働きがいを応援するメディア

2023.3.7

エンゲージメントとは?ビジネスにおける意味をわかりやすく解説

「エンゲージメント」とは、個人と企業などの組織が一体となって互いの成長に貢献しあう関係を指しており、近年ビジネスシーンにおいて重要視されている要素の1つです。離職率の抑制や人材育成といった多くの企業の課題を解消するためにも、エンゲージメントの向上に向けて必要な施策を取り入れる必要があります。

本記事では、エンゲージメントの定義やビジネスでの意味、社員のエンゲージメント向上がもたらすメリットなどについて解説します。エンゲージメントを高めるための対策も紹介しますので、人材確保や組織の活性化に役立つ方法を模索している方は、ぜひお役立てください。

エンゲージメント分析を行うなら、運用に強いタレントマネジメントシステム「CYDAS」がおすすめです。

エンゲージメントとは|ビジネスにおける意味

「エンゲージメント(engagement)」とは、「婚約」「誓約」「約束」「契約」といった意味の英単語です。活用場面によって意味合いは異なるものの、いずれでも「深いつながりをもった関係性」を示します。

ビジネスシーンでは、エンゲージメントという言葉は「職場(企業・団体)と従業員の関係性」もしくは「自社と顧客との関係性」を表します。企業などの組織や団体では、「個人の成長や働きがいと組織価値は連動する」という考え方が根底にあり、企業と従業員の結びつきが強い状態を「エンゲージメントが高い」と言います。

また、自社と顧客との関係性は、後に解説する「​​マーケティングにおけるエンゲージメント」と言い換えられます。

人事領域におけるエンゲージメント

ここでは、人事領域におけるエンゲージメントとして「従業員エンゲージメント」やマーケティングにおける「顧客エンゲージメント」について解説します。エンゲージメントと似た言葉の「従業員満足度」や「ロイヤルティ」との違いについても見ていきましょう。

従業員(社員)エンゲージメントとは

「従業員エンゲージメント」とは、企業と従業員との信頼関係や愛着心を表す言葉です。社員は企業へ貢献することを約束し、企業はその貢献に対する報酬や補償を社員に約束する、という考え方そのものを従業員エンゲージメントと言い換えることもできます。

従業員エンゲージメントは、個人と組織の成長の方向性が連動していて、お互いが貢献し合える関係であることを指しており、社風や環境への適合感や貢献感、仲間意識といった要素が含まれます。社員が感じる企業に対する誇りや業務のやりがいが大きいほど、従業員エンゲージメントが高いといえます。

従業員満足度・ロイヤルティとの違い

従業員エンゲージメントと似た言葉に、従業員満足度とロイヤルティがあります。「従業員満足度」とは、「社員が給与や福利厚生などの待遇や、業務内容や職場の人間関係など、企業の社員であることにどれだけ満足しているか」を意味します。

従業員エンゲージメントは、企業と社員の信頼や貢献性を元にした関係性を踏まえ、双方向の結びつきが反映されたものです。一方、従業員満足度には社員自身の価値観や基準が含まれており、企業側の取り組み次第で変わりやすい傾向があります。

「ロイヤルティ(Loyalty)」は忠誠心という英単語であり、ビジネスでは「社員が企業や組織に対して忠誠心を持って行動すること」を意味します。従業員エンゲージメントでは企業と社員が同等な状態であるのに対し、ロイヤルティは上下の関係性を前提とする、という違いがあります。

マーケティングにおけるエンゲージメント

マーケティングにおけるエンゲージメントとして、企業と顧客の信頼関係を示す「顧客エンゲージメント」があります。顧客が企業をどれだけ信頼しているか、愛着を持っているか、といった指標を表します。

企業を信頼している顧客は、製品やサービスを利用しやすいため、アップセルやクロスセルによる業績向上が期待できます。顧客エンゲージメントが高まることで、顧客が生涯を通して企業にもたらす価値(LTV)の向上や利益の安定につながります。企業側としては、顧客からの商品レビューや率直な感想を集め、改善や改良につなげることが可能です。

なお、近年主流となっているTwitterなどのSNSマーケティングでは、ユーザーの反応の総数をエンゲージメントと呼んでおり、その割合を示すエンゲージメント率はマーケティングに直結する重要な指標とされています。

社員のエンゲージメントを高める5つのメリット

社員のエンゲージメントを高めることで、社員と企業それぞれがメリットを得られます。ここでは、エンゲージメントの向上がもたらす5つのメリットについて詳しく解説します。

