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2022.6.21

適切な営業目標の設定の仕方とは?効果的なメソッドやポイントを解説

営業活動を行う際、目標を立てて成績向上を目指すことが多いでしょう。しかし、その目標が効果的に立てられていなかったら、期待した成果にはつながらない可能性があります。目標を何のために設定するのかということをあらかじめ理解しておかなければ、適切な営業目標を立てることはできません。

そこで今回は、営業目標の設定の仕方やそのためのメソッド、目標達成のために気をつけるべきポイントについて詳しく解説します。

そもそもなんで営業目標を設定するの?

会社にはそれぞれビジョンがあります。社会貢献などは数値化できない抽象的なビジョンですが、会社の売り上げ規模や成長率など、会社のビジョンには数値化できるものがたくさんあります。営業目標も数値化できる具体的なビジョンのひとつです。会社が掲げているビジョンに近づくために、社内の営業部や営業パーソンが立てるのが営業目標です。多くの場合、営業目標は期待する売上高を達成するために立てられます。しかし、営業目標を立てる意味はそれだけではありません。営業目標は部下の成績を管理するための数値でもあります。営業目標を達成するために新規顧客への訪問数やアンケート用紙獲得数、リピート率、粗利益率などを営業目標達成のためのサブ目標とするのです。

サブ目標の達成率や進捗状況を見ることで、部下がどのような働きをしているのかを確認することができるでしょう。これを利用して、部下を適切に管理できます。また、部下が自ら目標を設定することで仕事の進捗や実績を主体的に管理できるようになり、モチベーションがアップするという効果も期待できます。重要なことは、目標はあくまでも達成可能なものにすることです。適切な方法で行った目標設定は社員のモチベーションアップや成績管理に大きく役立ちます。また、営業成績に基づいた適切な評価を行う助けにもなるでしょう。

営業目標を立てるためのメソッド

実際に営業目標を立てるには、どのような方法があるのでしょうか。営業目標を立てる方法にはさまざまなものがありますが、あらかじめ自分に合った適切な目標設定方法を熟知しておけば、よりしっかりと個々の社員の営業目標を管理できるようになるでしょう。ここからは、営業目標を立てるためのメソッドについてよく知られている方法を3つ詳しく紹介します。

ベーシック法

ベーシック法は目標設定メソッドの中でも基本的なものとして知られています。具体的には、項目設定、達成基準、達成期限、達成計画の4ステップに分けて順番に目標設定をしていくという方法です。目標を一度に考えるのではなく、細分化しながら順番に考えていくことで頭の中を整理できます。それだけでなく、より緻密で具体的な目標設定ができるようになります。ベーシック法でまず行うのは、目標項目の設定です。このステップでは現時点での自分の強みや弱み、現状維持するのかあるいは新たな取り組みを行うのかを項目に分けて細分化しながら設定していきます。何を達成したいのかがこのステップのポイントです。

次のステップでは目標達成のための基準を設定します。どれくらいの数値を突破することができれば目標達成ということになるのかを具体的に数値化しながら定義していきます。さらに、その目標をいつまでに達成するのかという期限を設けます。最後に、その目標を期日までに達成するにはどのような行動やツール、アプローチが必要なのかを明確にしていきます。

SMARTの法則

SMARTの法則とは、ベーシック法の「目標項目」に重点を置いた目標設定法です。SMARTはそれぞれ「Sprecific(明確で具体的かどうか)」「Measurable(測定できるかどうか)」「Achievement(達成可能かどうか」「Relevant(適切な目標かどうか)」「Time-related(期限はいつまでか)」という5つの因子の頭文字からきています。1981年にコンサルタントのジョージ・T・ドランが、自身の論文「There’s a S.M.A.R.T. way to write management’s goals and objectives」において提唱したものです。その後、さまざまな解釈が生まれたり、付け加えられたりするようになりました。SMARTの法則をさらに発展させたものとして、SMARTERの法則やSMARTTAの法則があります。

