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2022.2.21

人材育成の課題解決方法は?研修ポイントや効果定着の方法を解説

近年、国内では労働人口の減少やグローバル化によるビジネス環境の変化、働き方の多様化などによって、「人材育成」に力を入れる企業が増えています。本記事では、注目が集まる人材育成について、実施する目的やその必要性、取り組む際のポイント、課題の抽出方法をくわしく解説します。

また、人材育成の効果を持続させるために重要な、人事評価制度やリテンション施策についても解説するので人材育成に取り組む方はぜひ参考にしてください。

人材育成とは?企業が育成を行う目的

「人材育成」とは、従業員を企業目標の達成や業績の向上に貢献する人材に育成することを言います。例えば、業務の中でどのように考え、行動するべきなのかを教育することが挙げられます。

企業は人材育成を通して、業績に寄与する従業員を育成し、市場での競争力を維持しながら企業目標を達成しなくてはなりません。企業目標の達成に貢献する人材をどれだけ育成できるかは、これからの時代を生き抜くために必要不可欠と言えます。

人材開発との違い 

人材育成の同義語としてよく用いられる言葉に「人材開発」があります。どちらも従業員のスキルや能力の向上を促し、企業目標の達成や業績向上に貢献する人材を育成するという意味では同じです。しかし、両者には対象と目的に違いがあることを理解しておきましょう。

人材育成は、主に新入社員から管理職までの従業員を対象とすることが多いです。一方、人材開発では全従業員を対象とします。人材育成と人材開発では、対象にする従業員の幅に大きな違いがあるのです。

また、人材育成と人材開発は実施する目的にも違いがあります。人材育成は、コミュニケーションスキルやビジネスマナーなど、社会人が共通で必要とするスキルや能力はもちろん、業務内容や職種ごとに必要とされる専門的なスキルの育成が目的です。

一方、人材開発では従業員が持つスキル、能力を発掘することが重要です。従業員一人ひとりのスキルや能力が最大限発揮されることによって、組織全体の競争力を向上させることが目的となります。

人材育成や教育の必要性

人材育成や教育が必要とされているのは、近年のIT普及によるビジネス環境の変化が背景にあります。それまでの日本では、終身雇用が当たり前とされており、従業員は企業が管理し守るべき存在でした。

そのため企業は従業員一人ひとりを積極的に育成することはあまりせず、組織内で足並みを揃えることが重要とされていました。

しかし、ビジネス環境が大きく変化した現代では、市場での競争力を維持するための対応が必要不可欠です。目まぐるしく変化するビジネス環境に柔軟に対応するためには、突出した能力やスキルを持った従業員の育成が急務だと言えます。

また、優秀な人材は捜しても簡単に見つかることがないため、人材育成を通して優秀な人材を自社で育成することが必要です。組織目標の達成や業績の向上に貢献できる、人材育成の必要性が高まっていると言えます。

事業のありたい姿を実現するため

人材育成は、事業のありたい姿を実現するためにも必要です。例えば、「3年後にこの事業の売上を50億円規模まで拡大したい」「従業員一人ひとりが持つ能力やスキル、経験を最大限活かした個性的な組織で実績を残したい」など、それぞれの企業に事業のありたい姿があるはずです。

事業のありたい姿を実現するためには、目標から逆算して必要な人材を育成することが重要であると言えます。人材育成を通して、将来求められるスキルや能力を分析・計算しながら継続的に教育することは、事業のありたい姿をつくることに他なりません。

人手不足を解消し持続可能な組織をつくるため

近年、労働人口の減少に伴って、多くの業界で労働力不足が嘆かれ続けています。2020年には6404万人いる労働人口は、2065年には3946万人まで減少(出典:みずほ総合研究所)するとの予測もあり、人手不足はこれからさらに加速すると言われているのです。

人手不足を解消するためには、人材育成を通して従業員一人ひとりの能力やスキルを最大限に引き出すことはもちろん、社内のDXを推進することによる業務効率化や生産性の向上が必須になるでしょう。

さらに組織目標の達成や事業拡大を進めるうえで、どの程度の人材資源が必要なのかを考え、目標から逆算して従業員の育成を進めることが重要です。従業員一人ひとりが持つ個々の力を最大限引き出すことができれば、市場での競争力が持続可能になるでしょう。

人材育成の取り組みポイント

人材育成をスムーズに進めるためには、「経営方針・将来像を明確に定める」「課題を把握し分析する」という、大きく2つのポイントがあります。人材育成に取り組む場合は、これらを実施する必要があるため、必ず理解しておきましょう。

経営方針・将来像を明確に定める

人材育成に取り組む際は、経営方針と将来像を明確に定めておく必要があります。経営方針などを定義するために社長や経営陣にヒアリングをすることはもちろん、従業員を含めて議論を行うと良いでしょう。

