2021.5.26
人材育成を促すタレントマネジメントとは|企業の成功事例も紹介
働き方が多様化し、人々の仕事に対する意識が変化しているなか、企業の人材に対しての向き合い方も変化しています。なかでも、能力の高い人材を採用し、成果を出しやすくするための人事戦略「タレントマネジメント」が今、注目されています。そこで今回は、タレントマネジメントの概要やメリット、実際にサイダスのタレントマネジメントシステムを取り入れている企業の事例などをご紹介します。
タレントマネジメントとは
タレントマネジメントの定義や誕生の背景、今日本で注目されている理由などについて、概要について詳しく解説していきます。
タレントマネジメントの定義
現在のところ、タレントマネジメントに一元化された定義はありません。
1948年に創設したSHRM(Society for Human Resource Management:全米人材マネジメント協会)や、1994年創設のASTD(American Society for Training & Development:米国人材開発機構)、リクルートワークス研究所などが、独自の定義を発表しており、それぞれで少しずつ内容が異なります。
共通するのは、個人の能力やスキルを最大限発揮できる環境を整えることによって、生産性向上や成果に結びつき、企業にとってプラスの効果をもたらすものであるという点です。
タレントマネジメントの始まりはアメリカ
アメリカでは、自身のスキルや経験を活かすために、キャリアアップを目指して転職を繰り返すのが一般的です。そのため、人材の流動性が高く、優れた能力やスキルを持つ人材が定着しにくい状況にありました。そこで、優秀な人材には長く自社に勤めてもらうための人材開発手法として、タレントマネジメントは1990年代に始まりました。
日本で注目される背景と課題
1990年代の日本は終身雇用制を基本とし、人材の流動性は低く、タレントマネジメントを取り入れる必要はありませんでした。 しかし「労働市場の変化」、「経営環境の変化」、「働き方の変化」の波が押し寄せ、企業を取り巻くさまざまな状況が変化すると、優秀な人材を定着化させるためのマネジメント制度が求められるようになりました。その背景を詳しく見ていきましょう。
労働市場の変化
少子化による人口減少によって、労働人口も減少傾向にあります。また、年功序列、終身雇用制度が崩壊しつつあるなか、新卒一括採用で社員を増やし、定年まで働いてもらう、というスタイルが変わりつつあります。
経営環境の変化
企業がターゲットとする市場は、日本国内のみならず、世界へと広がっています。グローバルな規模で競争を強いられるなか、必要なのはオリジナリティのあるアイデアや商品の開発です。そのためには、優秀な人材の確保が欠かせません。また、急速なテクノロジー発展によって、市場の変化のスピードもあがっています。変化への柔軟な対応にも、経験豊富で能力の高い人材の力が必要とされています。
働き方の変化
仕事に対する考え方、プライベートと仕事のバランスの取り方など、働き方に対する人々の価値観が変化しています。会社や組織に依存しない働き方を理想とし、個人のスキルアップや、ワークライフバランスを重視する人が増えています。企業はモチベーションアップのための施策、社内での理想的なキャリアアップの提示など、優秀な人材にできるだけ長く勤め続けてもらえるような環境づくりをすることが必要です。
タレントマネジメントの目的と効果
タレントマネジメントは、運営自体を目的にしてしまうと、制度の利点が活かされません。あくまで「経営目標を達成するための手段」であることを踏まえ、タレントマネジメントのおもな効果といえる次の4点を達成しましょう。
戦略的な人材配置
サイダスのタレントマネジメントシステムを導入すると、戦略的な人事配置ができるようになります。
社員それぞれのスキルや能力はもちろん、仕事への価値観や将来のキャリアビジョンを把握でき、社員の誰にどの業務を任せれば、より高い成果が上がるのかを予測できるようになるからです。
さらに、業務の効率化や生産性のアップも期待できます。能力やスキルが活かせる環境で働くことにより、社員は自身が持つ力を最大限発揮できるようになり、仕事に対するモチベーションがアップするためです。会社に対する帰属意識の高まりや、愛社精神の醸成にもつながるでしょう。
人材育成の促進
人材育成の促進においてもタレントマネジメントは有効的です。
スキルや能力に応じた人材配置はもちろん、社員がどのようなキャリアプランを描いているのか、今後どのようなスキルや経験を身に付けたいのかを把握できるからです。
