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2020.12.17

しっかり理解していますか?36協定の概要・休日出勤の扱いについて知ろう

36協定という言葉はご存知でしょう。社会人であれば一度は聞いたことがある言葉かもしれませんが、正確に理解している人は少ないようです。36協定についてよく知らないと、従業員としてもらえるはずの賃金が受け取れないケースや、経営者として正しい給与が支払えないケースがあるかもしれません。知識不足でそうしたことにならないように、本記事では36協定と休日出勤の関係について紹介していきます。

36協定とは

36(サブロク)協定の正式名称は「時間外・休日労働に関する協定届」です。労働基準法第36条では、会社は法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える時間外労働および休日勤務などを従業員に命じる場合、労組などと書面による協定を結び、労働基準監督署に届け出ることを義務付けています。そうした理由から、一般的に「36協定」という名称で呼ばれているのです。36協定により、会社が法定労働時間を超えて労働(法定時間外労働)させる場合、または、法定の休日に労働(法定休日労働)をさせる場合には、労使間において「時間外労働・休日労働に関する協定書」を締結し、別途「36協定届」を労働基準監督署に届け出る必要があります。会社が雇用している労働者がたった1人の場合でも、届け出をしなければなりません。

ただし、36協定と労働者代表の署名、または押印がある場合には協定書と届出書が兼ねられます。また、労働基準監督署に36協定届を届け出ず、労働者に時間外労働をさせた場合には労働基準法違反となります。労働基準法第109条によって、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。

届け出が必要となる時間外労働

届け出が必要となる時間外労働①法定労働時間を超える

36協定届の届け出が必要となるのは、法定労働時間を超えるときです。法定労働時間とは、労働基準法で定められている労働時間の限度をいいます。原則として1日8時間、1週では40時間が限度です。一方、会社ごとの休業規則や雇用契約書には「所定労働時間」と呼ばれる労働時間が定められています。ただし、所定労働時間は、原則として法定労働時間を超えないように設定しなければなりません。

例えば、始業が9時で終業が17時、休憩が1時間という就業形態の会社の場合、1日の所定労働時間は7時間です。このとき、残業をしても1時間以内であれば、時間外労働を含めた場合でも法定労働時間内に収まります。法定労働時間内で行われる残業は法定残業と呼ばれ、36協定の対象外として考えられています。したがって、36協定の届け出は不要です。しかし、残業が1時間を超えてしまうと、法定労働時間を超えた時間外労働時間としてみなされるのです。この場合には、36協定の届け出が求められます。

届け出が必要となる時間外労働②法定休日に働く

届け出が必要となる時間外労働には、法定休日に働くことも挙げられます。法定休日は労働者に対して必ず与えなければならないと法律で定められている休日です。使用者は労働者に対して毎週少なくとも1回、あるいは4週間を通じて4日以上の休日を与える必要があります。これらの法定休日に労働させなければならない場合には、36協定を締結し、労働基準監督署への届け出が求められるのです。

例えば、所定労働時間が7時間で、週休二日制の会社において、土曜日に3時間、日曜日に2時間の休日出勤をしたとします。このとき、週の労働時間は1周40時間という法定労働時間内に収まっているため、法定労働時間だけを考えれば問題はありません。しかし、土日の両方に出勤したのがポイントとなります。この場合には土曜日の休日出勤が法定休日の労働とみなされ、36協定届が必要となります。したがって、このような就業形態がある場合には注意するのがよいでしょう。

ここで、法定休日について説明すると、週休二日制の会社で土曜日は出勤し日曜日を休みにすると、日曜日が週1回の休みとして与えられたことになり、日曜日が法定休日です。しかし、土曜日を休みにし、日曜日に出勤をすると、土曜日が週1回の休みとなり、法定休日として扱われます。さらに、土曜も日曜も出勤したケースでは、その暦週における後順となる土曜日の労働は法定日労働になるのです。これを踏まえて考えると、週休二日制で土曜日に1日だけ出勤すると、休日出勤としては扱われず、時間外労働となります。この場合、労働時間が週40時間に収まっているのであれば、36協定の届け出は必要ありません。

労働時間を延長できる限度がなかった?