事業や業務の課題を把握することも大切ですが、これから組織が進む方向性が明確に定まっていなければ、正しく課題の抽出を行うことができません。

定義する内容には、次のような例があります。

①経営方針(経営理念、MVV、目標売上高など)

②組織体制(1年後、3年後、5年後といった中長期的な組織体制の計画)

③周囲の環境(取引先、株主、ステークホルダーとの関係性など)

このように、経営方針や組織が目指す将来像を明確に定めることによって、組織に属するすべての人が、進むべき方向を共通認識することができます。

課題を把握し分析する

経営方針や将来像が明確に定まったら、次に現状の把握を行います。組織や事業、業務にどのような課題があるのかを把握し分析することが大切です。課題を適切に把握し分析できていなければ、正しく人材育成の計画を立てることができません。

同じ業界、同じレイヤーであっても、組織目標や事業のありたい姿、従業員が抱える業務やモチベーションの状態によって課題は異なります。

「1on1が流行っているから」「他の企業がやってるから」「研修費用が安いから」といったように、課題の把握と分析ができていない状態で、安易に人材育成を進めないよう注意が必要です。

人材育成課題の整理方法

人材育成を進めるためには、正しい課題の把握が重要です。課題の整理が適切に実施できていないと、研修で習得するスキルや取り上げるべき研修テーマにズレが生じてしまい、研修企画の質が落ちてしまうでしょう。

人材育成課題を抽出する際は、部署や組織、職種別に確認する方法もありますが、本章では、課題の把握と整理方法の一例として「スキルマップ」「サーベイ」「レイヤー別の課題把握」の3つの方法を解説します。

スキルマップの活用

人材育成課題の整理方法の一つに「スキルマップ」があります。スキルマップとは、従業員のレイヤーごとにふさわしいスキルや能力を洗い出し、習得に要する期間を時系列で整理する方法です。

レイヤーごとにスキルマップを作成しておくと、人材育成を実施する際、体系的に教育を行うことが可能になるためおすすめです。また、スキルマップを作成する際は、対象者本人はもちろん、関わる従業員、上司などを含めた複数人にヒアリングしながらすり合わせることによってズレが少なくなります。

スキルマップで課題整理するメリット

スキルマップを用いて、人材育成課題を整理することにはさまざまなメリットがあります。例えば、人事評価において公平な評価に貢献するという点です。

勤続年数などに関わらず、従業員一人ひとりのスキルの習熟度合などを客観的に評価できることはもちろん、評価基準が明確になるため、従業員のモチベーション向上に繋がるでしょう。また、スキルマップを元に従業員の成長を可視化できるメリットもあると言えます。

その他にも、スキルマップは適材適所な人材配置にも役立つツールです。個々の従業員のスキルを考慮した組織・部署に配属することが容易になるため、人材配置によるミスマッチを防ぐことに繋がります。

このように、スキルマップを活用して課題整理することは、人材育成以外の場面においてもさまざまなメリットがあるためおすすめです。

従業員サーベイの活用

「従業員サーベイ」も人材育成課題の整理に役立つ方法の一つです。従業員サーベイとは、従業員の組織に対する満足度や、上司や関わる従業員などに対する愛着度などを図るためのアンケートを指します。

従業員サーベイの活用によって、従業員エンゲージメントから潜在的な課題特定を行うことができるため、サーベイの結果を元に人材育成課題を整理が可能です。

従業員サーベイには、大きく分けて「センサス」「パルスサーベイ」があり、それぞれの特徴を理解して使い分けると良いでしょう。

センサスとは、「実態調査」「全数調査」を意味する言葉で、多面的な質問で組織課題を洗い出す点が特徴です。組織と従業員の関係性や満足度などを多面的に回答してもらい、課題の特定や組織、部署間の比較ができるのです。

一方、パルスサーベイは毎週1回または、毎月1回といった短い頻度で実施します。組織と従業員の関係性においての健全度合いを、継続的に確認することが目的になります。

パルスサーベイは、短いスパンで継続的に実施する必要があるため、告知から回収、集計、分析などの作業を仕組み化しておくことが重要です。

関連記事はこちら

【エンゲージメントサーベイとは?その意味と行う目的をわかりやすく解説】

【階層別】よくある課題から抽出

「よくある課題」と照らし合わせて、人材育成課題を抽出する方法もおすすめです。他社の事例はもちろん、自社における過去によくあった課題の事例などと照らし合わせて課題を抽出します。

先述で解説した通り、経営方針や将来像、業種、レイヤー、在籍している人材などによって抽出できる課題が異なります。

よくある課題を利用する場合は、レイヤー毎の課題にぴったり合うかを確認するのではなく、あくまでも自社の課題を特定するための補助的なツールとして利用することがポイントです。

