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2022.4.12

360度評価の結果にショック!失敗しないための導入ポイント

360度評価を導入したものの、「結果を聞いてショックを受ける従業員が出る」「適正な評価が行われていない」など、360度評価のメリットを得られないことも少なくありません。評価制度を運用する際に、どのような点に注意すればいいのか気になる方もいらっしゃるでしょう。

本記事では、360度評価の導入後によくある失敗例や、運用時のポイントを解説します。最後まで読んでいただければ、360度評価の導入に失敗してしまった原因はもちろん、成功に導くためのポイントも把握できるため、ぜひ参考にしてください。

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360度評価の失敗例

360度評価は、他者を評価することに慣れていない従業員も評価者となるため、はじめからうまく運用できるケースは多くありません。360度評価のよくある失敗例を確認し、失敗するケースにどのような共通点があるのかをチェックしておきましょう。

【360度評価のよくある失敗例】

  • 主観が入り評価にばらつきがでる
  • 結果にショックを受けモチベーションが下がる
  • 上司に遠慮して高得点になる
  • 評価を気にして職場の雰囲気が悪くなる

主観が入り評価にばらつきがでる

360度評価でよくある失敗例の一つに、評価者の主観が反映された評価になるために、従業員ごとの評価にばらつきが出てしまうことがあります。評価者の主観が入りすぎると、評価に影響を及ぼしやすくなるだけでなく、好感度や仕事ができる従業員を高く評価するための人気投票になりかねません。

評価者の主観が反映されてしまった場合、主観的な感想がそのまま評価になってしまいます。また、評価対象者は、今後の業務や取り組みなどに参考にならないコメントばかりもらってしまったり、ネガティブなコメントを受けて必要以上に落ち込んでしまったりする可能性があります。

評価者の主観的なコメントを評価に反映してしまうと、評価対象者は評価を受けるメリットが得られない上に、職場での人間関係を悪化させてしまうでしょう。

結果にショックを受けモチベーションが下がる

360度評価の結果にショックを受けた従業員の中には、モチベーションが下がってしまう人も珍しくありません。モチベーションが下がれば、仕事への意欲が減退する、生産性が低下するなどの負の循環を生むリスクが高まります。

360度評価は上司だけでなく、同僚や後輩などの意見を吸い上げ、さまざまな角度から客観的かつ公正に評価するための方法です。評価対象者がより納得感を得られることが、360度評価の導入で狙っている効果の一つです。

しかし、評価に記載されるコメントの内容次第では、ショックを受ける従業員が出てくるだけでなく、モチベーションの低下を引き起こしかねません。よくある失敗例として、360度評価の結果に、評価される従業員の点数だけでなく、全社の平均値や他の従業員との結果を記載してしまうということがあります。そのような伝え方をすれば、数値化された点数だけを他者と比較して一喜一憂してしまう人も多いでしょう。

上司に遠慮して高得点になる

360度評価でよくある失敗例は、上司の評価が高得点になってしまうことです。上司が部下を評価する場合や、先輩が後輩に対するコメントを記載する場合など、自分よりも立場が低い従業員を評価する際は、遠慮せずに評価を行える場合がほとんどです。

一方で、部下が上司を評価する場合は、ネガティブなコメントを記載すれば対立を生むことになるため、率直な意見を評価に書くことができないケースも多くなります。結果的に、部下が上司を評価する場合は、点数が高くなる傾向にあります。

実際に部下からの評価が高い上司であれば問題はありませんが、実際の評価よりも高得点になる人が多数出れば、適正な評価はできません。また、正しく評価されないことで、適切なフィードバックが行われず、評価される側は成長する機会を失うことになってしまいます。

評価を気にして職場の雰囲気が悪くなる

360度評価の失敗例として、ネガティブなコメントが記載されたことで、職場の雰囲気が悪くなるケースもあります。評価者が的確なフィードバックを記載したとしても、評価対象者がネガティブな印象を受け取ってしまった場合、人間関係が悪化し職場全体の雰囲気が悪くなりやすいでしょう。

また、お互いに忖度が生まれやすくなり「自分をよく思っていない従業員が不公平な評価をするかもしれない」などと、疑心暗鬼になる従業員も出てくる可能性も考えられます。

部下からの信頼や評価が気になる上司がいる場合、厳しい指導や正当な評価を行えなくなるケースもあるでしょう。このように、360度評価はさまざまな立場の人を巻き込み、客観的な評価を行えるメリットがある一方で、コメントの内容次第で職場の雰囲気を悪くし、ネガティブな評価をされることを恐れる空気を生み出してしまう恐れがあります。