それでは5つの因子について解説します。まず、目標は「Specific=明確で具体的」なものでなければなりません。また、明確で具体的であれば数値化できるので「Measurable=計測可能」であることにつながります。さらに、その目標が「Achievement=達成可能」かどうかということも重要なポイントです。精神論や願望を目標にしても意味がありませんし、無理のない範囲で目標を設定することはモチベーションアップにつながるからです。また、目標が仕事と関連性の低いものであってはなりません。設定した目標と業務や会社のミッションとの「Relevant=関連性」もしっかり考えておくべきです。

最後に、目標の「Time-related=期間設定」をすることでその目標はより具体的なものとなります。最終的な目標に向け、進捗状況がどうなっているかを俯瞰することができるからです。SMARTの法則に則った営業目標はどのように設定すればよいのでしょうか。一例をご紹介します。最初に、営業部全体の大きな目標を設定してから個々人レベルでの目標を設定します。「売上額を先月比で+10%」というように定量的かつ明確な目標を設定したとします(SpecificとMeasurable)。すると、そこから設定した目標の実現可能性を上げるためには、どのように営業のやり方を変えていかなければならないのかが見えてくるでしょう。

今度は社員一人ひとりの日常業務に基づいた具体的な行動単位での目標を決めます。たとえば「訪問件数を1日あたり1件増やす」という目標を設定したとします(AchievementとRelevant)。この目標の達成のために「事前準備をしっかり行った上で営業活動を行い、時短を測る」という解決方法が導き出されます。解決に向けて、いつまでに事前準備をしなければならないのかが重要なポイントとなります(Time-related)。このようにして目標設定をしていくのがSMARTの法則です。

SMARTの法則については、こちらで詳しく解説しています。

ベンチマーク法

ベンチマーク法とは、目標設定の際にライバルや競合他社を指標=ベンチマークにする方法です。相手の優れた点を分析することで自分の問題点を把握し、その改善を目指していきます。ベンチマーク法を行う際の順序は、「計画」「情報収集」「統合」「実施検証」です。「計画」の段階で注意するべきポイントは、ベンチマークの対象とする会社と自身が達成したい目標との兼ね合いに気をつけることです。ベンチマーク法の目的はベンチマークを超えることにあります。そのため、あまりにも規模の異なる企業を自社のベンチマークとして選んでは意味がありません。

「情報収集」の段階では、対象としたベンチマークと自社との間のギャップを抽出していきます。そうして、両社との間にギャップが生まれている原因を分析しましょう。原因の仮説を立てることでより目標設定の効果を高めることができます。「統合」の段階では、情報収集の段階で明らかになった差異を埋めるためにどうするべきかを考えます。分析した結果と現状から、より細かい目標を設定していきましょう。最後に「実施検証」の段階ではギャップを埋めるための施策を実際に行い、その施策が本当に適したものなのかどうかを確認します。検証結果を記録し、次につなげることも大切です。

営業目標を達成するために大切なポイントとは?

営業目標を立てるための手法をお伝えしましたが、実施する上で気を付けなければならないことはなんでしょうか。さまざまな方法がありますが、自分に合った適切な目標設定方法を熟知しておけば、よりしっかりと個々の社員の営業目標を管理できるようになるでしょう。ここからは、営業目標設定のために意識するべき大切なポイントについて紹介します。

目標達成状況を常に把握する

まず重要なことは、目標達成状況を常に把握しておくことです。目標に対して実際に活動していくうちに、その目標と離れていってしまうことや、その目標自体が正しいのかどうか分からなくなるといったことがよくあります。また、何か問題が発生した場合、そのことに気づくまでの時間が短ければ短いほど対処がしやすくなるものです。そこで、営業目標として設定した結果目標や行動目標に対しては、その進捗状況を常に把握しておくようにしましょう。

しかし、膨大なメンバーの進捗状況を管理するのは大変だというケースも往々にしてあります。そのような場合、現状把握に時間をとられて肝心の営業活動がおろそかになってしまっては元も子もありません。ですから、効率的な方法やSFAなどの目標管理ツールを積極的に導入することが大切です。また、「行動目標」「締め切り」「成果」の3つの要素が織り込まれた目標管理シートを取り入れるのもひとつの方法です。

