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2023.2.17

人事評価に納得いかない!納得度の高い人事評価制度を作るポイント

人事評価後に部下から「評価に納得がいかない」との申し出を受けた評価者や人事担当者は少なくないでしょう。長く人事評価制度を運用していると、少なからず社員から納得いかないと声が上がるものです。

誰もが納得する人事評価制度をつくるのは容易ではない中で、どういった対策を行えば良いのでしょうか。この記事では、社員が人事評価に納得いかない理由や納得いかない社員がいるときに起こる弊害、人事評価制度を見直すポイントを解説します。

人事評価に納得いかない社員を抱える評価者の方はぜひ参考にしてください。

社員が人事評価に納得いかない5つの理由

人事評価制度を導入する企業では、評価に納得いかないと感じる社員が少なからずいるものです。アデコ株式会社が実施した「人事評価制度の意識調査」では、62.3%もの社員が現在の評価制度に納得いかないと感じています。

人事評価は本来、社員を適切に評価するのが目的にも関わらず、半数以上の社員が人事評価制度に納得いかないと回答するのはなぜでしょうか。調査結果の内容をもとに納得いかない理由を見ていくと、下記のような理由があり、評価者や人事評価制度そのものに問題があるケースも見受けられます。

  • 評価制度や評価基準を理解していない
  • 自己評価が高い
  • 人事評価制度そのものが会社に合っていない
  • 評価者の説明がうまくいかない
  • 評価結果が昇進・昇格などに反映されない

社員が納得いかないと感じる5つの理由を通して、自社の課題がどこにあるかを探りましょう。

1.評価制度や評価基準を理解していない

社員が人事評価に納得いかない背景には、そもそも人事評価について正確に理解していないことが挙げられます。評価制度の目的や運用方法、評価基準が社員に伝わっておらず、納得感を持てていないのかもしれません。

評価を受ける社員だけでなく、評価をする評価者、そして経営層まで社員全員が人事評価制度を正しく理解していなくては十分な効果は発揮できないでしょう。

評価制度を正しく理解し、運用しないとさまざまなトラブルが発生します。たとえば360度評価を行う時に評価に書くべきこと、書いてはいけないことを理解していないと、被評価者の悪口を書いてしまい社員の雰囲気が険悪になることも少なくありません。

全社員が人事評価制度を十分理解していないと、納得いかないと感じる社員が出てきてしまいます。

2.自己評価が高い

2つ目の理由に被評価者の自己評価が高いことが挙げられます。自己評価が高いと、会社からの評価を過剰に期待してしまい、実際の評価とのギャップから納得いかないと感じてしまうものです。

例えば、自分は頑張っていると思っていても、評価者をはじめ周りが頑張りを評価していないケースです。自分では頑張って仕事に取り組んでいる、だから自己評価は高くなると良い評価を期待します。しかし評価者から見ると頑張っていても結果が出ていなかったり、頑張る方向性がずれているために評価が低くなるケースは多々あります。

このように、自己評価と会社からの評価にギャップが生まれてしまうと、社員は評価に納得いかないと感じてしまうのです。

3.人事評価制度そのものが会社に合っていない

人事評価制度そのものが自社に合っていないと、評価に納得いかない社員が増える恐れがあります。

評価制度はコンピテンシー評価や360度評価などさまざまな方法があり、いずれかの評価制度を導入していても、各評価制度の特徴と自社の人事評価制度の目的がミスマッチとなっているかもしれません。

例えば営業部門での評価制度がコンピテンシー評価のみを導入していると、営業実績を残した社員が評価されない一方、実績が芳しくない社員が評価されることがあります。高い実績を残した社員から納得いかないと声が上げる可能性が高いです。

また自社に合った評価制度を導入していても、市場や環境の変化によって評価項目そのものが適していないこともあります。

4.評価者の説明がうまくいかない

評価自体は適切であっても、評価を伝える評価者の説明が不十分だと社員は納得いかないことがあります。

具体的にどのようなケースがあるか事例を紹介します。

  • 自社の人事評価制度の目的や制度概要についての説明が不十分である
  • 評価者からのフィードバック内容が、社員から納得感を納得感を得られていない
  • 忙しいを理由に、社員が納得するまで十分な時間をかけて説明できていない

事例のようなケースでは、社員は十分に評価されていない、今後どのように行動して良いか分からないといった不満を感じるでしょう。社員の納得感を得られるまで、丁寧に説明する必要があります。

5.評価結果が昇進・昇格などに反映されない

人事評価制度は社員の能力やパフォーマンス、会社への貢献などを評価し、社員の昇進・昇格や昇給などの待遇を決めることが目的の1つです。評価の結果が昇進・昇格や昇給に十分反映されていないと、社員は納得いかないと感じるでしょう。