360度評価の基本については、こちらの記事で詳しく解説しています。

360度評価が失敗する原因

360度評価で失敗する原因として考えられるのは、実施目的を明確にしていない、従業員への説明が不十分などです。

360度評価が失敗する原因を突き止めないまま運用し続ければ、いつまでも成果を得ることはできません。本章では、360度評価の導入に失敗してしまう主な原因を解説します。以下で解説する原因を把握し、自社に当てはまるものがないか確認してみてください。

【360度評価で失敗する原因】

  • 実施する目的があいまい
  • 従業員にきちんと説明がされていない
  • 項目や設問が多い・偏りがある
  • 評価後のフォロー・フィードバックの質が悪い

実施する目的があいまい

360度評価を実施する目的を明確にせずに導入してしまうと失敗に繋がりやすくなります。たとえば、「360度評価が注目されているから自社でも導入してみよう」といった新しい取り組みにチャレンジすることは大切ですが、思いつきで360度評価を導入しても失敗に終わってしまいます。

とくに、実施する目的があいまいな場合や、どのような効果を狙うために導入するのかを決めていない場合は、360度評価の効果を得ることはできません。また、評価基準が明確化されていないため、運用していく中で評価軸がぶれやすくなります。

360度評価を正しく運用するためには、どのような目的で実施するのか、どのような効果を得たいから自社で運用するのかを明確にしておくことが大切です。目的が明確であれば評価者一人ひとりの評価基準がぶれないため、客観的な評価を下せるようになります。

従業員にきちんと説明がされていない

360度評価を導入する目的を明確にしているものの思うようにうまくいかない場合は、社内で周知されておらず、従業員が内容を理解していない可能性があります。経営陣や人事部門の担当者だけが理解しているだけでは、導入を成功させることはできません。

360度評価では各従業員が評価者になるため、実施する目的をしっかりと説明していなければ正しい方法で運用できなくなります。なかには、360度評価を導入することでどのようなメリットがあるのかを理解していないために、評価のコメントを適当に書く、実施目的からかけ離れたコメントをするなどの弊害も出てきてしまいます。

360度評価を導入・実施する際は、事前に実施目的などを社内に周知し、従業員が何のために評価を行うのかを理解できるように説明しておくことが重要です。全従業員を対象にした説明会を行う、各部門の上長が説明する、電子掲示板に掲載するなどの工夫をしましょう。

項目や設問が多い・偏りがある

360度評価が失敗する原因の一つは、評価する項目や設問の数が多く、偏りがあることです。設問の数が多すぎると、手早く済ませるために流れ作業的にこなす従業員が増える可能性も考えられます。流れ作業のように淡々と設問に回答する従業員が増えれば、360度評価を導入する意味がありません。

360度評価は上司が部下を評価する一般的な評価方法と異なり、従業員一人ひとりが他の従業員や上司の評価者になります。個々が抱えている業務とは別に時間を設けて、評価のためのコメントを考える、評価シートにコメントを記載するなどの手間や負担が増えてしまいます。

360度評価の実施目的や狙っている効果を明確にし、社内でも積極的に周知していても運用がうまくいっていないという場合は、評価の項目や設問数が多くなりすぎていないか、それぞれの項目に偏りがないかなど、従業員の負担を減らすことも考慮して評価方法を見直すようにしましょう。

評価後のフォロー・フィードバックの質が悪い

360度評価が失敗する原因として、評価後に適切なフォローやフィードバックがない、もしくは質の低いフィードバックをしていることもあげられます。

質が悪いフィードバックをすれば、360度評価に期待できる効果を得られないどころか、導入することで悪化するケースも少なくありません。また、上司による評価後のフォローが適切に行われていない、率直なフィードバックを受けた従業員が落ち込んでしまいモチベーションの低下につながるなどの悪循環に陥ってしまうこともあります。

360度評価後は、結果をそのまま従業員に知らせるだけでは不十分です。上司は、結果をもとに今後どのように業務に活かしていけばいいのか、従業員にどのような気付きを与えたいのかなどフィードバックの内容を考慮しましょう。

