働きがいを応援するメディア

2022.3.22

人事評価制度の作り方|導入方法や構築におけるポイント

従業員のモチベーションを高め、個々が持っている能力やスキルを最大限に活用するためには、成果や能力などを適切に評価する必要があります。人事評価制度を作りたい、従来の制度を見直したいと考えている方もいらっしゃるでしょう。本記事では、中小企業や初めて人事評価制度を作る企業に向けて、導入方法や構築する際のポイントを解説します。また人事評価制度を作る目的やメリット、人事評価の柱になる3つの要素なども解説しているため、合わせて参考にしてください。

人事評価制度を作る目的とメリット

人事評価とは、従業員の成果や仕事に対する意欲などを評価するための仕組みのことです。人事評価制度はどのような基準で従業員を評価するのか、明確な基準や評価する項目、評価方法などを企業が独自に定めたものを指します。人事評価制度にはどのような目的があり、企業が制度を構築すると得られるメリットは何かを把握しておくことが大切です。

ビジョンの共有による生産性と業績アップ

企業のビジョンを反映させた人事評価の基準を採用することで、企業が目指すべきことを改めて社内に周知させることができます。ビジョンを提示するだけでは従業員の理解を深めることはできません。企業のビジョンを人事評価と結びつけることで、従業員は日々の業務の中で自分が何をすべきなのかの理解を得やすくなります。

また、企業が定めた目標やビジョンを意識した労働環境を整備できるため、生産性や業績の向上につながりやすくなります。さらに、目標の達成によって仕事へのやりがいが感じられるようになれば、従業員の仕事へのモチベーションが上がるきっかけにもなり、労働意欲の向上も期待できます。

モチベーション向上と人材育成

適切な人事評価の運用は、従業員のモチベーション向上につながるメリットがあります。正当な評価を受けた従業員は、モチベーションが上がり仕事への意欲が高まりやすくなります。一方で、成果を上げるなどの自社に貢献する働きぶりをしても正当な評価を受けられなければモチベーションは低下し、自社に対する不信感が高まるだけでなく愛着度が低下して離職につながる可能性もあります。

人事評価制度が明確に定められており、従業員一人ひとりに対して納得のできる評価理由や今後の課題を提示することができれば、評価が低い場合でもモチベーションを維持できるでしょう。人事評価制度の内容も重要ですが、個々の特性に合わせたマネジメントを行えば従業員の能力をさらに伸ばすことができます。

人事評価の3つの基本要素

人事評価制度は、「評価制度」「等級制度」「報酬制度」の3つの要素で構成されています。3つの制度は相関関係にあるため、それぞれの制度の概要をしっかりと理解を深めておくことが大切です。

評価制度

評価制度とは、従業員のどのような点を評価すればいいのかを定めるための制度です。人事評価をする上で、基準が明確でなければ評価者の主観が入り、評価にばらつきが出る可能性があります。

評価制度では、誰が評価者になっても平等な評価ができるように、基準や評価の具体的な手順を定めます。営業成績などの定量化できる成果や、数値化できない勤務態度、能力、資格などがその一例です。一般的に、等級(役職)ごとに報酬が定められています。

等級制度

等級制度とは、評価に基づいて従業員の等級や等級別に与える権限などを決めるための制度です。等級制度を定めれば、組織における序列に応じた役割や職務を各従業員に与えることができます。

等級制度は、組織が大きくなるほど運営が難しくなり、安定的な経営をするためには各従業員が課せられた役割や職務を全うする必要があります。与えられる役割が大きいほど責任が重大になるため、報酬も高くなりやすいです。報酬は人事評価によって決定しますが、課した役割や職務ごとに決まるのが一般的です。

報酬制度

報酬制度とは、評価の内容や等級を考慮した給与や賞与の金額を決めるための基準を定めた制度です。具体的には、昇給・減給になる指標や、賞与・役職別の手当ての金額などをどのように決定するのか、基準を明確に定める必要があります。

一般的に、給与は等級ごとに上限と下限が定められているケースが多いです。ただし、必ずしも全ての従業員が報酬額のアップによってモチベーションが向上するとは限りません。報酬制度は報酬のみを定めていることが、課題として挙げられています。

人事評価制度の種類

人事評価制度にはさまざまな種類があり、特徴やメリット・デメリットが異なるため、自社にあった評価制度を見極めるのが大切です。本章では、代表的な4種類の人事評価制度を紹介します。それぞれの評価手法の特徴やメリット・デメリットを把握した上で、自社の目的に合ったものを選ぶようにしましょう。

能力評価

能力評価とは、従業員の能力を重視した評価手法です。戦後の日本では年齢が上がるごとに昇給や昇進する年功評価が一般的でしたが、近年は優れた人材の外部流出や経営環境の変化などの対策の一環として、能力評価を導入する企業が増えています。

