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2024.5.15

エンゲージメントとは?ビジネスにおける意味をわかりやすく解説  

近年、離職防止や人材育成といった課題を解決するために「エンゲージメント」という概念がビジネスシーンにおいて重要視されています。しかし「エンゲージメント」の意味は広義にわたり、実はそれぞれの使い方には違いがあります。 

本記事では、エンゲージメントの定義やビジネスでの意味、従業員エンゲージメントの向上がもたらすメリットなどについて解説します。また、エンゲージメントを高めるための対策も紹介しますので、「エンゲージメントとはどういう意味?」と思っている方や、人材確保や組織の活性化に役立つ方法を模索している方は、ぜひお役立てください。 

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エンゲージメントとは|定義や意味を解説

エンゲージメントとは「婚約」「誓約」「約束」「契約」などの意味を持ち、英語では「engagement」と表記します。ビジネスシーンにおいては、人事領域・マーケティング領域などで活用され、それぞれの活用場面によって意味合いは異なるものの、いずれも「深いつながりをもった関係性」を表します。 

人事領域における「エンゲージメント」とは  

人事領域におけるエンゲージメントとは、「職場(企業・団体)と従業員の関係性」「従業員と組織の心的なつながり」を表し、従業員が会社に対して持っている愛着心や思い入れ、会社方針への共感を意味しています。人事領域におけるエンゲージメントは、「従業員エンゲージメント」や「ワーク・エンゲージメント」と呼ばれることもあります。従業員エンゲージメントについては、のちほど詳しく解説します。 

職場(企業・団体)への愛着が高い=エンゲージメントが高いと、企業への貢献意欲や業績の向上につながるという考えから、従業員エンゲージメントの向上を重要な経営課題として捉え、さまざまな取り組みを実施する企業が増えています。しかし、企業によって「どのような状態がエンゲージメントが高いといえるのか」という定義はさまざまです。そのため、エンゲージメントを向上させるためには、その企業ならではの定義を行う必要があります。

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マーケティングにおける「エンゲージメント」とは

マーケティング領域におけるエンゲージメントとは一般的に「顧客エンゲージメント」のことを意味し、「顧客が企業をどれだけ信頼しているか」「愛着を持っているか」といった指標を表すものです。 

企業を信頼している顧客は、製品やサービスを利用しやすいため、アップセルやクロスセルによる業績向上が期待できます。また、顧客エンゲージメントが高まることで、顧客が生涯を通して企業にもたらす利益(LTV)の向上や安定につながります。企業側としては、顧客からの商品レビューや要望などを集め、改善や改良につなげることが可能です。 

なお、近年主流となっているSNSマーケティングでは、ユーザーの反応の総数をエンゲージメントと呼ぶことがあります。エンゲージメント率は、マーケティングに直結する重要な指標としてKPIに設定されることもあります。 

従業員エンゲージメントとは

ビジネスシーンでは、「従業員エンゲージメント」という言葉がよく使われます。ここでは、従業員エンゲージメントの定義や意味について解説します。また、エンゲージメントと似た意味を持つ「従業員満足度」や「ロイヤルティ」「ワーク・エンゲージメント」との違いについても見ていきましょう。 

従業員(社員)エンゲージメントとは|定義を解説 

「従業員エンゲージメント」は、企業と従業員の信頼関係や愛着心を表します。個人や組織の成長の方向性が連動していて、お互いが貢献し合える関係であることを指し、社風や環境への適合感や貢献度、仲間意識といった要素だけではなく、社員の企業に対する誇りや業務のやりがいが大きいほど、従業員エンゲージメントが高いといえます。 