従業員のモチベーションを高めるためには個人面談を行い、適切なフォローやフィードバックを行う必要があります。さらに、人事部門の担当者は評価者に対しネガティブな言葉の使用は避け、従業員が前向きに受け取れるフィードバックを行うように指導することも大切です。

失敗しない360度評価のポイント

思いつきで360度評価を始めても失敗に終わり、狙った効果を得ることはできません。本章では、360度評価を失敗しないためのポイントをくわしく解説します。

以下にあげる7つのポイントをしっかりと把握しておきましょう。また、360度評価を運用する中で、思うような効果が得られていないと感じる場合も、以下のポイントに立ち戻り、一つずつ満たしているかを確認することをおすすめします。

【360度評価のポイント7つ】

  1. 全員を対象とする
  2. 長期的な視野で取り組む
  3. 従業員の理解を得る
  4. 設問数を絞る
  5. 業績評価や人事考課に組み込まない
  6. フリーコメントの書き方はポジティブに
  7. 実施目的とガイドラインを明確にする

全員を対象とする

360度評価は、全員を対象に導入することを前提にしましょう。全員とは、管理職はもちろん経営陣も含まれます。

360度評価を従業員を評価するときにだけ運用すれば、不公平になってしまいます。360度評価は、客観性や公平性を保てることが効果の一つであるため、経営陣や管理職を含む全員を対象にすることが大切です。

全員が評価者であり、評価される立場にあることで、一人ひとりが責任をもって評価に取り組めるようになります。また、自分も他の従業員を評価する立場になることで、自分自身に対するフィードバックも自己の成長のためと、前向きな気持ちで受け取れるでしょう。

さらに、一人ひとりが当事者意識をもつことで従業員エンゲージメントの向上につなげることも可能です。他にも、経営陣や管理職は従業員の率直な意見を聞くことができるため、経営者側と労働者側の隔たりや摩擦の解消にも役立つでしょう。

長期的な視野で取り組む

360度評価を運用する際は、長期的な視点を持って取り組むことが大切です。評価結果を時系列に並べることで、自分への評価がどのように変化しているのかを確認できるようになります。

たとえ評価が低い結果になった場合でも、過去の他人からの評価で変化している点を従業員にフィードバックすれば、一歩ずつ成長していることを実感させることができます。そのためには、360度評価を単発で終わらせるのではなく、継続的に実施していくことが重要です。

360度評価を継続的に運用するためには、事前に全体のスケジュールや計画を立てておく必要があります。ガイドラインの設定や設問数、評価制度に活用できるシステムやツールの導入を検討し、具体的な評価方法や全体の流れを把握した上で、社内に周知しておくことも一つの方法です。

また、経営陣に360度評価を提案する際は、すぐ効果を出すことは難しいと伝えた上で、人材育成のために必要であると提案して理解を得るようにしましょう。

従業員の理解を得る

360度評価をスムーズに導入するためには、従業員の理解が不可欠です。

従業員は、評価される側であるのと同時に自分が他人を評価する立場にいます。360度評価の必要性や実施目的、得られる効果などをしっかりと説明しておかなければ、従業員からの理解は得られず不満を抱く原因になってしまうでしょう。

説明を行う方法として、人事部門の担当者による研修や説明会の開催が有効です。研修では360度評価を実施する目的や効果、全体の流れ、評価の具体的な記載方法、注意点などを従業員に説明しましょう。

また、人事部門の担当者は、従業員から疑問や不明点などの質問への対応に追われる可能性があるため、事前にQ&Aなどをまとめておくことをおすすめします。

設問数を絞る

360度評価を失敗させないためには、設問数をある程度絞り込むことも大切です。設問数が多すぎると従業員の負担が大きくなるため、評価対象に対するフィードバックが無難な内容になったり、適当に済まされたりしてしまう恐れがあります。そのため、業務の負担にならない程度の設問数を設定するようにします。

目安として、1人の評価をする際に15分程度で評価し終わる設問数に収めるのが望ましいです。自由形式のコメント欄を設ける場合は、多すぎると時間がかかってしまうので1~2問程度に抑えましょう。

また、回答期限を設けないと評価シートを迅速に集められず、評価後の面談などのスケジュールが計画通りに行えなくなります。一方で、回答期間が短すぎれば評価者の負担を増やすことになるでしょう。