労使間で36協定を締結して届け出を出すと、いくらでも労働時間が延長できるのでしょうか。36協定では、「1日」、「1カ月」、「1年」とそれぞれの延長時間が定められますが、延長が可能な時間には限度が設けられています。一般の労働者の場合、1カ月の限度は45時間で、1年では360時間が限度です。1年単位の変形労働時間制の対象者であれば、1カ月の限度は42時間であり、1年では320時間ですので注意しましょう。

実は、これまでの労働基準法では、限度時間を超えた時間外労働が発生する可能性があっても、36協定の「特別条項」に該当している場合には、労働者に無限に残業をさせることができました。特別条項に該当するために求められたのは、36協定届の余白に時間外労働の理由と延長時間を明記するだけです。極めて容易であったことから、多くの会社が特別条項を利用し、労働者に長時間の時間外労働をさせてきました。このような悪しき習慣を断ち切るために法改正が行われ、新たに設けられたのが「時間外労働の上限規制」です。働き方改革の1つともなる時間外労働の上限規制は、大企業で2019年4月から、中小企業は2020年4月から導入されています。これにより、残業時間が法律で制限され、労働者が守られることとなったのです。

36協定の「特別条項」とは

法の改正が行われたものの、繁忙期などは限度時間を超える労働が必要となる会社もあるでしょう。そういった場合には、「特別条項付きの36協定」を届け出ることで限度時間を超えた延長時間の設定ができます。法改正後には特別条項の延長時間に上限制限がつけられるようになり、特別条項付きの36協定を届けない場合には、1カ月45時間が時間外労働の上限です。これは、法定休日労働を除いた時間であり、1年の上限は720時間以内としています。また、時間外労働が1カ月45時間を超える回数は6回以内とされ、年間で6カ月のみ、1カ月45時間を超えた時間外労働が許されるようなったのです。それ以上になると法律違反となりますので注意しましょう。

1年の時間外労働時間の上限は720時間、年間で6カ月は45時間を超えた時間外労働が可能として考えると、時間外労働をしない残りの6カ月で時間外労働ができるのは450時間となります。また、特別条項では、1カ月の上限は100時間未満とも定められているのがポイントです。これは単月での法定時間外労働と法定休日を合わせた時間であり、特別条項によって450時間分の延長が可能な場合でも、1カ月あたり100時間位以上の時間外労働や休日労働は認められません。さらに、2カ月ないし6カ月の時間外労働時間と休日労働時間の平均は、月80時間以内にする必要があります。1年単位や1カ月単位の条件が決められているだけでなく、2カ月から6カ月の平均全てを80時間以内に収めなくてはならないのです。

36協定の限度が当てはまらない業務もある

事業や業務の性質はどこも同じではありません。そのため、業務内容によっては、36協定での限度時間が適用されないケースもみられます。この場合でも、36協定の締結や労働基準監督署への届け出をしなくてもいいわけではありませんので気を付けましょう。まず、土木・建築等の建設関係の事業は36協定の限度が適用されていません。詳しく説明すると、土木・建築・工作物の建設・改造・修理・解体といった業務がこれに当たります。製造業の場合でも、大規模な機械の備えつけや設備も36協定での限度時間が適用されていません。一般的に土木や建築業界の残業時間は長いとされていますが、これは、36協定の限度時間の適用外となるからだと考えられます。

また、自動車の運転業務も36協定の限度が適用されません。自動車の運転業務には、タクシードライバーやバスの運転手、配達業などが挙げられます。さらに、新商品や新技術の研究開発といったクリエイティブな職場でも、36協定の限度は適用されません。この分野には、研究・開発・試験や製造工程での商品開発・検査、システム・コンピュータ開発、マーケティング・リサーチ・デザインなどの開発や研究の業務がありますが、残業が多い職種としても周知されている分野となっています。そのほか、季節によって業務量の変動が激しい分野の中には労働基準監督署に指定された業務があります。これは、造船業や郵便事業の年末年始の業務などです。労働基準監督署から指定されている業務というのは限られています。サービス業や小売業でも繁忙期があるケースが多いものの、労働基準監督署からの指定は受けていませんので注意が必要です。

土曜日出勤は休日出勤ではない?

