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2022.8.10

OKR管理ツールの選び方とは?Googleやメルカリも導入|KPIとの違い

「OKR」という用語をご存じでしょうか。OKRは利益に直結する目標管理手法としてインテルが考案し、現在ではGoogleやメルカリなども導入している画期的なシステムです。

本記事ではOKRとは何か、導入のメリット、MBOやKPIなど従来の目標管理手法と何が違うのかなどを解説します。また、OKR導入に欠かせない管理ツールを選定するポイントも解説します。

OKRとは?

OKRとは「Objectives and Key Results(目標と主な成果)」の頭文字を取った、目標設定・目標管理の手法です。インテルで考案されたこの手法は、管理効率がよく成果を上げやすいことから、GoogleやFacebookなどシリコンバレーの大企業が導入するようになり、日本企業などでも活用されるようになりました。OKRの特徴は、定性的で主観的な目標設定・目標管理と違い、定量的で客観的な目標を設定することです。

OKRの「O(目標)」には、通常1つのチャレンジングで従業員を鼓舞するような定量的な目標を1つ掲げます。これが組織全体やチームの大きな目標となります。「KR(主な成果)」には、達成度が数値で測定できる目標を、3つ程度決めるのが一般的です。内容には1~3カ月程度で達成できるマイルストーンになるようなものを選びます。この「O」と「KR」を1つのパッケージにしてピラミッド状に複数配置することで、従業員全員が組織の方向性を意識しつつ、目の前の業務に集中できることを目指します。

短期間で具体的な成果を目指すために、従来の方法に比べてレビューの頻度が多く、定量的な成果指標によって追跡、評価されることもOKRの特徴です。レビューの結果、OKRが更新され、1~3カ月後に再度レビューが実施されます。実際に運用を開始すると、管理者、管理される側ともに、これらの更新作業の負担が大きいことにすぐに気づくでしょう。そのため、OKRを採用している多くの企業ではOKRのための管理ツールを利用しています。

OKRについてはこちらの記事でも紹介しています。

MBOやKPIとの違い

MBOは「Management By Objectives(目標による管理)」の略で、目標の達成度に応じて報酬を決めるために用いられる管理手法です。また、従業員が自分の役割を果たすためにセルフマネジメントする際に活用する手法でもあります。OKRと違う点は、100%の目標達成を目指すという点です。この点においてOKRが「O(目標)」にチャレンジングな目標を設定することと異なります。MBOが個人や狭いグループ内での目標設定であり、会社全体の目標と関係していないことも相違点です。また、報酬や自己評価に関する手法であることから、レビューの期間も通常1年に1回程度であり、OKRのように短いスパンでは評価されません。

KPIは「Key Performance Indicator(重要業績評価指標)」の略称で、最終的な目標に至るまでの中間地点の達成度を測定するための定量的な指標です。たとえば最終的な売上目標に対する集客数や商談化率などがKPIに設定されます。KPIはグループや部署内で完結する目標を設定することが一般的です。

一方、OKRの場合は業務の領域を意識しなくてもかまいません。KPIとOKRが異なるもうひとつの点は、何の目的で業績評価を行うかということです。KPIはマラソンランナーが1kmごとのタイムをチェックするように、最終目標達成までのプロセスを定量的な成果で現状把握するために用います。一方、OKRは目標達成するためのプロセス、成果が実現していく見通しを組織全体で共有するためのフレームワークとして用います。KPIやMBOがパフォーマンスを測定するだけであるのに対して、OKRは仕事に対するやりがいを高めることや個々の能力を伸ばす効果があるとされるのはこのためです。

MBOやKPIとの違いについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

OKRのメリット

OKR

企業にとってOKRのメリットは数多くあります。まず挙げられるのは、従業員が経営ビジョンや経営目標を理解しやすくなる点です。OKRでは企業と個人の目標がしっかりとリンクしており、かつ自分が関わる業務がどの役割を果たすべきかをフレームワーク、図によって直感的に理解できます。逆にいえば、OKRを実施するにあたって全体図を従業員に周知しなければ、このメリットは発揮されません。

従業員のエンゲージメントを高めやすいのもOKRの特徴です。先述したようにOKRは大きな目標達成のための道筋を見える化してくれるため、組織に貢献したいという意欲を高めてくれるからです。また、成果が上がることで達成感を得られやすく、それが次の仕事に対するエンゲージメントの向上につながります。ビジョンが明確に認識できていることで、経営者、リーダーの視点で自分の業務の優先順位を把握できることもメリットです。部署の垣根を越えた総合的な判断もしやすくなるでしょう。主要な目標に対する貢献というフォーマットを組織全体で共有できることから、特定の人や部署が力を持ってしまうことも防げます。同じ基準を分かったうえでの自由な意見交換が可能になることで、企業内の相互連携と柔軟性を強化できることもOKRのメリットです。

これらの好ましいメリットを循環させやすいところもOKRの特徴です。1~3カ月程度のスパンで成果を評価しながら、柔軟に調整して新たな目標に変更できます。短期間での成果が求められるシリコンバレーでは、ウィン・セッション(成果報告会)を毎週末に開催し、月曜日のミーティングで優先事項などを調整することがめずらしくありません。