会社の現状を把握する

営業目標は会社の掲げる売上目標から逆算されます。売上目標は前年度の実績や成長率、市場の景況感などを考慮して決定するため、目標設定の際には自社の営業活動における取り組みだけでなく、競合他社の状況や取り組み予定の事業などについても充分に把握しておくことが大切です。目標を設定・管理する側が会社の売上目標や経営戦略といった大局的な視点を持ち合わせていない場合、部下に対してなぜそのような目標を立てる必要があるのか、その目標が会社のビジョンとどうつながるのかといった説明ができなくなります。このことは社員からの信頼を得られるかどうかに大きく関わってくるポイントです。

また、目標設定は会社や市場の状況といった外部の状況と自社の社員の能力や置かれている内部の状況の両方をよく俯瞰して行うことが大切です。たとえ達成したい目標であっても、部下に対して無理難題を押し付けるようでは効果が期待できません。それだけでなく、達成できない目標を設定することは部下のモチベーション低下にもつながってしまいます。目標が現実的なものかどうかを判断するために、あらかじめ社外と社内の両方の状況をよしっかり調べて比較することが重要です。

同時に行動目標を設定する

目標設定をする際には、営業目標だけを決めるのではなく、同時にその目標を達成するための行動目標も設定し、社員一人ひとりの行動単位にまで落とし込めるようにしましょう。とりわけ新人など経験値が足りない社員に対しては充分な配慮が必要です。売上目標を達成するためには具体的にどのような行動をどれくらいこなせばよいのかというレベルにまで細分化しましょう。目標は細分化すればするほど具体的になり、理解しやすくなります。また、小さな目標達成を何度も繰り返すことはモチベーションアップにつながり、新人社員の育成につながるでしょう。

たとえば、まず営業目標の達成のために必要な受注件数を算出し、その受注件数を達成するためにどれくらいの行動量のどういったプロセスを経なければならないかという目標を設定します。そうすることで経験の浅い社員でも何をしなければならないかが明確になります。また、目標の数字も月別や週別単位で区切るようにしましょう。期間を明示しながら行動目標の数字を導き出した方がより伝わりやすくなるからです。その一方、経験豊富な社員の場合にはそこまで細かな目標設定をしなくてもよいケースもあります。それぞれの社員の経験や実力に合わせることが大切です。

フィードバックを実施する

目標管理を設定した際には、できるだけこまめに定期的なフィードバックを実施しましょう。そうすることで営業チームのモチベーションが上がり、全体的な成績の底上げを狙えます。フィードバックとは目標達成のための行動の軌道修正や動機付けのため、口頭や文章で上司が部下に教育、指摘、評価を行うことです。日常の業務にフィードバックという他者の視点が介入することにより、より俯瞰的な視点で物事を捉えることができるようになります。

フィードバックを行う側が注意するべきポイントは、フィードバックを受け取る側の立場に立って話すことです。高圧的な態度でフィードバックを行うと、相手を萎縮させてしまいます。それでは十分なパフォーマンスが期待できなくなります。そうしたことにならないよう、しっかりと心理的安全を確保した状況でのフィードバックをすることが大切です。また、適切なフィードバックを行うことは営業目標達成のためだけではありません。そうした機会を設けることは社員とのコミュニケーションをとることにもつながります。そして、結果的に会社そのものの活性化にもつながるでしょう。

根拠のある数字をもとに適切な営業目標を設定しよう

営業管理目標を設定することは、企業の経営戦略を実現するために重要なことです。やらなければならないことや改善しなければならないことを早期に発見し、具体的な行動につなげることができるからです。社員一人ひとりが適切な営業目標を設定することは会社の業績の上昇だけでなく、社員の育成にもつながります。具体的な営業目標を立てて、会社全体の利益につなげていきましょう。

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