土日週休二日制の会社の法定休日は日曜日です。そのため、週休二日制の会社で土曜日に1日だけ出勤しても、36協定上では休日出勤とはみなされず、土曜日の出勤は時間外労働として扱われます。しかし、月の時間外労働時間の上限が45時間である場合、その月の平日に40時間残業し、さらに、土曜日に出勤して8時間労働をしてしまうと、その月の時間外労働が48時間となってしまうので、この場合、上限を超えてしまうということになります。

36協定において「法定休日労働」として別枠で扱われるケースは2つです。1つ目は就業規則で「毎週日曜」など、法定休日をしっかりと特定している会社におけるその日の労働が、法定休日労働に当たります。2つ目のケースは就業規則で法定休日を特に定めていない場合、土日に両方出勤した場合の日曜日などがそれに該当するでしょう。一定の条件を満たす場合の休日出勤に限られますので注意が必要です。一般的な会社において土曜日に出勤した場合には、36協定上の休日労働扱いにはなりません。時間外労働の枠の時間数を消化することになりますので気を付けましょう。

36協定と代休について

36協定を締結している場合には、月に45時間までの時間外労働が可能です。しかし、納期の直前や繁忙期などにはこの上限を超えた労働をすることもあるでしょう。例えば、その月の労働時間が上限を超え、50時間だったとします。1日分の代休を取得し、8時間分の労働時間を引いた場合、その月の時間外労働は42時間と考えることができますが、そういったことは可能なのでしょうか。このケースでは、土曜日に出勤する代わりに、同じ週の水曜日に代休を取得すれば、時間外労働の条件を超えないためクリアとなります。なぜなら、労働時間管理上の1週間の開始は日曜日であり、1週間の区切りが日曜日~土曜日となっているからです。

ただし、週の最後の土曜日に休日出勤となっても、同じ週内での代休の取得には物理的な無理が生じるでしょう。したがって、土曜日に休日出勤すると、上限を超えてプラス8時間労働した事実には変わりがありません。その結果、年に6回のみ許される特別条項の利用が求められます。さらに、8時間残業した分の割増賃金も支払われなければなりません。ただ、就業規則に記載する労働時間管理上の1週間の開始日は会社ごとで決めることも可能です。そのため、土曜出勤が多い場合には、就業規則に労働時間管理上の1週間の開始日を土曜日と定めることもできるのです。そうすることで、土曜日から金曜日が労務管理上の1週間となり、土曜出勤の代休を月曜日から金曜日のいずれかに取得できるようになります。

休日出勤で損しないための方法

休日出勤をしたにもかかわらず、代休を取得させて割増賃金を支払わない会社もあります。この場合には損をしてしまいますので、気を付けるのがよいでしょう。そもそも、代休制度そのものは労働基準法に定めがなく、休日労働に対して与えられるものです。しかし、代休を与えるには、次の条件をクリアしている必要があります。まず、就業規則に「休日労働をした場合には代休が取得できる旨」が規定されていなければなりません。また「代休を取得したとしても、休日労働に対して35%の割増賃金が支払われる」ことも条件です。

代休を取得しても、休日労働をした事実は変わりません。割増賃金の支払いをせずに代休を取得させた会社は違法となります。休日労働をした事実があるにもかかわらず、割増賃金が支払われていない場合には、会社に対して未払い賃金の請求が可能です。未払い賃金は2年までさかのぼって請求ができます。そのため、できる限り取り戻すのがよいでしょう。それ以前の分については時効が成立していまいますので、早めに行動を起こすことが損をしないポイントです。

36協定と休日出勤についてしっかり理解しておこう!

これまで36協定の概要と休日出勤に関するルールについて説明してきましたが、理解できたでしょうか。休日出勤には思いもよらぬ落とし穴があり、知らなければ損をするケースもみられます。そのため、36協定は働く社会人としてしっかりと理解しておくべきです。これを機に、36協定や休日出勤の関係をしっかりと理解し、万全の状態で仕事に臨みましょう。

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