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2021.5.19

ビジネスにおける適材適所の必要性|適材適所を促進する6つの手法

人材配置を検討する中で、自社の社員のスキルややる気をもっと引き出せるような適材適所を促進したいと考えていませんか? ビジネスにおける適材適所の必要性は理解していても、どのように実現すればいいかわからず、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。 本記事では、ビジネスにおける適材適所の意味合いや効果について説明するとともに、社内の人事配置をスムーズに行う具体的な方法を紹介します。

ビジネスにおける適材適所とは

適材適所の一般的な意味は、その人の能力や性質に適した地位や仕事を与えることです。一方、ビジネスにおける適材適所とは、事業や組織のニーズ、目指すべき姿に対して、人的資源の最適化を実現することといえます。社員のスキルや特性を見極め、適任とされる部署に配置することで、組織全体のパフォーマンス向上・効率化を目指します。
社内の人事が適材適所になっていれば、社員一人ひとりが能力を発揮しやすくなるため、事業活動がスムーズに行われて事業の生産性アップを期待できます。 人件費などのコスト負担を抑えつつ、最大のパフォーマンスを得られるため、 限られた資源を有効活用できるのです。組織の無駄を省き、仕事の効率を上げるには、適材適所が欠かせないといえるでしょう。

適所適材との違い 

よく似た言葉に「適所適材」があります。人のスキルと仕事の適性を表している点では共通していますが、先に「(人)材」が来るか、「所」が来るかで、意味が大きく変わります。 
「適”材”適所」は、「(人)材」が先に来ることから、人のスキルや適性が大前提にあり、それを活かすことができる部署に配置することを意味します。一方、「適”所”適材」は、「所」が先に来るため、仕事が大前提にあり、その仕事で求めるスキルや能力を持つ人材を配置することを意味します。 
よく似ている言葉ではありますが、真逆の意味を持つため、気をつけましょう。 

事業活動で適材適所が必要な理由

人材配置は企業の発展を左右する重要な要素です。せっかく優秀な社員を確保できても、配置を間違えれば、本人の能力や経験を最大限発揮することができません。社員の能力が発揮されなければ、企業の生産性も低下してしまいます。

  1. 生産性を高める
  2. 事業環境や社会情勢の変化に対応する

以下で、ビジネスシーンにおいて適材適所が必要とされる理由を詳しく解説します。

生産性を高める

生産性を高める

少子高齢化による労働人口の不足により、どの企業も人手不足に頭を悩ませています。これからの時代は、限られた人的資源の中で、今まで以上の利益を追求するために適材適所が必須です。社員は一人ひとり異なるスキルと経験を持っているため、能力を十分に発揮できる部署に配置して、事業の生産性を高めていく必要があります。近年、AIやIT技術の発達により、その傾向が顕著に現れるようになっています。例えば、ITスキルを持つ従業員がその能力を活かせる部署に配属されれば、自らのスキルを活かし、効率化などに取り組むことができます。このように、適材適所で業務改善を図ることができれば、人手不足や人材確保などの課題をカバーできます。

事業環境や社会情勢の変化に対応する

事業環境や社会情勢の変化に対応する

働き方改革に注目が集まる中で、ダイバーシティ(多様性)、多様な働き方が求められる時代になりました。短時間で働く、副業しながら働く、子育てや趣味と両立しながら働くなど、多様性に適応するためにも適材適所が必要です。
より自分に適した職場で働くことができれば、離職防止につながり、優秀な社員を会社に定着させることができます。
これからは会社のやり方に社員を合わせるのではなく、社員個々の理想のキャリア、ありたい姿に合わせて、最適な人事配置をしていくことが重要です。時代の変化とともに柔軟な対応ができる会社であれば、発展を続けていくことができるでしょう。