身に付けたいスキルを学べる部署への異動、研修などのトレーニングを実施してサポートすることで、社員の意欲向上につながります。また、社員が特定のスキルを身に付ければ、生産性や品質の向上も期待できます。
適切な人材の採用
タレントマネジメントを用いた人材配置を行うと、採用時にも役に立ちます。
なぜなら、それまでそのポジションにいた人材の持つスキルや能力について把握したうえで、どのようなスキルや経験のある人材が必要なのかを具体的にイメージすることができるからです。
また、求職者に対して入社後のポジションが果たす役割や、業務によって身に付くスキル、今後のキャリアなどについて明確に伝えることも可能ですので、求職者とのマッチングにズレが生じにくなります。
人材の定着
社員の定着率向上にも、タレントマネジメントは効果があります。人材が社内に定着しないのは、スキルや能力を活かせる仕事を任されない場合や、キャリアプランを描きづらいという理由が大きいものですが、タレントマネジメントの導入によって、そのような不満を解消することができます。社員の悩みや不安などを早期に受け止め、一人ひとりにしっかりと向き合うことで、信頼関係の向上につながり、人材流出を食い止める一助となるでしょう。
タレントマネジメントを導入・活用している企業の事例
実際にサイダスのタレントマネジメントシステムを導入している3つの企業の事例をご紹介します。
セガサミーホールディングス株式会社
人材価値の最大化を目標とし、”人と組織”が持続的に成長していける仕組みづくりに
エンタテインメントコンテンツ事業、遊技機事業、リゾート事業などを手掛けるセガサミーホールディングス株式会社の社員数は、グループ全体で7000人を超え、その内の7割がプランナー、デザイナー、エンジニアなど、“ものづくり系”の人員です。 社員のスキルや経験などの「キャリア情報」が見えず、適切な組織編成や人材配置ができないことを課題としていました。そこで、現場に埋もれていた人事情報を集約し、戦略的に活用できる形で可視化するため、2013年にサイダスのタレントマネジメントシステムを導入されました。
タレントマネジメントシステムは人事だけでなく、現場マネジメントにも活用されています。また、目標管理と人事考課にかかわる業務負担の大幅な軽減にもつながりました。従業員満足度調査などと連携することで、新しい角度から組織の課題に対してアプローチすることもできるようになっています。
※2014年当時
株式会社大分銀行
一人ひとりの「Will」を見える化して、その思いを組織の力にするために
株式会社大分銀行は、1893年(明治26年)に創立し、店舗数94カ店、従業員数1,635名を抱える老舗銀行です。デジタル化によって銀行を取り巻く状況が急激に変化しています。
大分銀行でも、地域に貢献しながら収益率もキープしていくため、窓口業務から営業に携わる人材を増やしていく必要がありました。
しかし、会社都合による数合わせのキャリアチェンジでは社員のモチベーションは上がりません。そこで、一番大切にしたい「何をしたいと思っているのかというWill(志:こころざし)の部分」を、キャリアプランシートのような形で可視化するために、サイダスの「CYDAS PEOPLE」の導入されました。
キャリアプランシートが可視化され一元管理されることで、キャリアプランに即した育成計画、実効性のある研修の実施を実現できると考えられています。また、「数字」だけではなく、お客様への提案をベースにした「行動プロセス評価」も管理することで、従業員自身も自分の成長を見ることができ、モチベーションに繋がると期待されています。
※2020年当時
株式会社新生銀行
適材適所の配置のために、評価軸の統一を実現
2000年に誕生した新生銀行は、銀行業務だけでなく、リース業や決済事業、個人ローン事業などを各グループ企業で展開し、グループ全体で5000人以上の社員を抱えています。
2017年のグループ会社統合を機に、サイダスのタレントマネジメントシステムを導入されました。グループ企業とはいっても、もともとは別会社であり、人事・報酬制度も管理している従業員情報の項目や様式もバラバラでした。そこでタレントマネジメントシステムを活用し、適材適所の配置に重要である「評価軸の統一」を実現しました。
今後は、分析機能や人工知能(AI)なども積極的に活用しながら、組織が人材のタレントを管理することで、組織と社員がwin-winの関係を構築することを目指しています。
※2017年当時
タレントマネジメントシステムの資料をチェック
◆ワンプラットフォームで運用できるCYDAS PEOPLE
タレントマネジメントシステムといっても搭載の機能はさまざまです。選ぶ際には実現したいことをできるだけシンプルに一元化できるシステムを選ぶことがポイントです。