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2021.3.18

休業補償とは?適用条件や金額の算出方法とは

休業した場合に、会社からの給与支払いが止まると収入が途絶えてしまうため、生活が困難になるケースもあるでしょう。ただし、休業時には休業補償や休業手当が支払われる場合があります。休業補償給付はどのような支払いが行われているのか、あらかじめ理解しておくことが大切です。この記事では、休業補償と休業手当の違いやそれぞれの適用条件、補償・手当の金額算出方法などについて解説します。

労災による休業補償とは

休業補償とは、業務上の負傷や疾病によって働くことが難しくなり、休業した場合に労災保険(労働者災害補償保険)から支払われる補償のことです。業務時の事故はもちろんのこと、通勤時の交通事故などの理由も休業補償の対象内になります。労働基準法では、雇用している従業員が業務上災害により休業したときは、事業主が補償を行うことを義務付けています。ただし、中小企業などでは会社として休業補償を行うことが財務状況によっては困難な場合もあり、会社に対して補償支払いを義務付けるだけでは休業する従業員が救済されない可能性があることが問題です。そこで、会社は労災保険の適用を受けて保険料を支払い、休業補償の支払いを行う必要が生じた場合に、保険から給付が行われる仕組みをとっています。
休業補償は、業務上の負傷・疾病に対する治療費はもちろん、生活を守るために必要となるものまで給付されます。具体的には、休業しなければ支払われる予定であった賃金の一定額について、給付が行われる仕組みです。休業3日目までは、休業補償の支払いはありませんが、4日目から給付対象となります。補償金額は、平均賃金の8割です。給与の支払いを受けた場合、給与所得として所得税の課税対象となりますが、休業補償は所得ではなく賃金という扱いにならないため、給付を受けた補償金額には所得税は課されません。

休業補償給付の適用条件とその期間

休業補償を受けるためには、労災保険で定められている適用条件を満たしていることが必要です。主な適用条件は、2つあります。1つは、「業務上の負傷や疾病によって労働が困難な状況」ということです。例えば業務中に骨折した場合、休業期間中は労災の休業補償の対象になり、休業中の補償を受け取ることが出来ます。たとえ業務上の負傷などであっても、働くことに支障がなければ休業補償は受けられません。ただし、負傷などに関する治療費は給付されます。なお、労働基準法で事業主に支払い義務を課しているのは業務上の休業に対する補償だけです。しかし、労災保険では通勤中の負傷・疾病による休業についても休業給付が行われます。
もう1つの条件は、「労働による賃金の支払いを受けていない」ということです。休業補償は、賃金の支払いがなかったことによる従業員の経済的な損害を補てんします。そのため、労働による対価の支払いがあれば、補償は必要ないということです。例えば、通勤中に負傷したために自宅で療養をしながら在宅で仕事をしたとしても、賃金の支払いがあれば休業とは取り扱われず、休業補償の対象外となります。この適用条件を満たす場合は、労災の休業補償を受けることができる期間は、休業四日目からとなります。ここまで聞くと「休業補償期間はいつまで給付されるのだろう」と考える人も多いと思います。一般的には「病院で完治したと医師の証明があった場合」「傷病保証年金に移行した場合」この二つを経て休業補償は終了となります。

休業補償額の算出方法

会社の経営者や担当者は、業務上の負傷や疾病などによる休業をした場合に、労災保険から休業補償がいくら支払われるのかについて知っておくことは大切です。そのためには、休業補償額の算出方法を理解しておく必要があるでしょう。休業補償額は、休業1日につき給付基礎日額の80%で計算します。ただし、休業する場合であっても「一部の所定労働時間については働いた」というケースもあるでしょう。その労働に対して、賃金が支払われる場合は、その日の給付基礎日額から支払われる賃金額を控除した残額の80%が休業補償額となります。
給付基礎日額とは、労働基準法上で定められている平均賃金に相当する額のことで、1日あたりの給料だとイメージするとよいでしょう。平均賃金は、過去3カ月間に支払われた賃金の1日あたりの平均額とされています。つまり、休業補償額は、休業しなければもらえるはずだった給料の約8割を補償するという考え方になっているのです。