また、社員が企業へ貢献することを約束し、企業がその貢献に対する報酬や補償を約束するという考え方そのものを「従業員エンゲージメント」と捉えることもあります。 

従業員エンゲージメントと従業員満足度の違い 

従業員エンゲージメントと似た言葉に、「従業員満足度」があります。従業員満足度とは、「従業員が自分の仕事や職場に満足をしているか」を意味します。従業員満足度は、給与や福利厚生などの待遇、業務内容や職場の人間関係、ワークライフバランスといった要素に影響されるのが大きな特徴です。社員自身の価値観や基準が含まれており、企業側の取り組み次第で変わりやすい傾向があります。 

一方、従業員エンゲージメントは、「従業員が組織に対してどのくらい情熱を持ち、価値観に共感しているか」「組織の目標に対して関心を持ち、貢献しようとしているか」という意味を持ちます。つまり、従業員満足度は従業員の幸福感や満足度を測定し、従業員エンゲージメントは従業員の献身度を測定するという違いがあります。 

従業員エンゲージメントとロイヤルティの違い 

「ロイヤルティ(Loyalty)」は忠誠心という英単語であり、「社員が企業や組織に対して忠誠心を持って行動すること」を意味します。従業員エンゲージメントは企業と社員が同等な関係であるのに対し、ロイヤルティは主従関係を前提とし、従業員から企業への一方的な忠誠心を表すという違いがあります。 

従業員エンゲージメントとワーク・エンゲージメントの違い 

ワーク・エンゲージメントとは、従業員が仕事に対してやりがいを持ち、モチベーションを高く持って充実して働ける心理的状態を表します。また、ワーク・エンゲージメントと従業員エンゲージメントは、同じ意味として使用することが多いです。 

厳密な違いを挙げるならば、従業員エンゲージメントは「従業員の企業に対する愛着」であるのに対し、ワーク・エンゲージメントは「従業員の仕事に対する愛着」を意味します。 

エンゲージメントを高める重要性 

近年、日本において、エンゲージメントの重要性が高まっています。なぜなら、「自分らしく働ける職場であること」や自分の生活と仕事を両立させる「ワークライフバランス」を理由に企業を選ぶ人が増えたからです。また、現在の就職活動が売り手市場なこともあり、企業の採用も難しくなっています。そのため、今いる従業員の離職率を下げ、定着率を高めることができるエンゲージメントという概念が注目されているのです。 

実際に、日本のエンゲージメントレベルは低く、米ギャラップ社が2023年に発表した「State of the Global Workplace: 2023 Report」によると、日本で「エンゲージしている」と答える社員の割合が、わずか5%という大変低い数値となっています。そのため、従来の働き方を根本的に見直す必要があると言えるでしょう。 

参考:
Gallup.(2023)“State of the Global Workplace:2023 Report”
https://www.gallup.com/workplace/349484/state-of-the-global-workplace-report.aspx 

従業員のエンゲージメントを高める5つのメリット 

従業員のエンゲージメントを高めることで、さまざまな企業課題の解決につながります。ここでは、エンゲージメントの向上がもたらす5つのメリットについて解説します。 

組織の活性化 

エンゲージメントの高い従業員は、企業の理念や自分の仕事に対して積極的な姿勢や熱意を持っており、問題解決や成長のために自ら考えて行動します。自発的に業務に取り組む従業員が増えるほど、前向きな社風が定着していき、組織全体の活性化につながることが期待できます。 

また、消極的でマンネリ化を抱えている従業員や部署があっても、エンゲージメントの高い組織の影響を受けて、業務に対する積極性や貢献の重要性を再認識し、変化していく可能性もあります。 

社員のモチベーション向上 

エンゲージメントの構築には、「自分は会社に貢献できている」という貢献実感が必要不可欠です。例えば、上司や経営層から最適なフィードバックを受けられると、従業員は自分の役割と期待されていることを理解し、期待に応えるために自主的な努力を続けるようになります。成果が達成できると、会社への貢献実感も感じられやすくなり、エンゲージメントが高い状態を維持する好循環を生み出すことができます。 

