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2021.9.24

ロボットに負けない人材!ナレッジワーカーの概要と具体例について紹介

近い将来、ロボットが人間の仕事を奪う時代がやってくるといわれています。実際、工場などで行われる単純作業はすでに産業用ロボットが担っており、いずれはさらに広い分野でロボットの活用が進んでいくと見られています。そうした中で、昨今注目されているのがナレッジワーカーです。ナレッジワーカーは、これからの時代に不可欠な労働者です。ここでは、ナレッジワーカーの概要から具体的な職種まで詳しく紹介します。

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ナレッジワーカーとは?

ナレッジワーカーとは、知識という意味がある「knowledge:ナレッジ」と、労働者を意味する「worker:ワーカー」を組み合わせた造語です。「知識労働者」ともいわれ、ナレッジワーカーはこれからの時代に不可欠な人材だといわれています。かつて、オーストリアにピーター・ドラッカーという経営学者・社会学者がいました。ナレッジワーカーという造語も、もともとこのドラッカーが提唱した概念です。ドラッカーが記した『断絶の時代』によれば、ナレッジワーカーは「経済的利益を生み出すために知識を使用する知識経済を支える高度な専門知識をもつ労働者」と定義されています。

つまり、知識によって企業に新しい付加価値をもたらす労働者を、ドラッカーはナレッジワーカーと呼んだのです。世界経済が発展し、現代にはさまざまなモノがあふれています。そのような時代の中で、厳しい経済社会を生き残っていくためには、他社の商品と差別化を図り、自社の商品に絶えず新しい付加価値をもたらさなければなりません。また、AI技術やロボット産業が伸長を見せる中、「いつか人間の仕事が奪われるのではないか」という懸念も深まっている時代です。ナレッジワーカーは、そのような新しい時代にも対応できる人材として、あらためて注目されている存在といえるでしょう。

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マニュアルワーカーとの違い

ナレッジワーカーの対になる概念として、「マニュアルワーカー」という言葉があります。マニュアルワーカーとは、主に製造業の現場や工場などで働く、決められたマニュアルに沿って作業する労働者のことです。かつて、高度経済成長期には多くのマニュアルワーカーが求められました。モノを大量生産するために、企業がたくさんのマニュアルワーカーを確保して、現場や工場での労働に当たらせていたのです。もちろん、マニュアルワーカーは現代の日本を形作ったモノづくりの根幹を支える存在。世界に誇るべきモノづくり大国を形成したのは、そうした名もなきマニュアルワーカーたちといっても過言ではありません。しかし、テクノロジーが発展した時代にあって、これまでマニュアルワーカーが担ってきた仕事は、今やAIシステムや工作機械にシフトされつつあります。

一方、ナレッジワーカーが提供する労働は、システムやロボットに取って代わられることのない仕事です。現状、ロボットができるのはインプットされた作業のみ。つまり、これまでマニュアルワーカーが提供してきたような単純作業だけです。ナレッジワーカーは、新しい付加価値を生み出すことを常に期待されます。だからこそ、ナレッジワーカーはロボットに仕事を奪われるようなこともなく、マニュアルワーカーとは一線を画す存在として認識されているのです。

ナレッジワーカーが注目される理由

高度経済成長の時代は、大量生産大量消費が当たり前になった時代です。モノを作れば売れるため、とにかくモノを生産することが第一の時代でした。しかし、その結果として現代ではモノがあふれすぎてしまっています。どこもかしこも、似たようなモノばかりになっているため、ただ単にモノを生産しているだけでは商品が売れなくなってきているのです。人間の欲求は単なるモノではなく、モノに対する付加価値、すなわちサービスに移行しています。こうしたモノからサービスへのシフトチェンジは、消費者だけではなく企業の人材活用の現場でも進行しています。

実際、テクノロジーの進歩によって単なるモノの生産には人工知能やRPAといったロボットがマニュアルワーカーを代用できる時代です。また、モノを生産する工場だけではなくオフィスの場でも画一的な単純作業は、AIやロボットが担える時代に突入しつつあります。「人の仕事がロボットに奪われるかもしれない」という懸念は、今やマスコミを中心に盛んに議論されている話題です。そのような時代だからこそ、AIやロボットにはできない人間固有の能力や仕事にあらためて注目が集まっています。

自らの知識で新しい価値を創出するナレッジワーカーは、まさに人間固有の能力や仕事を提供する人材です。

ナレッジワーカーの代表的な職種

通信やサービス業が産業の中心となり、AI技術やロボットがどんどん人間の仕事を侵食する時代では、ナレッジワーカーこそ新しい時代を切り開く存在です。具体的に、ナレッジワーカーとはどのような職種に就く労働者をいうのでしょうか。ここでは、代表的なナレッジワーカーの職種について紹介します。

コンサルタント

コンサルタントは、企業の求めに応じて問題の解決策を示したり、さらなる発展に協力したりするのが主な仕事です。例えば、経営戦略についてアドバイスするコンサルタントを「経営コンサルタント」、ITシステムの開発や導入をサポートするコンサルタントを「ITコンサルタント」といいます。このように、コンサルタントは専門的な見地から企業の経営やIT関連の開発をサポートする役割を担っているのです。

クライアントから何度も要望をヒアリングして、徹底した業界や市場の分析を行ったうえ、大量のデータから最適な分析結果を提案しなければなりません。そのためには、幅広い専門知識が求められるだけでなく高度な情報収集能力や問題解決能力、さらには分析力や考察力といった能力も求められます。AIやロボットが取って代われない、高度な知識と情報処理能力が求められるナレッジワーカーの代表格です。

ITエンジニア

ナレッジワーカーの性質として、「時間や場所に関係なく知識による成果を出す」という特徴があります。その意味で、ITエンジニアもナレッジワーカーの一種といえるでしょう。ITエンジニアは、プログラミングを駆使してシステム開発を行う仕事です。新しいITシステムを導入することで、企業の生産性向上や業務効率化などに貢献します。ITエンジニアの特徴は、時間や場所の制約を受けることなく、高度なプログラミング知識により成果を生み出せる点です。実際、テレワークやフレックス制度を利用して活動しているITエンジニアも決して少なくありません。

もちろん、プログラミングの知識や論理的思考力など、ITエンジニアは人工知能やロボットにはない高度な能力が求められる仕事です。しかし、それだけではなく場所や時間の制約を受けずに高度な労働力を提供できる点も、ITエンジニアが新しいナレッジワーカーとして考えられる理由の一つです。

金融ディーラー

金融ディーラーは、顧客から預かった資金を適切に運用して、得られた利益を顧客に還元するのが主な仕事です。金融ディーラーとして適切な運用を行うためには、企業の動向や経営状況はもちろん、政治情勢にも注目して現在の状況を正確に分析しなければなりません。そのうえで、株式や証券の動きを予測し、顧客から預かった資金を適切に投入して利益を見込むことが必要です。このように、金融ディーラーには金融工学や金融商品の知識に加えて、市場動向を正確に把握する情報分析能力や未来を予測する能力が要求されます。「収集した知識を総動員して未来予測する」という高度な頭脳労働のため、金融ディーラーもナレッジワーカーが活躍できる仕事です。

IT時代を生き抜くために

IT技術によって単純作業が自動化される時代では、自分の知識で世界を切り開く能力が何より求められます。今後、AIシステムや機械産業がどの程度人間の仕事を奪うのかは未知数です。しかし、これからのIT時代を生き抜くためには、自分の知識で付加価値を創出するナレッジワーカーを目指す意義は大きいといえます。将来、仕事を奪われることがないよう、ナレッジワーカーの考え方をビジネスに生かしましょう。

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