適材適所な人事配置を効率的に行う方法

ビジネスで適材適所を実践するには、きちんと手順を踏む必要があります。社員の能力や個性を正しく理解したうえで、一人ひとりが最大限のパフォーマンスを発揮できる人員配置をするためには、会社が社員一人ひとりときちんと向き合う必要があります。 人事配置を効率的に行うことができれば、事業の生産性を無駄なく高めることができます。
ここでは、社内で適材適所をスムーズに行うポイントやプロセスを紹介します。

1.業務課題や業務内容を整理する

まずは自社の業務内容を洗い出し、業務課題を抽出しましょう。どの業務(部署)にどんな人材を配置すればいいか、業務量は適当か、必要なスキルを持つ社員は在籍しているか、などの要件をまとめることで、自社の抱える課題と目標が見えてきます。 適材適所を実現するには、業務の棚卸しが必要不可欠です。すべての業務を洗い出して可視化することで、自社の抱える問題点を整理することができ、改善につなげることができます。業務内容を洗い出して見えてきた情報をもとに、どの社員にどの業務を担当してもらうのかを決めましょう。
業務の棚卸しは適材適所のベースとなるものなので、優先して取り組むことが大切です。

2.適性検査で能力や性格を見極める

社員の能力や性格、ストレス耐性を把握したいときは、適性検査が役立ちます。適性検査は担当者の主観が入り込まないため、社員のパーソナリティや志向性を客観的かつ定量的に把握できます。 適性検査は採用時に活用されることが多いですが、既存社員の職務分析にも活用が可能です。どのような職種・業務に向いているかを分析することで、社員の適性をあらためて把握することができ、限られた人材を有効活用できるのです 
適性検査とともに人事面談を行えば、数字では表すことのできない定性的な情報もあわせて取得できます。適性検査と人事面談の同時分析で、より正確に社員の特徴やスキル、人となりをつめます 
サイダスのタレントマネジメントシステム「CYDAS PEOPLEサイダスピープル」は、クラウド上で受けられる適性検査(CUBIC)をご用意しており、適性検査の結果を元に分析をしていくことも可能です 

3.本人の目標や希望の働き方を聞き出す

社員のキャリア希望に沿った異動配置をすることも方法の一つです。自身のキャリアを考えた希望であれば意欲的に取り組んでいく可能性が高いため、聞き入れる体制を整えたいと考える人事担当の方も多いのではないでしょうか。人事考課や1on1などを通して、本人の意思、目標や課題感、求めている働き方などを定期的に聞くことで、特に結婚や出産などのライフイベントの前後では、本人の目標や希望が変わる可能性が高いので、必ず定期的に面談を行うことが大切です。 目標管理は、組織の成長を促す効果も期待できるため、適切なプロセスで実施することが重要です。

4.正しく人事評価を行う

自社の人事評価制度にそって、正しく人事評価を行うことも大切です。人事評価(人事考課)を雑にやってしまうと、社員の目指すべき方向が定まらず、混乱を招いてしまいます。社員にさまざまな仕事をさせてみても、人材を正確に見極めることができなければ、適材適所を実現することはできません。社員も自分が正しい評価を受けていないと感じてしまい、会社や上司に対する不満がたまりやすくなるので注意が必要です。 
人事評価面談で定性的・定量的にフィードバックをすることで、社員の伸びしろや希望するキャリアが見えてきます。さらに、面談で得た情報をデータ化すれば、人事部や経営層が管理しやすくなり、適材適所に活かすことができます。社員が多い大企業は、人材をデータベース化することが効率的です。 
人事評価制度についてさらに知りたい方は下記の記事も参考にしてみてください。 

5.副業・兼業を認めるor社内兼業を推奨する

社外の副業を経験させることで、社員の新たな強みが見つかったり、やりたいことが明確になることもあります。現在の職種と他の仕事を比較することで、自分の強みと弱みが理解できるようになり、停滞感を覚えていた社員が前に進むきっかけを持てるようになります。さらに、仕事を効率よく進める能力なども身につけられるため、企業全体の生産性を向上できます。 社外の副業をさせたくない場合、社内兼業という手法もあります。別部署の仕事を経験することで、将来のキャリアに対する気づきを得ることができ、能力開発や能力を認識する機会を得られます。転職や異動よりもリスクが少なく、ハードルも低いため、社員が積極的にチャレンジできます。
副業について最新トレンドを知りたい方は、下記の記事も参考にしてみてください。