休業補償と休業手当の違い

休業補償と似た性質があるものとして、休業手当があります。休業手当とは、会社や事業者などの使用者側の責任で労働者を休業させた場合に支払う手当のことです。労働者が働ける状態であったとしても、会社都合で休業をせざるをえない場合もあります。そういった場合などに、労働者の最低限の生活を保障するために支払うものが休業手当です。休業手当は、使用者側の都合による休業だけでなく、業務上の負傷や疾病による休業、産前・産後・育児・介護による休業においても支払われる可能性があります。また、天災などによって事業所が被災して稼働できずに休業を余儀なくされる場合についても対象です。
新型コロナウイルスにおいては、濃厚接触者・感染が疑われる社員を休ませる場合には、休業手当の支払い義務が生じる場合があります。ただし、不可抗力による休業の場合は支払わなくて良い場合があります。不可抗力とは、①原因が事業の外部で発生した事故であること②事業主が最大限注意をしても避けることができない事故であることが要件です。また、感染が確定している場合は休業手当を支払う必要はありません。休業補償と休業手当には、主に2つの相違点があります。1つは、休業手当が想定している休業は、不景気や生産調整などによる会社都合によるものであるのに対して、休業補償は業務災害を想定していることです。もう1つは、支払われるものに対する社会保険・税金の取扱いの違いです。休業手当は、賃金として支払われるため、雇用保険・健康保険、所得税など社会保険や所得税の対象になります。一方、休業補償は賃金扱いにはならないため、社会保険料や所得税はかかりません。

休業手当額の計算方法

経営者や担当者は、休業補償額だけでなく休業手当額の算出方法についても理解しておくことが必要です。休業手当額は、平均賃金の6割以上の額といわれています。平均賃金の考え方は、休業補償と同じく「3カ月間の賃金の総額÷3カ月間の総日数(歴日数)」です。賃金の総額には、交通費や残業代など原則としてすべての賃金が含まれることになっています。ただし、賃金総額からは結婚手当や退職金など臨時的に支払われるものは控除することが必要です。また、3カ月を超える期間ごとに支払われる賞与も対象には含めません。さらに、労働協約で規定されている現物給与についても総額に含めずに平均賃金を算出することになっています。
平均賃金を算出する場合に使用する暦日数は、3カ月間の暦日数を単純に使用して計算するのではなく、通常労働できる期間の暦日数にすることにも注意が必要です。以下の期間は歴日数から差し引いてカウントします。
・雇用側の都合で会社が休業した期間
・業務上の負傷・疾病によって休業した期間
・産前・産後・育児で休業した期間、介護により休業した期間
・試用期間

非正規雇用労働者の場合

非正規雇用労働者のタイプは、パートやアルバイト、派遣労働者、有期雇用労働者などさまざまです。これらの非正規雇用労働者も、労働基準法上の労働者に該当するため、休業補償によって守られる対象となります。基本的には、正規雇用労働者と同じ条件で休業補償額が決まる仕組みです。ただし、時給制や日給制で働いている人の場合は、平均賃金の計算方法が一部異なる点に注意が必要です。時給制・日給制のケースにおいては、「過去3カ月の賃金総額÷その期間の暦日数」と「過去3カ月の賃金総額÷その期間の労働日数×60%」のどちらか高いほうを平均賃金とすることになっています。
また、企業によっては正社員と非正規雇用労働者とでは異なる規程で運用している場合は、注意が必要です。正規雇用と非正規雇用で差をつけていると、パートタイム・有期雇用労働法や労働者派遣法の定める非正規雇用労働者に対する「不合理な待遇の禁止」・「差別的取扱いの禁止」に違反する可能性があります。そのため、早めに待遇差異の解消などの対応をとることが必要です。

休業補償と休業手当の違いを抑えよう!

休業補償と休業手当は、どちらも労働者が休業して会社からの賃金支払いが途絶える状況になった場合の経済的な支えとなります。「休業時の支払いが発生する」という点では似ていますが、休業の定義が微妙に異なるなど相違点もあるため注意が必要です。休業補償と休業手当の仕組みを正しく理解し、いざというときにしっかりと従業員を守れるようにしておく必要があるでしょう。

会社を休業する際には所定の手続きが必要です。このような休業などの「人事に関する手続き」を総称して人事申請と言います。人事申請には細かな入力項目が多く、入力漏れがあると確認作業が発生したり、人事の負担になる場合も少なくありません。人事申請のシステムを活用することで、項目の入力を必須化し、入力漏れを防いだり、決められたルートをあらかじめ設定することで正しく効率的なフローを整備することができます。
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