また、組織との心的なつながりが強化されると、成果が達成できなかった場合でも、企業との信頼関係によってモチベーションが保たれ、次につなげようとするチャレンジ精神を生み出します。 

③ 離職率の低下(定着率の向上)

エンゲージメントが高い状態を維持できると、従業員のメンタルヘルス不調の予防にもつながり、早期離職を防ぐ効果が期待できます。エンゲージメントが高い従業員は、労働上のつながりだけではなく、そこで働くことに価値を見出しているため、信頼・愛着心があるその職場で長く働きたいと考えています。 

さまざまな要素によってエンゲージメントを高めることができれば、優秀な従業員の離職を予防し、経験やノウハウが豊富な人材の確保につながります。仕事や職場に対して消極的な従業員は、不安や不満を感じやすく、心身の不調により休職や退職をするリスクがあるため、エンゲージメントを高め、離職の予防に努めましょう。 

人材確保 

最近は、終身雇用・年功序列制から成果報酬制への移行や働き方の多様化によって、人材の流動化が進んでいます。 このような背景から、多くの企業が早期離職率の上昇や経営層候補を含む優秀な人材の確保に苦戦しており、組織全体の活性化を目指して、エンゲージメントの向上に取り組んでいます。 

また近年は、従業員の友人や元同僚による紹介で採用する「リファラル採用」を行う企業が増えています。エンゲージメントが高まることで、企業に対して愛着や忠誠心を持つ従業員が、周囲の人へ自分の職場を紹介してくれる可能性が高まり、スムーズに求める人材を確保できるようになります。リファラル採用については、関連記事で詳しく解説しています。 

関連記事:リファラル採用は難しい?トラブルを避けて成功させるコツ 

⑤ 生産性・業績の向上 

エンゲージメントの向上は、従業員の継続的な貢献性に直結するため、生産性や業績の長期的な向上につながります。一般的に、エンゲージメントが高い従業員は、企業の方向性やビジョンに共感し、組織への愛着が強い傾向にあります。 

事業課題や利益向上に対して積極的に取り組む姿勢を持っているため、組織全体の生産性向上や、商品・サービスの品質向上や売上増加、企業の競争力アップといった効果も期待できます。 

社員のエンゲージメントを高める方法

ここからは、社員のエンゲージメントを高める7つのポイントを紹介していきます。エンゲージメントの向上を図るためには、給与アップや労働環境の改善に加えて、企業ビジョンの理解や成長支援の機会づくりを通して、双方にとって理想の組織を目指す必要があります。エンゲージメントの高い企業を構築し、課題解決や利益増加につなげるためにぜひお役立てください。 

社員の価値観を把握する 

定期的にヒアリングやアンケートを実施し、従業員のエンゲージメントの現状を把握することから始めましょう。実際に働く上で何を重要視しているか、仕事に誇りを感じているか、などの回答を集め、従業員の労働意識を理解することで、注力すべき課題が具体的に見えてきます。 

社内アンケートの手段として、「エンゲージメントサーベイ」があります。エンゲージメントサーベイとは、従業員エンゲージメントを数値化することで、現状を把握する社内調査です。調査結果は、エンゲージメントの向上に向けた対策に活用できるだけでなく、フィードバックや人事施策、従業員のフォローアップなどさまざまな用途で役立ちます。エンゲージメントサーベイについて詳しく知りたい方はこちらの関連記事をご覧ください。 

▼社員と会社の目線を合わせてエンゲージメントを向上させたい方はこちら!▼ 
エンゲージメントサーベイの活用シーン 

企業の理念やビジョンを発信する 

企業が進むべき方向性やビジョンを、従業員へ発信することも重要です。企業理念やミッションは、エンゲージメントの向上に欠かせない要素で、正しく従業員に伝わっていないと目的意識や方向性の欠如を招く可能性があります。また、従業員が自分の役割や貢献の重要性を理解するためにも、企業組織としてのビジョンの共有が重要です。 