6.ジョブローテーションを取り入れる

どんなに面談をしても、実際にやってみないと本人との適性はわからないものです。まずは社員に業務を体験させる、という姿勢で積極的にジョブローテーションを取り入れてみましょう。 ジョブローテーションとは、さまざまな部署・職種を一定期間経験させる人材育成システムのことです。社員は複数の業務の経験を通して、自分の強みや弱みを知ることができ、適性を見極めることができます。また、部署を超えた人脈づくりができるため、仕事の調整力や連携力なども強化できます。 ただし、社員の適性に合わない部署・職種だと、かえってモチベーションが低下するリスクがあるので注意が必要です。社員の意見も取り入れながら、教育・フォローアップを欠かさないようにしましょう。 
適材適所が実現できるような、最適な人員配置については、下記の記事でも解説しています。参考にしてみてください。 

近年求められている、従業員の選択を取り入れた人事異動

従来の人材配置では、人事部が主導し、異動配置を決定することがほとんどでしたが、従業員自身の希望を取り入れた人材配置の重要性が高まっています。理由としては、従業員の価値観の多様化や、労働人口の減少が背景にあります。希望に沿わない異動配置は、モチベーション低下をまねき、延いては離職につながることも少なくありません。

このような課題を解決する方法として、社員の希望を取り入れる「社内公募」があります。近年、社内公募制度を導入する企業が増えています。社内公募ではポジションに対して必要なスキルや、求める人材像などを明確に示して募集をかけます。社員は自身のスキルの状態や将来のキャリアをふまえて応募できます。仮にスキルが不足しているなら、社員自身でスキルアップに努めることができ、組織・個人両方にとってメリットがあります。

社員自身が希望を出して異動するため、意欲的に仕事に取り組むことができ、人材の定着にもつながります。

組織の適材適所の配置を実現するタレントマネジメント

社内の限られた人材を有効活用し、事業を発展させるには、適材適所が必要不可欠です。そして、適材適所を実現できる手法の一つとして挙げられるのが、タレントマネジメントです。タレントマネジメントとは、社員の能力や才能、経験値などを一元管理し、組織全体で最適な人材配置や人材育成をするマネジメントのことを指します。この手法を取ることで、社員一人ひとりの最大限のパフォーマンスを引き出し、結果として、チームや組織全体の生産性アップを期待できます。 
実際にサイダスのタレントマネジメントシステムを利用し、適材適所を実現された事例をご紹介します 

株式会社SBI新生銀行

株式会社SBI新生銀行様では、人材情報を一元化し、社内のタレントを可視化できる環境を構築しています。グループ企業でバラバラに運用されていた人事情報を整理し、グループ全体の人材情報を1つのプラットフォームで管理して共有することで、社員の適材適所を実現されました。 人材情報には入社年度や学歴だけでなく、スキルやバックグランドなど、履歴書に書かれていないデータも含まれます。また、静的な情報だけでなく、一人ひとりの意思や価値観を前提としたキャリアプラン、結婚出産・異動希望というようなライフステージ等、変動しやすい一人ひとりの意思や価値観を前提としたキャリアプラン、結婚出産・異動希望というようなライフステージ等、変動しやすい動的な情報も一元管理し、チーム編成に役立てています。 人材情報を一元化するだけでなく、社員が混乱しないようにグループ内での評価軸も統一しているのもポイントです。 
6,000名強のグループ内の社員を同じ軸で評価することで、原籍が異なる上司の元で仕事をするときも不満を抱くことがなくなり、社員のやる気やモチベーションを高めています。

下記資料では、株式会社SBI新生銀行様の事例の他、シミックホールディングス株式会社様、全日本空輸株式会社様の事例をご紹介していますのでぜひご覧ください。

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