高い評価を得ているにも関わらず、評価結果が昇進・昇格や昇給に反映されていなければ、社員は納得いかないと不満を感じるのは当然といえます。

逆に評価結果が昇進・昇格や昇給に反映されすぎている場合も要注意です。自分の能力以上に昇進したり、高すぎる昇給は「自分にできるかな」と社員は不安を覚えるかもしれません。

評価結果を適切に昇進・昇格や昇給に反映させないと社員の不満がたまる恐れがあります。

人事評価に納得いかないときに起こる弊害

多くの社員を抱えれば、人事評価制度に納得いかない社員は少なからず出てくるものです。納得いかない社員を放置してしまうと、優秀な社員の退職や不服申し立てを受けるなど、会社にとって大きな弊害になりかねません。時には事業運営に支障をきたす恐れがあります。

人事評価制度に納得いかない社員がいると、どのような弊害が起きるか4つの事例を紹介します。

社員の離職(転職)

1つ目の弊害は社員の離職です。人事評価の結果に納得いかない社員は、自分をより評価してくれる会社に転職するかもしれません。

社員が離職してしまうことで、会社の業績が伸び悩んだり、プロジェクトの進捗が遅延したりとさまざまな影響を及ぼします。なかには会社にとって必要な社員が、評価に不満を持って会社を去ってしまうこともあります。

また最近は口コミサイトを通じて退職者によるネガティブな意見が発信されることもあります。これらの意見を見た求職者は応募を控えたり、選考が進んでも辞退するなど、自社の採用活動にも影響がおよぶかもしれません。

業績低下

業績低下も社員が人事評価に納得いかないと起こりうる弊害です。納得いかない社員は仕事への意欲が低下し、適当に業務を行ったり、頑張っても評価されないと匙を投げてしまいます。結果としてそれぞれの仕事の質が低下し、業績低下に繋がります。

例えば営業部門で高い実績を残している社員が十分に評価されていないと、実績を残しても意味がないと営業活動の質が下がってしまいます。すると営業実績が伸び悩み、会社全体の業績低下に繋がるでしょう。

適切に評価を行わないと、社員は頑張っても意味がないと感じ、社員一人ひとりの仕事の質が低下し、結果的に業績低下を招いてしまいます。

愛社精神やエンゲージメント・モチベーションの低下

評価に納得いかない社員がいると、愛社精神やエンゲージメント・モチベーションの低下に繋がる恐れがあります。

社員が離職に至らなかったとしても、納得いかない者の会社への信頼が低下すれば、職場で愚痴や文句を言い始めます。その結果、職場の雰囲気が悪くなり、周囲へも悪影響を及ぼしかねません。

また会社へのエンゲージメントや仕事へのモチベーションが低下すると、「会社のために頑張ろう」「しっかりと成果を残そう」という気持ちが薄れていきます。社員がこのような状態になると、会社全体の業績低下や離職に繋がってしまうでしょう。

不服申し立てのリスク

人事評価に納得いかないときに起こり得るリスクのなかでも、特に注意をしたいのが不服申し立てです。

人事評価に納得できない場合、なかでも不当に低い評価が続いたり、降格や大幅な減給となった社員から不服申し立てを行うというケースが出てきています。当事者間で解決に至らない場合には、訴訟になることもあります。

過去の判例では、会社の人事評価に対して不法行為と判断されたケースがあり、コンプライアンスの観点から注意が必要といえます。人事評価結果に法令違反がないか、人事権の濫用がないか、評価する評価者、会社側の注意が必要です。

人事評価制度の見直すためにやるべきこと

人事評価制度に納得いかない社員がいると、数多くの弊害がもたらされる可能性があります。弊害を取り除くには、人事評価制度を見直し、社員にとって納得度の高い制度にしなくてはいけません。

人事評価制度を見直すためにやるべき5つのポイントを紹介します。人事評価制度の見直しにあたり、評価制度の種類を改めておさらいしましょう。

評価制度の種類と特徴を再確認する

まず、どのような評価制度があるか、評価制度の種類や特徴を改めて確認しましょう。

会社の掲げる経営理念や目標などによって適した人事評価制度は異なります。改めて見直してみると、自社に適した人事評価制度を採用していないケースもあるものです。

本記事では代表的な3つの評価制度を紹介するので、いずれかの人事評価制度を導入している場合は「人事評価制度は自社で最大限活用できているか」を客観的に見直してみましょう。

360度評価

360度評価とは上司だけでなく、同じ部署のメンバーや仕事で関わる社内外の人たちに聞き取りを行って評価を行う制度のことです。一般的な評価制度では上司のみが評価者となりますが、360度評価ではさまざまな関係者から評価してもらうため「多面評価」とも呼ばれます。