新入社員

初めて社会人になる「新入社員」は、他の社員と比べて圧倒的に経験が浅いため、複数の人材育成課題があると言えるでしょう。新入社員のよくある課題には、以下のようなものが挙げられます。

  • ビジネスマナーが完璧ではない
  • 挑戦心がない
  • 業務スキルがない
  • 人間関係に悩みやすい
  • 自発的に行動できない

若手社員(入社3年~5年目)

ある程度、仕事にも慣れてきた入社3年~5年の「若手社員」は、多くの企業で次のキャリアに進むために必要なリーダーシップなどが求められ始める頃です。若手社員のよくある課題には、以下のようなものがあります。

  • リーダーシップが発揮できていない
  • チームビルディングができていない
  • ビジネスマナーが定着しきっていない
  • 主体的に業務に取り組めていない
  • 能動的に動けていない
  • コミュニケーションエラーが発生している

中堅社員・中間管理職 

「中堅社員・中間管理職」は、組織の上層部と現場で働く従業員をつなぐ立場であることはもちろん、うまく機能していないと業績にも大きく影響する重要なポストです。中堅社員・中間管理職のよくある課題には、以下のようなものがあります。

  • コーチングスキルがない
  • マネジメントを理解できていない
  • 業務をスムーズに回せていない
  • 次期管理職である意識がない
  • 従業員を適切に評価できていない

ベテラン社員・管理職・マネジメント

「ベテラン社員・管理職・マネジメント」は、事業の中核を担う非常に重要な役割を持つレイヤーで、ベテラン社員が機能しなければ組織目標の達成にも大きく影響する可能性があります。ベテラン社員・管理職・マネジメントのよくある課題には、以下のようなものがあります。

  • 事業目標の達成にコミットできていない
  • 売上目標への達成意識が低い
  • 組織を円滑に回せていない
  • コミュニケーションに問題がある
  • コーチングスキルがない
  • マネジメントができていない

経営陣

「経営陣」は、組織の最重要ポストであり重要な経営判断などを行う必要があるため、判断ミスが許されないレイヤーです。経営陣のよくある課題には、以下のようなものがあります。

  • 適切な経営判断ができていない
  • 公平かつ迅速な意思決定ができていない
  • 先見性のある経営戦略ができていない
  • 人的ネットワークを構築できていない
  • 経営理念を浸透させられていない
  • 組織を円滑に回せていない

人材育成の解決策・研修方法の種類

経営方針・将来像が定まり、人材育成課題の整理ができたら、人材育成の解決策の策定や研修方法を検討していきましょう。人材育成には、「集合研修」「e-learning/オンライン研修」「OJT/OFF-JT研修」「自己啓発」「ジョブローテーション」といった研修方法があります。本章では、人材育成におすすめな5つの育成・研修方法を解説しますので、ぜひ参考にしてください。

集合研修(公開研修/講師派遣)

「集合研修」は、ビジネスに必要な一般的な知識やスキル、業務に必要な能力を習得するために実施する研修です。大人数を一度に研修できることが、集合研修のメリットと言えるでしょう。

集合研修を実施するには、講師をアサインする必要がありますが、講師には大きく「社内講師」と「外部講師」の2種類があります。

社内講師は、社内から講師をアサインする方法で、業界特有の専門スキルや実務を踏まえた知識やスキルを習得できるメリットがあります。しかし、社内から適任者を探すことが困難であるなどのデメリットがあるので注意が必要です。

一方、外部講師はビジネスに必要な一般的な知識やスキルを習得できるのはもちろん、専門の講師をアサインすることによって、専門スキルを習得することも可能です。ただし、委託する場合は費用が掛かることがデメリットだと言えるでしょう。

外部講師をアサインする際の費用相場は、研修の内容や開催場所などによって変化はありますが、10万~30万円が相場です。

e-learning/オンライン研修

「e-learning/オンライン研修」は、オンラインに特化したワーク形式の研修です。オフラインで開催する研修と比べて、時間や場所の拘束がなく自由時間を活用して実施することができます。受講管理機能が備わったe-learning/オンライン研修を活用すれば、教育担当者の負担を軽減できる点も魅力です。

しかし、オフラインの研修と違い集中力が維持できなかったり、すべての講義を受講できない場合があるなど、デメリットがあることを理解しておきましょう。

e-learning/オンライン研修も、集合研修と同じく講義のテーマや内容によって変動しますが費用相場は、初期費用20万~30万円+月額3万〜7万円程度です。

OJT/OFF-JT研修

現場ですぐに使える実務能力を教育したい場合は、「OJT」「OFF-JT」を実施すると良いでしょう。OJTは、「On-The-Job Training」の略で、実際の業務を通して必要な知識や能力、スキルの習得を目指す教育訓練です。