理念やビジョンが社員に浸透するように定期的な発信をすることで、社内文化として定着していきます。経営層や上司からの一方的な発信だけではなく、振り返りの時間を設けて社員の理解を確認しましょう。 

社内コミュニケーションを活発化させる 

エンゲージメントを高めるためには、職場の良好な雰囲気や円滑な人間関係の維持も重要です。社内におけるコミュニケーションが活発化するほど、組織への愛着心が生まれやすくなります。 

普段の仕事で接点がない従業員同士でランチ交流を行う「シャッフルランチ」や「1on1ミーティング」など、従業員同士のコミュニケーション活性化に役立つ方法はいくつかあります。複数の施策を実践することで、横のつながりが深まり、業務の円滑化にもつながるでしょう。 

▼1on1上手くできていないとお悩みではないですか?おすすめの記事はこちら▼ 
組織の一体感を生む「1on1」推進のポイント 

働きやすい職場環境づくりを行う 

「働きやすい職場環境づくり」と聞くと、健康経営の推進やワークライフバランスの向上を連想する方も多いかもしれません。従業員が心身ともに健やかな状態を保ち、意欲的に仕事に取り組めると、生産性向上や利益増加につながり、結果的にエンゲージメントが高い状態を維持しやすくなります。 

具体的には、適材適所を促しつつ、全社員が健全に働けているかどうかを確認します。また、長時間労働の常態化などの課題を解決すべく労働環境の整備を行い、必要に応じて評価制度の見直しやフレックスタイム制の導入を検討しましょう。 

教育・研修を実施し成長支援を行う 

従業員の教育研修は、仕事に役立つスキルや知識を習得することができるため、各従業員が自らの成長を実感できる仕組みとして必須です。 

また、組織全体のエンゲージメントを高めるためには、上司の管理能力やコミュニケーション力が必要不可欠です。なぜなら、上司や先輩の指導方法や接し方は、従業員のやる気を左右するからです。マネジメント力やリーダーシップを強化するためのマネジメント研修や、直属の上司以外の人がメンターとして指導する「メンター・メンティー制度」は、個人の成長を促す方法として有用です。メンター・メンティー制度については関連記事で詳しく解説しています。 

関連記事:メンター制度とは?目的や導入ステップ・メリットデメリットを紹介 

社員にオーナーシップを持たせる 

社員が自らオーナーシップを持って自発的に取り組むことで、成果を出しやすくなる傾向があり、長期的なエンゲージメントの向上が見込めます。 

具体的には、日ごろから立場によらず自由に発言しやすい環境を整備し、上司の権限を部下に任せましょう。上司の指示を待つのではなく、従業員が自ら判断し行動する機会を増やすことで、オーナーシップの習得を促します。 

タレントマネジメントシステムを活用する 

従業員個人の能力やスキルを一元管理する「タレントマネジメントシステム」の活用により、適切な人材配置が実現することで、従業員一人ひとりが持つ能力を最大限に発揮できるため、エンゲージメントの向上が見込めます。 

タレントマネジメントシステムを活用すれば、業務に直接役立つスキルや経験だけでなく、価値観や意欲、目指す方向性などより深い部分まで可視化して管理することができます。 

エンゲージメントを高めるタレントマネジメントシステム「CYDAS」 

離職防止や健康経営などの流れを受けて、企業における従業員エンゲージメントの向上が重要視されています。長期的な顧客満足度の向上や売上増加に向けて、従業員エンゲージメントの現状を把握して、向上に向けた施策を取り入れましょう。 

「CYDAS(サイダス)」は、キャリアオーナーシップの考え方に基づいた人材管理プラットフォームです。個人のスキルから価値観、キャリアプランまでを可視化、管理できます。また、タレントマネジメントに役立つ幅広いモジュールを搭載しており、1つのプラットフォームとしてエンゲージメントの向上をサポートします。 

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