多角的に意見を吸い上げることで、客観的な評価が可能です。

360度評価の基礎知識は、次の記事をご参照ください。

コンピテンシー評価

高い成果を出す社員に共通する行動特性を基準に実施する人事評価をコンピテンシー評価と呼びます。主流であった職能資格制度(能力評価)は年功序列に陥りやすく、十分に客観性のある制度とは言えませんでした。コンピテンシー評価は「行動特性」を評価し、公平性の高い評価制度として導入する企業が増加しています。

コンピテンシー評価については次の記事でも解説しています。

ノーレイティング評価

ノーレイティング評価とはリアルタイムで目標を設定し、適宜評価を実施し、フィードバックを行う評価方法です。

従来の評価制度ではフィードバックのタイミングが半年や一年に一回でしたが、ノーレイティング評価ではリアルタイムで評価を行うため、上司と部下のコミュニケーションが密になります。また細かい評価項目も決まっていないため、環境変化に適応しやすい評価制度と言われています。

エンゲージメント調査を行う

人事評価に納得いかない社員がいるかどうかを確認するために、エンゲージメント調査を行うのも1つの方法です。

エンゲージメントとは「愛着心」や「愛社精神」のことで、エンゲージメント調査とは社員がどれほど「愛着心」や「愛社精神」を持っているかどうかを調べる調査を言います。

人事評価に納得いかない社員がいるかどうかをエンゲージメント調査で確認するには設問項目も重要です。設問例をいくつか紹介します。

  • 人事評価制度は明瞭で分かりやすいものですか
  • 自身の評価と会社の評価に乖離があると感じますか
  • 会社の状況に現在の人事評価制度は適していると感じますか
  • 評価者はあなたが納得いくまでフィードバックをしてくれますか

主に納得いかない理由を設問項目にすると良いでしょう。

評価者向けの研修を強化する

評価者が社員と十分にコミュニケーションがとれていない場合、評価者向けの研修の見直しを検討しましょう。

社員が評価に納得いかない理由の1つに、評価者の説明がうまくいかないことが挙げられます。評価内容をフィードバックしきれていなかったり、評価制度の目的や意図、評価結果を十分に説明できていないかもしれません。

そもそも評価者自身が、自社で採用している人事評価制度について理解が浅い可能性もあります。そのような場合、評価者向けの研修を見直したり、強化をし、評価者のスキルを高めるのが効果的です。

研修ではフィードバックや伝え方などスキルだけでなく、自社の理念や目標の再確認と人事評価制度の目的や意図の浸透を図ると良いでしょう。

人事制度の説明頻度を増やす

社員が人事評価制度や評価基準について十分に理解していない場合は、人事制度の説明頻度を増やすことも1つの方法です。人事制度の説明頻度を増やすことで社員の理解度が高まり、納得度の高い制度運用が可能になります。

実施のタイミングは人事評価を行う少し前のタイミングが記憶に残りやすく効果的です。また同じ時期に評価者である上長からチーム全体への発信や気になる社員へ個別説明を行うように促すと良いでしょう。

実施方法は全体向けの説明会を行いつつ、質問や疑問がある社員には個別に面談の機会を提供しましょう。全体向けの説明会では質問したくても遠慮して出来ない社員もいることに注意が必要です。

定期的に評価制度を見直す

最後に評価制度は定期的な見直しがおすすめです。人事評価制度は一度導入したら終わりではなく、継続して運用することで効果を発揮します。現在の人事評価制度は会社の理念や目標と乖離がないか、市場の変化に対応できているか、社員は納得感を持っているかといった視点での見直しが求められます。

制度は常に見直すのがベストですが、評価制度の変更、事前の社員への周知には時間がかかります。見直した結果、制度を変更する場合は少なくとも3〜4ヵ月前には内容を固め、社員への説明会を行いましょう。

評価制度を定期的に見直すことで納得いかない社員は「自分たちの声が届いている」と意気に感じ、仕事のモチベーションが高まるでしょう。不満を改善することで、評価に納得いかない社員が少なくなっていくのです。

人事評価制度の運用を後押しする評価システムなら「CYDAS」

人事評価制度に納得いかない社員がいるのは、社員の責任だけでなく、評価者や制度自体に課題があるのかもしれません。納得いかない社員がいると、いくつもの弊害が生まれる恐れがあり、事業運営に支障をきたさないよう定期的に人事評価制度の見直しが必要です。しかし、管理や運用は簡単ではありません。

納得度の高い人事評価制度の管理や運用、社員のエンゲージメント調査を行うなら社員参加型の人材プラットフォーム「CYDAS」がおすすめです。

人事評価制度に納得いかない社員を減らしたい、社員のエンゲージメントを高めたいと考える人は、まずはこちらの資料をご覧ください。

納得感のある人事評価制度の構築について知りたい方にはこちらのガイドブックもおすすめです。

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