組織の活性化

エンゲージメントが向上することにより、組織の活性化につながります。エンゲージメントの高い社員は、企業の理念や自分の仕事に対して積極的な姿勢や熱意を持っており、問題解決や成長のために自ら考えて動きます。

自発的に業務に取り組む社員が増えるほど、前向きな社風が定着していきます。また、消極的でマンネリ化を抱えている社員や部署があっても、エンゲージメントの高い組織の影響を受けて、業務に対する積極性や貢献の重要性を再認識し、変化していく可能性もあります。

社員のモチベーション向上

エンゲージメントが高まることで、社員のモチベーションアップが期待できます。社員は、自分の役割と期待されていることを理解し、期待に応えるために自主的な努力を続けます。毎日の業務を通した成長と成果の達成により、貢献できているという実感が得られ、エンゲージメントを構築します。

エンゲージメントにより、社員自身が仕事と業績、顧客満足度の関連性を感じられ、業務に対する意欲向上につながります。成果が達成できなかった場合でも、企業との信頼関係によってモチベーションが保たれ、次に繋げようとするチャレンジ精神を生み出します。

生産性・業績の向上

エンゲージメントの向上は、社員の継続的な貢献性に直結するため、生産性や業績の長期的な向上につながります。エンゲージメントが高い人は、社員が企業の方向性やビジョンに共感している状態です。

組織への愛着が強い社員は、事業課題や利益向上に対して積極的に取り組む姿勢を持っているため、組織全体の生産性向上に貢献します。その結果、商品・サービスの品質向上や売上増加、企業の競争力アップといった効果も期待できます。

離職率の低下(定着率の向上)

エンゲージメントが高い状態を維持できると、社員の早期離職を防ぐことにもつながります。エンゲージメントが高い社員は、労働上だけのつながりではなく、そこで働くことに価値を見出しており、信頼関係と愛着が強い職場で長く働きたいと考えています。

さまざまな要素によってエンゲージメントを高めることができれば、優秀な社員の離職を予防し、経験やノウハウが豊富なベテラン社員の定着を促せます。仕事や職場に対して消極的な社員は、不安や不満を感じやすく、心身の不調により休職や退職するリスクもありますが、エンゲージメントが向上すれば未然に防止できるでしょう。

人材確保

エンゲージメントの向上は、優秀な人材の確保にも役立ちます。最近は、終身雇用や年功序列といった従来の人事制度から、成果報酬制へ移行する企業も増えており、よりよい待遇や環境を求めて転職する人が増加しました。また、副業支援やリモートワークなど働き方の多様化によって、最適な職場を探して転職する人も多く見られ、人材の流動化が促進されています。

こうした背景から、多くの企業が早期離職率の上昇や経営層候補を含む優秀な人材の確保に苦戦しています。人材の確保や育成という重要課題を解消するためにも、組織全体の活性化を目指して、エンゲージメントの向上に取り組む必要があります。

また近年は、社員の友人や元同僚による紹介で採用するリファラル採用を行う企業が増えています。エンゲージメントが高まることで、企業に対して愛着や忠誠心を持つ社員が、周囲の人へ自分の職場を紹介するために、求める人材をスムーズに確保できる可能性が出てきます。

社員のエンゲージメントを高める方法

ここからは、社員のエンゲージメントを高める7つのポイントを紹介していきます。エンゲージメントの向上を図るためには、給与アップや労働環境の改善に加えて、企業ビジョンの理解や成長支援の機会づくりを通して、双方にとって理想の組織を目指す必要があります。エンゲージメントの高い企業を構築し、課題解決や利益増加につなげるためにぜひお役立てください。

社員の価値観を把握する

定期的にヒアリングやアンケートを実施し、社員のエンゲージメントの現状を把握することから始めましょう。実際に働く上で何を重要視しているか、仕事に誇りを感じているか、などの回答を集め、社員の労働意識を理解することで、注力すべき課題が具体的に見えてきます。

社内アンケートの手段として、エンゲージメントサーベイがあります。「エンゲージメントサーベイ」では、従業員エンゲージメントを数値化することで、現状を把握する社内調査です。調査結果は、エンゲージメントの向上に向けた対策を考えるだけでなく、フィードバックや人事施策、社員のフォローアップなどさまざまな用途で役立ちます。