能力評価を採用すれば、従業員の年齢や社歴の長さに捉われずに従業員の能力の高さを評価できます。ただし、従来の年功評価で高い評価を得ていた従業員などから反発が出たり、年功序列による評価方法に固執した考えを持つ経営陣が多い場合は、理解が得られず運用が難しいこともあるでしょう。評価結果を納得させるためには、根拠のある評価方法を定めることが大切です。

360度評価(多面評価)

360度評価(多面評価)とは、1人の従業員を評価する際に、上司だけでなく部下や同僚の意見を取り入れる評価手法です。上司が部下を一方的に評価する従来の評価手法と異なり、自己評価はもちろん、複数の視点から従業員の成果や能力を見極められるため、評価者は客観的な評価を下しやすくなります。

360度評価を採用するメリットは、さまざまな視点を取り入れて総合的に評価するため、従業員の納得感を得やすい点です。一方で、それぞれの主観などが入り評価にばらつきが出やすい点や、人間関係が悪化する、現場の負担が増えるなどのネガティブな側面もあるため注意が必要です。

360度評価を採用する際は、運用ルールを周知させて現場の理解を得ることはもちろん、評価コメントで対象者が傷つかないための言葉選びにも配慮しましょう。

コンピテンシー評価

コンピテンシー評価とは、「行動特性」を意味するコンピテンシーを重視した評価手法です。企業の中で優秀な人材の行動を分析して可視化し、評価対象の従業員が優秀な人材の行動特性にどれくらい近づいているかを判断し、客観的な評価を行います。

企業が求める優秀な人材をモデル化することで、各従業員にどのような行動が不足しているのかがわかるため、個々の能力を向上させられる点が特徴です。

コンピテンシー評価を導入するメリットは、発揮したスキルによる成果や行動の根本にあるものに着目した評価を行えることです。ただし、評価基準の設定を誤れば、成果につながりません。コンピテンシー評価を単独で採用するのではなく、定量化が可能な他の評価手法と組み合わせてデメリットを補いましょう。

目標管理制度(MBO)

目標管理制度とは、設定した目標の達成度で評価するための手法です。一般的に「Management By Objectives」の略称である「MBO」とも呼ばれています。仕事に対する従業員の自発性を高める効果があると注目されている評価制度です。評価するための指標が目標の達成度とシンプルでわかりやすく、従業員が意欲的に仕事に取り組めます。

MBOを導入するメリットは、目標を達成するために資格を取得するなどの自己研鑽によって能力を発揮しやすいことです。

ただし、従業員が「達成できない=評価が下がる」という誤った考え方をすることで設定する目標が低くなったり、目先の目標に捉われたりするリスクがあります。MBOを導入する場合は、目標の達成度だけでなくプロセスにも評価の指標を置くことが大切です。

人事評価制度の導入方法・作り方

人事評価制度を導入するためには、どのようなプロセスを進めればいいのでしょうか。正しい手順で進めなければ、制度に不備が出てしまう恐れがあります。人事評価制度の導入を円滑に進めるためにも、導入方法や作成方法を把握しておきましょう。

本章では、人事評価制度を導入するための具体的な方法や、作り方を4つのステップに分けて詳しく解説します。自社の人事評価制度の見直しや新たに構築する際の参考にしてください。

評価目的を設定する

人事評価制度を作るにあたって、どのような目的を持って運用したいのかを決めましょう。具体的には、企業が求める理想の従業員像を明確にし、従業員にどのような人材になって欲しいのか、企業がどのように人材を活用したいのかを検討することが重要です。評価目的の一例は、人材の育成、処遇の決定、理想とする企業文化に近づけるなどが挙げられます。

例えば、「評価担当者は〇〇のような人材・組織を評価する」などの目的を具体的に設定することで、従業員も日々の業務で目指すべき方向性を定めやすくなります。評価項目を設定する際は、経営者だけでなく現場の管理責任者の双方から理想とする従業員像を聞き取り、人事部で評価項目を決定しましょう。

評価基準を作成する

人事評価の目的を設定した後は、従業員を評価するための基準を策定します。評価基準は設定した評価目的を実現するために、各等級の評価の方向性を定めていきます。従業員の納得感を得やすい人事評価制度を作るためには、誰が見ても明瞭かつわかりやすい評価基準を設定することが大切です。例えば、等級ごとに求められる役割や業務の遂行に不可欠なスキルや能力を基準に設定しましょう。

評価基準が明確で透明性が高いほど従業員は目標を立てやすく、達成するためにどのようなスキルや能力が必要なのかを理解しやすくなります。

また評価基準を作成する際は、業績などを評価する「成果評価」と、業務遂行に必要なスキルや能力、資格を評価する「能力評価」、仕事に取り組む姿勢を評価する「情意評価」の3つの評価方法をベースに検討しましょう。

