どうすべきか本人が考えられるようアドバイスすることが大切です。
ただ結果を伝える場ではない!
この記事では、フィードバック面談の役割や重要性について説明しました。フィードバック面談は、人事評価の結果や処遇を通知するだけの場でも、部下の悪い評価に対して叱責する場でもありません。上司と部下で評価結果を共有し具体的な解決策を考える場であり、部下のモチベーションや意欲を向上させる重要な役割があります。適切に行うことで、社員の成長を促しましょう。ひいては会社の活性化にもつながります。
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