企業の理念やビジョンを発信する

企業が進むべき方向性やビジョンを、社員へ発信することも重要です。企業理念やミッションは、エンゲージメントの向上に欠かせない要素で、正しく社員に伝わっていないと目的意識や方向性の欠如を招く可能性があります。また、社員が自分の役割や貢献の重要性を理解するためにも、企業組織としてのモットーの共有が大切です。

理念やビジョンが社員に浸透するように、定期的に発信することで、社内文化として定着していきます。経営層や上司から発信するだけでなく、振り返りの時間を設けて社員の理解を確認しましょう。

働きやすい職場環境づくりを行う

働きやすい職場環境づくりも、企業貢献や仕事へのモチベーションを継続できるため、エンゲージメントが高まります。社員が心身ともに健やかな状態を保ち、意欲的に仕事に取り組めると、生産性向上や利益増加につながります。

また、近年特に重要視されている健康経営やワークライフバランスの向上にも、職場環境は大きく影響するため、改善することで良い効果が期待できます。

具体的には、適材適所を促しつつ、全社員が健全に働けていることを確認します。長時間労働の常態化などの課題を解決すべく労働環境の整備を行い、必要に応じて評価制度の見直やフレックスタイム制の導入を検討しましょう。

社内コミュニケーションを活発化させる

社員の心身の健康を維持するためには、職場の良好な雰囲気や円滑な人間関係の維持も重要です。社内におけるコミュニケーションが活発化するほど、組織への愛着心が生まれやすく、エンゲージメント向上につながります。

社員同士のコミュニケーション活性化に役立つ方法は多数あります。普段の仕事で接点がない社員同士でランチ交流を行うシャッフルランチは、横のつながりが深まり、業務の円滑化にも役立ちます。また、1on1ミーティングなど複数のタイプの施策を実践することで、全体としてのエンゲージメント向上が期待できます。

教育・研修を実施し成長支援を行う

社員の教育研修は、各社員が自らの成長を実感できる仕組みとして必須です。仕事に役立つスキルや知識を習得することで、業務効率や生産性アップを通したエンゲージメントの向上につながります。

組織としてのエンゲージメントを高めるためには、上司の管理能力やコミュニケーション力が重要です。上司や先輩の指導方法や接し方は、社員のやる気を左右します。マネジメント力やリーダーシップを強化するためのマネジメント研修や、直属の上司以外の人がメンターとして指導するメンター・メンティー制度は、個人の成長を促す方法として有用です。

社員にオーナーシップを持たせる

エンゲージメントを高めるために、社員の自発性が欠かせません。社員が自らオーナーシップを持って自発的に取り組むことで、成果を出しやすくなる傾向があり、長期的なエンゲージメントの向上が見込めます。

具体的には、日ごろから立場によらず自由に発言しやすい環境を整備し、上司の権限を部下に任せましょう。上司の指示を待つのではなく、社員が自ら判断し行動する機会を増やすことで、オーナーシップの習得を促します。

タレントマネジメントを活用する

社員個人の人材の能力やスキルを一元管理することで、最適な人材配置や人材育成につなげる手法を「タレントマネジメント」と呼びます。タレントマネジメントにより、適切な人材配置が実現すれば、社員1人ひとりが持つ能力を最大限に発揮できるため、エンゲージメントの向上が見込めます。

タレントマネジメントに特化したシステムを活用すれば、業務に直接役立つスキルや経験だけでなく、価値観や意欲、目指す方向性などより深い部分まで可視化して管理できます。

従業員エンゲージメントを高めるタレントマネジメントシステムCYDAS

人材不足や健康経営などの流れを受けて、企業における従業員エンゲージメントの向上が重要視されています。従業員エンゲージメントを高めることは、人材確保や離職率の抑制といった課題解消につながるだけでなく、社員のモチベーションや生産性向上といったさまざまなメリットがあります。

長期的な顧客満足度の向上や売上増加に向けて、社員のエンゲージメントの現状を把握して、向上に向けた施策を取り入れましょう。

エンゲージメント向上には、適切な人事評価システムが必要です。「CYDAS(サイダス)」は、キャリアオーナーシップの考え方に基づいた人材管理プラットフォームです。社員個人のスキルから価値観、キャリアプランまでを可視化、管理できます。タレントマネジメントに役立つ幅広いモジュールを搭載しており、1つのプラットフォームとしてエンゲージメントの向上をサポートします。

Category

人材育成

Keyword

Keywordキーワード