評価項目に落とし込む

作成した評価基準に基づいて、具体的な評価項目を設定していきます。評価項目は人事評価を行う評価担当者だけでなく、評価される側の従業員の指標になるため、人によって解釈が異なることないように注意することが重要です。

また、企業として重視している評価項目は比重を大きくするなど、必要に応じてバランスも考慮しましょう。例えば、管理職ならマネジメント管理能力、営業職なら契約数や売上などの業績を考慮した評価項目に落とし込む必要があります。

評価項目を設定するにあたって、コンピテンシー評価の優秀な人材の行動特性を評価項目の一部に組み込むのも一つの方法です。

運用ルールと評価者を決める

評価基準や具体的な項目を明確に定めても、評価する側が正しく運用できなければ公正な人事評価は行えません。人事部は、人事評価を適切に運用できる人材を評価者に決めることが大切です。

具体的には、評価者が人事評価を正しく運用できるようにサポートを行う必要があります。評価者を集めて説明会や研修などを行い、人事評価制度の運用ルールはもちろん、評価の基準、評価方法などを正しく理解してもらうための教育が不可欠です。評価者を選定する際は、評価される側の従業員に寄り添い仕事の意欲を削ぐことがないフィードバックを行える人材を推薦しましょう。

人事評価制度を構築する際のポイント

人事評価制度の運用を成功させるためには、構築段階から注意しなければならないことがあります。特に人事・現場・経営者など、どの立場にあっても使いやすくわかりやすい制度を設計することが大切です。

本章では、どのように設計をすれば使いやすくわかりやすい制度を作れるのか、企業が人事評価制度を構築する際に重視すべきポイントを詳しく解説します。人事評価制度の見直し、もしくは新たに構築する際に役立ててください。

従業員の声を聞く

人事評価制度を構築する際は経営者の意見だけを重視するのではなく、現場で働く従業員の人事評価制度に対する不満や意見なども取り入れることが重要です。経営者と従業員の両方の声を聞くことで、従来の人事評価制度の問題点を明確に見極められ、新たな制度を作る際のヒントになります。

人事評価制度を作る際に重要なポイントは公平かつ透明性が高く、評価する側とされる側の誰が見ても理解しやすい内容にすることです。そのためには人事評価制度の目的を改めて理解しておかなければなりません。

人事評価制度の目的は、企業が求める人材の育成と、従業員の仕事に対するモチベーションをアップさせることにあります。従業員の声をしっかりと反映させることで、公正な人事評価制度を構築しましょう。

評価基準を明確にする

公正な人事評価を実現するためには、評価基準を具体的に設定することが重要です。どのようにも受け取れる曖昧な基準を設定すれば、評価担当者によって評価が異なることで従業員は納得感を得られなくなります。評価基準を明確に定めるためには、基準を設定した具体的な理由を示せるように根拠を用意しておきましょう。

また、評価者だけでなく、全ての従業員に評価基準を正しく共有することも大切です。従業員が評価基準を理解していれば、評価者の主観を防ぎ、不平等な評価になるリスクを未然に防ぐことができます。さらに、評価基準の根拠が明確であれば、評価者がフィードバックする際に従業員の納得感を得やすくなります。

プロセスも重視する

選定する評価手法によって人事評価で重視すべき評価項目は異なりますが、成果を出すまでのプロセスを考慮した制度を構築しましょう。成果を重視しすぎると、個々の能力やスキルを最大限に活用することはできません。

特に営業職などは、契約数や売上金額などの定量化できる指標を評価項目に入れることができますが、経理職などの数値化が難しい業務を行っている従業員を正しく評価できなくなります。

全ての従業員が正当な評価を受けられるように、成果だけでなく成果に至るまでのプロセスや仕事に取り組む姿勢、意欲などの数値化できない点も分析した上で、評価基準に加えるようにしましょう。

人事評価制度の作成にはタレントマネジメントシステムを活用

人事評価制度は、評価目的を明確にした上で作成する必要があります。自社のビジョンを反映させた制度を構築すれば、従業員のモチベーションの向上や人材育成につなげることも可能です。

また人事評価制度の作成によって、従業員の最新データを定期的に収集・分析できるようになります。さらに、分析したデータを人事評価だけでなく戦略人事に活用すれば、従業員自身が持つタレントを発揮しやすい環境を整備できます。

CYDAS PEOPLEは、評価制度のシステム化を実現できるクラウド型のタレントマネジメントシステムです。シンプルかつわかりやすい操作性の高さが強みの一つです。また自社の人事評価制度に合った必要な機能を選ぶこともできます。人事評価制度を効率よく作成できるシステムをお探しなら、ぜひお試しください。

Category

Knowledge

Keyword

Keywordキーワード