回答には十分な期間を設定し、回答期日に近くなったら人事部門の担当者からリマインドメールを送信するなどの工夫も検討してみてください。

業績評価や人事考課に組み込まない

360度評価で失敗しないためには、業績評価や人事考課から切り離して運用することが重要です。360度評価を業績評価や人事考課に組み込んでしまうと、従業員の心理的安全性を確保することができません。

心理的安全性とは、意見交換などの場で発言した内容が受け入れられる安心安全な環境を指します。360度評価では、従業員が自分よりも立場が上の人の評価をする必要があるため、心理的安全性を担保しなければ、率直な意見を記載できなくなります。

360度評価の導入によって客観性と公平性のある評価制度に一新したいのなら、給与や人事考課のためではなく、従業員の能力開発やスキルアップのために活用することが大切です。

従業員には、「業績評価や人事考課には影響を及ぼすことはない」と説明するのと同時に、360度評価は従業員一人ひとりの意識の向上やスキルアップなどの成長のために必要なことであると伝えましょう。

フリーコメントの書き方はポジティブに

360度評価の設問に自由形式のコメントによる回答欄を盛り込む場合は、事前に記載方法を説明しておくようにしましょう。フリーコメントの記載方法を説明せずに自由な書き方にしてしまうと、主観的な感想や評価対象者を中傷するコメントが書かれる恐れがあります。

コメントの内容次第では、評価対象者がショックを受ける、人間関係が悪化する、職場の雰囲気が悪くなるなどの原因につながりやすいため注意が必要です。

フリーコメントへの書き方を説明する際は、基本的にポジティブな言葉を使うように指導しましょう。具体的には、指摘が必要な場合は問題点を論理的な構成で説明するようにする、よい部分は褒めて伸ばすような内容を記載することが大切です。

指摘ばかりが続くと、評価対象者は落ち込んでしまい、モチベーションが低下してしまいます。指摘すべきことは論理的に伝え、仕事への取り組む姿勢やチャレンジ精神など、小さなことでも評価できる点や尊敬できる点などのポジティブな内容もコメントに入れるように指導しましょう。

実施目的とガイドラインを明確にする

360度評価をスムーズに導入・運用するためには、実施目的を明確にした上でガイドラインを策定することが重要です。ガイドラインとは、評価する方法や期間、注意点などを明確にしたもので、評価者に共有する上で有効なものです。

実施目的が明確であってもガイドラインがなければ、評価者はどのように評価すればいいのかがわからず、主観に偏ったり、的外れなコメントを記載したりするなど、360度評価の運用が失敗するリスクが高まってしまいます。

ガイドラインの策定後は、従業員を対象にした説明会を開催する、個別の疑問に答える窓口を設けるなど、従業員が納得できるまで説明を行うことが大切です。

フィードバックを行う

評価後は、上司が評価シートの内容を確認した上で、従業員と振り返りのための個人面談を行い、フィードバックを行う必要があります。上司からのフィードバックもなく、評価結果だけを従業員に渡しても点数などを見て一喜一憂するだけで終わってしまうかもしれません。

360度評価を有効に活用するためには、上司と部下の1対1の面談を行い、指摘された点についてはどのように意識や行動を変えていけばいいのかを気付かせるためのフォローをしましょう。よい面に関しては、従業員の強みとして業務に活かすことを期待しているなどの声かけをすることも重要です。

また、事前に対象者を集めて研修などを実施し、フィードバックの正しい方法などを共有しておきましょう。

さらに、面談後も定期的に従業員とコミュニケーションを取りながら、PDCAサイクルを回すことも大切です。従業員が面談でのフィードバックを正しく理解できているか、方向性を誤っていないかなどを確認し、必要に応じて指摘やアドバイスをするようにしましょう。

適切な360度評価にはタレントマネジメントシステムも活用しよう

360度評価は、客観性と公平性を保てる評価方法です。ただし、すべての従業員が評価者になるため、運用方法を整えておかないと結果にショックを受けてしまう人も現れるでしょう。360度評価で失敗しないためには、経営陣や管理職だけでなく従業員を含む全員に実施目的や導入効果、評価方法などを説明し理解を得ておくことが大切です。

360度評価を効果的に運用するためには、タレントマネジメントシステムを活用することもおすすめです。CYDASは、従業員の客観的な評価をするために活用できるタレントマネジメントシステムです。

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