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2021.7.12

スメルハラスメントとは?被害者や加害者を出さないためにはどうするべき?

職場において、スメルハラスメントを含めたハラスメントがある場合、そこで働く人の労働意欲を損ねてしまうだけでなく、企業の社会的な評価にもかかわってきます。労働者が働きやすい職場環境にするためにも、スメルハラスメントを含むハラスメントの対策を行うことが不可欠です。この記事では、スメルハラスメントの原因や対策と、他のハラスメントについても紹介します。

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スメルハラスメントとは

スメルハラスメントとは、「スメハラ」と略して呼ばれることがある、ニオイに関するハラスメントのことです。ニオイが原因で人に不快感を与えてしまうことによって、職場の人間関係に影響を及ぼす場合があります。人に不快な思いをさせてしまうニオイの一つに体臭があり、これもスメルハラスメントの代表的な原因です。しかし、体臭以外にもさまざまなものがスメルハラスメントの原因になります。

スメルハラスメントの厄介なところは、その原因を悪意で生じさせているわけではないケースが多いという点です。体臭などは、体質によって個人差があるため、他人が指摘することで当事者を傷つけてしまったり人権侵害になったりする可能性があり、非常にデリケートな問題だといえます。また、人は自分が出しているニオイにはなかなか気づきにくいため、自分のニオイが人を不快にさせていることに気づけていない場合も少なくありません。そうした背景もあるため、スメルハラスメントの解決は非常に対応が難しい傾向です。

スメルハラスメントの原因

スメルハラスメントの原因となるニオイは、大きく分けて5種類あります。

体臭

1つ目は、体臭です。体臭の強さは、人それぞれに異なるものの誰にでもあります。体臭の原因は、「汗をかいたことで雑菌が繁殖する」「入浴や洗髪、洗濯などを怠っている」「ワキガ」などです。また、体臭の一つに含まれる加齢臭は「オヤジ臭」とも呼ばれていますが、年齢を重ねた男女共に起こりえます。年齢を重ねると、肌の潤いが失われ、それを補うために皮脂が分泌されがちです。その皮脂が、分解されて酸化することで耳の後ろや首筋、脇、背中、胸などから特有のニオイが出てきます。

体臭を抑えるには、汗をかいたときなどこまめに拭くなどして清潔を保つよう心がけたり、制汗剤を使ったりするなどの方法があります。ただし、ワキガは制汗剤だけで抑えることは難しく、手術が必要なケースもあるため、簡単に対処できる方法ばかりとは限りません。

口臭

2つ目は、口臭です。他の社員と話しをするときに気になる場合も少なくありません。口臭は、空腹時や満腹時、胃腸の調子が悪いときや虫歯がある場合に、ニオイが強くなる傾向です。自衛策としては、「歯磨きをする」「タブレットやガムをかむ」といった方法があります。

タバコ

3つ目は、タバコです。タバコを吸う人は、口がタバコ臭くなるだけでなく、洋服や髪の毛にもニオイが付くことで嫌がられます。タバコを吸った後は、マウスウォッシュを使ったり、紙タバコから電子タバコにしたりするなどの対策を行うことで、ニオイを防ぐことが可能です。

香水

4つ目は、香水です。香水は、香りを楽しむものですが、自分にとって心地良い香りが必ずしも他人も心地良いとは限りません。香水を付ける習慣がある人は、香りに慣れてしまっているため、付ける量が増えていきがちです。職場に香水を付けていく場合は、少量を付けるよう心がけることが必要となります。

柔軟剤

5つ目は、柔軟剤です。香りを楽しむタイプの柔軟剤が増えており、使い続けることで香りに慣れて使用量が増えてしまいがちになります。人によっては、柔軟剤の香りで頭痛や吐き気を催すことがあるため、注意が必要です。

企業が実施できるスメルハラスメントの対策

企業側としては、どのようにスメルハラスメントの対策をしていけばよいのでしょうか。ここでは、3つの対策について解説します。

ニオイ対策を実施する

企業ができるニオイ対策として、空気清浄機やサーキュレーターの導入があります。活性炭入りフィルターや、イオンによる脱臭機能付きなど、ニオイを取る機能が充実したものを選べば効果が期待できるでしょう。また、加湿機能が備わったものであれば、職場の湿度管理という名目で導入することも可能です。ただし、「機器の導入に費用がかかる」「適切な手入れをしないと雑菌が繁殖する」などは、デメリットといえます。フロアごとにタバコを規制したり、歯磨きを推奨したりして、スメルハラスメントが起こることを事前に防止する対策を取るのも良い方法です。

あくまで「推奨」という形を取ることで、賛同を得やすくなることが期待できるでしょう。一定時間ごとに、空気の入れ替えを推奨することも職場の衛生を保つことにつながるため、積極的に行っていきたいものです。部署内にとどまらず、全社を対象として考えるならば、職場環境の改善を目的としてスメルハラスメント対策を行うことを周知させ、会社の就業規則にもニオイに関する規定を盛り込む方法があります。就業規則で明確にすることにより、自分が加害者になっていないかを社員自身が意識できたり、個人攻撃にもなりにくくなったりする点がメリットです。