OKR管理ツールを選ぶ際のポイント

組織内で同じフォーマットと作成手順を共有するには、OKR管理ツールを導入するのが効果的です。また、レビュー周期も短いことから、更新作業の負担を軽減するためにも多くの企業でツールの利用が欠かせません。ここでは、OKR管理ツールを選ぶポイントである「テンプレートの充実」「柔軟なカスタマイズ性」「手厚いサポート体制」の3つについて解説します。

テンプレートの充実性

テンプレートを用いると、OKRの導入と作成にかかる工数を短縮できます。短期間で成果を出したい場合は、自社でフォーマットを作成するのではなく、実用性が確かめられているテンプレートを活用したほうがよいでしょう。業種やプロジェクト体制、人数などによってさまざまなテンプレートがあるので、自社で活用できるものがあるかチェックしておきます。OKR管理ツールの提供企業によっては、OKRと連携させやすい日報や進捗報告書のテンプレートも提供しているので、便利に活用することができるでしょう。

カスタマイズ性

テンプレートを活用することは有効な方法ですが、企業によって欲しい機能や理想とするフォーマットは違うでしょう。自社のニーズに合わせてテンプレートを柔軟にカスタマイズできるか確認しておきます。たとえば、達成度を管理したい項目を増やせるか、取引先の都合で急な制度変更となった場合に柔軟に対応できるかなどを確認しておきましょう。OKR管理ツールはさまざまな企業に適応するように作り込まれているため、そのままでも実用性が高いものの、フレキシブルな運用ができるのに越したことはありません。また、アクセス権限を設定変更できるか、外部の人材が加わった場合に柔軟にメンバーに追加できるかなど、運用面でのカスタマイズ性についても確認しておくことが重要です。

サポートの充実性

OKRツールの運用や操作は難しいものではありません。ただし、効果的に使いこなせるまでに苦労するケースは多く、導入初期は疑問を解消するためや適切なアドバイスを受けるためにサービス提供元のサポートが必要です。動作不具合などのトラブルだけでなく、導入や運用のサポート体制があるツールを選びましょう。操作に慣れるための研修を実施してくれる業者や無料トライアル期間があるサービスなど、ツールによって内容はさまざまです。

特にサポートが充実しているかどうかが重要になるのは、人事部や総務部などIT技術にあまり詳しくない人がメインの担当者になるケースです。業者によっては、OKRの目標や運用ルールを記述した文書を渡すことで、ツールの初期設定を代行してくれるところもあります。また、過去にOKR管理ツールを導入した実績がなく、運用体制や導入効果に関して相談したい企業も多いのではないでしょうか。このような場合は、コンサルティングを請け負っている業者を選ぶと、初めての場合でも安心です。

OKR管理ツールを選ぶ際の注意点

OKRは部署やチームを横断して、多くの従業員が使うことになります。そのため、機能性と同じくらい使いやすさが重要です。実際に進捗管理を行うマネジメント層や日々の進捗を記入する従業員が使いやすいと感じなければ、OKRは定着しないでしょう。先にも述べたとおり、OKRが組織で有効に機能するには、大きな目標に沿った方向で個々の従業員が自分の役割を認識できるかどうかが大切です。また、単純にツールとしての使い勝手を考えても、誰でも簡単に操作できないことは大きな問題です。多くの企業におけるツール導入の目的のひとつは生産性向上ですが、使いにくければ業務効率が悪化して目的を果たせません。「ITリテラシーが低い人でも簡単に操作できるか」「スマホでも使いやすいか」「日本語表記に対応しているか」など基本仕様も重視してツールを選定しましょう。

管理ツールにはどのようなものがある?

企業は、どのようなOKR管理ツールを導入しているのでしょうか。無料で使えるものとしては、Googleが提供している表計算ソフト「Googleスプレッドシート」が代表的です。自社でOKRのシートを作成することも可能ですが、Googleが運営するサイト「Google re:Work」において「OKR スプレッドシート」がテンプレートとして提供されています。ただし、OKRに特化したソフトではないため機能は多くありません。

「HRBrain」は、人事制度構築や人事評価管理など、組織管理や人材育成に欠かせない制度を運用するためのクラウドサービスです。OKRも機能のひとつとして提供されています。特徴は使いやすさにこだわったシンプルな操作仕様です。

サイダスが提供するタレントマネジメントシステム「CYDAS」では、1on1ツールを活用してOKRの管理を行うことができます。目標の達成度合いの進捗状況を確認しながらコミュニケーションの質を向上させることができ、上司・部下間の信頼関係を構築しながら部下の目標達成を促すことができます。

OKR管理ツールを導入しましょう

OKRは定量的で客観的な目標を、大きな目標と具体的で成果測定しやすい中・小規模の目標に分けていることが特徴です。利益に直結する新しい目標管理手法として注目されています。評価スパンが短く更新頻度も多いため、OKR管理を十分に活用して成果を出すためにはOKR管理ツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

サイダスでは、OKRの他にも、MBOや360度評価の運用を効率的にサポートするタレントマネジメントシステム「CYDAS」を提供しています。お使いの評価シートをそのままシステム化でき、人事業務の負担を軽減させるだけでなく、人事評価の履歴や成長のプロセスも見える化できます。

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