2021.6.7
特別休暇とは?特別休暇の種類・導入方法について解説します!
仕事で休暇を取ることは誰にでもあることですが、企業が従業員に与える休暇には2種類あることを意識したことがある人は少ないかもしれません。休暇には、「法定休暇」「特別休暇」があります。休暇制度は、働き方改革の推進や生産性の向上、従業員の満足度アップにつながる重要な制度です。ここでは、特別休暇の種類や導入方法について紹介します。
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特別休暇とは?
特別休暇とは、企業と従業員が話し合って決める会社独自の休暇です。そのため、有給休暇や育児休業といった法定休暇とは異なります。法定休暇は、企業が従業員に付与することが法律で定められている一方、特別休暇は法律で定められたものではありません。特別休暇は、法定外休暇で休暇の種類や長さを企業ごとに自由に設定できるのが特徴です。また、就業規則などに明記されており、企業側が導入する場合や、企業と従業員との話し合いによって導入される場合もあるでしょう。
いずれにしても、特別休暇は従業員の健康や人生の充実、慰労などを目的とした福利厚生の一つです。特別休暇を導入すれば、従業員のモチベーションアップや、リフレッシュを図ることが期待できるため、生産性の向上や企業の成長につながる可能性があります。このように、特別休暇は法律に縛られず企業が自由に設定することができるため、企業と従業員、両者にとってメリットのある休暇です。
特別休暇は有給なの?
先述したように、特別休暇は法律で定められた休暇ではありません。そのため、有給か否かも企業が自由に定めることが可能です。そのため、同じ目的・名称の特別休暇でも、企業によっては有給であったり、無給であったりするなど異なります。有休の場合には、特別休暇を取得したとしても、その月の給与額に影響はありません。しかし、無給の場合には給与が減額されます。さらに、査定の際に「出勤扱いとなるのか」「欠勤扱いとなるのか」にも注意が必要です。
欠勤扱いとなる場合には、賞与の減額や出勤率が下がることにより減給する可能性もあります。このように、無給で欠勤扱いとなるなら、有給休暇を先に使ったほうが良い場合もあるでしょう。これらの条件は、就業規則に記載されているため、事前に確認しておくことが大切です。一度就業規則に記載された、特別休暇を有給から無給に変更する際には、一部例外もありますが従業員全員の同意が必要になります。つまり、後から変更することは難しいため、これらのことを十分に理解したうえで就業規則に明記しておくことが必要です。
特別休暇の事例
法定休暇と違い、企業にとっては導入する義務のない特別休暇ですが、実は多くの企業がさまざまな特別休暇を設定しています。ここでは、実際にどのような特別休暇が存在するのか具体例を確認してみましょう。
慶弔休暇
慶弔休暇は、結婚や出産といった慶事、親族が亡くなった際の葬式や通夜などの弔事の際に取得できる特別休暇です。休暇日数は、1〜4日くらいが一般的でしょう。また、慶弔休暇の場合、「慶事や弔事の対象者が誰か」によって休みの長さが異なるのが一般的です。例えば、慶事の場合は結婚するのが本人か子どもか、弔事の場合には亡くなったのが従業員の両親または兄弟姉妹かなどによって日数が決められています。
慶弔休暇は、多くの企業で導入されている特別休暇の一つで、2018年の導入率は約90%です。慶弔休暇は、企業から従業員へ対してのお祝いや、お悔やみの意味も込められており、有給とされている場合が多いでしょう。そのため、わざわざ日数に限りのある有給休暇を消費しなくても休暇をもらうことができます。慶事や弔事の際には、特別休暇が取得できるかどうか、確認してみることをおすすめします。慶弔の行事が遠方で行われる場合などは、有給休暇と組み合わせて申請することも可能です。
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病気休暇
病気休暇は、従業員が病気などで治療、通院、休養が必要になった場合に与えられる特別休暇です。病気の種類によっては、長期に渡って仕事を休まなければならないこともあるでしょう。そのため、病気休暇を「有給とするか」「無給とするか」は企業によって大きく異なります。基本的には、仕事をしなければ給与は支払われないため、たとえ企業が「病気休暇の場合は無給とする」と規定していても問題はありません。しかし、企業によっては失効した有給休暇を有休の病気休暇として積み立てることができたり、1日の労働時間を短縮できたりといった制度を導入しているところもあります。
また、無給ではあるものの、通院のため時間単位または半日単位の特別休暇を取得できる場合もあるでしょう。病気は誰にでも起こりえることです。多くの企業では、病気休暇、またはそれに代わる何らかの制度で従業員の健康に関する問題をサポートしており、政府でもこれらの制度の導入を後押ししています。
リフレッシュ休暇