意思表示の方法を設定する

スメルハラスメントだけでなく、他のハラスメントにも共通することとして、被害を受けている人が意思表示できる方法があることを周知させる必要があります。被害を受けている社員は、そもそもニオイで悩んでいることを誰かに相談できない場合もあり、自分一人で悩みを抱え込んでしまいがちです。我慢しながら働き続けることは、精神衛生上の観点からも良くないため、嫌な思いをしていることを意思表示できるよう、環境を整えることが必要になります。

被害者から加害者に直接自分の思いを伝えると、組織の中での人間関係にゆがみが生じる可能性があるため、避けなければなりません。スメルハラスメントは、個人の問題ではなく会社全体の問題といえるため、悩みがある人が気軽に相談できるよう相談窓口を設けるとよいでしょう。会社として、スメルハラスメントを許さない姿勢を示して社員に周知させていくことも有益です。

加害者にハラスメントの実態を報告する

スメルハラスメントを改善させるために、「加害者へどのように伝えればよいのか」は大きな課題です。ニオイの中でも体臭や口臭など、個人的なことにかかわるニオイについて他人から指摘を受けることは、本人にとって恥ずかしいだけでなく、傷つけてしまう可能性もあります。そのため、他の人に話を聞かれないよう、担当者と加害者が2人になれるシチュエーションを設定して丁寧に話をする配慮が必要です。客観的、かつ冷静に事実を伝えましょう。

問題となっているニオイに対して、「具体的にどのような対策をすれば良いのか」についてアドバイスを行うと、こちら側の誠意や気持ちが相手に伝わりやすくなります。相手に話をして伝えるのが難しい場合は、対策法を紙面にまとめて渡してもよいでしょう。ニオイに関することは、デリケートな話題のため、異性から指摘されると余計に傷つくものです。そのため、伝えるときは同性から話したほうが、言われたときの心理的負担を減らすことが期待できるでしょう。

その他有名なハラスメント

ここからは、スメルハラスメント以外に有名なハラスメントを3つ紹介します。

パワーハラスメント

パワーハラスメントとは、立場が優位にある人が自分よりも下の立場にある人に向かって行う嫌がらせのことで、「パワハラ」とも呼ばれます。相手をたたいたり・蹴ったりするなどの暴力的な行為や、物を投げつける身体的な攻撃は代表的なパワハラの一例です。他にも、人格を否定するようなことを言ったり他人の前で大声を出して執拗に叱ったりする精神的な攻撃もパワハラとなります。その人の職務経験などから見て、到底できないような難しい仕事をわざと与えたり、職場のみんなで特定の人を集団で無視して孤立させたりすることもパワハラです。

逆に、気に入らない人に対して仕事を与えない場合や、誰でもできる仕事や本来の仕事とはかけ離れた仕事をさせる場合もパワハラになります。また、仕事を離れたプライベートのときでも監視したり無断で写真を撮影して暴露したりすることなどもパワハラとなるため注意しましょう。一般的に、パワハラは上司から部下、先輩から後輩に対して行われることが多いものの、人間関係で優位にある部下から上司に行われることもある嫌がらせです。

モラルハラスメント

モラルハラスメントは、「モラハラ」とも呼ばれており、精神的な嫌がらせを行うことを指します。モラハラは、パワハラと似ていますが、必ずしも立場が上の人が下の人に向かって行う場合だけではありません。親と子どもや恋人同士、教師や上司、同僚同士など、さまざまな立場の人が対象です。例えば、特定の人を無視することで周りから孤立させたり、怒って相手を精神的に追い詰めたりすることなどが該当します。「相手の身体的な特徴をばかにする」「暴言を吐く」など、人が嫌がることを直接言うのもモラルハラスメントの一種です。

通称「大人のいじめ」とも言われており、嫌がらせが行われていてもそれがうまく隠されていることが多いため、周囲の人が気づきにくいことが難点です。こうした精神的暴力や、精神的虐待によって追い詰められた人の中には、自殺をしてしまう人もいます。

セクシャルハラスメント

セクシャルハラスメントは通称「セクハラ」と呼ばれる性的な嫌がらせのことです。男性から女性に行われる性的嫌がらせだけでなく、女性から男性に行われる場合や同性同士でも行われる場合など多岐にわたります。セクハラは、大別すると対価型セクハラと環境型セクハラの2種類です。

対価型セクハラ

上司から部下などに対して性的な行為を要求し、「応じれば昇給させる」「逆に応じなければ異動や解雇を命じる」といったことです。相手に言うことを聞かせようとする立場を利用したセクハラだといえます。

環境型セクハラ

女性の胸に触ったり抱きついたりする行為や、女性に結婚や出産、恋人のことを尋ねたりする行為など、職場環境を悪化させる言動などです。

関連記事:【最新】職場におけるハラスメントの種類一覧表。法律、リスク、予防策を抑えておこう

スメルハラスメントの対策をしよう

スメルハラスメントは、ニオイで人に不快な思いをさせてしまうことを指します。ニオイの原因を作っている本人には、自覚症状がない場合も多いため、対処する際には十分な配慮が必要です。被害者側の救済措置としては、空気清浄機の設置などの他に相談窓口を設けることで気軽に相談できるような環境を設ける方法があります。被害者だけでなく加害者も傷つけないように配慮し、加害者本人に話す状況や話し方などにも工夫が必要です。

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