一方、OFF-JTは「Off-The-Job Training」の略で、一時的に現場から離れて実施する教育訓練であることが、OJTとの大きな違いになります。具体的には、集合研修や外部スクール、セミナー、e-learningなどのことです。

OJTは実務を通して行う教育訓練なので費用は掛かりませんが、OFF-JTは外部の研修プログラムなどを活用する場合に費用が発生します。利用する研修プログラムによって費用は変動しますが、安価なものであれば数万円から、高額なもので一回あたり20万~30万円程度が相場になります。

自己啓発(SD)

人材育成の対象者が自ら知識やスキルを習得する方法に、自己啓発(SD)があります。SDは、「Self Development」の略で、書籍などを用いて学習する方法が主になります。

自己啓発(SD)は、個々が主体的になって行う学習方法であることから、定着しやすいメリットがありますが、受講管理が難しいことや教育内容や習熟レベルが個々に依存してしまうデメリットがあると言えるでしょう。

自己啓発(SD)は、基本的に個々で主体的に行う学習あるため大きな費用は発生しませんが、企業によっては学習意欲を向上させる目的で、手当支給を制度化する場合もあります。

ジョブローテーション

配属された部門に必要な教育だけではなく、広く組織内の業務を理解してもらうためには「ジョブローテーション」を活用もおすすめです。ジョブローテーションとは、一般的に一定の配属期間を設けたうえで人材配置を変える人事異動制度のことを言います。

部門ごとに必要な専門スキルや知識、能力などを、部門を横断して長期的に教育し、多角的な目線で職務を遂行できる人材を育成することができるでしょう。

人材育成を組織に定着させるためには?

人材育成を組織に定着させるためには、「人事評価制度」「人材システムの導入」「リテンションの実施」などを含めた育成計画を立てることが大切です。人材育成は継続的に実施することが重要であるため、人材育成の文化、研修効果の定着、持続させるためのポイントを解説します。

人事評価制度をセットで導入

人材育成の文化を組織内に定着させるためには、「人事評価制度」をセットで導入する方法がおすすめです。人事評価制度を導入するメリットは、人材育成によって、従業員一人ひとりのスキルや能力がどれくらい向上したのか、定期的に評価できるところにあります。

人事評価制度とは、従業員の貢献度や成果、スキル、能力などを総合的に評価し、報酬として反映する仕組みのことです。

人材育成を実施した結果、どの程度の効果が得られたのか中長期的に測定し、より効果的な人材育成を推進することができるでしょう。

人事システム例「CYDAS PEOPLE」

適切な人事評価を行うためには、「人事システム」を用いることが一般的です。本章では代表的な人事システムとして「CYDAS PEOPLE」を参考にご紹介します。

CYDAS PEOPLEは、人事に必要なあらゆる機能を一つに集約した「ワンプラットフォーム」のツールです。自社のニーズに合わせて必要な機能だけを利用できるため、無駄のない運用の実現が可能です。

例えば、会社の制度に合わせて運用できる「目標管理」の機能があり、360度評価や多面評価にも対応しています。評価ルートは任意に設定することができるため、Excelなどを用いて評価を実施している企業は、そのままの仕組みをツール上で再現することが可能です。

他にも人材育成や配置、1on1など、様々な機能が備わっているので、効率的に人材育成を進めることができるでしょう。

リテンション施策の実施

人材育成を組織に定着させるためには、「リテンション(retention)」施策の実施が欠かせません。リテンション(retention)とは、保有、保持、維持を意味しており、人材の確保や定着のことを指します。

企業にとっては、せっかく育成した人材が離職することはできるだけ避けたいものです。定期的なリテンション施策を実施して人材の定着率を向上させ、人材育成のサイクルを回すことが効果的であると言えます。

リテンション施策の一例に「1on1」があります。1on1とは、上司と部下の信頼関係構築や課題の抽出などを目的とした施策です。短いスパンで定期的にミーティングを重ねることで、従業員のモチベーション向上や信頼関係を構築することができた結果、離脱の防止にも繋がります。

CYDAS(サイダス)の「1on1 Talk」は、1on1の計画から実施後のフィードバックや振返りまでのすべてをツール上で完了することができるため、テレワーク中の企業にもおすすめです。

人材育成の課題を適切に抽出し取り組もう

人材育成を成功させるためには、課題の抽出をどれだけ適切にできるかが非常に重要です。課題の抽出を適切に行うためには、下記を意識して取り組んでください。

  • 経営方針・将来像を明確にする
  • 課題を適切に把握し分析する
  • スキルマップなどを用いて課題を整理する

人材育成の課題を正しく把握し、適切な研修計画を立てていってください。また育成効果を保つために、リテンション施策とあわせて人事システムの活用も検討してみると良いでしょう。

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