リフレッシュ休暇は、従業員の勤務年数や年齢に応じて与えられる特別休暇です。取得できるのは、勤務年数が5、10、15年といった節目の年であることが多く、勤務年数が長くなるほど休暇の日数も長くなるのが一般的でしょう。しかし、休暇の日数は企業によってばらつきがあり、数日〜1週間程度のところもあれば、1カ月という長期の休暇を与えている会社もあります。リフレッシュ休暇は、長年に渡って企業に貢献した従業員に心身共にリフレッシュしてもらうことが目的です。
慶弔休暇や病気休暇と違い、特別休暇を取れる時期は決まっているものの、どのように休日を過ごすかは従業員の自由です。心身の疲れを癒すための休養に充てたり、長期の休暇を利用して旅行に行ったりと、さまざまな方法でリフレッシュを図ることができます。リフレッシュ休暇は、従業員の労をねぎらう性質上、有給となることが一般的です。節目の年齢を迎える際の休暇は、アニーバーサリー休暇など別の特別休暇の場合もあるでしょう。
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夏季休暇
お盆期間などに合わせた夏季休暇は、多くの企業で導入されています。しかし、夏季休暇は企業によって、特別休暇の場合と計画年休の場合があるでしょう。特別休暇の場合、有給休暇は消費されず、企業によって有給または無給で休暇を取ることが可能です。一方、計画年休の場合には、企業が指定した日に有給休暇を消費して休まなければなりません。これまで、特に意識せずに夏季休業をしていた人は、一度自分が勤めている企業の夏季休暇が「特別休暇なのか」「計画年休なのか」をしっかりと把握してみてはいかがでしょうか。
特別休暇の場合、期間は4〜6日程度が一般的で、有給休暇と組み合わせることにより夏季休暇の期間を長くすることが可能です。まとまった日数の夏季休暇を従業員に与えることは、仕事に対するモチベーションアップにつながります。また、企業としても計画的に従業員に休暇を取らせることで、業務への影響を減らすことが期待できるでしょう。
特別休暇を会社に導入するためには
特別休暇を会社に導入するには、いくつかのステップがあります。一つでも欠けると特別休暇を導入する意味自体が薄れてしまう場合もあるため、しっかりと確認しておきましょう。
休暇の目的をはっきりと決める
特別休暇を新たに導入する場合には、目的を明確化する必要があります。特別休暇は、福利厚生の一環として導入されることが多く、従業員の生活をより良いものにするための、給与外の報酬と考えていいでしょう。そのため、特別休暇を設けることによって、「従業員のライフワークバランスを改善する」「健康を促進する」など、従業員にとってメリットのある目的でなくてはなりません。また、これらは企業にもメリットをもたらします。なぜなら、従業員の企業に対する満足度が向上することで、「従業員の定着率が改善される」「企業のイメージがアップする」「生産性が向上する」といったことが期待できるからです。
例えば、スキルアップや自己啓発につながる講習などに参加しやすくするための特別休暇を導入すれば、従業員にも企業にもメリットがあります。目的を明確にするためには、企業の問題点や従業員のニーズなどを把握することが重要です。必要があれば、従業員の意見も取り入れて企業と従業員、双方にメリットのある目的を設定することが大切になります。
休暇取得のルールを決める
特別休暇の導入内容を決めた後は、休暇取得に関するルールを設定しましょう。まずは、対象者を明確にしなければなりません。夏季休暇などは、毎年全社員が対象となりますが、慶長休暇やリフレッシュ休暇などは対象となる人が限られます。対象者を決めたら、取得方法や取得日数もはっきりとさせておきましょう。その際には、「特別休暇を取得する回数などに制限があるのか」「いつまでに取得しなければならないのか」などもルールとして定めておくことが必要です。また、先述したように特別休暇を「有給とするか」「無給とするか」は企業の判断に任せられます。
さらに、無給とした際は、「出勤扱いとなるのか」「欠勤扱いになるのか」で給与の査定などに影響がでる場合もあるでしょう。これらのことは、すべて特別休暇を導入する前に十分検討したうえで就業規則に明記しなければいけません。一度導入した特別休暇の変更は難しいため、ルールの設定は慎重に行いましょう。
休暇の社内通知を行い浸透を促す
特別休暇を導入する準備が整ったら、社内通知などで特別休暇を社内に浸透させる必要があります。社内通知の方法としては、メール、社内誌、掲示板などを利用すればいいでしょう。特別休暇は、従業員に利用してもらうことで初めてその目的が達成されます。そのため、従業員に広く周知することが大切です。また、同時に特別休暇が取りやすい環境を作ることも意識していきましょう。例えば、管理職の人が部下などに特別休暇の取得を促せば、従業員は休暇の申請を行いやすくなります。
また、特別休暇を導入したときだけでなく、「定期的にどのような特別休暇があるか」を紹介することで、特別休暇を利用する人を増やす効果が期待できるでしょう。有給休暇取得の理由が特別休暇取得の条件に当てはまる場合は、管理職や人事担当者などが特別休暇として処理できることを従業員に促すことができます。
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